給料が振り込まれないのはなぜ?振込のタイミングや対処法をチェック

給料が振り込まれないと、どうしたらよいか分からずパニックになってしまうことがあります。なぜ口座に入っていないのかと、不安でいっぱいになる人もいるでしょう。給料が振り込まれないときに考えられる理由や、対処法を紹介します。

給料が振り込まれないときの対処法

通帳をチェックする男性

(出典) photo-ac.com

給料日に予定されていた通りに給料が受け取れないと、やり繰りが苦しくなってしまうこともあります。そんなときに、まずどう対処すればよいのか見ていきましょう。

まずは時間をおいて再び確認

給料が振り込まれていないと焦ってしまいますが、まずは時間を空けてからもう一度チェックしてみましょう。

労働基準法第24条では、原則として賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないと定められています。ただ、振込の時間帯までは特に決まっていません。

銀行口座を確認したタイミングで、たまたま振込が反映されていないケースもあります。給料日当日の午前中に給料が振り込まれていなくても、午後に再び確認すると振り込まれているというケースは珍しくありません。

参考:労働基準法 第24条 | e-Gov法令検索

勤務先へ振込の確認をする

給料日当日、終業時間が近くなっても振り込まれていないことを確認したら、勤務先に連絡してみましょう。担当者がミスをしていたり、銀行のシステムエラーが起きていたりする可能性がゼロではないからです。

振り込まれなかった事情が分かれば、落ち着いて行動できるでしょう。最初から会社は給料を払う気がないのだと決めつけると、何らかのトラブルが起きていた場合に気まずい思いをします。

給料が振り込まれていないと勤務先に伝われば、ミスだった場合すぐに対応してもらえるケースも少なくありません。

勤怠の証拠・給与明細を取っておく

給料が振り込まれていないと連絡したにもかかわらず、何も対応をしてもらえなかったり長い間給料を先送りにされたりしていると、会社への不信感が募るでしょう。

対処が遅い場合は、後々の証拠とするために「何日の何時から何時まで労働していた」と証明できるものを用意しておくと安心です。

勤怠の証拠となる勤怠表やタイムカードの写しなどを用意できるのが理想ですが、難しい場合は手帳やアプリを使って勤務時間をメモしておきましょう。

タイムカードや勤怠表に比べれば信用性に欠けますが、もし裁判になったとき証拠がないより効果的です。記録を基に同僚から証言を得られる場合もあります。

給与明細も捨てずに保管しておいた方が、受け取れるはずだった額と実際に受け取った額が違うといった問題が後から起きたときも、スムーズに内容を確認できるでしょう。

そもそも給料が振り込まれるタイミングは?

スケジュール帳とペン

(出典) photo-ac.com

給料が振り込まれないと思って焦っているとき、実は振込のタイミングについて誤解している場合があります。冷静な判断をするためにも、いつ振り込まれるのかの考え方を押さえておきましょう。

一概に何時とは言えない

一般的には、給料日の午前9時ごろに引き出せるよう前日までに振込作業を済ませており、早ければ当日の0時にはすでに振り込まれているケースもあります。

しかし、全ての企業が同じ対応をしているわけではない上、振込の時間について明確なルールはありません。

規模が小さい会社の場合は、担当者が銀行窓口へ行って給料日の当日に手続きをすることもあり得ます。銀行によって振込がいつ反映されるかも変わってくるでしょう。振込が即時反映される銀行もあれば、時間がかかる場合もあります。

土日祝日の場合は振込日が変わる

給料日が土日祝日の場合は、給料日に最も近い平日に振り込まれるのが通常です。例えば、毎月25日が給料日でその月は25日が日曜日だった場合、23日(金曜日)に振り込まれることが多いでしょう。

もし23日の金曜が祝日ならその前日の22日(木曜日)に振り込まれるように、前倒しとしている企業も少なくありません。

ただし、全ての企業が前倒しをしているわけではなく、後ろ倒しになっている場合もあります。給料日が土日祝日になってしまった場合の振込日が分からないときは、就業規則や雇用契約書を読み返してみましょう。

給料の振込に関するQ&A

通帳とお札

(出典) photo-ac.com

給料日や振込に関する詳しいルールは、企業によって若干異なります。給料の振込について、よくある疑問を解消しておきましょう。

明細と振込額が違うときはどうする?

