秘書の仕事はどんな内容?求められるスキルややりがいをチェック!

221140社長や役員など責任の重い仕事をしている人には、秘書が配置される場合があります。秘書とは、何をする仕事なのでしょうか?仕事内容や秘書として働く方法、主に求められるスキルを紹介します。平均年収や仕事のやりがいも併せてチェックしましょう。

秘書の仕事の内容は?

バインダーを持った女性

(出典) photo-ac.com

秘書が担うのは、事務作業を中心とした業務です。多忙な上司に代わって、雑務全般を引き受けます。具体的な仕事内容を見ていきましょう。

上司のスケジュール管理・調整

秘書の主な仕事は、上司のスケジュール管理です。秘書を必要とする人には、毎日多くの予定が詰まっています。

予定が少ない日でも重要な会議や商談が多いため、スケジュール管理は大切な仕事です。

秘書は上司の予定を把握し、新しい予定を入れる際の調整や次の予定の報告を担います。上司本人が立て込んだ予定をすべて把握していなくても、問題なく行動できるようサポートする役割です。

出張時などに必要なチケットの手配や店の予約など、スケジュールに合わせて必要な事務処理も求められるでしょう。無理のない予定を考え、上司がスムーズに行動できるよう手助けします。

上司の社内業務のサポート

上司には、本人にしかできない重要な業務があります。コピーや文書作成、郵送処理など簡単な業務は秘書の仕事です。郵便物やメールの仕分け、社内の状況に関する報告など、作業内容は多岐にわたります。

上司が気持ちよく円滑に仕事を進められるよう、清掃やお茶くみなど軽作業を担当する場合もあるでしょう。

上司によって秘書にどこまで任せるかは異なりますが、基本的に簡単な社内業務は秘書の役割です。

来客やメールなどへの対応

来客対応やメール・電話の応対も、秘書の仕事です。上司宛の来客やメール・電話には、丁寧な対応が求められます。取引先の重役や社長など、立場のある相手と話す機会が多いのが特徴です。

上司が来客対応をする際には、お茶やお菓子の買い出しを含め、全般的なサポート業務を行います。必要な資料があれば、作成を頼まれるケースもあるでしょう。

本人が不在の場合、重要な来客や電話・メールの内容を報告し、指示を仰ぐ必要があります。状況や内容によっては秘書が用件を聞き、判断するケースもあるでしょう。

多くの来客や問い合わせがある状況では、どこまで上司本人に報告するか、見極める能力が求められます。

秘書になる方法は?

考える女性

(出典) photo-ac.com

秘書として働く上で、必要な資格はあるのでしょうか?必須資格はないとされますが、持っていると役立つ資格を紹介します。そのほか、秘書になるためのキャリア形成についても確認しましょう。

必須の資格はない

秘書は雑務全般に対応する仕事のため、必須資格はありません。しかし、役職のある責任者のサポート業務が多いため、教養や知識は求められます。

秘書技能検定のようにビジネスマナーや教養を示す資格を持っていると、有利に働くケースもあるでしょう。そのほか、パソコンスキル・経理・語学など、上司が求める資格が必要です。

パソコンのスキルが求められているなら「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」、経理の知識が必要な場合は簿記検定など、業務の役に立つ資格の取得を検討しましょう。

資格の有無にかかわらず、事務やマネジメント経験があれば、秘書として働きやすくなります。

基本は事務員からキャリアをスタート

秘書は上司の代理として業務に当たり、スケジュール管理も任されます。ミスが許されない業務も多く、重要な仕事です。

高い能力が求められるため、新卒から秘書に採用されるケースはほとんどありません。まずは、事務員として経験を積むことが一般的です。

事務員として基本的な事務・受付業務を経験し、ビジネスマナーを身に付けるのがキャリアの第一歩になります。

秘書業務が未経験であっても、事務作業の経験があれば採用の可能性はあるでしょう。上司の求めていることを、素早く適切に処理する能力が重要視されます。

秘書の給料はどのくらい?

給料袋

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秘書の年収は、事務職としては高いといわれます。一般的な給料はどのくらいなのでしょうか?平均年収と、秘書が年収を上げるために押さえておきたいポイントを紹介します。

平均は486万円

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」において、秘書業務に携わる人の平均年収は2021年では約486万円となっています。

企業規模計(10人以上)でみていくと、月給は33万円程度、ボーナスは90万円程度が平均です。企業規模による平均収入の差はそれほどないですが、任される仕事内容やサポートする相手の役職によって収入の増減はあるでしょう。

一般の事務員と比べると専門的な作業が多く、社内で重要な役職に就く上司のサポートを行うため、高年収の秘書も一定数います。経験や処理能力は求められますが、安定した収入を得られる点が魅力です。

参考:

賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 3-sanko 【参考】職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)(役職者を除く) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

年収が高い秘書になるには

秘書が年収を上げるには、ほかの人にはできないスキルを身に付けるのが基本です。上司の求める業務を的確にこなすには、幅広いスキルが必要になります。

正確な計算能力・語学スキル・パソコンのソフトを使いこなす力など、秘書に求められる能力を磨いていきましょう。

スキルを身に付けた後は、大企業・外資系企業で働くのが近道です。もともと全体的に給与が高く、重要度の高い業務を任されるケースが多いでしょう。経験と実績を積めば、より好条件な企業への転職を実現できる可能性も高くなります。

弁護士や議員など、給与が高い職業の秘書になるのも年収を上げる方法です。権威のある仕事では、事務員の給与も高くなります。

秘書に求められるスキルは?

