社会人としての第一歩となる初出勤日を前に、不安と緊張を感じている人も多いでしょう。服装や出社時間などに悩んでいる人もいるかもしれません。初出勤日にすることやあいさつの方法など、基本的なマナーを解説します。
初出勤日には一般的に何をするの?流れは?
新入社員にとって、初出勤の日は緊張するものです。出勤初日に何をするかは企業によってさまざまなので、ここでは一般的な流れを紹介します。
まずは事務手続を終わらせる
初出勤日には、実際に勤務を開始する前のさまざまな手続を終わらせるのが一般的です。給与の支払や社会保険の手続などに必要な書類を提出することもあります。
【初出勤で提出する書類の例】
- 入社誓約書
- 雇用契約書
- 卒業証明書
- 住民票
- 身元証明書
- 給与振込先
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
企業によっては、貸与されるPCや備品などを確認したり、社内システムを利用するためのID・パスワードを設定したりすることもあります。その場で記入捺印して提出する場合もあるので、印鑑を用意しておくとよいでしょう。
配属部署や関連部署へのあいさつ回り
配属される部署が決まっている場合、部署内への紹介から始まります。朝礼などの際に部署全体へ紹介されることもあるので、元気よくあいさつをしましょう。
配属部署でのあいさつを済ませた後は、社内の関連部署も回る可能性があります。今後さまざまな場面で協力しながら仕事を進めていくようになるので、関連部署の人にもしっかりと自己紹介しておくことが大切です。
企業によっては、初日から取引先に同行してあいさつ回りをすることもあります。
研修・業務内容の説明を受ける
事務手続や社内へのあいさつなどが終わると、研修や業務内容の説明を受けます。ビジネスマナーの研修から始めることもあれば、入社前に基本的な研修を終わらせ、初出勤から現場でOJTがスタートする場合もあります。
全国に拠点がある企業では、初出勤日には本社に新入社員が集められ、全員で研修を受けるケースもあるでしょう。業種や職種によっては、仕事内容の説明を受けた後、初日から業務を開始することもあります。
初出勤日の出社時間は?
初出勤日の出社時間に悩んでいる人もいるかもしれません。基本的には始業時間までに出社すれば問題ありませんが、できるだけ余裕を持っておくことがおすすめです。出社時間に関するポイントや注意点を解説します。
始業の30分前がベター
初出勤日は、なるべく早めに出社するように心がけましょう。できれば、始業の30分ほど前に出社できるように家を出るのがおすすめです。
使い慣れていない交通機関やルートの利用、通勤ラッシュなどによって、予想以上に時間がかかることも考えられます。時間に余裕があれば、電車が遅延したときでも焦らずに済むでしょう。
また、早めに出社していれば、トイレなどの場所も確認しておけます。社内で他の従業員と会ったときはあいさつするなど、マナーも忘れないようにしましょう。
遅刻・欠勤の場合は必ず電話で連絡する
初出勤日には、遅刻せずに出社するのが基本です。とはいえ、交通機関のトラブルなどのやむを得ない事情で、始業時間に遅れてしまうこともあるかもしれません。
もし遅刻してしまいそうになったら、必ず電話で連絡しましょう。急な体調不良などで欠勤しなければならないときも、メールではなく電話で連絡するのがマナーです。
会社によっては始業時間前は電話がつながらない場合もありますが、まずは連絡してみることが大切です。緊急時などにかける直通電話が分かっているときは、そちらに連絡してみましょう。当然ながら、無断欠勤や連絡なしの遅刻はNGです。
初出勤日の服装は?
