「エンジニアは稼げる」と聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、反対に「給料が安い」といわれることもあります。エンジニアの給料の実態や、給料を上げる方法を解説します。給料が安いといわれる理由も解説するので、ぜひ参考にしましょう。
エンジニアの平均給与
厚生労働省の令和3年度賃金構造基本統計調査をもとに、エンジニアの平均給与を紹介します。「きまって支給する現金給与額(企業規模計10人以上)」に12カ月分をかけた上で「年間賞与その他特別給与額」を足して計算しました。
なお「給料」とは各種手当を抜いた基本給を指す言葉であり、諸手当を含めた一般的な文脈の収入を表す用語は「給与」です。
賃金構造基本統計調査で扱っているデータは給与のため、この記事では統計情報を扱うときは「給与」とし、それ以外では一般的に馴染みのある「給料」とします。
【全体】年齢別エンジニアの平均年収
エンジニアのうち、プログラマーを除く「システムコンサルタント・設計者」の平均年収は733.6万円です。年齢別で見ると、20代前半は360.3万円、20代後半になると511.5万円と日本人全体の平均年収433万円を超えています。
その後30代前半は648.8万円、30代後半は770.6万円、40代前半は864.6万円、40代後半は865.5万円と順調に年収は伸びていきます。
50代前半は909.1万円、50代後半は891.4万円と推移し、全体的に年収が高い職種であることが分かるでしょう。
参考:
令和3年度賃金構造基本統計調査|e-Stat
令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁
【職種別】エンジニアの平均年収
経済産業省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 」によると、エンジニアの職種別の平均年収は以下の通りです。
- プロジェクトマネージャー:891.5万円
- 高度SE:778.2万円
- SE・プログラマー:589.6万円
- インフラエンジニア:758.2万円
- 運用エンジニア:608.6万円
- 保守エンジニア:592.2万円
エンジニアの中でも、プロジェクトマネージャーの年収が高い傾向にあります。プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体の指揮を執る、責任の大きい職種です。その分給料も高いのでしょう。
参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 |経済産業省
【業種別】エンジニアの平均年収
エンジニアの給与を業種別に見ていきましょう。
- 顧客向けシステム開発:593.7万円
- ソフトウェア製品の開発:568.5万円
- 組み込み系:603.9万円
- プロジェクトマネージャー:891.5万円
上記を見ると、組み込み系エンジニアやマネージャーの年収が高い傾向にあります。一口にエンジニアといっても、業種や職種によって給与水準が異なることが分かるでしょう。
効果的に給料アップを目指すなら、職種や業種選びも重要です。
参考:IT関連産業の給与等に関する実態調査結果 |経済産業省
フリーランスエンジニアの平均年収
フリーランスエンジニアの年収は職種や個人のスキルによって大きく変わり、おおむね500~1,000万円超がボリュームゾーンでしょう。職種ごとの平均年収は、基本的に会社員エンジニアと同じです。
フリーランスとして働くメリットは、単価が全て売上になることや、実力次第で大きく年収を伸ばせることです。働き方が自由な点も大きな魅力でしょう。
しかし、会社員と異なり健康保険料は全額自己負担なので、会社員よりも経費が高くつくことがあります。プロジェクトが終了するごとに都度営業をかける必要もあり、案件が変われば単価も上下するでしょう。
また、請求書発行や確定申告などの雑務もやる必要があるので、フリーランスを目指す人はメリットとデメリットを認識しておきましょう。
エンジニアとして給料を上げる方法
エンジニアとして給料を上げる方法を3つ解説します。エンジニアが給料を上げるには、ただ長く勤めるだけでは不十分です。以下を参考に、アクションを起こしましょう。
スキルを上げ上流工程を担当できるようにする
一般的に、上流工程を担当できる人材ほど給料は高くなります。システム開発でいうと要件定義、プロジェクトのポジションでいうとプロジェクトマネージャーに就任できると大幅な給料アップが見込めます。
初めは開発やテストからキャリアをスタートし、徐々に上流工程を経験するのがエンジニアの代表的なキャリアパスです。まずは開発のスキルを身に付け、設計工程をこなすことを目指しましょう。
なお、作業者から管理者にステップアップするにあたり、マネジメント力や顧客折衝力、コミュニケーション能力が求められます。テクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルも磨くことが大切です。
技術力を磨く
技術力を磨くことで、必ずしも管理側に回らなくても年収をアップさせることができます。技術特化で年収アップを目指す場合、磨くべきは先端技術またはニーズが高い技術です。
先端技術の代表例には、ビッグデータやAI分野が挙げられます。ニーズが高い分野は、主にクラウドやセキュリティでしょう。ポイントは、需要に対して供給が追い付いていない分野のスキルを伸ばすことです。
