採用面接では長所をアピールする機会が設けられます。長所が見つからないと悩む人もいますが、誰にでも長所は存在します。企業側の意図や求める人物像を理解した上で分かりやすく伝えるよう心掛けましょう。長所の見つけ方・伝え方の基本を解説します。
面接でよく聞かれる「長所」とは?
採用面接では、面接官に「あなたの長所を教えてください」と聞かれるケースがあります。普段から自分の長所を考える機会がない人は、すぐに答えが浮かばないかもしれません。そもそも、長所とはどのようなものなのでしょうか?
その人の資質で優れているところ
長所とは、その人の資質で優れているところです。長所の対義語は短所で、劣っているところや欠点を意味します。
長所というと、他人よりも秀でた能力や技能を思い浮かべがちですが、他人と比べる必要はありません。今までの人生で評価された点や自分の中で優れている部分を探してみましょう。
人にはそれぞれ違った個性があります。自分の中で突出している部分や有利であると感じる部分は、すべて長所といってよいでしょう。
長所と強みは同じ意味?
長所と似ている言葉に「強み」があります。長所は、その人の生まれ持った資質や性格、価値観などを表すのに対し、強みは仕事を通じて磨き上げたスキルを指すのが一般的です。
また、長所を聞かれた際は自分が思う自分の魅力を伝えて構いませんが、強みを聞かれた際は「企業視点でどのようなメリットがあるか」に焦点を当てる必要があります。
採用面接において、長所と強みを同じものと捉えて質問する企業も少なくありません。長所を列挙するだけでなく、それをどう生かすかまでしっかりと考えておくのが望ましいでしょう。
自分の長所を知るメリット
自分の長所を的確に把握している人は、そう多くはないものです。就職活動をスタートして、はじめて自分の長所に向き合った人もいるでしょう。長所を知ると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
自分に適した仕事や職場を探しやすくなる
仕事にやりがいが感じられなかったり、会社の社風になじめなかったりする人は、自分に適した仕事や職場を見極められていない可能性が高いといえます。
生き生きと働ける仕事は人によって異なりますが、自分の長所が生かせるかどうかが、1つの判断基準となるでしょう。長所を生かせれば、人よりもスキル習得が速くなり、即戦力として活躍できます。
就職活動で複数社から内定をもらった場合は、自分の長所を生かせる企業を選択するのが賢明です。収入や福利厚生の充実度も重要ですが、自分の性格に合わない仕事や長所が存分に発揮できない仕事は、長続きしないのが現実です。
面接でうまく自己アピールができる
就職活動で企業の内定を勝ち取るには、履歴書や面接で自分をアピールしなければなりません。特に面接では、「自己PRをしてください」「あなたの強みを教えてください」といった要求が多くなるでしょう。
自分の長所を理解している人は、自分を採用するメリットを的確に伝えられるため、企業側からの評価が上がりやすくなります。
一方、自分の長所が曖昧な人は、企業側に自分をうまく売り込めません。模範解答の丸暗記で運よく採用されたとしても、入社後に企業とのミスマッチが生じるのは明らかです。
長所を伸ばせば自信につながる
自分の価値を上げる方法には、短所を克服して総合点を上げる方法と、長所を見つけて極める方法があります。どちらがよいかは一概に決められませんが、欠けているものを埋めたり、苦手を克服したりするプロセスは、長く険しいものです。
