CADオペレーターへの転職を検討している人の中には、仕事内容や未経験でもなれるのか気になっている人も多いでしょう。CADオペレーターの仕事内容や年収事情、未経験からなる方法を解説します。転職を考えている人はぜひ参考にしましょう。
CADオペレーターとはどんな仕事?
CADオペレーターという名前は知っていても、具体的に何をする仕事か知らない人もいるのではないでしょうか。まずはCADオペレーターの仕事内容や、似た職種との違いを解説します。
CADを使って設計図を作成する仕事
CADオペレーターとは、CADソフトを操作し、いろいろなものの設計図を作成する仕事です。
CADというと建築物の図面を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、家電や家具、アパレル業界など活躍の場は多岐にわたります。製品を作るうえで図面が必要な現場には、CADオペレーターがいます。
CADで作った設計図は、製品作成の際や完成形を予想する際の重要な情報源です。それゆえCADオペレーターの役割も大きく、やりがいがあるでしょう。
なお、作図だけをすることは少なく、電話応対や文書作成などの業務も担う場合が多くなっています。
CAD設計士との違い
CADオペレーターとCAD設計士の違いが、よくわからない人もいるかもしれません。両者の違いを一言で表すと、ものづくりにおける業務範囲の広さでしょう。
CAD設計士は、製品の設計から環境面への配慮、コスト管理などものづくり全体に携わる仕事です。一方CADオペレーターは、設計士やデザイナーの頭の中にあるものを、図面に落とし込む仕事です。
このことから、CADオペレーターはものづくりの一工程を担う役割といえます。CAD設計士はCADオペレーターの上位職種ともいえ、CADオペレーターから経験を積んで設計士にステップアップする人も多くいます。
CADオペレーターの年収・働き方
CADオペレーターの年収がどのくらいなのかは、気になるところです。CADオペレーターの年収水準やどのような働き方があるのか、見ていきましょう。
年収の相場は約460万円
厚生労働省の令和3年分賃金構造基本統計調査によると、CADオペレーターの年収相場は約462.4万円です。
しかし上記の年収は他の職種のデータも含んでおり、実際は300~400万円が一般的といわれています。これは日本人の平均年収である443万円を下回っています。
年収が低い傾向にある理由は、設計者の指示に従ってCADに落とし込む、いわば単純作業といえる仕事であるためでしょう。
しかし中には、500~600万円稼ぐ人もいるので、努力次第で高年収を狙うことは可能です。スキルを磨いたり、設計者やデザイナーにステップアップしたりすることで、年収アップが狙えるでしょう。
参考:
賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 |e-Stat
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁
CADオペレーターの働き方
CADオペレーターの主な働き方は、正社員・アルバイト・派遣社員の3つです。パートとして働く女性も多く、時間の融通を利かせやすい仕事といえます。会社によっては、在宅勤務も可能です。
正社員の場合は長期的な育成を目的に、さまざまな経験を積ませてもらえることが期待できます。一方の派遣やアルバイトは、就業時間や期間に制限があるため、正社員のサポート業務が中心になる可能性もあるでしょう。
ただし派遣社員として働く場合は、派遣元の会社で研修を実施するケースがあります。このため、未経験からでも挑戦しやすいでしょう。
CADオペレーターの魅力・やりがい
CADオペレーターの魅力ややりがいは、どのようなところにあるのでしょうか。CADオペレーターとして働くメリットを3つ紹介します。
自分の作った設計図で製品ができあがる
建物や製品を作る際に、設計図は欠かせません。自分が作った設計図が実物となり、完成したときは大きなやりがいを感じるでしょう。
これは「成果が形になる」と言い換えることもできます。すべての仕事において自分の頑張りが目に見えるとは限らないため、成果が分かりやすいのは大きなメリットです。
また、設計図は将来の修理・修復のために長期間保存されるのが基本です。自分が作ったものがずっと残り、役に立ち続けることはCADオペレーターの大きな価値といえます。
活躍できる業界が幅広い
CADオペレーターは、設計図が必要な職場であればどこでも働けます。代表的なのは建設業界ですが、自動車やアパレル・家具・宝飾など、調べると活躍の場の多さがわかるでしょう。
また、最近では3D CADの発達により、玩具やエンタメ業界などでも需要が高まっています。幅広い選択肢の中から、自分の興味がある分野を選べることはCADオペレーターならではの魅力です。
働ける業界が多いほど就職先もたくさんあると考えられるため、スキルを身に付けておけば仕事が見つからない状況におちいるリスクも低くなります。
実力が評価されやすい
CADオペレーターは、実力主義の世界です。学歴よりもどれだけCADを使いこなせるかが重要で、能力があれば正当に評価されます。
技術職なので、スキルを磨けば上位の職種へステップアップすることも可能です。初めは既存の図面のトレースからスタートするにしても、1からの作図や3DCADを使いこなすなど徐々にできることを増やしていきましょう。
転職市場においてもスキルが重視されるため、努力しがいのある仕事といえます。
CADオペレーターに必要なスキル
CADオペレーターを目指す人に向けて、身に付けておくべきスキルを解説します。CADオペレーターへ転職をするなら、まずはできる範囲で準備を進めましょう。
CADソフトが使えることはマスト
CADを使った仕事である以上、CADソフトを使えることはマストです。一口にCADソフトといっても、製品は数多く存在し、業界や会社によって使う種類が異なります。
業界を通して広く普及しているものは、AutoCADと呼ばれる製品です。2Dだけでなく3Dの作図も可能な汎用ソフトで、一部の専門分野に特化したバージョンも販売されています。
