介護職の仕事とは?具体的な仕事内容と施設ごとの違いを紹介!

介護職では、具体的にどのような仕事を任されるのでしょうか。まったく違う業界から転職する場合、やっていけるのか不安に感じる人も多いでしょう。介護職の仕事内容や施設による違い、平均年収などを分かりやすく紹介します。

介護職の主な仕事とは

笑顔の介護士

(出典) photo-ac.com

介護職の主な仕事は、介護サービスの利用者に寄り添い、暮らしをサポートすることです。サポートの内容は、大きく分けて「身体介護」と「生活援助」の2種類です。

入浴や排せつなどの「身体介護」

身体介護は、利用者の身の回りの世話を通して、健康維持や安全・衛生面の管理までを行います。介護サービス利用者の多くは、日常生活に必要な基本的動作が不自由な状態です。

筋力や神経の衰えもみられ、そうでない人に比べて病気・けがのリスクが高い人もたくさんいます。そのため、介護するだけではなく、利用者の健康や自立を見守るのも、仕事の1つになっています。

なお、身体介護は抱きかかえたり食事を口に運んだりと、利用者の体に直接触れる作業がメインです。無資格者が行う場合は、有資格者の指示・監督が必要です。

掃除や洗濯などの「生活援助」

介護サービス利用者の中には、食事や入浴などは自力でできるものの、体力の必要な家事や買い物が難しい人もいます。生活援助は、利用者本人が自分でできない、日常的な家事を代行する仕事です。

居室の掃除・洗濯・炊事・ごみ出し・ベッドメイク・食料品や日用品の買い出しなど、利用者の希望に応じて臨機応変に行います。

ただし、ペットの世話・家族の用事・大掃除・庭の草むしりなど、利用者本人の日常生活と関係のない作業は対象外です。

また、生活援助は身体介護とは違い、利用者の体に触れることはありません。有資格者の指示・監督も不要です。

介護職の具体的な仕事内容

介護士と高齢者の女性

(出典) photo-ac.com

介護スタッフは、働く施設や利用者の状況に合わせて、さまざまな業務をこなします。介護現場での具体的な仕事内容をみていきましょう。

日常生活を快適に送るための介助

身体介護は、主に食事・排せつ・入浴・睡眠などの、日常生活に必要な基本動作を介助します。介助の際には、利用者の様子をよく観察し、体調もチェックします。

たとえば食事の介助では、食べたものの記録や食後の歯磨きも重要な仕事です。入浴時には、頭や体を洗う以外にも、浴室やお湯の温度管理・転倒防止対策・全身観察などの作業が必要です。

排せつや着替えの介助では、衛生面への配慮はもちろん、利用者の気持ちを尊重した対応が求められます。快適に眠れるように、お気に入りのパジャマに着替えてもらったり、寝る姿勢を整えてあげたりすることもあります。

自足歩行が難しい利用者には移乗介助

「移乗介助」は身体介護の1つで、自分の力で立ったり歩いたりできない人の移動をサポートする仕事です。ベッドから車いすに乗せる、車いすからトイレに座り替えるといった動作を手助けします。

ベッドから出て別の場所に移動することは、寝たきりを防ぐだけでなく、利用者の活動範囲を広げ、意欲的な生活を送るきっかけとなります。そのため、介護者は利用者ができるだけ自分で動けるように、配慮する必要があります。

また、電動ベッドや車いすのメンテナンスを行い、安全性をチェックするのも大切な仕事です。

レクリエーションを企画し楽しんでもらう

介護現場におけるレクリエーションは、身体機能の維持・回復や、認知症予防・利用者同士のコミュニケーションを仲介する役割を担っています。

介護施設で働くスタッフには、利用者に楽しんでもらえるレクリエーションを企画・実行する業務もあります。

レクリエーションの内容は、工作やぬり絵のような室内でできる簡単なものから、カラオケ大会や散歩のような外出を伴うものまで、さまざまです。外部から人を呼んで、コンサートや講演会を楽しむこともあります。

掃除・洗濯・介護記録作成などの業務

上記のほかには、利用者の居室の掃除や、衣類の洗濯といった生活援助や、介護記録の作成などが挙げられます。掃除や洗濯を専門業者に委託している施設もありますが、作業後に危険箇所のチェックや、危険物除去を担当するのは、介護スタッフです。

利用者の安全を守り、安心して過ごせる環境を整えるのも、介護職の大切な仕事といえます。

介護記録の作成は、ほかの担当スタッフとの情報共有に欠かせない業務です。介護では、利用者一人一人に合わせたサポートプランを実行します。そのため、誰が担当しても同じサポートができるように、記録を残しておく必要があります。

施設別でみる介護職の仕事内容

介護士の女性

(出典) photo-ac.com

介護職の業務範囲は、働く施設によって変わります。主な施設の特徴と、スタッフの担当業務をみていきましょう。

特別養護老人ホームなどの施設

日本国内には、特別養護老人ホームや、有料老人ホームなどの居住タイプの介護施設がいくつか存在します。入所条件は年齢や介護レベルによって異なり、医師や介護スタッフの人数のほか、設備の内容にもそれぞれ基準が設けられています。

