医療事務の仕事内容とは?主な業務や求められるスキルを知ろう

病院の受付や会計として働く医療事務は、資格がなくてもチャレンジできる仕事です。医療事務が担当する仕事は、クラーク業務やレセプト業務など多岐にわたります。医療事務の具体的な仕事内容を、向いている人の特徴とともに見ていきましょう。

医療事務の主な仕事内容

病院の受付の女性

(出典)photo-ac.com

医療事務が担当する仕事には、大きく分けて3つの内容があります。よく目にする受付業務はもちろん、専門的な業務の内容もチェックしましょう。

受付や会計業務

病院の受付として来院した患者を出迎えたり、呼び出したりするのは医療事務の仕事です。ほかにも予約の電話に対応する、診察券を発行するなど、さまざまな役割を担います。

受付業務は接客業でもあるので、笑顔で明るく受け答えするのが大切なポイントです。受付の態度が病院全体の印象を左右することもあるため、誠実な態度を意識するようにしましょう。

医師の診察が終わった後は、パソコンに情報を入力して会計作業を行います。かかった費用を正確に計算するだけでなく、患者を待たせないよう素早く作業をこなすことも重要です。

クラーク業務

クラークとは、患者と医師の間に入る「医療事務作業補助者」を指す言葉です。カルテを作成したりレントゲンを撮る準備をしたりと、医師の作業をサポートする役割を担っています。

外来患者に関連するポジションは「外来クラーク」と呼ばれており、個人病院やクリニックに多い傾向です。電話対応や受付などの事務作業も、クラーク業務に含まれる場合があります。

比較的規模の大きな病院では、それぞれの病棟を担当する「病棟クラーク」の仕事も必要です。入退院に関わる手続きの説明や検査・手術の案内といった仕事も担当するため、患者に正しい情報を届けるために専門的な知識が求められます。

レセプト業務

診療報酬を請求するために「診療報酬明細書(レセプト)」を作成することを、レセプト業務といいます。病院が患者から受け取る報酬は全体の1〜3割にとどまり、残りの部分は健康保険の保険者に請求する決まりです。

医療事務は、レセプトコンピューター(レセコン)に毎日の会計を入力し、1カ月分のレセプトをまとめて作成します。レセプトを審査支払機関に提出し、問題ないと判断されれば医療報酬が支払われる仕組みです。

計算はレセコンで自動的に行われるものの、そもそも入力自体に誤りがないかどうかの点検作業には医療事務の目が欠かせません。最初は難しいと感じるかもしれませんが、仕事をしながらスキルを身に付けていきましょう。

医療事務に必要な資格やスキルは?

前向きな看護師

(出典) photo-ac.com

医療事務は、医療に関わる仕事には珍しく、資格がなくても働ける職種です。毎日の仕事に求められるスキルについて解説します。

資格がなくても働ける

働くために必要とされる特別な資格がないのは、医療事務のメリットの1つです。医療に関する知識が求められる場面はありますが、受付や会計などの業務は初心者でも問題なくこなせます。

一方、未経験者が苦労しがちなのがレセプト業務です。レセプトコンピューターの操作をマスターしたり計算の仕方を理解したりと覚えることが多いため、経験者や資格を持っている人との差が付いてしまいます。

「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」や「医療事務管理士技能認定試験」など、医療事務に関する民間資格はいくつもあります。

転職の際には、何らかの資格を持っている方が採用されやすくなるので、必要に応じて資格取得も検討しましょう。

参考:
試験概要|医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)|日本医療教育財団
医科医療事務管理士技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会

基本的なパソコンスキルが必要

診察には欠かせない電子カルテの入力やメールのやりとりなど、医療事務が仕事の中でパソコンを使う場面は数多くあります。未経験・無資格で目指すとしても、パソコンを問題なく使えるスキルは必要です。

会計作業をこなす際にも、Word・Excelなどのソフトを使える程度の能力が求められます。パソコンの操作に自信がある人は、転職活動の際にアピールするのもおすすめです。

レセプト業務では専用のレセプトコンピューターを使用することになるため、その操作方法に慣れることも求められます。ただ、普段からパソコンを使っているのであれば、慣れるまでに時間はかからないでしょう。

事務職の経験が役立つ

医療事務は名前の通り事務職の一種なので、他業種であっても事務として働いていた経験が役立ちます。特に受付や会計といった業務には、事務職のスキルを生かしやすいでしょう。

メールや業者への対応など、コミュニケーション能力はもちろん、ビジネスマナーが求められる場面もあります。失礼にならないよう、きちんと敬語を使いこなせる人は重宝されるはずです。

また、感染症をはじめとした社会の状況によっては、電話での問い合わせが増える事態も考えられます。以前の仕事で電話対応をしていた人は、慌てずに電話での応対をこなせるでしょう。

医療事務に向いている人の特徴

話を聞く白衣の女性

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幅広い業務がある医療事務の仕事には、どのような性格の人が向いているのでしょうか?医療事務の仕事にフィットしやすい人の特徴を紹介します。

