CADオペレーターはやめとけといわれる理由は?将来性や年収も解説

CADオペレーターは、設計士の指示に基づいて図面や設計図を作成する役割を担います。「やめとけ」という否定的な意見が聞かれることもある職業ですが、なぜそのようにいわれるのでしょう。

CADオペレーターの仕事が厳しいとされる理由には、その立場や仕事の進め方が関係しています。

この記事では、CADオペレーターに対しマイナスなイメージがある理由や将来性、年収などを解説します。仕事の魅力についても併せて見ていきましょう。

この記事のポイント

やめとけという人がいる理由
設計士と現場職との間で苦労するケースや、納期が厳しく残業が多くなりがちといった理由があります。
厳しい世界だが魅力も多い
専門知識を必要とし、技術職として長く活躍できる点が大きな魅力です。
将来性がある点にも注目
ものづくりに関するさまざまな業界で需要があり、特に建築業界では多くの需要が見込まれています。

CADオペレーターはやめとけといわれる理由7選

目頭を押さえているビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

CADオペレーターの仕事を始めようと思っても、「やめとけ」という声があると不安になる人もいるでしょう。なぜそのような声があるのかを知ると、理想と現実のギャップを埋められます。

CADオペレーターがおすすめされない理由を7個、見ていきましょう。

人間関係に悩まされやすい

CADオペレーターは設計士の指示に従って、設計図や図面を作成します。完成した図面に基づいて、現場の職人が作業をする流れです。

ときには、現場の職人から指摘されて図面の修正をしなければならない場面も出てくるでしょう。CADオペレーターは、設計士より弱い立場のように思われやすく、文句を言われやすい存在です。

自分の都合を優先したい設計士と、現場で作業する職人との板挟みになる場合があり、人間関係に悩まされるケースがあります。

作業が単調な場合がある

ものづくりが好きでCADオペレーターの仕事を選択した人の中には、作業の単調さに落胆する人もいます。

CADオペレーターの仕事は、設計士からの指示による図面の作成・修正などが中心です。単純作業が多く、クリエイティブな要素が少ないと感じられる場合があるでしょう。

単調な作業を飽きずに続けるには、新しいスキルを身に付けたり、目的意識を持ったりすることが大切です。

設計図の作成や修正以外の仕事もある

勤務先によっても異なりますが、製図だけを任されるケースは少なく、書類作成や電話対応などの一般事務を兼務することもあります。追加される業務の多さによっては、負担を感じる可能性があるでしょう。

クリエイティブな仕事ができると思ったのに、実際には設計図の作成業務以外の業務が多く、失望する人もいるのです。

また、一から製図をするだけでなく、既存の図面に注釈を入れたり修正したりといった作業も発生します。

残業が多くなりがち

CADオペレーターは設計士から指示を受けて作業するため、仕事のペースが乱される場合があります。指示が遅れたり集中したりして、思ったように進まないことも珍しくありません。

自分の担当部分だけを先に終わらせるといった工夫がしづらいため、不自由さを感じる場合があるでしょう。

特に繁忙期や納期間近は長時間の労働が発生しやすく、月20〜30時間の残業が発生するケースもあります。ライフワークバランスを重視する人にとっては、負担を感じやすいでしょう。

納期が厳しくプレッシャーを感じやすい

CADオペレーターの仕事は、設計士の作業の進捗状況に左右されがちです。設計士の作業が遅れれば、CADオペレーターが仕事を開始できるタイミングも後ろにずれます。

十分な時間がない中で急いで仕事をすることに対して、精神的な負担を感じる人は少なくありません。心身の疲労が蓄積すると、思わぬミスにつながる場合もあります。

納期が厳しい中でも正確に仕事をしなければならないため、大きなプレッシャーがかかるでしょう。

デスクワークによる肩や腰の負担がある

CADオペレーターは、基本的にはパソコンに向かって長時間、同じ姿勢で作業を進めます。肩・腰への負担や眼精疲労を感じやすく、デスクワークを苦手とする人には向いていない仕事です。

体の痛みに耐えながら仕事をしなければならない状態は、精神的な負担にもつながります。

また、座り作業が中心の生活を続けると、運動不足になりやすい点も問題です。健康やパフォーマンスを維持するには、日常の中で体のメンテナンスに気を配る必要があります。

常に勉強する姿勢が求められる

CADソフトの使い方はもちろん、専門用語や法令などについて知識を更新する必要があります。取り残されないためには、常に新しい技術を使えるようにしておく意識が大切です。

例えば、多くの現場で使用されている「AutoCAD」「Jw-CAD」などのCADソフトはアップデートが繰り返されており、ニーズに合わせて新機能が追加される場合があります。

また、作業効率アップなどを目的として、新しい技術やソフトが導入されるケースもあります。

業務時間外も自主的に勉強する時間を設けなければならないことに、苦痛を感じる人もいるでしょう。勉強熱心な人でないと、活躍を続けるのは難しいといえます。

CADオペレーターの魅力

モニターを見る男女

(出典) pixta.jp

厳しい点が多いCADオペレーターですが、生涯の仕事として選びたくなる魅力も秘めています。CADオペレーターの魅力の中から、代表的なものを見ていきましょう。

手に職を付けられる

CADオペレーターの仕事には専門知識が必須であり、手に職を付けられるところが魅力です。設計図の作成は、ものづくりに欠かせません。

製造・建設・アパレルなど、さまざまな分野で必要とされています。身に付けた技術を生かして働けるので、転職や復職もしやすいでしょう。

一度、別の職種に転職した後、専門知識を生かしてCADオペレーターとして再出発する人もいます。手に職が付けば、年齢を重ねてからも仕事に困らないため、長く働きたい人にとって、魅力が大きな職業だといえます。

