勤続年数とは?数え方や勤続年数の影響を受けるものを紹介

勤続年数とは、1つの会社に入社してから退社するまでの期間を意味する言葉です。履歴書にも記入する項目ですが、休職期間がある人は数え方に注意しなければなりません。勤続年数について正しい知識を身に付けて、毎日の仕事や転職活動に役立てましょう。

今さら聞けない勤続年数とは?

ビジネスパーソンたち

(出典) pixta.jp

履歴書でも目にする勤続年数という言葉は、そもそも何を指しているのでしょうか。就職・転職の場面で必要になる、正しい知識を解説します。

1つの会社で継続して勤務した年数

勤続年数とは、1つの会社で勤務を続けた年数を表す言葉です。会社に入社した日から退社日までの日数を合計し、「勤続○年」のように年単位でカウントします。

単に働いていた年数を指すのではなく、1つの会社に勤務した年数である点がポイントです。複数の会社で働いた経験のある人は、それぞれの会社に分けて勤続年数を記入する必要があります。

似たような言葉に「平均勤続年数」がありますが、こちらは当該の会社に在籍している全社員の勤続年数を平均した数値です。公式サイトに記載されているケースが多いため、会社選びの参考になるでしょう。

勤続年数の数え方

面談をする女性

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勤続年数を数える際には、日数を切り上げるという決まりがあります。ブランクがあるケースなど、間違えやすいポイントを知っておきましょう。

1年未満の端数は切り上げる

勤続年数は勤務していた日数から算出しますが、1年単位で数えるのが特徴です。1年○日といった端数がある場合、1年に満たない部分は切り上げて計算するため、勤続2年とカウントされます。

勤続年数が1年に満たなかったケースも同様に、端数を切り上げて勤続1年と数えましょう。会社によっては数え方が異なる可能性もあるため、会社ごとに規定を確認する必要があります。

会社を退職する際には、「退職所得の受給に関する申告書」を提出することも重要です。勤続年数に応じて退職所得控除額が定められるため、忘れずに記入しましょう。

参考:No.2732 退職手当等に対する源泉徴収|国税庁

育休や休職時の数え方は?

労働基準法によると、育休や介護休暇などで休職していた期間も勤続年数に含まれるとされています。ただし、これはあくまで有給休暇の日数を定める際に限定されている点に注意しましょう。

年次有給休暇を取得する場合には、休職期間を含めて勤続年数を算出できます。しかしそれ以外のケースでは、休職していた期間が勤続年数に含まれるとは言い切れないのです。

出産・育児や健康的な問題で、休職期間がある人も珍しくありません。勤続年数の計算方法はそれぞれの会社によって異なるため、会社の規定に合わせて数えるのが基本です。

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

勤続年数に影響されるもの

中堅ビジネスマン

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勤続年数の長さによって、有給休暇や退職金などの待遇も異なります。勤続年数が短い場合のデメリットについても確認しましょう。

有給休暇の日数

年次有給休暇の付与日数は、勤続年数の長さに応じて変わります。基本的には、継続して働いている年数が長いほど、付与される日数が増えていくのが特徴です。

有給休暇は正社員以外でも取得できますが、付与される上でいくつかの条件があります。同じ職場で6カ月以上働いており、すべての労働日の8割以上出勤していることが必要です。

目安としては、勤続年数が1年伸びるごとに有給休暇も1~2日増えます。有給休暇に関しては休職期間も勤続年数に含まれるため、計算する際に覚えておくと便利です。

参考:年次有給休暇取得促進特設サイト[労働者向けページ]10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。

失業保険の受給

再就職のための支援として給付される失業保険にも、勤続年数の長さが関係します。基本的な受給要件としては、離職前の2年間に雇用保険の被保険者だった期間が12カ月以上必要です。

勤続年数が12カ月に満たず、被保険者期間を満たしていない人は失業保険を受け取れません。毎日の労働時間によっても、受給要件を満たせない可能性があるため気を付けましょう。

例外として、会社が倒産したり勝手な都合で解雇されたりした場合は、離職前の1年間に被保険者期間が6カ月以上あれば失業保険を受給できます。勤続年数が長ければ、受給額も多くなりやすいのがメリットです。

参考:Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

退職金の金額や控除額

会社を退職したときに受け取れる退職金は、勤続3年目から発生するのが一般的です。最終学歴にもよりますが、長く働いていればいるほど支給金額が多くなる傾向にあります。

退職の理由が自己都合か会社都合かによっても、退職金の額に差が出てくる点は重要です。退職所得控除額も勤続年数によって異なるため、所得税を計算する上で覚えておきましょう。

退職手当は法律で定められているものではないため、退職金が存在しない会社も少なくありません。退職時に戸惑わないよう、勤めている会社に退職手当があるかどうか確認しておくのもおすすめです。

参考:退職手当の受給に必要な所要年数

転職に不利になる場合も

勤続年数は、履歴書にも書くことになる重要な項目です。そのため、転職活動を行う際に勤続年数があまりに短すぎると、ネガティブな印象を持たれてしまうかもしれません。

「勤続年数○年以上」と指定されている求人もあり、長く働いている人ほど専門的なスキルがあると捉えられるようです。そのため、勤続年数が短い人は積極的にスキルをアピールしていく必要があります。

複数の会社を数年で辞めている人は、転職活動で不利になってしまう可能性もあるようです。なぜ退職したのかをきちんと説明し、相手に納得してもらえるよう努力しましょう。

勤続年数に関する知識を身に付けよう

前向きなビジネスマン

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1つの会社で働いている期間を表す勤続年数は、転職活動でも重要といえます。入社から退社までの日数を算出し、端数を切り上げて年単位で数えるのがポイントです。

勤続年数の長さによって、付与される有給休暇の日数や退職金にも差が生じます。失業手当が受け取れるかどうかにも関係するため、きちんと計算できるようにしておきましょう。

また、勤続年数が極端に短い人は、転職の際にネガティブな印象を持たれる可能性があります。正しい知識を身に付けて、仕事や転職活動に生かしましょう。