雑誌・書籍・マンガ編集者になるには・目指し方や必要な学歴・全国の求人

編集者は、出版社や編集プロダクションなどで書籍・雑誌・マンガなどの出版物の企画や、編集を行います。

本の制作には著者(作家)・デザイナー・ライター・カメラマン・イラストレーターなど、多くの人が関わっているものです。編集者は、制作に関わるさまざまな役割の人をまとめ、仕事を手配し、全体のスケジュールを管理しながら本を作り上げて、世に送り出します。

企画から出版までの全ての工程・作業を把握し管理する、プロデューサーのような役割を担っています。

編集者になるために必要な学歴と編集者の目指し方

パソコンで文章を書く

(出典) photo-ac.com

編集者になるために資格は必要ありませんが、本が好きで日常的に本を読む習慣があるということは大前提となるでしょう。

自分が知らない幅広いジャンルの物事に対して興味関心を持ち、それらを手段を選ばず探求する行動力に加えて、伝えたいことを読み手に伝えられる手段を自ら作り出すだけの企画力も求められます。

編集者になるには、大学卒業後、出版社や編集プロダクションに就職するのが一般的な方法です。一部の理工系など専門性の高い書籍を扱う出版社以外は、学部や学科は不問のようです。しかし、本を扱う職種であるがゆえに文系出身者の比率が多く、4年制大学の卒業が必須といえます。

中でも大手出版社は人気が高く、毎年かなりの高倍率になることが大半です。これらの大手出版社も新卒採用は数名から10名程度しか募集しないことが多く、必然的に入社者は一流大学出身者ばかりということもあります。

新卒で大手出版社を目指すのであれば、学歴はあるのが当たり前で、あまたの優秀な候補者の中から選ばれるのは、どれだけ学生時代にインプットとアウトプットの訓練をしてきたかによるといっても過言ではないでしょう。

もちろん、大手出版社以外にも、個性的な書籍を出す大小さまざまな出版社があります。ただし、中堅・中小の出版社では、出版不況で正社員募集そのものが数年間ないこともよくあり、「自分が配属されてから新人が入ってこなくて未だに雑用は自分の仕事」という30台前後の編集者の話も耳にします。

これから編集者を目指す人が心得ておかなければならないのが、中途採用で別の職種から編集者になるのはとても難しいということです。中途採用を実施する出版社も少なからずありますが、ほぼ全て「編集経験者」のみの募集となります。

どこの出版社も、年齢を重ねた未経験者を育成する余裕はありません。それゆえ、編集者になるもっともオーソドックスな方法は、新卒採用で出版社を目指すことなのです。

ただし、近年では「Webメディア」の編集者という職業も徐々に広がってきました。紙媒体にこだわらなければ、媒体の数が増えた分、編集者になるというハードルは以前より低くなってきているといえます。

まずは、自分が目指す編集者像を定めて、そこにたどり着くための道を自ら切り拓く必要があります。書籍編集者・雑誌の編集者・マンガ編集者であれば出版社に就職するのが王道ですが、Webメディアの編集者であれば出版社に就職するだけが選択肢ではありません。

次章では、どのようにしたら目的の媒体の編集者に近づけるかを紹介します。

書籍、雑誌など、希望の媒体の編集者を目指すには

本を読む女性

(出典) photo-ac.com

熾烈な就職活動を制して出版社から内定をもらったとしても、実は編集者になるにはさらにハードルがあります。出版社の内定は総合職という形が多く、新卒の場合、編集部門以外の部署に配属されることがあるでしょう。

宣伝部・販売部・営業部・出版企画部・Webメディア部門など、出版ビジネスを支える部門は多岐にわたります。そのため、新卒社員はジョブローテーションでこれらの部門を渡り歩いて、さまざまな事業領域を経験する場合があるのです。

入社後何年も編集部門に配属されず、鬱々とした思いを抱える人もいるようですが、本人に適性があると判断されれば、広告営業部から編集部に異動などといった事例は多分にあります。めげずに適切なタイミングで異動願いを出しましょう。

