採用を勝ち取る志望動機の書き出しとは?例文付きで詳しく紹介

書類選考は転職活動の第一関門です。志望動機の書き出しが悪ければ、最後まで目を通してもらえない可能性があるため、読み手をいかに惹きつけるかを考える必要があります。「この人を採用したい」と思う書き出しとは、どのようなものなのでしょうか?

志望動機の書き出しが重要な理由

履歴書に記入する手元

(出典) photo-ac.com

エントリーシートや履歴書には、必ず志望動機の項目があります。転職回数が少ない人は、「どんな内容から始めればいいの?」と悩んでしまうかもしれません。志望動機の書き出しが重要といわれる理由は大きく2つあります。

応募者の第一印象を左右するため

志望動機は、応募者の熱意を見るバロメーターです。どのような言葉で書き出すかによって、応募者の第一印象が決まるといっても過言ではありません。

最初に提示された情報によって、全体のイメージが決定されてしまう現象を「初頭効果」と呼びます。いくら内容が立派でも書き出しに魅力がなければ、そこそこの印象で終わってしまう可能性が高いのです。

志望動機が似通っている人が複数人いた場合は、書き出しにインパクトを持たせた人の方が選考が有利に進むと考えられます。

最後まで目を通してもらうため

2つ目の理由は、採用担当者に最後まで目を通してもらうためです。書類選考において、採用担当者は1日に何通もの履歴書を確認しなければなりません。

限られた時間内で採否を判断する必要があるため、形式的に分かりにくかったり、ありきたりな言葉が並んでいたりすれば、読み進めるのをためらってしまう可能性があるでしょう。

「相手の興味を惹きつける」という点では、中盤のエピソード以上に書き出しに力を入れる必要があります。

印象に残る志望動機の書き出しを作るコツ

ノートを見ながら考える女性

(出典) photo-ac.com

職務経歴が似ている人は、志望動機も似通ったものになる可能性があります。他の応募者と差をつけると同時に、採用担当者に最後まで目を通してもらうためにはどのような点を意識すればよいのでしょうか?ポイントは「形式面の分かりやすさ」と「納得感のある具体例」です。

結論から述べる

内容は結論から述べるのが鉄則です。結論ファーストの文章構成方法の1つに、「PREP法」があります。

志望動機に限らず、自己PRやビジネス文書でも活用できるため、構成要素と流れを覚えておきましょう。 論理的で分かりやすい文章が書ける人として評価される可能性もあります。

  • 結論(Point)
  • 理由(Reason)
  • 具体例(Example)
  • 結論(Point)

採用担当者が最も知りたいのは「なぜこの会社を志望したのか」です。結論や理由を冒頭に書かない場合、何を伝えたいのか分からない文章になってしまいます。

根拠と詳細で具体性を持たせる

結論や理由を述べた後は、その根拠を挙げて具体性を持たせます。志望動機であれば、会社に興味を持ったきっかけやエピソードを挙げましょう。

採用担当者は、結論に至った経緯や理由を重要視する傾向があります。結論の後に具体例がないと、腑に落ちない感じが残るでしょう。

また、エピソードには応募者の価値観や人となりが反映されるため、企業側は内容から「自社が求める人物像であるか」を見極めようとします。

締めで説得力を与える

結論と根拠を述べた後は、その会社でなければいけない理由を加えると、説得力が増します。「前職で培った〇〇のスキルが生かせると思ったから」という理由で終わると、企業側に「他の会社でもよいのでは?」と思われてしまいかねません。

ポイントは、「十分な検討をした上で貴社を選んだ」という意気込みを伝えることです。会社の事業内容やビジョン、他社との違いを挙げながらに必然性をアピールすれば、評価はグッと上がります。

内容に説得力を与えるには、企業研究や自己分析が欠かせません。志望動機に曖昧さが残る人は、履歴書を書く前の下準備が足りていないともいえます。

【例文】好印象な志望動機の書き出し

志望動機の欄

(出典) pixta.jp

採用担当者に好印象を与える志望動機の書き出しのポイントと例文を取り上げます。実際に書くときは自分なりのエピソードや実績などを交えて、オリジナリティのある内容に仕上げましょう。

実績・スキルをアピールする例文

中途採用では過去の実績やスキルを挙げ、自分が即戦力になれることをアピールする必要があります。事業内容や募集要項をよく確認し、企業の求める人物像にマッチした強みをアピールしましょう。

<例文>

貴社に応募した理由は、自分の強みであるコミュニケーション能力やヒアリング力が生かせると思ったためです。前職は〇〇会社で保険の新規営業を担当しており、さまざまな職種・職業のお客様のもとを訪問しました。

新規顧客の開拓を積極的に進めている貴社であれば、これまで培ってきた経験やスキルが生かせるのではないかと自負しております。

企業の魅力に共感したことを伝える例文

経験やスキルはもちろん、組織と人の相性も重要です。企業が掲げるビジョンや事業内容、企業文化などへの共感を示せば、「自社の求める人物像にマッチしている」「企業分析をしっかりと行っている」という好印象を残せます。