特別養護老人ホームは基本的には65歳以上で、要介護3以上の介護が必要な人を対象とした公的施設です。介護スタッフの活躍の場として、もっとも認知度の高い施設ともいえます。

特別養護老人ホームでの業務は、利用者の身体介護が中心です。理学療法士・作業療法士などが担当するリハビリのサポートや、看護スタッフと連携した健康管理も行います。

デイサービス・デイケア

デイサービスは、自宅で介護を受けている高齢者が、日帰りで利用できる施設です。移動が不自由で自宅にこもりがちな高齢者や、介護を担う家族のリフレッシュのための場としても利用されています。

デイサービスの介護スタッフは、食事・入浴・リハビリなどをサポートするほか、レクリエーションの企画・運営・自宅までの送迎を担当することもあります。

一方のデイケアは、医療的なケアを主目的に通う日帰り施設です。医師や理学療法士・作業療法士などが常駐しており、診察やリハビリを受けられます。

特別養護老人ホームや病院に併設されていることが多く、通所のついでに食事や入浴介助を受けられる施設もあります。介護スタッフの業務も、リハビリのサポートや身体介護が中心と考えてよいでしょう。

訪問介護事業所

訪問介護は、利用者の自宅を訪問し、介護サービスを提供する業態を指します。訪問介護のスタッフは、担当ケアマネージャーの指示に従って業務を遂行します。

訪問介護では、身体介護はもちろんのこと、掃除・洗濯・買い物などの生活援助や、介護記録の作成が主な業務です。

自宅での介護は施設とは異なり、設備が不十分だったり、部屋が狭かったりする可能性が高く、介護スタッフにもそれなりの知識と経験が求められます。

ハードな業務ですが、利用者の暮らしぶりがよく分かり、きめ細かなサポートができるメリットもあります。

介護職の平均年収はどのくらい?

電卓をたたく女性

(出典) photo-ac.com

介護職に就くと、どのくらいの年収を得られるのでしょうか。厚生労働省が実施している調査結果をもとに、介護職の平均年収を紹介します。

平均年収は約353万円

厚生労働省が実施する「賃金構造基本統計調査」(2021年)によると、訪問介護を除く介護職(企業規10人以上)の平均給与は以下の通りです。

  • きまって支給する現金給与額(月給):25万600円
  • 年間賞与その他特別給与額:52万800円

月給×12ヵ月+年間賞与額として年収を計算すると介護職の平均年収は約353万円となります。国税庁の調査によると、日本の給与所得者の平均年収は約443万円ですから、介護職の年収は、全体の平均年収に比べるとやや低いといえます。

なお、税金や社会保険料などが控除された後の手取り額は、一般的に給与の約7~8割です。介護職の場合は、約245万~280万円が手取り額となります。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

参考:令和3年分民間給与実態統計調査 .pdf13P|国税庁

介護職のやりがい3つ

車いすを押す女性

(出典) photo-ac.com

やりがいを感じられることも、仕事選びには大切な要素です。介護職には、どのようなやりがいや魅力があるのでしょうか。主なやりがいを3つ紹介します。

感謝の言葉が直接もらえる

介護スタッフとして働いていると、利用者や家族から直接感謝の言葉をもらえる機会は少なくありません。

日常生活すらままならない利用者や、その家族にとっても、介護スタッフはとても頼れる存在です。介助作業の1つ1つが、受ける側にとっては感謝に値するといえるでしょう。

人に感謝されると、社会の役に立てていることを実感でき、仕事へのモチベーションが上がります。つらいときや疲れたときも、感謝の言葉を思い出して、前向きな気持ちになれるかもしれません。

利用者の喜びを間近で感じられる

介護職の任務の1つに、利用者の自立支援があります。リハビリやコミュニケーションを通して、身体機能の回復や意欲の増進に努め、自力で日常生活を送れるようにしてあげることも、介護スタッフの役割です。

利用者の中には、介護サービスによって元気を取り戻し、これまでできなかったことが、できるようになる人も少なくありません。元気になった利用者や家族の喜ぶ顔をみていると、まるで自分のことのようにうれしく感じるでしょう。

人のやさしさに触れられる

介護サービスの利用者は高齢者なので、介護スタッフにとっては人生の先輩に当たります。長い人生の中で、さまざまな経験を重ねてきた高齢者は、知識が豊富で心にもゆとりのある人が多くいます。

多くの場合、自分の世話を焼いてくれる年下のスタッフに対して、やさしく接してくれるでしょう。会話の中で、貴重な体験談やアドバイスを聞けることもあります。

普段の生活で、高齢者と接する機会は意外に少ないものです。高齢者ならではの、おおらかさや、やさしさに触れられる楽しみも、介護職のやりがいの1つといえるでしょう。

介護職はニーズも高く重要な仕事

アンケートをとる女性

(出典) photo-ac.com

高齢化に伴い、介護職の需要は年々高まっています。身のまわりの世話全般を担い、自立支援も行う介護職は、利用者や家族に感謝される機会が多く、とてもやりがいのある仕事です。

入居型施設からデイサービス・訪問介護まで、働き方が選べるのも介護職の魅力です。介護の仕事に少しでも興味があるなら、行動を起こしてみるとよいでしょう。

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