コミュニケーション能力が高い

病院のスタッフや患者など、医療事務の仕事では多くの人と関わることになります。そのため、専門知識の有無よりも、チームワーク・協調性が必要な仕事ともいえるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人は、周りの人から好感を持たれやすい傾向があります。患者への思いやりや人に寄り添う気持ちを持っている人は、医師や看護師からも信頼を得やすいはずです。

礼儀正しい受け答えや笑顔での挨拶など、受付の態度は病院の印象にも影響を与えます。病院のイメージを左右する医療事務には、気持ちよく人とやりとりできるコミュニケションスキルのある人が向くでしょう。

真面目に作業に取り組める

電子カルテの入力やレセプト業務など、医療事務の仕事には作業の正確さが求められます。会計や点数計算など数字を扱う場面も多いので、真面目にこつこつと作業をこなせる人に適した仕事です。

提出するレセプトにミスがあると、審査に通らず作業をやり直すことになりかねません。小さなミスを見逃さない観察力や確認を怠らない慎重さも、医療事務に求められる要素です。

周りから几帳面といわれる性格であれば、医療事務に特有の細かい作業も問題なくこなせるでしょう。さらに人の命に関わる仕事に携わっている自覚を持ち、真面目に働き続けられる人に向いています。

仕事を通じて地域の人に貢献したい

医師や看護師の仕事をアシストする医療事務は、実際に患者と関わりながら働けるのが魅力です。自分の頑張りが実感できるので、仕事にやりがいを求めている人にも適しています。

誰かの助けになれるような、社会的な意義のある仕事に就きたいと考える人も多いでしょう。医療事務として働く中で患者に感謝されたときには、自分の努力が認められた喜びを感じられるかもしれません。

病院は地域に密着した存在でもあるため、「周りの人を助けたい」「社会に貢献したい」という気持ちが強いなら、医療事務を選択肢に入れてみてもよいでしょう。

医療事務として働くメリット

電話に出る白衣の女性

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職種を選ぶときには、必要なスキルや適性だけでなく、その仕事に就くメリットもしっかり考えましょう。医療事務として働くメリットには、具体的に何があるのでしょうか?

働き方を選びやすい

医療事務の働き方は幅広く、正社員のほか派遣社員・アルバイト・パートを募集している求人も多くあります。短時間のアルバイトやパートなら、決まった曜日・時間を選んで働くこともできるため、自分に合った働き方を実現しやすいでしょう。

また、病院は全国各地にあるので、働く場所を選びたい人にも適しています。どの病院であっても業務内容は共通しているため、引っ越しのような事情があっても、新たに職場を探しやすいのもメリットです。

医療事務の仕事は経験が重視される傾向が強く、一度スキルを身に付ければ、育児・介護など家庭の事情で長いブランクがあっても復帰が容易というメリットもあります。

需要が続きやすい職業

日本では急速に高齢化が進んでいるため、介護や医療に関係する仕事は、今後も必要性が高くなっていくと考えられます。

将来的に確実な需要が見込める上に景気にも左右されにくいので、医療事務は安定した仕事に就きたいと考えている人におすすめです。

近年はカルテの電子化が進んでおり、病院でも事務作業が減少しつつあります。しかし、医療事務はカバーする業務が幅広いため、仕事自体がなくなる可能性は低いでしょう。

医療事務の仕事に必要な姿勢

打ち合わせをする医者と看護師

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医療事務に従事する人には、どのような心構えが必要なのでしょうか?医療事務として長く働くために、必要とされる考え方を見ていきましょう。

体調管理の意識が必要

医療事務として働く人は、毎日の仕事の中で多くの人と顔を合わせる仕事です。病気になった患者とも近くで接するため、感染症がうつってしまう可能性もあります。

病気になった場合は、当然ながら体調が回復するまで仕事を休むことになります。そのため、体が弱い人や体力のない人には、あまり向いていない職業かもしれません。

医療事務として働くなら、日頃から体調に気を配って、健康な状態をキープする意識が不可欠です。プライベートの時間にも体調管理が必要になるため、仕事のことを考えた暮らし方が求められます。

向上心を持って働くことが大切

レセプト業務はもちろん、医療事務の仕事の中で専門知識が必要とされる場面は少なくありません。未経験者は、働きながら必要な知識を身に付けていく姿勢が求められます。

医師や看護師をアシストし、患者に分かりやすい説明をするには、薬や治療法についての最低限の知識が必要です。レセプトが苦手な人は、市販のテキストを利用して練習問題を解いてみるのもよい方法です。

実際に仕事に取り組みながら経験を積んだり資格の勉強をしたりと、スキルアップのためにできる工夫は数多くあります。自ら学び続ける向上心があれば、やりがいを感じながら医療事務として働き続けられるでしょう。

知識を身に付けながら幅広い業務に取り組もう

勉強する手元

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医療事務は未経験からでもチャレンジできる仕事ですが、専門的な知識が必要になるシーンもあります。活躍できるようになるには、仕事をしながら学んでいく努力が欠かせません。

電子カルテの作成やレセプト業務など、経験を積みながら覚えていくことは数多くあります。制度の変更があれば業務内容が変わっていくため、自ら学ぶ意欲が必要です。

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