仕事や転職活動に行き詰まると、不安やもどかしさからネガティブな気持ちになることもあります。そんな自分を変えるには、ポジティブな心を持つことが大切です。ポジティブになるための3ステップや、どうしても前向きになれないときの考え方を紹介します。
ポジティブになれない原因
ポジティブになるためには、まずネガティブな考えばかり浮かんでしまう原因を突き止める必要があります。前向きになれない人によく見られる、3つの状態を紹介します。
自分で制御できない事柄に悩んでいる
問題に直面したときに解決できないまま時間が過ぎると、「自分はだめだ」と感じてしまい、ネガティブな気持ちが増幅するでしょう。しかし、中には自らの行動で改善に向かうものだけでなく、自力では予防・解決が難しい問題もあります。
例えば、体調を崩し仕事を休んだことで、出世が遅れてしまったようなケースです。病気は完全に予防できない上、過去の出来事は変えられません。また、職場環境が悪いときに1人で環境の改善に取り組んでも、状況を好転させるのは困難です。
コントロールできない問題に時間をかけて悩み抜いても、よい解決策はなかなか思い付きません。答えの出ない悩みに時間を割きすぎると、ネガティブな気持ちにとらわれ続けてしまうこともあります。
何でも自分が悪いと考えてしまう
自分はだめな人間だと思い込む癖も、前向きな考えが妨げられる原因です。物事がうまくいかなかったときに自らの過失ではなくても、全て自分のせいだと考えてしまう人は少なくありません。
1つのミスから過去の失敗まで思い出して、負の感情が次々と蓄積していくケースもあるでしょう。自己肯定感が低いために、成果を上げて褒められたとき、素直に喜んで自信につなげられない場合もあります。
「実力ではなく、運でうまくいっただけ」「ほかの人と比べたら全然できていないから、やはり自分はだめなのだ」と考えて、自分の評価を低く見積もってしまうのも、前向きになれない原因です。
完璧にこだわりすぎている
完璧に物事を進めようとする意識が強いのも、ポジティブになれない原因の1つです。完璧を目指して仕事に取り組むのは素晴らしい心意気ですが、100%を実現するのは実質的に不可能です。
完璧主義の人はミスに気付くと、ささいな問題でも深刻に捉える傾向があります。「7〜8割程度でよい」と考えている人の方が、結果を肯定的に捉えられるでしょう。
結果をポジティブに捉えて自信につなげていくためには、完璧を目指しすぎず適度に肩の力を抜いて取り組むことが重要です。
ポジティブになるための3ステップ
ネガティブな気持ちに沈んでいるところからポジティブになるには、適切な段階を踏んで、一歩ずつ改善していく必要があります。前向きな気持ちで仕事をするための3ステップを見ていきましょう。
ネガティブな気持ちをリセットする
意識がネガティブになっているときは、前向きになろうとしてもマイナスの方向に引っ張られてしまいがちです。最初からポジティブに持っていこうとするのではなく、まず気持ちをフラットにするというワンクッションをはさみましょう。
フラットな状態からのスタートなら、過度にネガティブな方向に引っ張られず正常な判断ができ、ポジティブになるための取り組みが成功する可能性が高くなるはずです。
小さな行動から変えていく
ポジティブになろうと決心したからといって、次の日からすぐ前向きになれるわけではありません。少しずつポジティブな気持ちになれるように、意識して変えていく取り組みが必要です。
しかし、どれだけポジティブになろうと意識していても、実現はなかなか難しいものです。人の考え方は、日常の中にある小さな選択と行動に大きな影響を受けます。
毎日の行動を変えていって習慣化すれば、無理なくポジティブな考え方が身に付くでしょう。
ポジティブな思考法を育てる
ポジティブな考え方が習慣化したタイミングで、前向きな思考法を定着させ、よい循環を生み出すことが大切です。最初は意識するのが難しかった考え方も、この段階ではスムーズに受け入れやすくなっているでしょう。
ポジティブに物事を考えられると、仕事に積極的に取り組めるようになります。リスクがあるときに諦めてしまうのではなく、リスクを軽減するための行動を考えられます。
積極性が増して主体的に動く機会が増えると、自分の意思で人生を生きている感覚が強くなり、ストレスが軽減されやすくなるのも大きなメリットです。
後ろ向きな気持ちをリセットする方法
ポジティブになるための最初のステップである、ネガティブな気持ちをリセットする方法を解説します。フラットな気持ちを取り戻すには、仕事以外の面での生活主幹
自分の体に目を向けて深呼吸をする
ネガティブな感情は姿勢の悪さや筋肉のこわばりなど、体の状態に現れるものです。特に緊張が強い場合、深呼吸によって体をほぐすことで、リラックス効果が期待できます。厚生労働省のホームページで紹介されている深呼吸の方法を見てみましょう。
- 目をつぶって自分の体に意識を向けた状態で、大きく深呼吸をする
- 深呼吸をしたら軽く息を止め、少し息苦しくなったらゆっくり吐き出す
このサイクルを5回繰り返します。無理に息を止めすぎないよう注意しましょう。
目をつぶって視覚情報を遮断すると、普段は意識していない自分の体に目を向けられます。ネガティブな気持ちの要因から、自然と意識を引き剥がせるはずです。
参考:からだ1 緊張してからだがこわばっている|リラクセーションYOGA|ポジシェア|こころの耳|厚生労働省
運動やストレッチを取り入れる
運動を取り入れるのも、後ろ向きな気持ちをリセットするのに役立ちます。ランニングや水泳などの有酸素運動が特に効果が高いとされますが、激しい運動が苦手な人は近場まで散歩に行くだけでも十分です。
ストレッチも、ネガティブな状態をリセットするのに効果的です。両手を頭上で組んで上半身を伸ばす「押し上げの呼吸」、後ろで両手を組んで胸を張る「ツルのポーズ」などのストレッチは、厚生労働省のページでも紹介されています。
