理学療法士に向いていない学生とは?実習を乗り越えるポイントも紹介

勉強や実習がうまくいかず、理学療法士に向いていないのかもしれないと不安になってしまう学生もいるでしょう。理学療法士に向かない人の特徴には、何があるのでしょうか?適性とともに、つまずきがちな実習を乗り越えるポイントを紹介します。

理学療法士に向いていない学生の特徴

リハビリの様子

(出典) photo-ac.com

理学療法士に向いていない人には、スキルや仕事に望むものに関して特徴があります。自分に当てはまる場合、対策を立ててカバーできる要素か、これから変えていくのは難しいのかを考えてみましょう。

コミュニケーションを取るのが苦手

理学療法士は、患者と多くのコミュニケーションを取る仕事です。人と話すことに苦手意識を持っている学生は、理学療法士に向いていないかもしれません。

事故や病気で体が思うように動かなくなった患者の中には、絶望感や不安を抱えながらリハビリに挑んでいる人も多いはずです。

つらい状況下でもリハビリに前向きになってもらうには、対話を重ねながら信頼関係を築き「この人のいうことを聞けばきっと大丈夫」という安心感を与える必要があります。

理学療法士に傾聴する力や、適切な励ましの言葉を選ぶ力が足りなければ、患者と信頼関係を築くのが難しくなってしまうでしょう。

勉強し続けることに苦痛を感じる

勉強に苦痛を感じる学生も、理学療法士には向いていない可能性があります。リハビリの知識や技術は日進月歩であり、理学療法士には常にスキルアップが必要です。

理学療法士になった後も、勉強会に参加して新しい技術を身に付けたり論文を読んで新しい知識を吸収したりと、日頃からの勉強が欠かせません。

勉強自体を楽しめない人は、理学療法士に向いていないと考えられます。特に学生時代の勉強を「資格を取るまでの辛抱」と考えている人は、学びへの姿勢を考え直してみましょう。

高収入を目指している

本業のみで高い年収を期待している学生も、理学療法士には向いていないでしょう。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2021年)」によると、理学療法士が属する職種群(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士)の平均年収は、約427万円です。

同じく医療に携わる仕事では、看護師の平均年収が約499万円、臨床検査技師の平均年収が約496万円でした。医療関係の職業の中では、特段高い収入を得られる仕事とはいえません。高収入を目指すなら、理学療法士以外の資格を選んだ方が賢明でしょう。

※賃金構造基本統計調査のデータは、企業規模10人以上のものを使用

※平均年収は、賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額」の12カ月分と「年間賞与その他特別給与額」を合計した金額

※年齢は35~41歳前後、勤続年数は7~12年程度の場合で比較

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

理学療法士に向いている学生の特徴

車いすの女性を支える介護士

(出典) photo-ac.com

現在の自分が理学療法士に向いていないと思うなら、適性がある人の特徴を知って改善したい点を考えるのも1つの手です。学生のうちに求められる要素が分かれば、早めに軌道修正をして活躍できる理学療法士を目指せるでしょう。まずは、理学療法士に向いている学生の特徴を紹介します。

鋭い洞察力・観察力がある

理学療法士は患者の状態を敏感に察知し、患者に合ったリハビリプログラムを作成する職業です。小さな変化も感じ取れる洞察力や観察力を持っている学生は、理学療法士に向いているといえるでしょう。

患者にとって難易度の高いプログラムを組んでしまうと、目標達成できずにリハビリが上手く進まなくなってしまう可能性があります。患者の表情や体の動きを見て、負荷がかかりすぎていることに気付き、的確なリハビリプログラムへと修正するのが理学療法士の仕事でもあります。

小さな変化にも敏感に反応できる洞察力や観察力は、仕事ができる理学療法士が持つ要素です。

忍耐力がある

辛抱強い学生も理学療法士の適性があるでしょう。身体機能の回復は一朝一夕で成し遂げられるものではないため、理学療法士は気長に患者のリハビリに付き合っていく我慢強さが求められます。

リハビリは根気強く継続してこそ、効果に期待が持てます。中には半年以上もの長い期間、毎日のようにリハビリが必要になる患者もいるでしょう。

そんな患者と向き合い、理学療法士として患者の伴走者を務めるには、長期的なスパンで物事を捉えられ、変化に乏しい毎日でもリハビリを提供し続けられる忍耐力が必要です。

体力に自信がある

人並み以上の体力がある学生も、理学療法士に向いています。

リハビリにはリスクが付きものです。身体機能を回復させるには、難しい動作にチャレンジしてもらう必要も出てくるでしょう。脚のリハビリであれば、転倒のリスクと隣り合わせになります。

理学療法士には、患者がよろめいたときに転倒しないよう、支えられるだけの力と体力が必要です。患者のリハビリに付き合っていくためには、患者を力強くサポートするだけの体力が欠かせません。

