インフラエンジニアに向いているのはどんな人?特徴をチェック

インフラエンジニアは情報システムを稼働させるためのシステム基盤の構築や、保守メンテナンスなどを行う仕事であり、インフラエンジニアがいなければ、さまざまなITサービスが安定して使えなくなってしまいます。

インフラエンジニアに向いている人の特徴を見ていきましょう。

【性格面】インフラエンジニアに向いている人

パソコンで作業中

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアはネットワークやサーバ、セキュリティなどのITシステムを稼働させるために必要なIT基盤(インフラ)の設計・構築・保守を行います。

IT業界は需要に供給が追い付かず常に人手が不足しており、とりわけ多くの企業でインフラエンジニアの人手が不足しています。しかし、どんな性格の人でも務まるわけではありません。どのような性格の人が向いているのか、見ていきましょう。

責任感が強い

どんな仕事にも責任感が必要ですが、インフラエンジニアは特に「サービスを停止しない」という確固とした意志を持ち、大きな責任感を持って働ける人に向いています。

例えば、銀行のATMサービスや企業の受発注システムなどに不具合が起こると、多くの人に迷惑が掛かったり、ビジネスにインパクトを与えてしまいます。

サーバやネットワーク等のIT基盤を安定的に稼働させることは、ひいてはその上で動くITサービスや業務アプリケーションを安定的に稼働させることにつながるため、インフラエンジニアはその重要性を理解している人でなければ務まりません。

トラブルが起これば深夜対応、休日返上で働かなければならない場合もあり、稼働中のシステムのメンテナンスを行うのはシステムの利用者に影響がない夜間に作業をすることも多いです。責任感が強くなければ労働環境に不満を感じやすく、仕事を続けるのが難しい状態になるでしょう。

知的好奇心や学習意欲が旺盛

インフラエンジニアは技術の進歩についていかなければならないので、知的好奇心や学習意欲を持っている人に向いています。

とりわけ近年はパブリッククラウドをIT基盤として用いる事が増えたこともあり、物理的なサーバやネットワークだけでなく、仮想化やコンテナ化、テラフォーミングなどの新しい技術や概念を学んで自分の仕事に活かせる人でないとついていくのは厳しいでしょう。

また、物理的なサーバやネットワークに関しても日々新しい技術が生まれてくるため、知識がアップデートされないインフラエンジニアでは活躍することはかなり困難であると言えます。加えて、新しい知識を仕入れるだけでなく、「どのように自分の仕事に生かしていくか」という視点も持っていなければなりません。

また、IT基盤に関する知識だけでなく、アプリケーションについても常に新鮮な情報を手に入れる必要があります。例えば、近年のIT基盤のクラウド化に伴い、アプリケーション側にもクラウドを使うことを前提にしたクラウドネイティブなアーキテクチャを採用する動きが広がっており、IT基盤とアプリケーションの連携が益々重要になっています。新しい技術に触れるとワクワクするという人であれば、インフラエンジニアに向いているでしょう。

堅実

インフラエンジニアは物事に対して慎重で、冷静な対応が求められる仕事なので、堅実な性格の人が向いています一つのミスがシステムダウンに繋がる仕事であるため、慎重に手順を検証し、作業中にもミスをしないように漏れやミスなく手順を実行する必要があります。

トラブルが少なくパフォーマンスが高いIT基盤を実現するためには、様々な障害のパターンを想定し対策を講じた綿密な設計が求められます。

また、どんなシステムであってもトラブルに見舞われることは免れ得ません。どれだけ事前にトラブルを予見し、マニュアル化などの対策を講じられるかといった手腕が求められる他、予期せぬトラブルが発生したときにも落ち着いて問題を切り分け迅速に対応する必要があるため、冷静かつ堅実件実に仕事を進められる人が向いていると言えます。

【スキル面】インフラエンジニアに向いている人

パソコンをしながらメモを取る

(出典) photo-ac.com

どんなにインフラエンジニア向きの性格であっても、スキル面が乏しければよい働きはできません。どのようなスキルを持っていれば、活躍できるのでしょうか。スキル面から、インフラエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。

サーバーやネットワークなどを適切に扱える

インフラエンジニアは、IT基盤を設計/構築するためにサーバーやネットワークなどに関する技術的な知識と、それらを組み合わせてどのようなIT基盤を構築する必要があるかを検討・設計するスキルが求められます。

パソコン・サーバー・ルーターなどの機器をラックに搭載したりケーブル接続し、OSのインストールや必要なミドルウェアのインストール、初期設定パラメータの投入などを行うなど、適切に使用できるように設定をしていかなければなりません。