本来であれば、雇用契約の内容通りに働いた分の給料が支払われます。明細の振込額と実際の振込額が合わないときは、まず給与のどの項目で金額に違いがあるかを調べましょう。

時間外勤務や休日出勤が含まれていないなど項目ごとにチェックし、「この項目で、〇〇円の差異があります」と、具体的に指摘できるようにしておくことがポイントです。

上司や経理担当者と話をする際は、最初から相手が間違っているという強い態度で出ると、トラブルに発展しやすくなります。

「給与の振込額が一致していないようなので、ご確認いただけないでしょうか?」と、丁寧な口調で切り出すのが正解です。

退職時の給料が振り込まれていないときは?

退職した後であっても、働いていた期間分の給料は振り込まれます。通常は「月末締め翌月15日払い」というように雇用契約で交わされた条件の通り、振込が行われるはずです。

例えば、7月24日から有給休暇を消化して7月末に退職した場合でも、毎月15日が給料日という契約だったなら、8月15日に振り込まれていなければ契約に反しているといえます。8月15日の時点で社員ではないから振込なし、とはなりません。

もし退職後にもらえるはずの給料が受け取れておらず、会社に連絡しても払う意思が見られなかった場合は、弁護士や労働基準監督署への相談も視野に入ってきます。

ただし、退職日に清算する規則になっている可能性もあることに注意が必要です。詳しくは就業規則や雇用契約書を確認しましょう。ボーナスの支給も支給日に在籍している人が対象となっていることが多く、退職の時期によっては受け取れない場合があります。

振込前に会社が倒産したときは?

給料日前に会社が倒産してしまったときは、労働債権がほかの債権よりも優先される決まりです。会社にお金が残っていれば倒産していても給料は受け取れます。

しかし、お金が全く残っていない場合は払いたくても払えません。給料を受け取れなかったときは、「未払賃金立替払制度」の要件を満たしていれば払われなかった給料の80%を立て替えてもらえます。

立替の対象となるのは、労働者が退職した日の6カ月前から立替払請求日の前日までに、未払いとなっている定期賃金と退職手当です。上限額は退職時の年齢によって異なり、88万円~296万円の範囲内となります。

申請期限は、倒産手続きの開始から2年以内です。未払賃金額を確認し、会社の破産手続きを行っている弁護士から倒産証明書を受け取りましょう。

急に会社と連絡が取れなくなった場合は、労働基準監督署に倒産認定の申請書を出し、認定通知書を受け取ります。必要な書類をそろえて「労働者健康安全機構」に請求書や申告書を提出し、審査を通れば立替払金が振り込まれる仕組みです。

参考:未払賃金立替払制度の概要と実績 |厚生労働省

振込を待っている間の節約法

家計簿を付けるイメージ

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会社側に何らかの理由があったとしても、生活費が心もとない状態だと振込を待つのがつらいものです。給料の振込が遅れているときの過ごし方を見ていきましょう。

食費を見直す

給料の振込が遅れると、生活費が足りなくなってしまいます。食費は生活費の中でも大きな割合を占めるので、節約してやり過ごしましょう。

食費を節約するには、スーパーのタイムセールや見切り品を狙って、安い惣菜や弁当を手に入れる方法がおすすめです。料理が得意な人は安売りの食材を手に入れて自炊すれば、かなりの節約ができます。

スーパーに比べてコンビニは価格が割高なので、できるだけスーパーで食材を買いましょう。どうしてもコンビニを利用するときは、アプリで手に入るお得なクーポンを使用するといった工夫をおすすめします。

あえて出かけるのもあり

お金がないからと、ずっと家の中で給料が振り込まれるのを待っているのは苦痛でしょう。外出した方が光熱費を節約できる上、図書館へ行ったり公園を散歩したりするだけで気分転換になります。

適度に体を動かすとストレス解消になり、給料が遅れていることを嘆いているよりも気が楽になるはずです。普段は通らない道を歩いてみるだけでも、新鮮な風景に出会えて新しい発見があるかもしれません。

慌てることなく冷静に対応しよう

通帳をチェックする男性

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給料の振込が予定より遅れると慌ててしまうかもしれませんが、冷静な対応を心掛けましょう。

給料日当日の午前中に振り込まれていない場合は午後にもう一度確認し、それでも振り込まれていなければ上司や経理担当者に相談します。

振込が送れている原因が分かれば安心できる上、よほどの事情がなければ早めに対処してもらえるはずです。冷静さを欠いているとトラブルの元になるので、振込を待つ間の過ごし方も考えながら落ち着いて待ちましょう。

鬼沢健士
【監修者】All About 暮らしの法律ガイド鬼沢健士

慶應義塾大学卒業。平成24年、茨城県取手市「じょうばん法律事務所」を開設。主に労働者側の労働事件(不当解雇など)や、インターネット詐欺被害救済(サクラサイト、支援金詐欺など)を取り扱う。
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