実際、長所を伸ばす方が圧倒的にハードルが低く、結果的に人よりも秀でた特徴・スキルになりやすいのがメリットです。加えて、得意なことで成果を得られているという自信にもつながるでしょう。専門性や個性は、ビジネスにおける武器になります。
「長所がない」は気付いていないだけ
面接で長所を挙げるように言われると、途端に困ってしまう人は少なくありません。誰にでも長所と短所の両方があるため、短所しか見つからない人は、単に自分のよさに気付いていないだけなのです。長所を探すための具体的な方法を解説します。
長所のヒントは過去の成功体験にある
長所が見つからない人は、以下のような過去の成功体験を振り返ってみましょう。
- 他人に褒められたこと
- 自分の貢献で、よい成績を残せたこと
- 困難を乗り越えたこと
- 時間を忘れて熱中できたこと
自分はどんな役割を担い、組織や周囲にどのような影響を与えたのかを探っていくと、長所の輪郭がはっきりと見えてきます。
例えば、所属部署の売上が過去最高を記録したケースにおいて、問題点を素早く見つけて解決に導いたとすれば、問題発見力や問題解決力が長所であるといえます。
また、難関の資格試験に1年で合格できた成功体験がある人なら、毎日コツコツと学習に取り組む継続力や、誘惑に負けない意思の強さが長所といえるかもしれません。
自分史を活用するのもおすすめ
経験の洗い出しや振り返りには、自分史の作成がおすすめです。過去の出来事を時系列に整理したもので、就職活動では自己分析法の1つとして活用されています。
自分史を作成すると、自分の価値観・行動パターン・長所・人生のターニングポイントなどが明確になるのがメリットです。気付かなかった自分のよさが分かるほか、面接では実体験に基づいた効果的な自己PRができるでしょう。
自分史のおおまかな作成手順は以下の通りです。
- エピソードを時系列で書き出す
- エピソードごとに、当時の背景・行動・考えたこと・結果・変化などをまとめる
- 共通項のあるエピソードをグルーピングし、それぞれにテーマを付ける
短所は長所に言い換えられる
長所と短所は表裏一体です。短所だけしか思い浮かばない人は、短所を長所に変換してみましょう。飽きっぽさが短所であれば、「好奇心旺盛」「自分の気持ちに正直」などの長所に言い換えられます。
よくある短所の言い換えとしては、以下が挙げられるでしょう。
- 優柔不断:慎重・謙虚・思慮深い・周囲の意見を柔軟に受け入れられる
- 頑固:信念がある・粘り強い・意思が強い
- 心配性:責任感が強い・計画性がある・先を見て行動できる
- 主体性がない:協調性がある・相手の意見を尊重できる・縁の下の力持ち
周囲の意見を参考にする手も
自分の過去を振り返るだけの自己分析は、主観的になりやすいのがデメリットです。自分の長所や強みが分からない人やより客観的な意見が聞きたい人は、自分を他人に評価してもらう「他己分析(たこぶんせき)」を行いましょう。
他己分析と自己分析の結果を照らし合わせることで、自己理解が一層深まります。自分との関係性によって評価が大きく変わるため、例えば以下の中で複数人の意見を参考にしましょう。
- 家族(両親・兄弟姉妹など)
- 友だち
- 恋人
- バイト先・前職の先輩・後輩・同僚
- 学生時代の恩師
面接で長所を聞かれるのはなぜ?
面接で長所を聞かれるのには理由があります。面接官は、候補者の長所を通じて何を知ろうとしているのでしょうか?