一方建設業界では、Jw-cadというフリーソフトが好まれて使われています。とはいえ、まずはソフトを問わず、2Dおよび3Dの作図技術を習得することが大切です。
業界についての知識
CADソフトの操作だけでなく、働く業界の慣習や知識も学びましょう。設計図を作るには、ただ図面を見るだけでなく業界特有の知識が必要な場合があるためです。
業界の知識は働いているうちに自然と身に付くものではありますが、事前に勉強するに越したことはありません。
またCADオペレーターは事務作業を兼任するケースが多いので、働く業界を問わず基本的なパソコンスキルや、電話応対などのマナーを身に付けておくとよいでしょう。
コミュニケーション能力
1人でパソコンに向かっている時間が多いCADオペレーターですが、コミュニケーション能力も必要です。
設計者やデザイナーが思った通りの図面を作成するには、彼らの考えていることを正確に把握しなければなりません。そのためには、相手の意図をくみ取る能力や、必要な情報を引き出す質問力が求められます。
また社内外のミーティングも多く、そこで出たFBを設計図に反映することもあります。チームで仕事をする以上、メンバーとスムーズに意思疎通ができる必要があるでしょう。
CADオペレーターに向いている人
CADオペレーターに向いている人の特徴を、3つ紹介します。当てはまっているものがあれば、CADオペレーターとしての素質があるかもしれません。
細かい作業が苦にならない
CADオペレーターの仕事は、線を引いたり図形を組み合わせたりと細かい作業の連続です。ミリ単位のズレが製品の完成を左右する致命的なミスになりかねないため、正確さも求められます。
このような作業を苦に感じない人は、CADオペレーターに向いているでしょう。
またCADオペレーターの納期が短いことは、珍しくありません。限られた時間内に正確な図面を仕上げる高い集中力も求められます。
ミリ単位の作業に魂を込められる職人気質の人なら、CADオペレーターとして活躍できるでしょう。
ものづくりが好き
どの業界で働くにも、CADオペレーターの仕事は何らかのものづくりに関係しています。
そのため、自分が設計図を作った先にあるものに興味を持てる人は、楽しく仕事ができるでしょう。一方ものづくりに興味がないと、細かい作業や修正の連続が苦痛に感じてしまうかもしれません。
また仕事に興味を持てる人は、スキルアップも速い傾向にあります。縁の下の力持ちとしてものづくりに貢献したい人は、CADオペレーターを目指してみてはいかがでしょうか。
長時間のデスクワークができる
CADオペレーターは基本的に、始業から就業までパソコンの前に座りっぱなしです。近年では会議のオンライン化も進んでいるため、ますます机から離れる機会が減っているといえます。
CADオペレーターになったら毎日デスクワークになってしまうため、じっとしているのが苦手な人は、もしかすると向いていないかもしれません。
逆に1日中座りっぱなしでも平気な人や、すでにそのような仕事を問題なくこなせている人はCADオペレーターの適性があります。
未経験からCADオペレーターになれる?
CADオペレーターは技術職のため、未経験からでもなれるのか不安に思う人もいるでしょう。CADオペレーターになるために、どのようなハードルがあるのかを解説します。
未経験からでも挑戦可能
結論をいうと、未経験でもCADオペレーターにはなれます。第一にCADオペレーターになるために、資格は必要ありません。そのため、CADソフトの操作ができればCADオペレーターとして就職できます。
CADオペレーターの人材は不足しがちであり、独学しやすいことも、未経験から挑戦しやすい理由です。実際に、未経験OKの求人を出している会社は多くあります。
ただし未経験OKの求人は、プロジェクト単位での雇用を想定していることが多く、派遣社員での契約がメインです。
とはいえ、派遣先でスキルを身に付ければ、正社員に登用される可能性もあります。CADオペレーターとしてキャリアを積んでいきたいのであれば、まずは挑戦してみるとよいでしょう。
未経験からCADオペレーターになる方法
未経験の状態からCADオペレーターになる方法を、具体的に解説します。おすすめの資格や仕事の探し方も合わせてチェックしましょう。
CADの使い方を勉強する
まずは、CADの使い方をマスターする必要があります。テキストや動画で独学してもよいですし、余裕があればスクールに通ってもよいでしょう。
また資格試験に挑戦すれば、体系的な知識が身に付きます。未経験でも取れるおすすめの資格には、以下が挙げられます。
- CAD利用技術者試験
- 建築CAD検定試験
- CAD実務キャリア認定制度
CAD利用技術者試験は、CADに関する基本的な知識と技能があることを証明する資格です。
建築CAD検定試験は、建築用の図面をCADで作図する能力を測る試験なので、建設業界を目指す人は挑戦してみましょう。
CAD実務キャリア認定制度は、合否だけでなく点数が付けられるため実力を把握しやすい試験です。1つでも資格を持っていたら、転職活動においてプラスに働くでしょう。
転職サイトで求人を探す
ある程度CADの技能を習得したら、CADオペレーターの求人を探して応募しましょう。ポイントは未経験OKの求人を探すことです。どんなにしっかりと学んでいても、実務の経験がない以上は、経験者採用のハードルは高いでしょう。
未経験者への研修制度を設けている企業だと、より安心してキャリアをスタートできます。
スタンバイはCADオペレーターの求人を多く取り扱っており、高年収の求人も掲載しています。転職活動をするなら、ぜひスタンバイで情報収集をしましょう。
CADオペレーターは未経験からでも挑戦できる
CADオペレーターはものづくりにおいて欠かせない職種であり、かつ未経験からでも挑戦できる仕事です。
基本的には1日中パソコンと向き合う仕事なので、細かい作業や長時間のデスクワークが苦にならない人には向いています。そして何よりものづくりが好きであれば、CADオペレーターとして活躍できる素質を持っているといえます。
CADソフトの使い方を習得し、どのように活躍したいのかをイメージしながら、自分にぴったりの職場を見つけましょう。