別部門を経験し、出版ビジネスの根幹を理解した編集者になれれば、自ずとその後の活躍の幅は広がります。

また、「書籍を作りたい」「雑誌を作りたい」「マンガを作りたい」など、それぞれ希望はあると思いますが、会社は組織なのでポストが空かなければ配属されません。限られたチャンスをものにするためには、日頃からなりたい自分を思い描いて、自分の中の引き出しをたくさん作ることが大切です。

書籍編集者になるには・向いている人

書籍には文芸書・ビジネス書・美術書・児童書・写真集・辞書・辞典など、さまざまなジャンルが存在します。書籍編集者は、作家・ライター・カメラマン・アーティストなどと二人三脚で書籍の企画を作り上げ、世の中に出していきます。

そのため、時流を読む力・課題発見力・発想力・企画力など、多くの引き出しが望まれるでしょう。書籍編集者に向いているのは、じっくりと1つの物事・課題を掘り下げることが苦にならない性格の人です。

文芸書をはじめとした書籍の編集者は、作家との信頼関係が作品の成功とも密接につながります。作家が欲しいといった情報を手段を問わずに集めて提供し、ときにストーリー案や登場人物案の寸評を行い、対等に議論しなければなりません。

マンガ編集者になるには・向いている人

マンガ編集者は、コミック誌に慣れ親しんだ若手世代が憧れる職種の1つでしょう。雑誌のように特集ベースで記事を仕上げていくタイプの仕事ではなく、マンガ家の先生とともに二人三脚で物語の世界観、キャラクターの性格やセリフ、そしてそれにもとづいたネームストーリーを作り上げていきます。

マンガの場合、週刊誌・月刊誌で長期間連載として続くケースが多いので、ストーリーに伏線を仕込み、その伏線を要所要所で回収していく、という時間の流れを利用した読者とのコミュニケーションの場を作ることができます。

読者アンケートで反応を見ながら、その後のストーリー展開を変えていくことも多分にあるので、物語の帰結点がほぼ決まっている文学作品の編集者と異なり、マンガ編集者はよりインタラクティブで柔軟性に富んだ対応を求められるでしょう。

コミック誌の制作は、文芸誌・情報誌・ファッション誌の作り方と全く異なるため、配属後に先輩編集者に付いて学ぶのが王道です。編集部によっては、誌面でアルバイトを募集するケースがあるので、応募してみるのも1つの方法です。

しかし、人気があるためアルバイトで採用されるのもなかなか難しく、そのほかの方法としてはコミック誌の制作を請け負う編集プロダクションでの採用を目指すという方法もあります。

将来マンガ編集者を目指すのであれば、なんとかして編集部と接点を持ち、経験を積むことをおすすめします。

マンガ編集者に向いているのは、発想力・企画力・情報収集力・コミュニケーション能力を兼ね備え、現実を超越した物語世界をゼロから作ることにやりがいを見出せるタイプの人です。

雑誌編集者 情報誌担当になるには・向いている人

雑誌編集者と書籍編集者には、大きな意識の違いがあります。

書籍であれば、広告宣伝などのマーケティング戦略にもとづいて、発売日から逆算してスケジュールを組んでいきます。並行して複数の書籍を担当することはあるものの、締切をある程度自分でコントロールできるため、締切に常に追われ続けるという感覚はあまりありません。

ところが、雑誌編集者には締切が毎月・毎週定期的にやってくるので、この「ひと仕事終えた」という感覚があまりないことがほとんどです。入稿・校了が際限なく続く感覚の中で、日々仕事に取り組んでいきます。

雑誌編集者に向いているのは、この際限なく続く締切と戦いながらも、読者に良質な特集・雑誌を届け続けることに、至上の喜びを感じるタフな精神力・体力の持ち主です。

中でも情報誌の編集者は、常に新しい特集記事の切り口を探し続ける必要があるため、情報感度を上げ、アイデアの枯渇という恐怖と戦いながら、毎月もしくは毎週迫り来る締切と格闘し続ける必要があります。

情報誌の編集者になるための王道はありません。情報誌の特性として人から取材して知見を得ることが多いことから、取材力・交渉力といったコミュニケーション能力に自信のある人や、目的を達成するための粘り強さと責任感のある人が向いているといえるでしょう。