入社後の活躍を見極めるため
1つ目の理由は、候補者が自社の求める人材像と合致しているかを見極めるためです。企業は多くのコストをかけて採用活動を行っているため、存分に活躍してくれる人材や長く働いてくれる人材を採用したいと考えています。
例えば、チームワークや協調性を大切にしている人を求めているのに、リーダーシップを発揮したがる人を採用してしまえば、期待外れとなってしまいます。
本人も自分の長所や強みを発揮できず、仕事に対するモチベーションが下がってしまうでしょう。理想と現実のギャップが大きければ、早期離職につながる可能性があります。
社風や他の社員との相性を見るため
2つ目の理由は、社風や他の社員とのマッチ度を確認するためです。スキル面でどれだけ優れていても、社風や仕事の進め方が合っていなければ、長く働き続けるのは難しいでしょう。業務を円滑に進めるためには、他の社員との信頼関係の構築も不可欠です。
例えば、社員同士の交流に重きを置いているアットホームな会社では、部署の垣根を超えたイベントが多く開催されます。コミュニケーションを取るのが苦手な人や仕事とプライベートをきっちり分けたい人などは、社風が合わないと感じるかもしれません。
1日でも早く会社になじみ、他の社員と協力して仕事をしてもらうためにも、面接官は候補者の人となりを知る必要があるのです。
自己理解の深度を確認するため
3つ目に、候補者が客観的に自分を理解できているかを知るという目的があります。
自分をよく理解した上で、「この企業に貢献したい!」と応募してきた人は、入社後の活躍が期待できます。企業が求める人物像との大きなずれがなく、パフォーマンスを最大限に発揮して組織に貢献してくれるでしょう。
逆に、面接で長所をしっかりと答えられないと、「適性や興味がないのにとりあえず応募したのだろうか」と判断される可能性があります。
自己理解が浅い人は、自分の長所や能力を存分に生かせません。自分の役割を果たせなければ、モチベーションの低下や早期離職につながってしまいます。
長所と短所はセットで質問される場合が多い
面接では長所だけでなく、短所も質問されるのが一般的です。「あなたの長所と短所は何ですか?」と聞かれた場合、どのように答えるのが理想なのでしょうか?
長所から先に答えるのが理想
長所と短所を両方聞かれた場合は、長所→短所の順番に答え、最後に短所を改善するための努力や心構えを述べます。短所や課題をそのまま放置せず、どのような努力や対策をしているかを示しましょう。
長所と短所は表裏一体のため、長所と短所を関連のあるものにした方が、一貫性は保たれます。
- 責任感が強い→周囲に相談できず、1人で仕事を抱え込んでしまう
- 粘り強く、忍耐力がある→諦めが悪く、新たなチャンスを逃しやすい
- 几帳面で仕事が丁寧→こだわりが強すぎて、相手にも完璧を求めてしまう
「短所はありません」と答えてもいい?
何でもオールマイティーにこなせる人の中には、短所がなかなか見つからない人もいます。ただし、短所がないと答えると、自己理解が浅い人と受け取られかねません。
企業側は候補者に完璧さを求めているわけではないため、自分なりの回答を準備しておきましょう。企業が短所を質問する理由として、以下が挙げられます。
- 自己理解の深度を図るため
- 壁に直面したときの対処方法や行動パターンを知るため
- 自社にマッチする人物かを見極めるため
選考のふるいにかけるため、候補者のあら探しをしているわけではない点を覚えておきましょう。
常識に反する内容はNG
企業の採用面接である点を考慮すると、一般常識に反する内容は避ける必要があります。社会人として最低限のルールが守れる人でなければ、会社の一員として歓迎するのは難しいでしょう。
以下のような短所は、答えない方が無難です。
- 時間や約束を守らない
- 早起きができない
- 平気で嘘をつく
- 噂話や陰口が好き
- 喜怒哀楽が激しい
- 忘れ物が多い
体が弱い・持病があるといった身体的な問題は、短所には含めません。ただし、業務に支障が出るようであれば、企業側にあらかじめ伝えておく必要があります。
