リテールとは何か?言葉の意味や業界による使われ方の違いを解説

リテールとは幅広い分野で使われる言葉であり、業界によって定義が少し異なります。言葉は聞いたことがあるものの、具体的に何を意味するのか知らない人もいるでしょう。リテールの意味や、業界による使われ方の違いについて確認します。

リテールとはどういう仕事?

営業の男性

(出典) pixta.jp

リテールという言葉は、ビジネスパーソンならば一度は聞いたことがあるかもしれません。しかし、業界によって意味や使われ方が異なるケースが多く、定義が分からないと感じている人も少なくありません。まずはリテールの本来の意味や仕事内容を確認しましょう。

リテールの意味

リテールとは本来「一般小売」の意味で、個人や中小企業など、規模が小さめの顧客に対して営業することを指します。

ただし、一般的には個人の消費者に対する小売として認識されているケースが多いでしょう。つまり「リテール営業」といえば、個人の消費者に対して商品やサービスを売るBtoC型の営業を指す場合がほとんどです。

そもそも「リテール(retail)」という英語には、業者から仕入れた商品を小分けにして売るといったニュアンスがあるため、業者ではなく一般消費者に向けた販売という意味で使われるようになりました。

ホールセールとの違い

リテールの対義語は「ホールセール(wholesale)」で、同業の事業者や小売業者に対しての販売を意味します。いわゆる「卸売」のことであり、ビジネスの形態としては主にBtoB型の営業活動を指します。

一般的には、業者に対する大口の取引として認識されていますが、銀行業務においては、投資家や行政機関などに対して大口の貸付を行う業務がホールセールです。

以下で説明するように、業界によってリテールの意味が異なるのと同様、ホールセールの意味合いも微妙に違いがあります。ただし、大まかにリテールは対個人で、ホールセールは対業者と考えておけば、特に差し支えありません。

業界によるリテール営業の違い

説明するビジネスマン

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リテールの意味を理解したところで、業界の違いによるリテール営業の意味するところの相違点も知っておきましょう。業界が異なるとリテールに対する捉え方が変わるので、まずはどういった定義でリテールを使っているのか把握することが大事です。

金融業界におけるリテール

金融業界では、個人や個人事業主、中小企業に対する業務がリテールと呼ばれており、銀行や証券会社、信託銀行、保険会社など、業種によって売り方は異なります。

預金や振込・振替に加えて、資金の貸付や住宅ローンなどが代表的なリテール商品です。なじみのある商品やサービスが多いといえるでしょう。

さらに、保険の営業や資産運用に関するアドバイスや提案なども、個人に対するものであればリテール営業の一種です。相続に関する各種業務も含まれます。

不動産業界におけるリテール

不動産業界におけるリテール営業は、個人向けに土地や住宅を販売したり、仲介したりする業務です。

個人が不動産を購入する際には、希望購入価格や予算などを確認した上で、ニーズに合った物件を紹介します。物件に案内するのに加えて、価格交渉もリテール営業には欠かせません。

一方、不動産を売却する顧客に対する場合は、当該不動産の価値を査定したり、売主の代理として売却手続きを代行したりする役割を担います。

個人向けの不動産コンサルティングも、リテール業務の一種です。土地や家屋の購入・売却、管理から活用方法に至るまで、顧客の悩みを聞いた上で、さまざまなアドバイスや提案を行います。

アパレル業界におけるリテール

アパレル業界におけるリテールは、接客や販売、売上管理などの業務を指すのが一般的です。さらに店舗で働くスタッフのサポートなど、店舗運営に関する業務全般もリテールに含まれます。顧客と直接には関わらない、裏方としての仕事が多いのも特徴です。

小売店に対する商品の売り込みや、新たな販路の開拓もリテール営業の一種です。有名百貨店に対して、リテール営業をしているアパレル企業も少なくありません。さらに、集客や店舗のプロモーション全般、イベントの企画なども含まれます。

リテール営業に向いている人は?