実習で失敗しないために意識するポイント

勉強する2人の介護士

(出典) photo-ac.com

理学療法士を目指す学生が苦労するのが、実習といわれます。実習でつまずいて「向いていないかも」と思ってしまう学生もいるでしょう。ドロップアウトしないために知っておきたい、実習の心得を紹介します。

実習先の特徴を下調べする

理学療法士の実習では、病院によって重要視されるポイントが変わります。実習先の病院の特徴を知っておくと、つまずかずに済む可能性が高くなるでしょう。

リハビリを実施している病院は、種類によって異なる機能を持っています。例えば、「回復期リハビリテーション病院」は、毎日患者1人あたり23時間リハビリを実施する病院なので1人の患者とじっくり向き合えるという特徴があります。

回復期の患者のリハビリに携わる病院では、実習でも患者との信頼関係の構築に重きを置く傾向があります。

病院の特徴から機能・役割まで事前に把握しておけば、実習時に重点的にチェックされるポイントが見えてくるので、効率的に実習に取り組めるようになるでしょう。

具体的な目標を設定して取り組む

目標を設定しておくと、実習の効果を高められます。ゴールを設定せずに実習に臨むと成長を実感しにくくなるため、やる気もそがれかねません。

目標を設定するときは、具体性を持たせるのがポイントです。ぼんやりした目標だと、達成度合いを測るのが難しくなり、実習の効果を感じづらくなってしまいます。

達成可能な目標かどうかをよく考えるのも、実習につまずかないために大切です。あまりに高い目標だと、達成に向けた現実的な行動を取れなくなってしまいます。

社会人としてのマナーを身に付けておく

社会人に求められるビジネスマナーを意識して実習に臨むのも、失敗しないためのポイントです。実習は臨床の現場で患者と関わりながら進めるため、社会人としてのマナーが求められます。

学生同士で話すようなくだけた言葉遣いを直さなかったり、連絡もなく遅刻や欠席をしたりしていると、指導をしてくれるバイザーや患者に不快感を与えてしまいます。

度が過ぎるとマナーへの注意ばかりされるようになり、実習が進まなくなってしまうでしょう。実習自体に集中するためにも、社会人に求められるマナーはしっかり身に付けておくのが賢明です。

理学療法士のやりがいとは?

足を支える介護士

(出典) photo-ac.com

向いていないのではないかという不安から理学療法士への道を諦めたくなったときは、改めてやりがいも考えてみましょう。

適性を養う努力や実習の難しさを考えても、他の職業では味わえない達成感を再確認できれば、モチベーションを上げられる人は多いはずです。

患者の回復に貢献できる実感

患者の努力が実って身体機能の回復が見られたときは、理学療法士としてやりがいを感じられます。

リハビリは続けることで効果が期待できるものです。身体機能の回復が確認できるようになるまで、かなりの時間がかかるケースも多々あるでしょう。理学療法士には根気強く患者と向き合い、患者を励ましながら一緒に努力を重ねる姿勢が求められます。

リハビリの効果が表れ、患者の身体機能の回復が認められたときには、この上ない達成感を味わえるでしょう。患者やその家族が笑顔になったり感謝の言葉をかけてくれたりすると、理学療法士になってよかったと思えるはずです。

自分の励ましで前向きになる患者の姿

患者がポジティブな気持ちでリハビリに取り組む姿を見て、やりがいを感じる理学療法士も少なくありません。

リハビリに取り組む患者は、ネガティブな気持ちに支配されがちです。理学療法士は、後ろ向きになっている患者の心に寄り添い、励ましの言葉をかけながら、患者の身体機能の回復を目指します。

自分の声かけでネガティブな気持ちから脱却し、希望を持ってリハビリに向き合えるようになった患者の姿を見ると、理学療法士を目指してよかったと思えるでしょう。

理学療法士を目指した気持ちを大切に

会話する介護士

(出典) photo-ac.com

勉強がうまくいかなかったり実習で失敗してしまったりすると、理学療法士に向いていないと感じるでしょう。今後の進路について不安を覚えたときに大切なのは、適性とやりがいを把握して、このまま目指すかどうかを考え直してみることです。

現在は適性の低さや実習のつらさを感じても、改善の努力をしていけば、目指すメリットの方が大きくなる可能性があります。自分の性格や行動を分析した上で、理学療法士を志した気持ちも大切に今後の行動を決めましょう。

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杉浦良介
【監修者】理学療法士杉浦良介

訪問・通所・回復期など幅広い分野を経験した理学療法士。ブログ「リハウルフ」とYouTube「リハウルフ」などで訪問リハビリや訪問看護、介護保険制度などの情報を発信している。著書に「リハコネ式!訪問リハのためのルールブック」がある。

プロフィール:
https://www.ryosuke-sugiura.com/

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著書:
リハコネ式!訪問リハのためのルールブック