看護師として働く中で、もっとスキルアップするにはどうしたらよいのだろうと悩む人は少なくありません。看護師がスキルアップするための具体的な方法と役立つ資格・転職のポイントを知り、自分にとって理想のキャリア実現を目指しましょう。
看護師がスキルアップするには
スキルアップを目指す看護師は、何からスタートするのが正解なのでしょうか?スムーズなキャリアアップをかなえる具体的な方法を紹介します。
セミナー参加・看護系大学に通う
看護師がスキルアップを目指すにあたり、まず検討したいのがセミナーへの参加や看護系大学への進学です。
例えばセミナーなら、自分が興味を持った分野に絞って受講できます。 オンラインで開催される講座も多く、時間の都合を付けやすいでしょう。
セミナーに比べると、看護系大学への進学はややハードルが高く感じられるかもしれません。とはいえ、3年制の看護系短期大学や専門学校を卒業している人なら、最短1年で看護学士を取得できます。通信制の大学を選べば、働きながらの取得も不可能ではありません。
なお、看護学士の取得は、専門看護師の資格取得の足がかりともなるものです。積極的なキャリアアップを目指すなら、ぜひ検討したいステップといえるでしょう。
参考:
研修ポータルサイト|日本看護協会
学士(看護学)の学位の取得 | 放送大学
より専門的な資格取得を目指す
目標を持って看護の勉強がしたい、プロとしての専門性を高めたいという人におすすめなのが、資格の取得です。
専門的な資格を取得すれば、看護師としての知識や技術の確かな証明になります。看護師の役職によっては、特定の資格取得者であることが条件とされているケースも少なくありません。
転職を考える際も、資格を持っていることは有利に働くでしょう。転職先の選択肢が広がるほか、希望の診療科やポストでの仕事に就ける可能性も高まります。
ただ、看護師が取得できる資格には、一定の実務経験が求められるものもあります。自身の経験を踏まえて検討しましょう。
キャリアを築きやすい職場に転職する
看護師が取得を目指す一般的な資格では、実務経験5年(うち3年は専門分野での実務)など、前提条件として一定のキャリアが求められるケースが少なくありません。
思い立ったときすぐに取得できるものではないため、看護師としての理想像から逆算する形でキャリアを築いていく動きが求められます。
より可能性を広げるのなら、自身の興味や向いている分野を知る手段として、転職を検討するのも1つの方法といえるでしょう。
スタンバイでは、看護師の求人を多数掲載しています。今後のキャリアを考える上で大きなヒントが得られるかもしれません。
スキルアップのために目指したい資格
専門的な資格の取得は、看護師がキャリアを考える上で非常に役立ちます。スキルアップのために目指したい、主な資格を確認していきましょう。
認定看護師
認定看護師は、19の認定看護分野それぞれにおいて高度な知識や技術を持ち、優れた看護を実践できる看護師を指します。
認定看護師資格は、日本看護協会が主催する認定試験に合格することで取得できます。受験資格として看護師としての実務経験5年(このうち3年は該当する認定看護分野の実務経験)が求められるほか、認定看護師教育機関にて1年以内に800時間程度の教育を受けなければなりません。
認定審査を経て資格を取得した後も5年ごとに更新審査が必要となる点も、心に留めて計画を立てましょう。
参考:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
専門看護師
専門看護師とは、14の特定専門分野における豊富な知識や優れた技術を持ち、解決が困難な患者や家族などに対し、より高度で専門的な看護を提供できる看護師のことを指します。
専門看護師を目指すにあたっては、看護師としての実務経験5年(このうち3年は認定看護分野の実務)に加え、看護系の大学院の修士課程にて専門看護師教育課程基準の所定単位を取得していることが必要です。
資格取得までのハードルが高い分、看護師としての高いスキルと専門性を証明できる資格といえるでしょう。認定看護師と同様、認定審査に通った後も5年ごとに更新審査が必要です。
参考:専門看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
ケアマネージャー
ケアマネージャーは、ケアプラン(介護サービス計画書)を作成したり、利用者や家族・関係各所との調整を担ったりする介護業界の専門職です。
ケアマネージャーになるには、受験資格を満たした上で介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修の過程を修了しなければなりません。