ストレッチでは多少痛くても心地よさを感じる範囲で伸ばすのに加え、深い呼吸も意識することが大切です。
参考:体を動かす|こころと体のセルフケア|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
規則正しい生活をする
生活のリズムが悪いと、日中に仕事をしていても眠気が残ったままになることがあります。加えて十分な栄養も取れていなければ、余計に頭が働かず集中して仕事に取り組めません。
注意力が散漫になったまま仕事をすると、効率が下がって高い成果を出せなくなるでしょう。さらに仕事のミスが重なることで、悪循環に陥ってしまいます。
負のループを断ち切ってフラットな状態に持っていくには、しっかり睡眠や栄養を取って体調を整えることが重要です。規則正しい生活をすれば時間の余裕が生まれ、心のゆとりにもつながります。
気分転換のルーティーンを探して実践する
気分転換に時間を使うことも、ネガティブな感情を断ち切る効果が期待できます。気持ちをリフレッシュさせられるなら、音楽を聴いたり映画を観たりするほか、散歩をする・友だちと話すといった日常的な行動でも構いません。
リラックスして後ろ向きな気持ちをリセットできるルーティーンは、人それぞれ異なります。
自分なりのリラックス方法を把握しておけば、ネガティブになりそうだと感じたときに、いつでも気持ちをリセットできるようになるでしょう。
ポジティブになるための行動
2つ目のステップは、行動を変えて習慣化することです。簡単に始められて効果が出やすい行動を3つ紹介します。自分にできそうな取り組みから始めてみましょう。
日ごろからポジティブな言葉を使う
前向きになるための行動では、必ずしも体を動かす必要はありません。普段から口にする言葉を変えるだけで十分に効果的です。
「言葉は言霊」とよくいわれるように、楽観的で前向きな言葉を口にしているだけで、その言葉が耳からも入るので、考え方もポジティブに転換しやすくなります。
「どうせ自分はだめだ」「最悪だ」「失敗した」といったネガティブな言葉を使うのは避けて、「きっと大丈夫」「次は頑張ろう」などの前向きな言葉を口癖にしましょう。
人にポジティブな働きかけをする
誰かに親切にされると、自分も相手に何かを返したいと思うのが人の性です。これは「好意の返報性」と呼ばれます。
仕事で困っている人や忙しそうな人の手伝いをしたり、活躍や成果を褒めたりすると、自分にもポジティブな行為や言葉が返ってくるものです。同僚や上司からの好意的な反応を感じられると、自己肯定感が上がって自然とポジティブな気持ちになります。
いきなり相手を褒めるのが難しいという人は、まずは相手の目を見て笑顔であいさつをするところから始めるのも1つの方法です。
プラスと思える体験を書き出す
寝る前に、その日によかったと思う出来事を3つ書き出すのも、ポジティブな心を育てるのに効果的です。
よかったことを思い出してノートやスマホに書き出せば、普段から悪い出来事よりもよい出来事を意識する習慣が付きます。
- 仕事のクオリティを上司に褒められた
- 電車で席を譲ったらお礼を言われた
- 今日も時間通りに出社できた
自分がプラスだと思えば、人から称賛されるようなエピソードでなくても構いません。寝る前の数分を使って、1日を振り返ってみましょう。
ポジティブになるための考え方
ポジティブな気持ちになれた後も、前向きな状態を維持したり強化したりする取り組みが必要です。一時的にプラス思考に持っていけたとしても、すぐ後ろ向きになってしまっては意味がありません。ポジティブ思考を保ち、強化する思考の枠組みを紹介します。
物事をポジティブに捉え直す
ネガティブな思考に戻ってしまうそうなときは、自分の考え方が1つの視点に過ぎないと気付き、捉え方を変えてみる試みが重要です。別の視点からも物事を評価する手法を「リフレーミング」と呼びます。
物事には多様な見方があり、大きく分けるとネガティブな視点とポジティブな視点があります。
例えば仕事が忙しいとき、会社に期待されているから頑張ろうと考えられれば、会社に時間を奪われてつらいと思うよりも積極的に取り組めるでしょう。
「できることは何か」を常に考える
何事もできない理由を考えるのは簡単です。しかし、何か困難な事態に直面したとき、できない理由ばかり挙げていると思考が停止して、前を向いた状態からネガティブ思考に戻ってしまいます。
また、嫌だと思ったことは後回しにして現実逃避しがちですが、その状態では好きなことをしても気持ちは晴れません。
ポジティブ思考を保つためには、難しい状況でも成功させる意思を持ち、「そのためにできることは何か」を考え続ける必要があります。進むための方法を考え、一歩でも踏み出す意識が前向きな状態のキープにつながります。
過去ではなく今後のために時間を使う
ネガティブな人は過去ばかり振り返り、ポジティブな人は未来を見ているという傾向があります。過去の失敗を分析して改善案を出す作業には価値がありますが、いつまでも失敗を反省しているとネガティブな状態に逆戻りしかねません。
自分で変えられるのは、これからの未来だけです。未来は出方次第で、好きなように描けます。今後のために何ができるのかを考えて、ポジティブになるための行動を積み重ねていくのが建設的です。
他人と比べず自分のよい部分を見る
他人と比べてしまう行為も、ポジティブ思考を妨げてしまいます。人は1人1人違い、十人十色の個性を持っています。誰しもよいところがあれば、悪いところもあるのが自然です。
実際には比べようがないにもかかわらず、他人と比較してしまうと、どうしても自分の劣っているところに目が行ってしまうでしょう。前向きな状態を保つには、人と比べるのではなく、自らのよい部分を見つけて伸ばす方が効果的です。
どうしてもポジティブになれないときは?