面接での受け答えの基本をチェック
面接でチェックされるのは、長所の内容だけではありません。会話のキャッチボールがきちんとできているかや受け答えの分かりやすさも評価の対象です。
【STEP1】結論を述べる
友人や家族との日常会話では、「昨日、こんなことがあって…」とエピソードから話し始める人が多い傾向があります。
面接では、結論ファーストを意識しましょう。志望動機や自己PRを求められた際も、結論から話すのが基本です。結論を先にすべき理由は大きく以下の2つがあります。
- 話し手:言いたいことを伝えやすい
- 聞き手:話の要点を理解しやすい
面接は1人当たりの時間が限られており、短い時間内で自分のよさを最大限にアピールしなければなりません。話の結論や主張が見えにくいと、「結局何が言いたいのか分からない」と、相手をうんざりさせてしまいます。
【STEP2】エピソード・具体例を挙げる
結論を述べた後は、結論の内容を裏付けるエピソードや具体例を挙げましょう。面接官は長所そのものよりも、どのような状況で長所が発揮されたのかに注目しています。エピソードや具体例を省けば、信ぴょう性に欠けた内容になってしまうでしょう。
ポイントは、いつ・どのようなシチュエーションで長所を生かしたのかを盛り込む点です。一定の実績を上げた場合は、数字(社内で〇位・売上の昨対比〇%など)を出すと説得力が増します。
【STEP3】長所をどう生かしたいかを伝える
エピソード・具体例を述べた後は、企業側の目線で長所をどう生かしていきたいかを、例えば以下のように伝えましょう。
自分の長所であるコミュニケーションスキルに磨きをかけ、多くのお客様との信頼関係を構築していきたいです。
とりわけ中途採用においては、長所やこれまでに培ってきた強みを生かして即戦力になることが求められています。自分が活躍している姿を面接官にイメージさせられれば、選考突破率はグンと向上するでしょう。
長所を伝える上でのポイント
長所を相手に分かりやすく伝える上で、注意しなければならない点があります。面接官の視点から、「自分ならどのような長所を評価するか」を考えてみることが重要です。
複数を列挙しない
自分の魅力をアピールしたい気持ちから、長所を2つ、3つと複数挙げてしまう人もいます。長所が多いこと自体はマイナスではありませんが、面接では1つに絞った方が、相手にダイレクトに伝わるでしょう。
複数の長所を列挙すると、自分の棚卸しがきちんとできていないと評価される恐れがあります。話の要点を絞りきれなかったり、話が必要以上に長くなったりすれば、マイナス評価につながりかねません。
1つに絞り込めない場合は、企業が求める人物像に最も近い長所を挙げるのが賢明です。
仕事との関連性を考える
自分の真の長所であっても、仕事とまったく関係がないものはNGです。入社後の活躍がイメージできないため、長所であってもプラス評価につながりません。面接官が困惑してしまう長所としては、以下のようなものが該当します。
- 足が速い
- 歌が得意
- 料理が上手
仕事に関連がない長所に加え、以下のように「社会人として当然のこと」や「一般的にプラスのイメージがないもの」も避ける必要があります。
- 早寝早起きができる
- 時間を守る
- 賭け事に強い
「企業が求める長所」を見極めるには?
よくありがちなのが、企業が求める人物から大きくかけ離れた長所をアピールしてしまう失敗例です。協調性と正確さが求められる経理のポジションで、リーダーシップやチャレンジ精神をアピールしても、面接官の心には刺さりません。
企業が求める長所を見極めるには、企業研究が不可欠です。企業のWebサイトや募集要項、公式ブログなどを入念にチェックし、できるだけ多くの企業情報を集めましょう。
営業系で求められる長所の一例
営業は、顧客に自社の商品やサービスを売り込む職種です。ただ商品を売るだけでなく、顧客の抱える悩みやニーズを探し出し、それらを改善・解決に導く役割も担っています。営業では、どのような長所を持つ人材が重宝されるのでしょうか?