ファッション誌編集者になるには・向いている人

雑誌編集者の中でもファッション誌の編集者は、華やかなイメージから憧れを持たれることが多いようです。

ファッション誌といっても、扱うターゲットは多岐にわたります。女子中高生ターゲットのファッション誌もあれば、ちょいワルオヤジ向け・ワーキングマザー向け・ハイファッション誌などさまざまです。

作りたい特集ごとにカメラマン・スタイリスト・モデルを選び、スタイリストを通して各ブランドのプレスルームから、テーマに沿った服や小物・装飾品を借りてきて、撮影スタジオや事前にロケハンしたロケ地で撮影します。人気モデルやアパレル業界のデザイナーなどと懇意になることも日常茶飯事の世界です。

ファッション誌の編集者を目指すにあたって、実際の仕事を編集者になる前に経験することは難しいので、編集部でのアルバイトやインターン募集があればに応募するのが近道かもしれません。

編集部でのアルバイトやインターンは、募集そのものがまれなので、コネを頼るケースが多いようです。編集部ではなく、アパレルの広報部のアルバイト募集などでも近しい経験を積める可能性があるので探してみるとよいでしょう。

ファッション誌編集者に向いているのは、世の中の流行を敏感に読み取り、美的センスを磨くことに至上の喜びを感じるタイプの人です。

紙媒体の編集者とWeb編集者の違いとは

本を読みながらパソコンを操作する

(出典) photo-ac.com

紙媒体の編集者とWeb媒体の編集者の大きな違いとして挙げられるのが、Web媒体の編集者は数字管理を求められる点です。

通常、紙媒体の編集者は、刷り部数と実際の販売部数を気にかけます。また、読者アンケートから作品の反応を得て、販売部数だけではなく生の声からフィードバックを得ます。

しかしながら、紙媒体は一度出版してしまうと内容を変えることができないので、次回作などに生かすしかありません。

販売部数を増やそうとしたら、販売部の営業担当が書店回りをしてポップを出してもらったり、平置きにしてもらったりなどの営業努力をするか、電車・バスの吊り広告やイベント企画などを実施します。一度出版してしまったら、編集者にできることは限定的です。

反対に、Web媒体の編集者は媒体の特性上、リアルタイムに読者からの反応を数字で得られます。また、広告スペースがあるため、ページの表示回数が売上の増加にダイレクトに影響します。

そのため、Web媒体の編集者は記事を書くだけでなく、その記事のソーシャルメディアでの拡散方法やWebサイトでの配置のほか、クリックを促すタイトルの付け方など、表現方法に工夫が必要です。

リライトすれば記事を差し替えることも可能なので、常に数字を見ながら仕事を進めることになります。Web媒体の編集者は、Webでの表現手法やソーシャルメディア活用に関する知見を得られることから、これからの時代にマッチした経験を積むことができるといえるでしょう。

Web媒体の課題は、編集者として不可欠な技能を習得する機会が限定的な場合があることです。注意しなければならないのは、Web媒体の中には専門の校正職を間に挟まず、日本語に問題があってもそのまま掲載される媒体もあることです。

このような環境に最初から身を置いてしまった場合、プロフェッショナルの編集者として自他ともに認められるようなスキルを身に付けるまでに、だいぶ時間がかかってしまう可能性があります。

Web媒体の登場により編集者になる機会は増えましたが、未経験から編集者を目指すにあたっては編集者としての基礎を学べる環境を選ぶことが大切です。

近年では、紙媒体の編集者がWeb媒体の編集者に転身して、活躍するケースも増えてきています。紙媒体の編集者は総じてITリテラシーが高くない傾向があり、紙・Web両方を動かせるスキルを身に付けておけば、引く手あまたである状況はしばらく続くでしょう。