資料をチェックする女性

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秘書の仕事をするに当たって、必要なスキルはいくつかあります。上司によって何を重要視するかに差があるものの、押さえておきたい基礎スキルを知っておきましょう。

ビジネスマナーとコミュニケーション能力

秘書は、上司とコミュニケーションを取りながら仕事を進めます。上司の意思や指示を明確に理解し、気持ちよく仕事を進めるにはコミュニケーション能力が欠かせません。

多忙な上司とうまくやっていくには、相手の考えていることを理解する力が必要です。すべての業務で上司の意向を確認している時間はないため、自分で考えて行動する機会も多くなります。

きちんとした敬語が使えるだけでなく、気配りや心遣いも大切なポイントです。上司のサポート役であることを意識しましょう。

上司以外に、来客や取引先と話をする機会も多々あります。メール・電話・受付全般のビジネスマナーも求められるでしょう。

情報収集力

上司は、責任のある立場です。多忙な中でも、目を通しておかなければならない情報があります。取引先や顧客との会話をスムーズに進めるには、最新情報や知識が必要です。

新聞・雑誌・インターネットなど、さまざまな媒体をチェックし、情報を収集します。場合によっては、秘書の判断で上司に目を通してほしい情報を集めておくこともあるでしょう。

上司のためだけでなく、普段の業務でも情報収集は欠かせません。商談に使う店を見つけるには、最新のトレンドや上司・取引先の好みを把握しておく必要があるでしょう。

基本的なパソコンスキル

秘書の仕事は、主にパソコンを使って行います。文書作成・計算・情報収集など、事務作業には欠かせないツールです。

Word、Excel、PowerPointなどのOfficeソフトは、文書や資料の作成によく使われます。基本的には、すべてのOfficeソフトを使えるのが望ましいでしょう。

文書作成や各種資料の計算、プレゼン用資料の作成など必要に応じて求められるツールやスキルも異なります。

タイピングの速度や、ミスなく文書を作成する能力も必須と考えましょう。急ぎの文書作成を頼まれるケースも多く、重要な内容が多いため正確性が求められます。

秘書のやりがい

解説をする女性

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秘書がやりがいを感じる瞬間は、どんなときなのでしょうか?仕事内容の魅力や、この仕事をやっていてよかったと感じるポイントを紹介します。誰かのサポートや、人とコミュニケーションを取るのが好きな人なら、やりがいを感じる瞬間も多いでしょう。

人を支える仕事ができる

秘書の仕事は、上司を陰ながら支えることです。誰かのサポート役として活躍したい人には、ぴったりの職といえるでしょう。

スケジュールを管理し、事務作業全般をこなす秘書は、上司にとってなくてはならない存在です。上司が仕事に専念できるよう、多くの雑務に対応します。

ときには、上司からお礼を言われる場合もあるでしょう。日々こなしている業務が、上司の役に立っていると実感できます。

言葉や行動で感謝の気持ちを表してもらえたときには、仕事のやりがいを感じられるはずです。

人脈が広がっていく

秘書がいる上司は、多くの取引先や顧客とつながっています。重要なポジションであるほど、人脈も広いでしょう。

秘書と上司は一緒に行動する機会も多く、不在時には代理として来客対応も行います。社長や役員に付き添って会議やパーティーに参加する機会もあり、本来事務員の立場では会えないような人とも接する機会が増えるでしょう。

秘書は社内でも上司の窓口として働きます。長年秘書として勤めていると、さまざまな人と出会うチャンスがあるはずです。

自身のスキルアップも実感できる

秘書は上司の考えを把握し、求められている業務を確実にこなさなければなりません。急ぎの依頼や、難しいスケジュール調整を任されるケースも多いでしょう。

秘書として長年働いていると、判断力が磨かれていきます。上司に何もかも報告していては、多忙な上司の手を煩わせてしまうでしょう。しかし、重要な内容はすぐに報告しなければなりません。

上司とのコミュニケーションを通して、上司が重視することや考え方が分かってきます。状況に応じた判断ができるようになれば、秘書としてのスキルアップも実感できるはずです。

人のサポートが得意なら目指してみよう

ビジネスウーマン

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秘書は上司の手足となって、多くの仕事をこなす専門的な職業です。主な仕事は事務作業ですが、マネジメントや来客対応まで含まれます。

秘書の役割は、多忙な上司の代わりに、細かい作業を引き受けることです。仕事を進めやすいよう、社内業務のサポートも行います。

事務職やマネジメントの経験者は、採用のチャンスも多いはずです。誰かのサポートをしてみたいと考えているなら、秘書を目指してみましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備