受験資格として、保健医療福祉分野での国家資格を持ち、資格に基づく業務に通算5年かつ900日以上従事した経験が求められます。
この「保健医療福祉分野での国家資格」は看護師資格も対象なので、看護師としての就業経験が5年かつ900日以上なら受験資格があります。
より幅広く患者のケアに対応できる道に進みたいなら、取得を検討してみましょう。
スキルアップのために転職するときのポイント
場合によっては、転職をすることが看護師としてスキルアップする近道になります。転職をするにあたって、意識したいポイントを整理していきましょう。
自分の望むキャリアプランを明確にする
スキルアップを目指す看護師が転職を検討するとき、第一に意識したいのが、自分の望む道の明確化です。
なりたい看護師像によって、必要なスキルや環境も変わります。主任や師長などの役職に就いて組織をマネジメントしたい人と、一看護師としてのスキルを追求したい人とでは、選ぶべき道も違うでしょう。
自分のキャリアプランを明確にするための具体的な方法としては、10年後にどんな看護師としてどんなポジションにいたいのかを整理するのがおすすめです。将来の明確なビジョンを持つことで、転職先の候補も自然と絞られるでしょう。
条件に合う病院を探す
自分が目指すキャリアの条件に合った病院を探すことも、スキルアップ目的の転職をする上で大切なポイントです。同じ看護師でも、病院の規模や診療科によって日々の業務内容は大きく変わります。
例えば、入院患者のケアを学びたい人であれば、入院設備の有無が病院選びのポイントになるでしょう。救急看護師を目指したいなら、救急医療施設を検討する必要があります。
現在の勤務先では思うようなスキルアップがかなわないのであれば、やはり条件が合う病院への転職が必要不可欠といえるでしょう。
看護師としてのキャリアパスを決めよう
看護師がスキルアップのための行動を決める軸となるのは、希望するキャリアパスです。よりスムーズに理想のキャリアを実現するためには、目指す看護師像をできるだけ早いうちから具体的に描く必要があります。
管理職以外で看護師が目指す道は、大きく分けてスペシャリスト・ジェネラリストのどちらかです。それぞれの意味を改めて確認しましょう。
専門分野に特化「スペシャリスト」
特定分野の専門的な知識や経験を持つ看護師は、スペシャリストとされます。具体的には、認定看護師や専門看護師が該当するでしょう。
ある分野に特化した知識やスキルを有するスペシャリストは、現場での看護はもちろん、他の看護師への教育や相談対応なども担います。
「○○のことならあの人に任せれば安心」という存在として病院を支えるのが、スペシャリストといえるでしょう。
経験が物を言う「ジェネラリスト」
ジェネラリストは看護の分野に限らず、幅広い分野で一定水準以上の知識や経験を持つ人を指します。
ジェネラリストとしてスキルアップした看護師は、あらゆる分野に対応できるため、幅広い場で活躍できるのが特徴です。豊富な経験に裏打ちされた知識やスキルを武器に、オールマイティーな人材としてさまざまな現場で重宝されます。
スペシャリストとは真逆の方向性といえるでしょう。どの分野にも対応できる看護師を目指したいなら、実務の中で幅広い経験や知識を積み上げていく方法も考えられます。
できることを少しずつ増やしていこう
看護師がスキルアップする方法としては主に、セミナーや大学での勉強・資格の取得・転職の3つが挙げられます。
将来的にどんな看護師になっていたいのか、目指す看護師像やキャリアパスを明確にすることで、選ぶべき道も自然と明らかになるはずです。できることからコツコツ挑戦し、理想の看護師としての幸せな未来を手に入れましょう。
周産期センター、総合病院、個人クリニックと大小様々な病院で約3000件の分娩に立ち会い、約400件の分娩介助に携わる。手術室や小児科、老人施設での勤務や添乗看護師、イベント看護師なども経験。2020年より大阪にて出張・オンライン型のゆりの助産院を開業。「人とちがって当たり前!生きてりゃOK」のマインドで、正解を探しすぎず、楽しく妊娠・出産・育児ができるように地域や企業でママパパへ向けた活動を行っている。
HP:
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監修者のコメント
臨床に出てからの勉強やスキルアップは、その知識がどこに生きるかのイメージや実践がすぐにできるので非常に楽しいです。とはいえ、やはり働きながらの勉強やスキルアップは計画的に行わなければ、時間を確保することが大変です。将来的なキャリアを見据えた上での学びを確保できるようにしましょう。