看護師の仕事で大変なことは?やりがいや転職へのメリットも解説

看護師は就職や転職で需要がある職種です。専門性の高い国家資格なので、一度取得すれば年齢にかかわらず長く働けます。しかし、仕事は大変だといわれているため、看護師になるのを迷っている人もいるでしょう。看護師の仕事や、やりがいについて紹介します。

看護師の仕事で大変なこと

泣きそうな看護師と励ます二人

(出典) photo-ac.com

一般的に、看護師の仕事は大変だといわれています。どのような理由によって大変だといわれるのでしょうか。看護師の仕事内容や職場の特徴について紹介します。

体力勝負で意外と重労働

看護師の仕事は体力を使うことが多く、思った以上に重労働です。長時間労働や夜勤などもあり、体にかかる負担はかなり大きくなります。夜勤のときは途中で約2~3時間の休憩を挟みながらも、16時間ほど勤務し続けなければなりません。看護師は一人で夜勤業務を担当することもあります。

病院によっては、介護士がいて補助してもらえるケースもありますが、寝たきりの患者の移動・体位変換・入浴介助なども、基本的には看護師の仕事です。看護師の数が不足している職場では、一人で何人もの患者の介助をしなければならないため、腰痛を抱えながら働いている看護師も少なくありません。

人間関係が難しい

人間関係が難しくなりがちな点も看護師の仕事で大変な部分です。看護師の仕事には、チームワークが必要です。しかし、中には職場の人間関係になじめない人や、先輩や上司から嫌みを言われるなどの経験をする人も少なくありません。

責任が重い仕事なので、上司の指導も厳しくなりますが、忙しさのあまり指導する側が感情的になってしまうケースも見受けられます。特に、女性が多い職場で人間関係に悩む看護師は多い傾向にあるようです。

また、医師と患者の間で板挟みになったり、威圧的な医師からパワハラを受けたりするケースもあります。患者の中にも理不尽な要求をする人や、暴言を吐く人、セクハラする人などもいるので、同僚との人間関係だけでなく、患者に悩まされる看護師も多くいます。

責任が重くプレッシャーがかかる

看護師は、人の命に関わる責任の重い仕事です。小さなミスも患者にとっては命取りとなる可能性もあるので、常に細心の注意を払いながら業務を遂行しなければなりません。

たとえ命にかかわるほどではないにしても、ミスを犯せば当然ながら、先輩や上司からも厳しく叱られます。看護師の中には、そういった過度のプレッシャーに耐えられなくなる人もいるようです。

また、診療科や病院の特徴によっては、患者が亡くなる場面に頻繁に立ち会わなければならない場合もあります。担当した患者が亡くなってしまったときに「もっと何かできることはなかったか」と自分を責めてしまったり、つらい思いを長い間引きずってしまったりする人も少なくないでしょう。

看護師の仕事以外で大変なこと

仕事に疲れている女性

(出典) photo-ac.com

看護師になると、仕事以外にも大変だと思うことが多々あります。どのようなことに大変さを感じているのか具体的に見ていきましょう。

生活が不規則になる

夜勤がある病院では、2交代制または、3交代制のシフトで勤務するのが一般的です。どちらの場合も、日勤だけの仕事と違って、生活のリズムが乱れやすくなります。特に2交代制の場合は、夜勤の時間が長くなるため、より体への負担も大きくなるでしょう。

早番・遅番のシフトもあるので、シフトの組み方によっては、体を休める時間が少なくなり、疲れが取れないまま次の勤務が始まることも少なくありません。女性の場合は、生活が不規則になるとホルモンバランスにも影響し、さまざまな不調も現れます。

結婚して妊活を考えている女性看護師の中には、不規則な生活によってホルモンバランスが崩れるのを避けるために、日勤のみのクリニックや介護施設などに転職している人も多いようです。

看護師以外の友達と休日が合いにくい

休日が不定期なので、看護師以外の友達と会う機会が減ってしまうのも、看護師の仕事のつらいところです。休診日が決まっているクリニックや診療所の場合は、週休二日で働ける可能性もありますが、病棟勤務の看護師は土日や祝日が必ず休みになるとは限りません。

病院によって週休体制は違いますが、一番よく見られるのは、4週間の中で8日休みを取れる「4週8休」のパターンです。4週間で8日休めるとはいっても、1週間に2日ずつ休めるということではありません。

1週間に2日休める週もあれば、1日しか休めない週もあるなど、休日のタイミングはまちまちです。自分が休むとほかの看護師に負担がかかるため、連休を取りにくいという悩みもあるでしょう。

常に勉強する必要がある

看護師の資格を取るために、一生懸命勉強するのは当然のことですが、看護師になってからも日進月歩の医療技術を身につけるには、仕事をしながら学び続ける必要があります。毎日の業務では、日々変化する患者の状態に応じて判断しなければならない場面もあり、常に学習することが多くあります。

また、診療科によって求められるスキルや知識が異なるため、未経験の部署に異動や転職する場合は、新しい分野についての知識を新たに身につける必要もあります。大学病院に勤務している看護師であれば、最新の医療技術を学ぶために勉強会や、症例検討会などへの参加も必要となるでしょう。

看護師のやりがいは?