課題発見力
営業=コミュニケーション能力というイメージを持つ人が多いですが、最も重視されるスキルの1つに課題発見力が挙げられます。
現状を分析し、顧客の顕在的・潜在的な課題を的確に把握できる人は、企業の売上増に貢献できるだけでなく、顧客からも頼りにされます。
長所は課題発見力の高さです。前職では、顧客が請求書の照合作業に時間がかかっていることに気付き、カスタマイズした管理システムの導入を提案しました。その結果、事務業務の効率化につながったという評価をいただきました。
業務で改善できる点はないかを探し、気付いたことはすぐにメモを取るようにしています。課題発見力の高さやまめさを武器に、御社でも精一杯頑張ります。
傾聴力
傾聴力とは、相手の話に耳を傾け、言いたいことや立場を理解する能力です。コミュニケーション能力の構成要素であり、ヒアリングスキルとも称されます。ただ話を聴くだけでなく、相手の気持ちに寄り添い、真のニーズを引き出すことが求められます。
私の長所は相手の話にじっくりと耳を傾けられることです。販売員の仕事をしていたときには、「どれを選べばよいか分からない」と迷うお客様がたくさんおられました。
会話の中から好みを探り、相手の立場に立った提案をしたところ、リピート獲得件数トップの成績につながりました。御社でも傾聴力の高さを生かし、お客様との信頼関係を築いていきたいと思います。
事務・管理系で求められる長所の一例
事務・管理系とは、総務・人事・経理・受付などのあらゆるバックオフィス業務を指します。営業担当者のアシスタント的な役割を担うケースもあり、「縁の下の力持ち」という言葉がぴったりです。
正確性
事務職では、仕事をミスなく進めていく正確性が求められます。特に経理担当は、わずかな数字のミスも許されません。
小さなミスの累積が企業に大きな損失をもたらすことを考えると、几帳面で丁寧に仕事をする人でなければ、事務の仕事は務まらないといえます。
細かい作業を正確にこなすのが得意です。普段からダブルチェックやメモの徹底を心掛けており、人事評価では「仕事の精度が高い」との高評価をもらいました。
長所とこれまでの経験を生かし、御社でも正確かつスピーディーな仕事をしていきたいと思います。
計画性
計画性とは、スケジュール通りに業務を遂行する能力を指します。計画を立てる能力に重きが置かれがちですが、発生しうるリスクを想定して対処法を考える「リスク管理能力」や、タスクとリソースの時間配分を適切に行う「時間管理能力」なども含まれます。
前職では営業事務に従事し、ルート営業をサポートしてきました。社内事情や顧客の状況を把握しながら、無理のないスケジュールを立てられる計画性に自信があります。
業務が立て込む時期もありましたが、優先順位を付けながら段取りを組んでいたので、遅延が生じることは一度もありませんでした。総務事務のポジションでも、自分の長所である計画性を生かしていきたいです。
接客系で求められる長所の一例
接客系の代表的な職種として、販売員・ホテリエ・美容師・ホールスタッフ・受付などが挙げられます。人をもてなすのが仕事なので、柔軟に対応できる人や気配りが行き届いている人が求められるでしょう。
柔軟性
柔軟性とは、相手や周囲の状況に合わせて適切な対応ができる能力です。「臨機応変な対応力」と言い換えてもよいでしょう。
柔軟性がある人は、予期せぬトラブルが起こっても冷静さを失いません。状況を瞬時に判断し、最善の方法を選択します。
私の長所は、状況に合わせて臨機応変に対応できるところです。学校を卒業後は、ブライダル関係の職場でバンケットサービスのアルバイトをしていました。
お客様1人ずつに目を配りながら、複数の業務を並行して進めていく中で、先輩やお客様からは「機転が利く」というありがたい言葉をもらいました。
臨機応変に対応できる長所を生かし、御社でもお客様に喜んでもらえるサービスを提供したいと思います。
気配り上手
気配り上手とは、相手の立場に立った気遣いができることです。物事がスムーズに進むようにサポートする・周囲の空気を読んだ発言ができる・人に言われる前に率先して行動をするといった点も気配り上手に含まれます。
私の長所は、困っている人に率先して手を差し伸べられるところです。部署の新人が仲間の輪に加われない状況を見て、何とかしなければと思いました。