説明する男性

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リテール営業に向いている人の特徴として、相手の話をよく聞いてニーズを引き出せる人や、良質なコミュニケーションを通じて顧客と信頼関係を構築できる人、相手にとって魅力的な提案ができる人などが挙げられます。それぞれ確認しましょう。

傾聴力のある人

リテール営業には、相手の話に耳を傾け、抱えている問題や悩み、ニーズを把握できる人が向いています。

個人を相手に営業をする場合、法人以上にさまざまなタイプの顧客を相手にするため、うまく質問をしながら相手の話を引き出す力や、提案につながる有益な情報を集めるスキルが必要です。

個人営業では、特に信頼関係の構築が求められます。たとえ有効な提案ができたとしても、信頼関係が構築できていなければ、クロージングにはつながりません。

これからリテール営業に従事する人は、相談しがいのある相手だと認識してもらうために、傾聴力を身に付けましょう。

コミュニケーション力のある人

リテール営業はもちろん、あらゆる営業活動において成果を上げるためには、顧客と良好な関係を築くためのコミュニケーション能力が欠かせません。

とりわけリテール営業では、それぞれの顧客と向き合う必要があるため、密にコミュニケーションを取りながら、スムーズに提案に結びつけるスキルが求められます。

途中で営業する相手が変わる可能性のある法人営業に比べて、対個人のリテール営業は、同じ相手と交渉を続けクロージングに結びつけなければいけません。そのため、細かい約束をしっかり守り、誠実に対応することで、信頼を勝ち取る必要があります。

提案力のある人

顧客の抱える問題や課題を解消するために、有益な提案ができることも重要です。たとえ聞き上手でも、相手にとって本当に役立つ提案ができなければ、結局は売上にはつながりません。

その場で話を引き出すだけでなく、事前に相手の情報を収集・分析することで、相手にとってメリットの大きい提案は何か、十分に検討する必要があります。

魅力的な提案をするためには、顧客に関する情報収集に加えて、業界全体のトレンドを把握したり分析したりする能力も大切です。

リテール営業の課題

ビジネスウーマン

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リテール営業は、さまざまな業界で欠かせないアプローチですが、営業担当者の生産性やITリテラシーの向上に関して課題があるとされます。リテール営業で安定した売上を上げるために、何が求められているのか理解しておきましょう。

営業担当者の生産性向上が求められる

多くの業界で人手不足が問題となっており、リテール営業に携わる人員も減少傾向にあります。そのため、これからリテール営業に携わる人やすでに従事している人にとって、生産性の向上が課題です。

企業としては、限られた人的リソースで成果を出し続ける必要があるため、担当者1人ずつの業務パフォーマンス向上が求められています。

これから転職してリテール営業に従事する人は、自らの営業力を磨いておきましょう。リテール営業でしっかり結果を出すことで、報酬アップやキャリアアップにつながります。

ITリテラシーの向上も必要

多くの業界でDXが進んでおり、リテール営業でもさまざまなITシステムを活用して、効率的に成果を出すことが求められています。

顧客ごとの情報をツールやシステムを用いて深く分析し、より有益な提案ができるようになれば、成約率も劇的に向上するでしょう。

さらに、近年主流となりつつあるオンライン販売への取り組みも模索する必要があるため、ITツールを使いこなせる人材であれば、多くの場面で活躍できます。ITシステムを使った分析が得意な人は、転職してリテール営業に挑戦してみるのもよいでしょう。

リテール営業について理解しよう

営業をする男性

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リテールとは本来、個人や小規模事業主に対する営業活動を指します。ただし、業界によってリテール営業の位置づけは異なるので、異業種の人と話をする際には、どういった背景や文脈で使っているのか、よく確認することが大事です。

リテール営業に従事するには、傾聴力やコミュニケーション能力、提案力などが求められます。すでに営業担当者として活躍している人はもちろん、これからリテール営業に携わる人も、相手のニーズを引き出し有益な提案ができるようにスキルを磨きましょう。

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