カウンセリングする看護師

(出典) photo-ac.com

一般的に見ると、看護師の仕事は大変なことが多いものです。しかし、その分やりがいを感じる職種でもあります。看護師の仕事をしていて感じるやりがいについて、どのようなものか具体的に見ていきましょう。

人の役に立てる

誰かの役に立てたと感じることが、看護師にとっては大きなやりがいになるでしょう。看護師は、治療を担当する医師よりも患者に近い存在です。治療のサポートや身体的なケアだけでなく、患者や家族の精神的な支えになることもあります。

患者が元気になって退院していくときに、感謝の言葉をもらう瞬間は看護師の仕事をやっていてよかったと思う人も多いでしょう。病院以外の場所で看護師の資格やスキルが役立てば、自分の仕事で社会貢献できているという実感にもつながります。

専門性を高め医療に貢献できる

看護師は、もともと専門的な知識が求められる職種ですが、勤務する職場によっては、基本的な看護師のスキルに加えて、より専門性の高い知識も求められます。専門性を追求していくことで、その分野のエキスパートになれば、医療に貢献できる場面も多くなります。

身につけた知識を患者のケアやチーム医療に生かせたら、仕事にもやりがいを感じられるようになるものです。自分のスキルの幅が広がると、それまで以上に看護の仕事へ意欲や充実感を持てるようになるでしょう。

専門分野を超えた連携で患者を救える

医師・看護師・臨床検査技師・薬剤師など、さまざまな職種のメディカルスタッフと連携したチーム医療で患者を救ったときのやりがいは、非常に大きなものです。

看護師は患者と一番近い距離にいるので、チーム医療の中でも、医師と患者のつなぎ役として中心的な存在といえます。多種多様な職種のスタッフと医療に携わることによって、自分自身のスキルアップにもつながります。

さらに、一人では難しいことも、チームでなら成し遂げられるという達成感や、充実感も得られるでしょう。

看護師になるメリットは?

笑顔の看護師

(出典) photo-ac.com

看護師になると、どのようなメリットがあるか、気になる人もいるかもしれません。そこで、看護師の資格を取得することによるメリットについて詳しく解説します。

専門性が高く長く仕事ができる

看護師は、専門的な知識が必要とされる国家資格の一つです。一度取得した資格は、生涯にわたって有効なので、長く仕事を続けられます。年齢が上がるにつれて夜勤がある病棟勤務は体力的に難しくなったとしても、高齢者の介護施設や訪問看護など、看護師資格を生かして働ける場所は、病院以外にも数多くあります。

また、看護師の上位資格である専門看護師や認定看護師などの資格を取得すれば、さらに知識を深められ、仕事の場も広がるでしょう。

需要が高いので転職したいときも困らない

看護師は人材が不足しがちな職種なため、需要が高く転職先を探しやすいのもメリットです。2022年10月時点の有効求人倍率を見ると、職業計の倍率が約1.23倍なのに対し、看護師(保健師、助産師等)の倍率は約2.20倍となっています。

結婚や出産などでブランクが空いても復職しやすく、たとえ転職を繰り返してもマイナスイメージになることはありません。子育て中や介護中には、パート・派遣などで自分の条件に合った働き方ができるのも大きな魅力といえるでしょう。

参考:一般職業紹介状況(令和4年10月分)について|厚生労働省

看護師の資格は2種類

パソコンを操作する白衣の女性

(出典) photo-ac.com

看護師資格には、大きく分けて准看護師資格と正看護師資格の2種類があります。2つの資格の違いについても知っておきましょう。

都道府県知事が発行する准看護師資格

准看護師資格は、都道府県が実施する准看護師試験に合格すると取得できる資格です。中学または高校卒業後に、准看護師養成所で2年の課程を修了していれば、受験資格が得られます。

正看護師の資格に比べ、取得するまでの期間が短く、学費などの費用も安く済むのがメリットです。また、准看護師養成所には、全日制だけでなく、午後から夜間に授業がある半日制のところもあるため、働きながら資格取得を目指すことも可能です。

准看護師の資格を持っていれば、中小の病院・クリニック・介護施設などで、准看護師として勤務できます。医師・歯科医師・看護師の指示のもとであれば、正看護師と同じ範囲の業務に携われます。

厚生労働大臣が発行する正看護師資格

正看護師は、厚生労働省監修の国家資格です。准看護師と業務の範囲に違いはないものの、准看護師が医師や看護師の指示がなければ看護業務を行えないのに対し、正看護師は、自分の判断で看護業務を実施できる点が異なります。

正看護師の資格を取得するには、文部科学省令または厚生労働省令で定められた基準を満たす看護系の学校に入学して、取得に必要な学科を修了することが条件です。

高校を卒業している場合は、看護系大学(4年)・看護師養成所(3年)・看護系短期大学(3年)への進路コースがあります。中学校卒業の場合は、5年一貫の看護師養成課程校に入学して資格取得を目指せます。

看護師は大変だけれどやりがいのある仕事

マスクをした白衣の女性

(出典) photo-ac.com

看護師は、肉体的にも精神的にも負担の大きい仕事です。しかし専門性が高く、一度資格を取得すれば就職先や転職先に困らないというメリットもあります。

仕事が大変な分、患者が回復したり、退院時に感謝されたりしたときのやりがいも大きく、達成感が得られる職種です。准看護師であれば、仕事をしながら資格の取得を目指せるので、生涯の職業として看護師への転職を考えている人はチャレンジしてみてはいかがでしょう。

山口百合乃
【監修者】助産師・看護師山口百合乃

周産期センター、総合病院、個人クリニックと大小様々な病院で約3000件の分娩に立ち会い、約400件の分娩介助に携わる。手術室や小児科、老人施設での勤務や添乗看護師、イベント看護師なども経験。2020年より大阪にて出張・オンライン型のゆりの助産院を開業。「人とちがって当たり前!生きてりゃOK」のマインドで、正解を探しすぎず、楽しく妊娠・出産・育児ができるように地域や企業でママパパへ向けた活動を行っている。

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