<例文>

私が貴社の介護職を志望する理由は、「感謝・感動・謙虚」という企業理念に共感したからです。

前職では、利用者やその家族に「ありがとう」と言われることが多く、感謝の言葉が自分の原動力でした。自分自身を成長させてくれる介護の仕事を誇りに思っています。

入社後の目標がはっきりしている例文

募集職種や仕事内容が明確に分かっている場合は、実績やスキルをアピールするだけでなく、入社後にどのような活躍をしたいかを伝えましょう。

ただし、個人の目標と企業の方針が一致していなければ逆効果になってしまうため、事前の企業分析は欠かせません。採用担当者に入社後の活躍をイメージさせられれば、選考突破の可能性は大きく高まります。

<例文>

貴社を志望した理由は、相手の立場に立った提案ができるコンサルタントを目指しているためです。前職はIT関連企業のルート営業で、各社を回りながらシステム導入の提案や業務改善のアドバイスを行ってきました。

貴社は、顧客に寄り添った手厚いサポートを企業方針としているため、これまで培ってきた傾聴力や問題解決力が生かせるのではないかと考えています。

避けるべき書き出し

考え事をする就活生の女性

(出典) pixta.jp

志望動機の内容は十人十色で、必ずこれが正しいという回答はありません。ただし、採用担当者が読む気を失ってしまう志望動機の書き出しがあることは、覚えておいた方がよいでしょう。

漠然としすぎている

よくあるのが、具体的な根拠が抜け落ちている例です。「貴社のビジョンに共感しました」「貴社の社風が自分に合っていると思いました」「貴社の商品に興味を持ったからです」という書き出しは、読み手に漠然とした印象を与えます。

この場合、ビジョンのどのような点に共感したのかや、商品の何に興味を持ったのかを掘り下げる必要があるでしょう。どの会社の志望動機にも使えそうな内容は、手抜きをしていると見なされる可能性があります。

また、曖昧さを回避するため、志望動機では「こそあど言葉(これ・それ・あれ・どれ)」はできるだけ使わないのが基本です。

受け身な印象が強い

成長する気持ちや熱意を伝えることはよいことですが、書き方によっては受け身な印象を与えかねません。受け身に取られやすいNG例を列挙します。

  • 研修や教育体制が充実している貴社で学びたい
  • 貴社のような成長できる環境で働きたい

中途採用の場合、企業は即戦力になれる人材を求めています。「経験やスキルを生かして、どう貢献してくれるのか」「採用するとどのようなメリットがあるのか」を知りたがっているため、成長したい・学びたいという表現は前面に出さないようにしましょう。

条件面にこだわりすぎている

収入や勤務地、福利厚生などを志望動機の書き出しにするのは控えましょう。熱意が感じられない上、「自社よりも待遇がよい会社が見つかればすぐに転職する」というイメージを与えてしまうためです。

前職の離職理由に会社の経営不振を挙げ、業績がよいからという理由を述べるのも望ましくありません。同様に、以下のような書き出しも避けるべきです。

  • 残業が少なく、ワーク・ライフ・バランスを実現できそうだから
  • 業績がよく、安定した収入を得られそうだから
  • 福利厚生が充実していて、長く働けそうだから

志望動機の書き出しでは、自分がどう貢献できるかに重きを置くのがポイントです。

志望動機の書き出しに悩んだときにやること

履歴書を手にして考える女性

(出典) pixta.jp

自分を深く理解している人や企業への就業意欲が強い人は、志望動機の書き出しに悩むことはほとんどないといってよいでしょう。

逆に、自己理解や企業分析が進んでいないと、ありふれた内容しか思い浮かびません。志望動機の書き出しに悩んだときの解決法を紹介します。

徹底的な自己分析・企業分析

自分自身を深く理解していなければ、採用担当者の心を打つ志望動機は書けません。書き出しに悩む人の多くは、自己分析や企業分析などの下準備が足りていない可能性があります。

自己分析をするために、これまでやりがいを感じたことや高く評価されたことを洗い出してみましょう。目標や価値観、適性が明確になればなるほど、説得力のある志望動機が書けます。

自己分析と同時に、企業のホームページや求人情報、メディアのインタビューなどを活用して、企業分析も行いましょう。収集した情報の中から、なぜこの会社でなければならないのかのヒントが見えてきます。

自分と企業の接点を見つける

志望動機は、「自分がやりたいこと(できること)」と「事業内容」の一致が不可欠です。

自己分析・企業分析を一通り行った後は、自分と企業の接点を探り、自分の能力やスキルをどう生かせるかを考えてみましょう。

ポイントは、企業を選んだ理由・自分のスキル・入社後に貢献したいことの3点に整合性を持たせることです。企業が求める人物像からかけ離れないように、企業側の視点を常に意識しましょう。

「自分の経験やスキルがあれば、貴社をさらに成長させられる」など、根拠のない自信を語るのはNGです。

魅力ある書き出しで志望動機の印象アップ

履歴書を見つめる男性

(出典) pixta.jp

エントリーシートや履歴書において、志望動機は企業が最も注目している項目の1つです。中盤のエピソードも重要ですが、書き出しによってその人の印象が左右されてしまうため、最初から最後まで気が抜けません。

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