客先常駐のメリット、デメリットを解説。気になるキャリアパスも

エンジニアの働き方は多様で、その1つに「客先常駐」があります。客先常駐とは、顧客の企業に出向いて働く勤務形態です。客先常駐のメリットとデメリットについて把握し、働き方を多角的に分析すれば、客先常駐の本当の姿が分かるでしょう。

客先常駐のメリット

オフィス

(出典) pixta.jp

エンジニアをしていると、「客先常駐は大変」「やめたほうがいい」といった意見を耳にした経験があるはずです。しかし客先常駐にもよい面はあります。客先常駐で得られるメリットを確認しましょう。

顧客との関係を築きやすい

客先常駐のメリットは、顧客と密なコミュニケーションが取れることです。日常的に顧客と顔を合わせてやり取りができます。

エンジニアの仕事では、顧客への確認や相談が欠かせません。受託開発の場合、メールや電話でのやり取りが中心となるため、コミュニケーションの齟齬が起きやすいといえます。

しかし、顧客のもとで仕事をする客先常駐なら、顧客と面と向かってコミュニケーションを取れます。顧客の表情やボディランゲージから多くの情報が得られるので、確認や相談をスムーズに済ませられるでしょう。

さまざまな経験を積むことができる

客先常駐の2つ目のメリットは、さまざまな企業の職場で働ける点です。受託開発の場合、仕事場は所属する企業に限られます。転職しなければ、5年10年と同じ環境で働き続ける可能性もあるでしょう。

一方で客先常駐の場合には、自社と異なる企業の職場で働くのが基本です。加えて、半年から1年という短いスパンで働く現場が変わるので、さまざまな環境で多種多様な経験が積めます。

数々の現場を渡り歩いて得た経験は、社会人としての視野の拡大につながります。自分に合っている職場環境や仕事内容が分かってくるので、転職をする際には、快適に働ける職場を選びやすくなるでしょう。

残業が少ない傾向にある

客先常駐のメリットの3つ目は、残業を頼まれる機会が少ないことです。客先常駐は決まった時間だけ働く形態が多く、働いた時間に応じて報酬が決まります。

もし客先常駐のスタッフに残業が発生すれば、出向先の顧客企業は超過した分の給料を支払わなくてはなりません。

顧客企業は、客先常駐を契約する際にあらかじめ予算を設定しています。予算から足が出てしまっては困るため、顧客企業は客先常駐のスタッフに残業をあまり依頼しないのです。

ただし、客先常駐だからといって、まったく残業がないわけではありません。プロジェクトの進行が遅れている場合などには、客先常駐のスタッフにも残業が求められるケースはあります。

客先常駐のデメリット

オフィス

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苦労が多いとの指摘が目立つ客先常駐ですが、具体的にはどのような点がデメリットとされているのでしょうか?客先常駐の悪い面を改めて確認することで、客先常駐という働き方の実像が見えてきます。

上流工程のスキルが身に付きにくい

客先常駐のデメリットは、マネジメントや設計など上流工程に関わるスキルや知識が身に付きにくい点です。仕事を進める中で上流工程のスキルを磨きたい人には、適さない働き方といえます。

客先常駐の仕事は下流工程が中心です。簡単な作業が多くを占めるため、エンジニアに求められる提案力・設計力・マネジメント力を鍛えるのは簡単ではありません。

また客先常駐は、半年から1年で次の職場へと移るのが一般的です。常駐先が変われば作業内容も大きく変化するため、1つの仕事にじっくり腰を据えて挑み、新たなスキルや知識を身に付けていくのは現実的ではありません。

モチベーションを保ちづらい

客先常駐のデメリットの2つ目は、やる気を維持するのが難しい点です。客先常駐で働くスタッフのやる気を削ぐ原因の1つに、評価してくれる上司が現場にいないことが挙げられます。

客先常駐は顧客企業に出向いて仕事をします。人事評価をしてくれる上司は自社に留まったままなので、現場に自身のがんばりを評価してくれる人はいません。人によっては仕事に対して張り合いがなくなり、やる気が低下してしまうでしょう。

自社への帰属意識の欠如も、やる気が低下する要因の1つです。客先常駐により帰属意識が薄れ、「自社に貢献しよう」という意気込みがなくなると、当然モチベーションも低下してしまいます。