初出勤日に、どのような服を着ていけばよいか迷っている人もいるかもしれません。服装は、第一印象を左右するポイントの1つです。社会人としてのマナーを押さえつつ、新入社員らしいフレッシュさを出すにはどのような服装がよいのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
清潔感が大切
初出勤日には、清潔感のある服装を心がけることが大切です。どのような服装の場合も、シワや汚れがないかしっかりチェックしておきましょう。服の色は、男女どちらも紺・グレー・白などのベーシックで落ち着いた色がおすすめです。
女性の場合は、スカートの丈にも注意が必要です。短すぎても長すぎてもよくないので、膝丈程度が無難でしょう。素足は避け、ベージュのストッキングを着用するのが基本です。
ブラウスは、胸元が開きすぎていないデザインを選びます。男性も、ワイシャツの首周りや袖口などが汚れていない清潔なものを着用しましょう。
指定がない場合はスーツが無難
会社から特に服装の指定がない場合でも、スーツを着用していくときちんとしたイメージを与えられます。就活用のリクルートスーツではなく、ビジネススーツを着用するのが基本です。
就活用のスーツはあくまでも就活の間だけ着用するものとして作られているため、耐久性はそれほど高くありません。長く着用している間に着崩れを起こして、だらしない印象になってしまうことがあります。
特に、仕事柄スーツの着用が基本という人は、社会人になったタイミングでビジネススーツを用意しておくことがおすすめです。スーツではない場合も、ジャケットを着用するときちんとした印象を与えられます。
私服の場合はオフィスカジュアル
会社によっては私服での出勤が許されており、初出勤の服装も自由なケースがあるかもしれません。そのような場合は、オフィスカジュアルを意識した服装がおすすめです。
男性の場合、襟つきのシャツにチノパンやスラックスがよいでしょう。女性も、襟つきのシャツやブラウスに膝丈のスカートやパンツを合わせます。
派手な柄ものなどは避け、白や紺などで清潔感のある無地の服がベターです。私服でOKと言われても、初出勤日にはデニムやサンダルなどのカジュアルすぎるファッションは避けましょう。
初出勤の持ち物は?
初出勤日から忘れ物をしないよう、持ち物のチェックも忘れずにしておきましょう。初出勤の持ち物についてのポイントを解説します。
A4が入るビジネス仕様のバッグがおすすめ
初出勤日には、さまざまな書類を持っていくことが多いものです。そのため、A4サイズの書類が入るビジネスバッグが適しています。色はリクルートバッグのように黒でなくても構いません。
今後も長く使うことを考えて、落ち着いた色合いや使い勝手のよいものを選びましょう。パソコンを持ち歩く可能性がある場合は、仕切りつきのバッグや耐衝撃性の高いバッグを選ぶことがポイントです。
一目でブランドバッグと分かるような派手なデザインは避け、黒や紺などのダークカラーを選びましょう。
メモ・筆記用具・印鑑など
筆記用具とメモは、ビジネスパーソンとして常に持ち歩きたいアイテムです。
加えて、初出勤日には書類に押印することもあるので、印鑑も持参した方がよいでしょう。会社によっては、入社誓約書などへは朱肉を使う印鑑で押印するよう指定されることもあります。
ハンカチやティッシュなどのほかに、歯ブラシセットも持っていくとベターです。また、初出勤にかかわらず、突然の雨に備えて折りたたみ傘も常にバッグに入れておくと安心です。
初出勤のあいさつのポイント
初出勤でのあいさつは、誰もが緊張するものです。何を話してよいか迷う人も多いでしょう。「今年の新入社員はどのような人なのか」と先輩社員たちも興味津々の中で、好印象を与えるためのポイントを紹介します。
あいさつは明るくハキハキと
第一印象をよくするためには、明るくハキハキとあいさつすることが大切です。緊張して表情がこわばってしまいがちですが、笑顔を心がけることを忘れないようにしましょう。
笑顔を作るのが苦手な人は、鏡を見ながら練習しておくのがおすすめです。途中でつまってしまったり、言い間違えてしまったりしても、笑顔で明るくあいさつするだけで新入社員らしいさわやかな印象を与えられます。
また、緊張して早口になりすぎないよう、あせらずゆっくり話すことも大切です。
簡潔にまとめる
初出勤のあいさつは、長くなりすぎず簡潔に伝えることがポイントです。業務の合間の時間を使って紹介されることも多いため、長くても1分程度に収めましょう。
あいさつの内容は、名前とプロフィールなど、簡単な自己紹介になっていれば問題ありません。入社後の抱負なども盛り込むと、仕事へのやる気も伝わります。
出身地や出身大学などを伝えると、共通点のある先輩社員と親しくなるきっかけになるかもしれません。趣味の話をすれば、同じ趣味を持つ人から親近感を持ってもらえるでしょう。
初出勤のあいさつの例文
初出勤のあいさつで失敗しないためには、あらかじめ話す内容を決めておくのがおすすめです。前もって何度か練習しておけば、落ち着いてあいさつできるでしょう。
名前を覚えてもらい、早く社内になじめるように、自分の特徴を上手に伝えられる内容にすることがポイントです。例文を紹介します。
【あいさつ例文】
本日入社いたしました〇〇と申します。出身大学は、〇〇大学〇〇学部です。出身地は北海道ですが、大学に入学するときに上京しました。