編集者の業務内容は

雑誌を読む

(出典) photo-ac.com

紙媒体の一般的な仕事の流れは以下の通りです。

  1. どのような本を作るか企画
  2. 著者に原稿を依頼
  3. ページの構成案を手書きかツールで作成し、グラフィックデザイナーに発注
  4. 必要に応じて写真やイラストなどを手配
  5. 受け取った原稿をチェックし、誤りの修正や表記の統一などを行う
  6. グラフィックデザイナーからページデザインを受け取り、原稿や写真などを当てはめる
  7. 印刷所に原稿を渡す
  8. 試し刷り(ゲラ)を校正
  9. 校正と印刷所での修正を繰り返し、修正がない状態にする
  10. 印刷、出版

仕事の内容は、制作する出版物の種類によっても変わってきますが、雑誌の場合は取材や撮影の立ち会い・記事作成、マンガの場合はマンガ家の発掘・育成・持ち込みへの対応などの仕事もあります。

編集者の将来性は

本と眼鏡

(出典) photo-ac.com

近年は出版不況といわれ、パソコンやスマートフォンなどの普及により活字離れが進み、雑誌を中心に売上が減少しています。

書店は出版社が決めた定価でしか本を販売することができませんが、この規制についても将来的に議論が高まる可能性があり、出版業界の先行きには不透明な部分もあります。

一方で、電子書籍・Webメディアなど成長が見込まれる分野もあるため、デジタルコンテンツに関する知識を深めておくことも重要になってくるでしょう。

また、編集者として一定以上の経験を積んで実力を付ければ、将来フリーランスの編集者としてさまざまな媒体で声がけされるようになる可能性が高くなります。

近年では正社員の数を減らし、企画単位でフリーランスの編集者を集めて記事・書籍を作ることが一般的になってきているようです。各編集部は実力のあるフリーランスの編集者をお抱えとして確保し、人件費などの固定費を削減しつつ、売上を最大化する努力をしているとのことです。

売上に直結するような企画を立てられる編集者であれば、将来独立して編集プロダクションを設立するといった道もあります。フリーランス・編プロなど、いずれも実力がものをいう世界ですが、それだけやりがいのある職種であることは間違いないでしょう。

編集者の求人について

パソコンと本とノート

(出典) photo-ac.com

編集者の中途採用については未経験者の募集もありますが、何らかの媒体の編集経験を持っていることが歓迎される場合が多くなっています。前職での実績や企画力、スキルなどアピールできるものを持っている方が有利になるでしょう。

ファッション・IT・医療など出版物のジャンルや、特定の雑誌ごとに募集されていることもあるので、各分野の編集経験や知識を持っていることが必須条件となっている場合もあります。

また、出版社が東京都に集中していることから、東京勤務の募集が多いことも編集者の求人の特徴です。雇用形態は社員以外にも、業務委託やアルバイトなどがあります。フリーランスの編集者として会社と業務委託契約を結び、案件ごとに編集制作業務やライター業務などを請け負うという働き方もあるでしょう。

近年ではWeb業界の求人も増えており、出版業界から転職し、Webメディアやコンテンツの制作に携わる編集者も見られます。転職活動をするには、まず興味のある出版物を発行している企業の採用ページや転職サイトを見て、求人情報をチェックしましょう。

出典:
募集要項|集英社 2023年度定期採用情報
職種紹介|集英社 2023年度定期採用情報
再販制度|一般社団法人 日本書籍出版協会

求人の給与情報から集計した編集者の年収帯

給料と給料袋

(出典) photo-ac.com

気になる編集者の給料・年収は?全国の求人の給与情報をまとめて集計、編集者の給与帯・年収帯を独自にグラフ化しました。

※スタンバイ掲載中の全求人データ(2017年6月時点)から作成

出版社の平均年収は約453万円ですが、大手出版社では1,000万円を超えるところもあり、企業規模によって大きく変わってきます。

編集者の仕事は、企画内容によって書籍・雑誌の売上を大きく伸ばすこともできるため、年齢や経験によらず実力次第で年収を上げられる可能性があるでしょう。

一方で、編集者は残業も多く、体力的に厳しい面もあります。そのため、責任ある仕事内容や長い労働時間に年収が見合っていないと感じる人もいるでしょう。

フリーランスの編集者は、どれだけ仕事を請け負えるかによって年収が変わってきます。企画の立案から取材、記事や原稿作成などのライター業務まで、さまざまな業務に柔軟に対応できると仕事の幅も広がります。