上司に掛け合って交流会やイベントを企画したところ、チームの雰囲気が今までよりもよくなり、団結して仕事ができるようになりました。これからも相手の立場に立った積極的なアクションを心掛けていきたいと思います。
IT系で求められる長所の一例
IT系とは、コンピューターやインターネットを活用した情報処理に関わる職業全般を指します。代表的な職種には、プログラマーやシステムエンジニア、ITコンサルタントなどがあります。IT業界で働く人がアピールできる長所の一例を確認しましょう。
向学心
向学心とは、現状に満足せず、より優れた状態を目指そうとする志です。面接では「学習意欲が高い」と言い換えてもよいでしょう。
ITの技術革新は急激な速さで進歩しており、経験者であっても知識や技術のアップデートは欠かせません。学習意欲の高さや学び続ける姿勢をアピールしましょう。
私の長所は学習意欲の高さです。現職は営業職ですが、退社後や休みの日にプログラミングを学び、PHP技術者認定試験の資格を取得しました。現在は基本情報技術者試験に向けて学習に励んでいます。
プログラマーの職種ははじめてですが、さまざまな知識やスキルを積極的に学び、1日でも早く御社の戦力になれるように努力します。
協調性・チームワーク
協調性とは、立場や意見が異なるメンバーと協力しながら、同じ目標に向かって任務を遂行していける能力です。企業が求める協調性は、ただ単に周囲の人と仲良くするだけではない点に留意しましょう。
ITエンジニアは1人でコツコツと作業を進めるイメージがありますが、プロジェクトはチーム単位が基本です。ITの技術だけでなく、コミュニケーション能力や協調性が求められる職種といえるでしょう
私の長所は、異なる価値観の人とも良好な関係を築ける協調性です。前職ではシステムエンジニアとしてチームのリーダー的役割を担いました。
メンバーは経歴が異なり、意見の食い違いがたびたび生じましたが、面談を設けたり、それぞれの意向をプロジェクトに取り入れたりして、チーム運営がうまくいくように尽力しました。
長所である協調性を生かし、御社でもメンバーと良好な関係を構築して、スムーズに仕事を進められるように尽力したいと思います。
医療・福祉系で求められる長所の一例
医療・福祉系とは、医療機関や介護関連施設に勤務し、患者や要介護者のケアやサポートを行う仕事です。代表的な職種には、看護師・歯科衛生士・作業療法士・介護福祉士などがあります。
医療・福祉系の職種では、どのような長所が評価されやすいのでしょうか?
責任感
責任感とは、自分の仕事への責任を果たそうとする気持ちのことです。「使命感」と言い換えてもよいでしょう。責任感が強い人には、以下のような特徴があります。
- 主体的に行動できる
- 問題が生じた場合でも誠意を持って対応できる
責任感といっても、時間を守る・規則を守るといった、社会人として当然の義務を挙げるのは望ましくありません。
私は責任感が強いと自負しています。前職は保育士で多くの子どもたちに接してきました。
園では1人の保育士が複数の園児を見るのが当たり前です。親御さんから預かった子どもの命を危険に晒さないよう、危険箇所がないか何度もチェックしたり、職員向けのマニュアルを自作したりして安全確保に努めました。
御社に応募したのは、責任感の強さときめ細やかなサポートができる長所を生かせるのではないかと思ったからです。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力とは、聴く力・伝える力・相手の気持ちを汲み取る力などによって構成されています。
医療・介護現場には、高齢や病気によって意思疎通の困難な人が多くいるため、利用者の状況に合わせたコミュニケーションが求められるでしょう。
職員同士のコミュニケーションがうまくいかない場合、大事故やトラブルにつながるケースもあります。
私の長所は、コミュニケーション能力の高さです。特に、相手の表情やしぐさから本音を読み取ることに長けていると自負しております。
前職では、先回りしてサービスの提供や提案を行ったところ、「あなたがいてくれると助かる」という感謝の言葉をいただくことが多くありました。