毎回、同じメーカーの機器を扱うとは限らないので、他の機械で行った作業を応用して別の機械の手順を作成するなど、応用力が求められます。機械毎の差異を見つけたり、試行錯誤しながらやり方を見つけることに楽しみを覚える人が向いている可能性が高いでしょう。

最新の説明書や仕様書などで知識をアップデートできる

インフラエンジニアは多くの機器を扱うので、それぞれの機器の説明書や仕様書をしっかりと読み、内容を理解するスキルが求められます。

ITインフラに必要な機器は常に進歩しており、過去の経験だけでは対応しきれないことが珍しくありません。自分がこれから扱う機器やその上で動くOS、ミドルウェアなどの最新機能やバグフィックス、セキュリティパッチについて常に新しい情報を仕入れ、技術知識をアップデートできる人でなければインフラエンジニアとしての活躍は難しいといえます。

読解力・理解力に欠ける人だと間違った設定をしてしまう可能性がありますし、トラブルが起きたときにも適切な対処が行えない可能性があります。

また、場合によっては英語の仕様書などを読まなければならないこともあり、ある程度の「語学力」が求められる場合もあります。

コミュニケーションスキルが高い

インフラエンジニアはチームで仕事をすることが一般的です。例えば、ネットワーク環境を設計し構築するチームと、サーバーの構築や管理を行うチームが分かれている企業は珍しくありません。また、IT基盤を使って稼働するITシステムのアプリケーションチームと連携することも非常に重要です。

開発プロジェクトの基盤となる部分を設計して終わりではなく、チームとコミュニケーションを取りながら作業を進めていきます。チームで働くには、「報告・連絡・相談」を欠かさないことが必要です。

コミュニケーションスキルが不足しているとチームでの仕事に支障をきたすだけでなく、トラブル時に正確な状況を伝えたり、顧客の要望をヒアリングしたりすることが難しくなります。

インフラエンジニアに向いていない人

デスクにうなだれる女性

(出典) photo-ac.com

ITやサーバー機器などの知識があって機械に強いだけでは、インフラエンジニアに向いていないかもしれません。どういったタイプが向いていないのか、具体的な特徴を見ていきましょう。

不規則な勤務やトラブル対応が苦手

不規則な勤務やトラブル対応をしたくないと考えるなら、インフラエンジニアには向いていないでしょう。

IT基盤で障害が起きればITシステム全体がダウンしてしまう恐れがあるため、インフラエンジニアは24時間365日の対応が必要になる場合が多く、急なトラブルなどに対応しなければならない事態になることが珍しくありません。

実際にどのようなシフト勤務になるかは職場によって異なりますが、「土日は必ず休みたい」「深夜は働きたくない」という人はストレスを感じるでしょう。

例えば、サイバー攻撃や機器の故障など何らかのトラブルが起きてサーバーがダウンすればシステムもダウンしますので、速やかなサーバーダウンの復旧作業が求められます。場合によっては、予定していた休日がなくなったという事態に陥ることもあるのです。

細かいことに気付けない

インフラエンジニアの仕事は、あらかじめ「綿密に組み立てられた設計」に基づいて進めていかなければならないので、大雑把な性格の人は向いていません。

事前に用意されたマニュアルや手順書を確認せずに勘や直感だけで作業を行うタイプの人は、インフラエンジニアには向きません。手順書に記載された細かい設定作業を抜けなく、ミスなく、細部まで丁寧な仕事ができる人でなければ務まりません。

細かいことに気付けないタイプだと手順を飛ばしてしまったり、入力するパラメータを誤ったりするため、不用意なシステム障害や顧客への影響を与えてしまう恐れがあり非常に危険です。

華やかな仕事が好き

ITインフラの基盤を整えるインフラエンジニアは、ITシステムを安定稼働させるために重要性が非常に高い仕事ですが、作業自体は地味な仕事の連続といえます。人前に出る華やかな仕事が好きな人には向いていません。

実際の仕事はパソコン・サーバー・プリンターなどの設定の確認作業を地道に繰り返さなければならず、「縁の下の力持ち」になりたい人でないと、活躍し続けるのは難しいでしょう。

同じ作業でもコツコツと地道に取り組めて、何事もなくシステムが稼働していることに喜びや充実感を見出せる人が向いています。

インフラエンジニアに役立つ資格

パソコンを操作する手元

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インフラエンジニアを目指す際、持っていると有利になる資格があります。転職する際に強みとなってくれる資格を見ていきましょう。