ポジティブになる方法を試してみたものの、途中で挫折したり努力しても前向きになれなかったりする場合があるでしょう。どうしてもポジティブになれないときの対処法を紹介します。
環境を変えてみる
意識してみても職場で前向きになれない場合、仕事の内容や関わる人が苦手だという可能性があります。
本当はやりたくない仕事を続けていると、マイナスの感情ばかりがたまっていき、ポジティブな方向に転じるのは困難です。どうしても環境が合わないときは、自分の好きな仕事ができるように転職するといった根本的な解決方法が求められます。
転職の求人を探すときは、スタンバイの利用がおすすめです。キーワードやこだわり条件からも求人を探せるので、自分に合った仕事が見つかりやすいでしょう。
誰かに相談してみる
仕事が合わないこと以外にも、ポジティブになれない理由はあります。しかし、自分1人で考えてばかりいては、八方ふさがりのように感じてネガティブな感情が強くなるだけです。
ポジティブになれず気分が沈んでいるときこそ、誰かに相談してみましょう。友人や家族にネガティブな自分を変えたい思いを打ち明ければ、苦悩が緩和されたりアドバイスをもらえたりして、思っていたより簡単に解決策が見つかるかもしれません。
誰かに話すのに抵抗を感じる場合は、ノートに書き出して、客観的な視点を交えて整理してみるのがおすすめです。
ポジティブになる取り組みの注意点
前向きになるための3ステップを踏めば、ネガティブ思考からの解放が期待できます。しかし、取り組み方を間違えると、かえって後ろ向きな状態が悪化する可能性に注意が必要です。
ポジティブになる方法を実践する上で、注意したいポイントも押さえておきましょう。
前向きになれなくても深刻に捉えない
ポジティブになる方法を実践するときは、前向きな自分に生まれ変われるのだと未来に希望を抱いているでしょう。
しかし、実際には努力が続かなかったり、頑張ったにもかかわらず変わった実感がわかなかったりする場合もあります。
意識や行動を変えたのにポジティブになれなかったときは、「ポジティブになれない」ということ自体に悩んでしまい、余計にふさぎ込んでしまうかもしれません。
しかし、ネガティブな状態から前向きになるのは難しい挑戦です。人によって手法の向き不向きもあります。うまくいかない可能性もあることを踏まえ、「失敗しても仕方ない」と思えるような心構えが必要です。
ネガティブ思考を悪いことと思いすぎない
ポジティブになる方法を紹介してきましたが、実際には「ネガティブが悪でポジティブが正義」と、簡単にいえるわけではありません。
後ろ向きな感情や思考も、人間が生まれながらにして持っている本能です。ネガティブな感情や思考を持つ人は、起こり得るリスクを予測して、ミスなく仕事を進めていけるという利点もあります。
ネガティブ思考を悪いと思いすぎると悪循環です。完全にプラス思考へ転換できなくても、バランスが取れていればよいと考えましょう。
小さなことからコツコツと実践しよう
ポジティブになれなくて悩んでいる人は、自分にはコントロールできない事柄に悩みを持っていたり、自己肯定感が低かったりする傾向があります。また、完璧に物事を進めようとする癖が原因の可能性もあるでしょう。
ネガティブ思考に偏りすぎる人が前向きになるには、気持ちのリセット・行動の変化・考え方の変化と、3つの段階が必要です。
ただ、3ステップに挑戦しても、前向きになりきれない場合もあることは覚えておきましょう。
後ろ向きな感情や思考が必ずしも悪ではないと心に留め、一歩ずつポジティブとネガティブのバランスを調整していくのがポイントです。