また、フリーランスは時間の融通が利くため、育児中の女性もチャレンジしやすいといえるでしょう。

出版 編集者経験者の口コミ

スマホを操作する女性

(出典) photo-ac.com

現役編集者、編集経験者にアンケートを実施。編集者の仕事の口コミ・評判を集めました。

Q1.編集者のやりがいを教えてください

Y.Y.さん (男性 / 東京都)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

自分の考えた企画が書籍という成果物になって出版され、書店などに並んだときが一番やっててよかったなと思えるときで、ほっとするときでもあります。さらに、読者などからの良い反響があったときや、実際に売れたという実績が伴ったときにはその嬉しさも倍増します。
書籍を企画する当初は、いつも苦労の連続なのですが、やはり形に残るものができるということが良いものだなといつも思います。
書籍は一人で作るものではありません。著者はもちろんのこと、デザイナー、印刷会社、営業など多くの人と協力しながら作っていくものです。同じ仕事に携わったもの同士でその嬉しさを分かち合えるという点もやりがいを感じるところです。

K.T.さん (女性 / 神奈川県)
編集者 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

子供のころから本を読むことが好きでした。雑誌も大好きでワクワクするような記事を書いて誰かに読んでもらうことができたら最高だと思っていました。編集の仕事を実際に経験してみて自分が書いた記事が雑誌に載り書店で販売されているところを見たときには本当に感激しました。努力がしっかりと形になる職業で、自分が書いたものによって誰かが楽しい気分になったり誰かの役に立つというのがやりがいだと思います。忙しい時期は体力勝負ですが、極限の状況では神経が研ぎ澄まされいつも以上の実力が出ます。きつい仕事でしたが編集として働いていたときには毎日充実感があり、1日1日があっという間に過ぎていきました。ルーティンワークが少なくエキサイティングな毎日を過ごすことができるのもやりがいのひとつだと思います。

T.M.さん (女性 / 埼玉県)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

自分が興味のある物、人に関しての記事を、企画の段階から作り上げることができる点が魅力です。紙面の些細に至るまで、自分の希望通りにすることができるので、その達成感は何事にも代えられない喜びであると思います。企画を考え、撮影プランを練り、インタビュー内容を考える。レイアウトを考え、どのようにすれば読者が喜ぶか、それぞれの作業段階で自分の成長を感じられ、次はこうしよう!と新たなプランニングが止まらなくなります。
忙しい中で、紙面が上がり、本ができた時の達成感はこの仕事に携わった人でないと体感できない高揚感があるのではないかと思います。同時にトラブルに巻き込まれた時の絶望感とそれを乗り越えた時の安堵感も、気持ちが高められるエッセンスなのかもしれません。

Q2.編集者になるための資格や適性・努力したことは?

Y.Y.さん (男性 / 東京都)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

資格を求められることは一般的にはありませんが、その出版社が得意としているジャンルについての興味や関心はもちろん、こんな企画をしたい、という熱意が必要だと思います。
どんな仕事がしたいかというビジョンが具体的に見えているほど、編集者には向いているのではないかと思います。
また、普段からアンテナを張り巡らせていて、常に何か企画に結び付くものがないかと考えることが必要です。仕事をしていない時間でも、これは何か仕事に結び付かないかな?と常に考えることが習慣化しているということは一つの向いている資質のようなものだと思います。これを努力するのではなく、自然にできることが大切なのではないかと考えています。

K.T.さん (女性 / 神奈川県)
編集者 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

CADの使用経験はありましたが編集で使うソフトウエアはまったく使ったことがありませんでした。面接のときにAdobe IllustratorやPhotoshop、Quark XPress(クォークエクスプレス)が必須だと言われましたが、CADが使えるのですぐにマスターできると思いますと答えたところ採用されました。採用の報告を受けてからはIllustrator、Photoshopのマニュアル本を買いイメージトレーニングをしました。IllustratorはCADと似ていたので仕事を始めてからすぐに覚えることができました。イメトレの成果もあり、Photoshop、Quark XPressも思ったほど難しくなくすんなりとマスターすることができました。文章を書くことについては時間を意識して早くできるよう努力しました。ページごとの目標時間を決め緊張感を持って働くようにしたところどんどん早く、求められている内容の記事を書くことができるようになりました。