オラクルマスター

オラクルマスターは、ソフトウエア会社「Oracle Corporation」が認定するオラクル社の製品の知識を証明する資格です。

エンジニアになりたての人が持っていると、オラクル社の製品を正しく扱える知識があるという証明だけでなく、データベースの設計や構築、運用の基礎知識を持っていると判断される材料になります。

Bronze(ブロンズ)から取得し、キャリアに合わせてSilver(シルバー)・Gold(ゴールド)・Platinum(プラチナ)と、だんだんとレベルアップさせていくことができますが、Gold以上は実業務経験がないと取得が難しいので、未経験者の方であればSilverまでを目指されるのが良いと思います。

Cisco技術者認定(CCNA・CCNP)

世界最大のコンピューターネットワーク機器開発会社「Cisco Systems社」が認定する資格です。

資格には種類があり、CCNA(Cisco Certified Network Associate)とCCNP(Cisco Certified Network Professional)は、ネットワーク関連の資格の中では知名度が高く国際的な資格として知られています。

両資格ともネットワークの構築や運用に必要な専門知識があると認めてもらえますが、CCNPはCCNAの上位資格でコア試験(必須科目)とコンセントレーション試験(選択科目)の二科目に合格する必要があり難易度もCCNAよりかなり高いため、まずはCCNAから取得を目指することをおすすめします。

インフラエンジニアのキャリアパス

資料を手に考える男性

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インフラエンジニアとして活躍した後、どのようなキャリアに進めるのか知っておくと将来のビジョンを思い描くのに役立ちます。インフラエンジニアのキャリアパスについて、見ていきましょう。

インフラチームを率いるマネージャー

マネージャーはチームを率いて、プロジェクトを遂行する仕事です。インフラエンジニアは1人で完結する仕事ではなく、複数の領域にまたがるインフラのエキスパートがチームになって仕事に当たるので「まとめ役」が必要になります。

全体のスケジュールの把握をするだけでなく、時には指導を行わなければならないケースも出てくるので技術的な知識や実務に詳しくなければなりません。特にインフラ全体のまとめ役になると、ネットワークやサーバ、セキュリティに関する横断的な知識を求められ、それぞれの領域のエンジニアと綿密に連携してIT基盤を作り上げていくマネジメント能力が求められます。

苦労が多く大変な立場ですが、自分が指揮した仕事が完遂したときの喜びは、いちインフラエンジニアが味わえるものよりもさらに大きいことでしょう。

アドバイザーとして活躍するITコンサルタント

ITコンサルタントはクライアントが抱えている課題に対し、ITの知識を使ってアプローチし解決へ導く仕事です。

インフラエンジニアを経験してITに関する深い知識を身に付けてから、IT基盤を中心とした顧客の課題解決を図るITコンサルタントに転職する人は少なくありません。特にクラウドを用いたIT基盤構築が主流になってから、クラウド上でのシステム構築を支援するITコンサルタントの需要が高まっています。

もちろん、ITの知識だけがあればよいわけではなく、顧客が抱えている問題や要望をヒアリングし発見する能力やプレゼン能力なども必要になります。
そのほか、技術トレンドや顧客の同業他社がどのような形でIT基盤を構築しているかなどの
アンテナも張り巡らせなければなりません。必要な知識は多いですが、さまざまな分野の人々と関わり、企業から頼られる立場になるので大きなやりがいを感じられるでしょう。

自分がインフラエンジニアに向いているか見極めよう

腕組みする男性

(出典) photo-ac.com

インフラエンジニアは責任感が強く、地道な作業をコツコツと行える人に向いています。ITの知識やネットワーク、サーバーなどの機器に強いだけでなく、チームのメンバーと円滑なコミュニケーションを取る能力も必要です。

クライアント企業やプロジェクト毎の違いはありますが、24時間365日の対応が必要になるケースも珍しくなく、シフト勤務で平日昼間だけでなく、休日出勤や夜間勤務などを行うことも珍しくないので、不規則な仕事でも耐えられる人に向いているといえます。

「スタンバイ」では、インフラエンジニアの求人を数多く取り扱っています。転職を検討する際は、ぜひ参考にして転職活動に役立ててみてはいかがでしょうか。

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北真也
【監修者】All About デジタルガイド北真也

モバイル業界のシステムエンジニアとして18年以上勤務し、サーバやネットワークのインフラ構築から大規模システムのプロジェクト管理、設計、開発まで幅広く携わる。自身が主宰するブログ「Hacks for Creative Life!」と「アシタノレシピ」、勉強会「東京ライフハック研究会」にて実践的な仕事術を研究・発信中。
All Aboutプロフィールページ

著書:
新時代のワークスタイル クラウド「超」活用術
シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法