長所であるコミュニケーション能力を生かして、利用者様に信頼していただける職員を目指したいと思っています。
インパクトのある伝え方のコツ
面接官は何人もの長所や自己PRを聞いているため、ありきたりなキーワードでは印象に残りません。同じような仕事をしていた人であれば、エピソードが被る可能性があります。伝え方に一工夫して、他の候補者と差別化を図りましょう。
座右の銘や四字熟語を用いる
座右の銘や四字熟語は、自分の強みや長所を端的に表現できる魔法のような言葉です。相手に強いインパクトを残せる上、自分の信念や価値観も伝えられます。
例えば、「石の上にも三年」が座右の銘であれば、途中で投げ出さない粘り強さや忍耐力を伝えられるでしょう。「思い立ったが吉日」なら、先延ばしにせずその日に取りかかる主体性や行動力を示せます。
自分の長所を表すキーワードをピックアップした後、偉人の言葉や四字熟語、ことわざなどから自分の長所に近いものを選択しましょう。
キャッチコピーを付ける
キャッチコピーとは、人の注意を引く宣伝文句です。キーワードだけを伝えると他の候補者と重複する可能性が高いため、自分なりのキャッチコピーを考えるのも1つの手です。
具体的には、長所をピックアップした後、相手に抱いてほしいイメージを念頭に、15文字以内の短い文章にまとめます。物や動物、漢字などにたとえて自分を表現してもよいでしょう。
例えば、場面に応じて柔軟に対応できる長所は「万能歯車」や調理方法が多彩な「卵」にたとえられます。周囲の意見を尊重してチームを引っ張ってきた人であれば「寡黙なリーダー」と表現できるでしょう。
面接官が見ているポイントはほかにも
長所や短所は主観に偏りやすく、他人から指摘されてはじめて違和感に気付くケースがあります。面接官は候補者のどのような点を見ているのでしょうか?本番前に最終チェックすべきポイントを取り上げます。
長所と短所が矛盾していないか
多くの場合、長所と短所はセットで質問されます。両者が矛盾していると、説得力や信ぴょう性に欠けるため、内容の整合性は必ずチェックしましょう。
例えば、長所が多くの人を巻き込む行動力なのに、神経質な性格を短所に挙げれば、聞く側としては疑問を抱いてしまいます。短所は長所の裏返しなので、この場合は落ち着きのなさやせっかち、段取りがよくない点などが挙げられるでしょう。
「協調性があるのに自分勝手」「論理的思考力があるのに計画性がない」なども、整合性が取れていません。長所と短所を独立したものと捉えず、長所から短所(または短所から長所)を連想して考えるようにしましょう。
エピソードが古すぎないか
中途採用の面接で、学生時代のエピソードを活用する人が見受けられます。基本的に、学生時代の話が通用するのは、新卒と第二新卒までです。中途採用の面接では、社会経験で培った内容を話しましょう。
卒業から10年以上も経過しているにもかかわらず、大学時代のエピソードを話せば、面接官は「社会人になってから、自己成長につながる経験をしてこなかったのだろうか」「10年前で燃え尽きてしまったのだろうか」と、疑問を感じてしまいます。
過去に輝かしい成績を残していたとしても、古すぎるエピソードは取り上げないのが基本です。
自慢話になっていないか
自分に対する評価を上げたい気持ちは分かりますが、過度な長所のアピールは単なる自慢話になってしまいます。
面接官が長所を質問する目的は、企業とのマッチ度や人柄、適性などを知るためであり、過去の成果を評価するためではありません。成果と結果の羅列は避け、自分なりに努力した点や企業に貢献できる点などを謙虚な姿勢で伝えましょう。
当然ながら、嘘や誇張表現はNGです。「常に~している」「何事も~」「誰にも負けない」などの断定的な表現は、根拠のない自信と受け取られてしまう点にも留意しましょう。
企業の意図を理解して長所を伝えよう
協調性やコミュニケーション能力の高さといったありきたりな長所でも、エピソードや伝え方を少し工夫するだけで、他の候補者との差別化が図れます。企業の意図や求める人物像と合致していれば、評価はさらに上がるでしょう。
国内最大級の仕事・求人探しサイト「スタンバイ」には、多くの求人情報が掲載されています。仕事内容や企業情報をチェックしながら、アピールできる内容を考えてみましょう。