T.M.さん (女性 / 埼玉県)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

最初から編集者を希望していたわけではなく、希望業界があり、その業界の中の内定を貰った仕事が結果、「編集職」だった為、編集者になるための努力はしていません。
ただ、マスコミ全般を考えていた為、エントリーシートの段階からずっと論文のような課題文を書いていました。ある意味、その就職活動自体が編集者になってからの原稿書きの下地になっていたかもしれません。また、内定を得る為に時事問題、一般常識に対応する為の勉強はある程度おこないました。SPI的な対策はしていませんでしたが、編集関係の会社の就活には必要性は感じませんでした。あと、私の会社は内定までに1日に何ブースも回るシステムの面接が数回あったため、計10回以上の面接をおこないました。結局、編集部採用だったと後日分かるのですが、人間性はとても重視されているはずです。面接への対策は必要かもしれません。

Q3.編集者の将来性やいいところ・悪いところは?

Y.Y.さん (男性 / 東京都)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

私はずっと書籍や雑誌の編集をしていますが、紙による出版物だけではやっていけないのはどこも同じです。デジタル化、web、電子書籍などへの対応や知識を身につけていけば必ず生き残っていけると思います。
編集者の仕事とは、メディアを問わず、良いコンテンツを企画し、世に送り出していくことです。特にwebの分野では編集のスキルを持った人材は多く求められていると思います。
媒体にこだわることなく、webなどへの対応力が身についている人材は今後の将来も明るいものではないかと思います。
一方、そのスピード感についていけない編集者は今後厳しい状況になっていくものと思われます。新しいものへの興味・関心があれば将来性はあります。

K.T.さん (女性 / 神奈川県)
編集者 勤続年数3年 (職業 : 会社員)

紙媒体の雑誌は今後減るのではないかと思いますが、なくなることはないはずです。インターネットが普及しても紙媒体を求める人は未だに多いためです。編集者としての実力や経験があればどうにか仕事に就くことはできるはずなので、経験を積んでも損にはならないと思います。興味のある分野の雑誌や書籍を担当できれば最高ですが……。また、紙媒体の編集の仕事を見つけることができなくても最近はネット上のライターなどの求人が増えているので将来性はあると思います。ネットライターは時間さえあれば自宅で誰でもできる仕事なので、報酬もそれなりです。しかし短時間でいい文章、求められる文章を書くことができる人なら家事や育児と両立しながら高収入を目指すことも可能だと思います。

T.M.さん (女性 / 埼玉県)
編集者 勤続年数5年以上 (職業 : 会社員)

良い点としては、マルチタスクをこなせるようになるところです。通常の編集者であれば、企画から取材制作、校正、執筆等々おこなわねばならないので、得意不得意はあってもそれをやらざるを得ません。基本は一連の流れを全部ひとりで見ていくはずなので、他人任せにしたり放置しておけばクオリティーが下がったり、結果自分の首を絞めることになるので、責任感を持って仕事をするクセはつきます。
「定時なので帰宅します」「それは他の人にお願いして」が言えないので、将来別のポジションや職に就いたら、仕事が楽に感じるかもしれません。また業務の幅は広いので、別の仕事(カメラマン、ライター、起業)にも就きやすい傾向があります。
悪い点は過労になりがちな点です。膨大な業務量、迫りくる締切によって毎日がプレッシャーを感じる生活なので精神的に追い詰められる人も多く、適性がないと感じたら早いうちの転職がお勧めです。
また業務量に見合う対価を得られているかも見極めのポイントです。大手出版社であれば年収も高いですが、中堅以下であれば業務量が収入と見合わないこともあります。そういう会社であればスパッと別の会社、もしくは別の道へ行くのがベストだと思います。
編集者を究めても会社に属していれば編集長を経て、役職付という会社人生しかありません。ほかに可能性があるとしたら起業や独立です。そう考えると「編集者」としての将来性はあまりないのかもしれないですが、何とかつぶしは効くはずです。