スキルアップにあたり、資格を取得するのも効果的です。会社によっては資格手当がもらえる場合もあるので、年収アップにつながります。
待遇の良い会社に転職する
エンジニアの給料は会社によって大きく変わります。高年収を狙うなら、元請け企業かそれに近い企業に就職するのが近道でしょう。もしくは、自社サービスを開発している企業も狙い目です。
一方で、SESと呼ばれる客先常駐のサービスを提供している業態の企業は、ビジネスモデル上年収が上がりにくい傾向にあります。もしスキルに自信があるなら、フリーランスに挑戦するのも良いでしょう。
高年収の転職先を探しているなら、「スタンバイ」がおすすめです。スタンバイにはエンジニアの求人を多数掲載しており、大手の求人も豊富に扱っています。転職活動をするなら、ぜひスタンバイで情報収集をしましょう。
エンジニアの給料が高い企業の特徴
エンジニアの給料が高い企業は、どのようなところなのでしょうか。エンジニアの待遇が良い企業の特徴を2つ解説します。
元請け企業
エンドクライアントから直接案件を受注している企業は、エンジニアの給料が高い傾向にあります。元請け企業は、基本的に実務の大部分を下請け企業に任せており、プロジェクトの管理に回ることがほとんどです。
自社の利益を確保しつつ、低コストで下請け企業に業務を任せられるため、その分自社のエンジニアの給与水準を高くできます。
ただしこのような事情から、元請け企業に勤めるとプロジェクト管理がメインの業務になるでしょう。技術力を高める機会があるかどうかは要チェックです。
外資系企業
外資系の巨大テック企業の年収が高いことは、想像に難くないでしょう。外資系企業の中には、日本法人を設立しているケースもあります。
外資系企業の特徴は、実力次第で大きく年収を伸ばせることだけでなく、働き方が自由なところも多いことです。頑張り次第で、年収1,000万円以上を十分に目指せる環境といえます。
しかし、年収が高い分それ相応の成果も求められます。また英語力が必須のところもあるので、外資系を狙う場合は必要なスキルのリサーチが欠かせません。
エンジニアの給料が上がらないといわれる理由
エンジニアの給料は平均よりも高いことが分かりました。しかし「エンジニアの給料は上がらない」と聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
このようにいわれている代表的な理由を2つ紹介します。
労働時間が長いため
エンジニアの労働時間は、しばしば長い傾向にあります。主な理由は、プロジェクトの進捗遅れを取り戻すためや、障害が起きた際に緊急で対応しなければならないためです。場合によっては、徹夜をすることもあるでしょう。
また、IT業界は慢性的な人手不足のため、プロジェクトで発生した欠員をカバーするために稼働が増えることも多々あります。
このことから、労働時間の割に給料が低いと感じる人が少なからず存在します。
多重請負構造のため
IT業界は、ゼネコンと同じ多重請負構造になっています。多重請負構造とは、元請けが仕事の一部を下請けに回し、さらに下請けへと仕事が流れていく構造のことです。
場合によっては、5次請けや6次請けまで仕事が流れることも珍しくありません。
多重請負構造においては、下請けになるほど中間マージンを取られるため、末端のエンジニアの給料は低くなります。
さらに下請け企業の多くは、SESと呼ばれる人材派遣に近いビジネス形態を取っています。SESはエンジニア1人あたりの単価である「人月単価」をビジネスモデルとしているため、エンジニアの給料は顧客から受け取る単価を超えられません。
この意味でも、下請けのエンジニアの給料は上がりにくいのです。
未経験から高年収エンジニアになる方法
高年収を狙い、これからエンジニアに挑戦しようとしている人も多いでしょう。未経験から高年収エンジニアになるために大切なことを2つ解説します。
まずはキャリアパスを明確にする
エンジニアのキャリアパスは多種多様です。職種だけでなく、分野によっても年収が異なるため、自分が目指したい年収を実現しやすい分野のスキルを学ぶ必要があります。
例えば、基幹システムやインフラ系のエンジニアは給料が高い傾向にありますが、Web系はそれらに比べると低めです。
身に付けるスキル選びを間違えると修正が大変なので、どの道を進むかは慎重に検討しましょう。
キャリアパスを実現できる企業に転職する
エンジニアの年収は企業の種類によっても大きく変わります。経験できる業務も企業によってさまざまです。
例えば、元請け企業なら自社でプロジェクトマネージャー候補をじっくりと育てるところが多いでしょう。一方で、SESのように常駐先が変わりやすい企業だと、効果的にスキルアップできないケースもあります。
企業を選ぶときは、目先の給料だけを見るのではなく、長期的な目線で選ぶことが重要です。
エンジニアは大変だが年収も高い
統計から分かる通り、エンジニアの給与は高いといえます。しかし労働時間が長い人や下請け企業のエンジニアの中には、給料が割りに合わないと感じている人がいることも確かです。
もし今よりも年収をアップさせたいなら、まずはスキルを磨いて市場価値を高めましょう。また、企業によっても給与水準は変わるため、より待遇の良い企業に転職するのも効果的です。
エンジニアのキャリアパスは1つではないため、効果的に年収を上げるには自分が目指す方向をはっきりさせ、それに向かって行動をすることが大切です。
エンジニアの就職・転職先を探すときは、「スタンバイ」の利用がおすすめです。70万件以上の求人が掲載されており、自分に合ったものが見つかるでしょう。
※2023年1月時点