達成感を味わえる

CADオペレーターは、ものづくりが好きな人にとって大きな魅力が感じられる仕事です。自分が携わった製品が、実際に完成したときに味わえる達成感は格別です。

設計を担当した製品が売り場に並んでいるのを見たときや、それを実際に使用した人の喜びの声を聞くと、大きなやりがいを感じる人もいるでしょう。

また、残業やスケジュールの調整など、厳しい条件下で仕事を成し遂げたことに価値を見いだす人もいます。

自分の頑張りによってプロジェクトがうまくいったと実感できたときや、関係者から感謝の言葉をもらえたときは、より大きな達成感を得られるでしょう。

未経験からでも挑戦できる

たとえ実務経験がなくても、必要な知識やスキルがあれば、未経験から挑戦できるところもCADオペレーターの魅力です。

中には、CADソフトの基本操作ができる人を対象に、CADオペレーターを募集している企業もあります。一般職からものづくりに携わる仕事に転職したい人にとって、間口の広さは魅力的に感じられるでしょう。

全くの一から始める場合、研修・教育制度が充実している派遣会社などで経験を積むのも1つの方法です。

CADオペレーターの年収

電卓とお金

(出典) pixta.jp

転職をするにあたって、年収の情報を知るのは重要です。現在の職業と比較検討しておくと、働き始めてから「こんなはずではなかった」と思わずに済むでしょう。CADオペレーターの就業形態別の年収を紹介します。

正社員は年収400万円前後

データ取得元:「CADオペレーター」求人給与・年収情報
データ取得日:2025年5月26日付
国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」に掲載されている求人統計データ(2025年4月の実績値)を見ると、正社員のCADオペレーターの平均年収は402万円となっています。

非正規社員の平均時給は以下の通りです。

  • アルバイト・パート:1,400円
  • 派遣社員:2,047円

地域別に見ると、正社員の年収が最も高いのは茨城県で468万円です。派遣社員の平均時給が最も高いのは神奈川県で、2,519円となっています。

フリーランスは高収入を目指せる場合も

CADオペレーターの働き方は、企業に所属するだけではありません。実務経験を積み、フリーランスを目指す道もあります。

どのような案件を受けるかにもよりますが、年収500〜800万円を稼ぐ人もいるとされます。企業に所属している場合とは違い、報酬を全て自分のものにできるところが魅力です。

実力があれば、多くの案件を獲得できるでしょう。ただし、会社員時代とは違い、営業活動や事務処理などを自分でしなければなりません。

安定した収入を得られるようになるまでに、時間がかかる点も考慮しておく必要があります。

CADオペレーターの将来性

オフィスで働く作業着を着た社員たち

(出典) pixta.jp

CADオペレーターの将来性を知ると、今後の社会で活躍できそうか判断しやすくなります。業界での需要や、AIが進化する社会で求められる人材などを見ていきましょう。

建設業界での高い需要が見込まれる

日本では建築物やインフラの老朽化が進んでいるため、建設業界におけるCADオペレーターの需要は高いといえます。近い将来、高度経済成長期に造られた施設を、次々に整備する必要に迫られる見込みです。

また、CADオペレーターの中でも、3DCADを扱える人材が求められています。建設業だけでなく、製造業やインテリア業界などで3DCADの需要が高い傾向です。

今後、国内の労働人口は減少していくとされ、3DCADオペレーターの供給が追い付かないのではないかと懸念されています。実力のあるCADオペレーターは、ますます必要とされていくでしょう。

新たな技術の習得が重要

工業製品や日用品、家具などを製造する際は設計図や図面の作成が必須であり、設計士やデザイナーを支えるCADオペレーターは、なくてはならない存在です。

しかし、AI技術の進化によりCADオペレーターの仕事が取って代わられる可能性があります。

現状においてはAIだけで完結できる仕事はまだまだ少なく、クライアントの要望をきめ細やかに聞き取り、反映させる作業には人の手が欠かせません。

今よりもAIが進化すると、代替可能な仕事は増えていくと考えられます。今後も必要とされる人材になるためには、3DCAD以外のソフトも扱えるようになることがおすすめです。

例えば、シミュレーションや解析に役立つ設計支援ツール、商品情報管理システムなどの扱い方をマスターするとよいでしょう。

CADオペレーターの仕事を探そう

男性CADオペレーター

(出典) pixta.jp

CADオペレーターは誰でも簡単にできる仕事ではなく、「やめとけ」といわれることもあります。縁の下の力持ちのような役割を求められるケースが多く、適性がない人はつらいと感じられるでしょう。

しかし、手に職を付けられ、今後の需要も高いといった魅力がある点にも注目です。働いている姿を具体的にイメージし、自分のスキルや実現したい姿とマッチしているか考えてみましょう。

国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」では、「未経験者OK」を含む多くのCADオペレーターの仕事が見つかります。理想の仕事探しに活用しましょう。

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