趣味は旅行で、思い立ったらすぐにいろいろな場所に出かけます。学生時代には東京から在来線を乗り継いで九州まで行ったこともありました。
これからは、このフットワークの軽さを仕事にも生かしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
出社日のお知らせメールへの返信マナー
会社によっては、内定後に出社日を知らせるメールが送信されることもあります。「もう内定は決まったのだから」と気を緩めて返信しないのはNGです。出社日のお知らせメールに返信する際のマナーも知っておきましょう。
その日のうちに返信する
出社日を知らせるメールを受け取ったら、なるべく早く返信するのがマナーです。返信が遅れたからといって内定が取り消されるわけではありませんが、これから一緒に仕事をする相手に対して、最初の印象は大切です。
できれば、その日の勤務時間内に届くように送るのが好ましいでしょう。人事担当者は新入社員への対応だけでなく、さまざまな業務と並行して仕事をしています。
すぐに返信しても、数多くのメールの中に埋もれてしまい、気づかれるまで時間がかかるかもしれません。しかし、メールは受信した日時が分かるので、後で気づいても、いつ頃返信が来たか分かります。
外出中などでその日のうちに返せなかったときは、メールの本文で、遅れてしまったことにひと言お詫びの言葉を添えましょう。それだけでも印象は大きく変わります。
返信メールの例文
出社日のお知らせへの返信メールは、メールを受け取ったことと、内容を確認し了承した旨を伝えるのが目的です。
とはいえ、「承知しました」と返すだけでは、ビジネスマナーとしてもNGです。内容を簡潔に伝えつつ、丁寧な印象を与えるメールを送りましょう。
【すぐに返信する場合の例文】
件名:Re:入社日についてのご連絡
〇〇株式会社
人事部 〇〇様お世話になっております。
貴社より内定をいただいている〇〇大学〇〇学部の〇〇です。
本日は、入社日についてのご連絡をいただきありがとうございました。
当日は提出物等をしっかりと準備し、集合時間にお伺いいたします。
心身共に万全な状態で入社日を迎えられるよう、毎日を過ごしたいと存じます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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署名
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【返信が遅れた場合の例文】
件名:Re:入社日についてのご連絡
〇〇株式会社
人事部 〇〇様お世話になっております。
貴社より内定をいただいている〇〇大学〇〇学部の〇〇です。
昨日は、入社日についてのご連絡をいただきありがとうございました。
早々にお返事すべきところ、返信が遅くなり誠に申し訳ありません。
当日は、ご連絡いただいたお時間に遅れることのないようお伺いいたします。
貴社でお仕事ができることを心より楽しみにしております。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
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署名
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初出勤の日に関するQ&A
初出勤を控えて、何かと不安になっている人も多いでしょう。初出勤でありがちなQ&Aを、2つ挙げて紹介します。
初出勤がリモートワークの場合に意識することは?
コロナ禍以降、在宅勤務がメインになった会社も数多いため、初出勤からリモートワークという人もいるかもしれません。リモートワークの場合も対面と同様、あいさつする際は笑顔でハキハキ話すのが基本です。
モニター越しで話すため、どこを見てよいか分からない人もいるでしょう。見ている人と目線を合わせるには、カメラをしっかり見て話すことがポイントです。
リモートワークでは、出社勤務に比べてコミュニケーションを取る機会が少なくなりがちです。チャットやメールでやり取りすることも多くなるため、相手にしっかり伝わるような配慮も必要になるでしょう。
初出勤で職場とのミスマッチを感じたらどうする?
初出勤日に、職場とのミスマッチを感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、たとえ雰囲気が合わないと感じても、安易に辞めることを考えるのはNGです。
学生から社会人になった緊張感や疲れが原因で、一時的にストレスを感じているだけの可能性もあるからです。初日に違和感を抱いても、時間が経って職場に慣れてくれば、働きやすくなることもあるでしょう。
入社後すぐに辞めてしまうと、そのまま転職癖がついてしまう恐れもあります。家族や友人など、相談できる相手に話を聞いてもらうことで、解決できるかもしれません。
初出勤の日は余裕を持って準備しよう
初出勤の日は誰もが緊張するものです。分からないことも多く、不安に感じる人もいるでしょう。職場にスムーズに溶け込むには、明るくハキハキとあいさつすることが大切です。
スムーズにあいさつをするには、その場で慌ててしまわないよう、内容も考えて準備しておくことが必要です。当日は始業時間より早めに出社するなど、余裕を持った行動を心がけましょう。