人間関係がストレスに

客先常駐のデメリットとして、常駐先での人間関係が強いストレスになり得るという点も挙げられます。

客先常駐で同じ空間に身を置き働いている人は、同僚ではなく顧客です。顧客相手にフランクに接するのは難しいので、働いている間は常に周りに気を使う必要があります。同僚同士のように気さくに挨拶を交わすのは困難です。

他人行儀なコミュニケーションを常としている人は、それほど苦痛を感じないかもしれませんが、友人同士のような関係性で同僚と接したい人にとっては、ストレスを感じやすい環境といえます。

客先常駐に向いている人とは

仕事中の会話

(出典) pixta.jp

客先常駐に向いている人の特徴を2つ紹介します。これから紹介する特徴に当てはまる人は、客先常駐に挑戦すると大きな成功や実りが得られるかもしれません。

コミュニケーション能力が高い人

初対面の人とやり取りをする機会が多い客先常駐には、コミュニケーション力に長けている人が向いています。

短いスパンで働く現場が変わる客先常駐では、初めて会った人とコミュニケーションを取る場面が数多く訪れます。初対面の人と話すたびに緊張し、スムーズなやり取りができないようでは、客先常駐の業務を円滑に進められないでしょう。

コミュニケーション力の高さは、顧客企業の社員に囲まれて仕事をする状況においても威力を発揮します。自分の立場をわきまえた的確な対応ができるので、常駐先でも角が立ちにくいでしょう。

現場での経験を積みたい人

客先常駐は未経験でも挑戦しやすい働き方のため、現場に出て多くの経験を積みたいエンジニア初心者に向いています。客先常駐は人手不足の傾向が強い働き方です。そのため、業界未経験の人でもチャレンジしやすい勤務形態といえます。

また客先常駐は、特色の異なる企業を渡り歩くことで、さまざまな経験が積める働き方です。エンジニアとしての経験が浅い人にとっては、客先常駐は自らの可能性を広げるための足がかりになり得ます。

客先常駐で得た経験をもとにキャリアアップしていけば、大きく飛躍することも夢ではありません。

客先常駐のキャリアパス

プログラミング

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客先常駐にチャレンジするなら、将来のキャリアパスまで頭に入れておきましょう。キャリアを選択する場面において、将来の見通しは重要な意味を持ちます。客先常駐の2つのキャリアパスを確認しましょう。

企画・開発を担当する自社SE

客先常駐のキャリアパスとして王道なのが、自社開発を行っている企業に転職し、システムを開発する側に回ることです。

保守や運用の仕事が多くなりがちな客先常駐の業務と違い、クリエイティビティを発揮できる企画や開発に関わる業務は、やりがいの大きな仕事といえるでしょう。エンジニアという仕事の醍醐味を体感できるはずです。

また自社SEであれば、顧客企業に常駐する必要もないので、自社でのびのび働けます。客先常駐で人間関係に悩んでいる人にとっては、魅力的な働き方といえるでしょう。

職場の環境がころころ変わる可能性もないため、1つの仕事にじっくりと取り組みたい人にも最適です。

フリーランスとして独立

独立も客先常駐のキャリアパスの1つです。客先常駐とフリーランスエンジニアの働き方はよく似ているため、スムーズにキャリアチェンジができます。

客先常駐を続けていると、多くの顧客企業を転々とすることになるため、自然と人脈が広がっていきます。会社員時代の人脈を武器に独立すれば、クライアントに困らないフリーランスとして活躍できるでしょう。

フリーランスエンジニアの魅力は、自分で請け負う仕事を選べる点です。客先常駐を続けていると、自分がストレスなくできる仕事が分かってくるでしょう。

客先常駐の経験を生かして自分に合う仕事を選んで受注すれば、会社員時代よりも個性に合った働き方を実現できるはずです。

客先常駐という働き方を知ろう

働く女性

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世間一般では「大変」「苦労が多い」「やめとけ」といわれるケースが多い客先常駐ですが、その働き方にはメリットもデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を正しく知れば、客先常駐という働き方の真の姿が見えてくるでしょう。

客先常駐について基礎を固めた後は、実際の求人を見て、客先常駐に対する理解を深めていくのがおすすめです。求人情報を分析すれば、どのような働き方が実現できるのか分かってくるでしょう。

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