エンジニアとはどんな仕事?種類や必要なスキル、将来性を紹介

社会のデジタル化が進む昨今は、ITの力で社会や企業の課題を解決する「エンジニア」が注目されています。未経験者が目指すには、どのようなルートをたどればよいのでしょうか?職種ごとの違いや必要なスキル、将来性を詳しく解説します。

エンジニアとは

パソコンの前で作業をする男性

(出典) pixta.jp

エンジニアは、工学を意味する「Engineering」が由来です。本来は工学の専門知識を持つ人材を指しますが、IT技術が進化した現在では、IT技術者を指すケースが多くなっています。ここではIT技術者に限定して、エンジニアについて確認しましょう。

大きく3分類できるエンジニア

エンジニアは3種類に大別でき、役割の違いによって、「開発系エンジニア」「インフラ系エンジニア」「その他のIT関連職」に分類されます。

開発系エンジニアの主な業務は、システムやソフトウェアなどの開発です。代表的な職種として、プログラマー・システムエンジニア・Webエンジニア・アプリケーションエンジニアなどが挙げられます。

インフラ系エンジニアは、ITインフラの構築や運用に関わる職種です。ITインフラとは、パソコンやネットワーク、サーバーといったIT基盤を指します。

ITインフラ環境を整備するエンジニアがいなければ、社会や組織の活動に大きな支障が出る上、リモートワークや働き方改革も実現できないでしょう。

その他のIT関連職には、セールスエンジニアやテクニカルサポートエンジニアなど、技術的な専門知識を生かして顧客をサポートする職種が含まれます。

エンジニアならではのやりがい

IT業界の進化は日進月歩で、最新の知識や技術を習得するのは容易ではありません。しかし、自分の思い描いたものが形になったときや、クライアントから良いフィードバックを得られたときの達成感はひとしおです。

基本的にチームで業務を遂行するため、仲間と一緒にクリエイティブな仕事に携わる楽しさを味わえるのも、エンジニアの醍醐味でしょう。

「ITの力で世の中をよりよくしたい」という志を持つ人にとって、ITエンジニアは適職といえます。

エンジニアの種類と仕事内容

プログラミングをする男性

(出典) pixta.jp

エンジニアには多くの職種があり、仕事内容や必要なスキルがそれぞれ大きく異なります。IT業界への転職を希望している人は、自分の性格や経歴と照らし合わせ、どの職種が向いているのか考えてみましょう。

システムエンジニア

システムやソフトウェアの開発は、以下のような流れで進んでいきます。

  1. クライアントへのヒアリング
  2. 要件定義
  3. 基本設計
  4. 詳細設計
  5. プログラミング
  6. 各種テスト
  7. システムのリリース
  8. 運用・保守

開発プロセスのうち、詳細設計までは「上流工程」、プログラミング以降は「下流工程」と呼ばれています。

システムエンジニアは、主に上流工程を担う職種です。クライアントの要望に基づきシステムの仕様書を設計し、下流工程を担うプログラマーに作業の指示を出します。

プロジェクト全体の進行管理はプロジェクトマネージャーが行いますが、システムエンジニアがチームのまとめ役となり、進捗管理や人員配置などを行うケースもあります。

プログラマー

開発プロセスの上流工程を担うシステムエンジニアに対し、プログラマーは、下流工程を担います。システムエンジニアが作成した仕様書に基づき、プログラミング言語を用いてコードを記述していくのが主な仕事です。

システムが1回で正常に作動するケースはまれで、不具合を修正しながら完成度を高めていきます。

全てのIT職種の登竜門でもあるため、IT未経験者は、プログラマーを目指すところからスタートしましょう。習得しやすいプログラミング言語には、「Python」「JavaScript」「Ruby」「Java」などがあります。

インフラエンジニア

IT基盤の設計・構築・運用・保守を手掛ける職種で、担当する領域によって「サーバーエンジニア」「ネットワークエンジニア」「セキュリティエンジニア」などに細分化されます。

サーバーエンジニアの主な仕事は、サーバー機器の設定や設計です。近年はサーバーのクラウド化が進んでいるため、仮想化技術の専門知識も必要となるでしょう。

ネットワークエンジニアは、サーバーエンジニアが構築した土台にネットワークのシステムを構築する職種です。機器を物理的につなぐ作業も行うため、ネットワーク機器の扱いにも慣れていなければなりません。

セキュリティエンジニアは、情報セキュリティの脆弱性を見つけ出し、外部より受けるIT攻撃からシステムやネットワークを守るのが役目です。

Webエンジニア

Webエンジニアは、WebサイトやECサイトなどで使われるシステムの設計・開発・運用・保守を担う職種です。システムの企画から始まり、設計・サーバー選定・デザイン・コーディング・Webマーケティングなど、Web運営に関わる業務を幅広く手掛けます。

Webサイトの見た目に関わる「フロントエンドエンジニア」と、ユーザーから見えない部分の処理を担う「バックエンドエンジニア」に大別される点も覚えておきましょう。

どちらの職種にも、プログラミング言語の習得は欠かせません。バックエンドエンジニアを目指す場合は、データベースを扱うスキルやセキュリティスキルも必要です。

データベースエンジニア

データベースとは、情報の検索や蓄積、追加などを容易にするために管理された「情報の集合体」です。データベースが使われている例としては、企業の在庫管理システムや病院の電子カルテ、検索エンジンなどがあります。

データベースエンジニアは、データベースの設計・構築・運用・保守を担う職業です。設計・構築では主に「Oracle」や「Microsoft SQL Server」などのデータベース管理システムを使用します。データ操作では、データベース言語「SQL」の習得が欠かせません。

企業のデータベースを構築する際は、目的や業務フロー、今後の成長性などを考慮しながら方向性を決めていく必要があります。他のエンジニア職に比べて専門性が高く、未経験者がデータベースエンジニアに採用されるケースはまれです。

エンジニアに必要なスキル

プログラミングをする手元

(出典) pixta.jp

実務に必要なスキルは職種によって異なりますが、エンジニアとして最低限身に付けておきたい「基礎スキル」があります。

ITやプログラミングの基礎知識や技術

どの職種でも、以下のようなITの基礎知識は必ず身に付ける必要があります。

  • ソフトウェア
  • ハードウェア
  • データベース
  • ネットワーク
  • セキュリティ

エンジニアとして働くために必須の資格はありませんが、資格があると自分のスキルを客観的に証明できます。

IT業界に転職する際は、情報処理推進機構(IPA)の「基本情報技術者試験」に合格していると有利です。上位資格の「応用情報技術者試験」に合格していれば、ITに関する応用的な知識があることを証明できます。

また、プログラマー以外を目指す人でも、プログラミングの基礎は学んでおいた方がよいでしょう。必要なプログラミング言語は職種や開発領域によって異なります。

基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

高いコミュニケーション能力

プロジェクトはチーム単位で進みます。プロジェクト以外でも、クライアントや各部署の担当者と連携して作業を進めていく必要があり、協調性やコミュニケーション能力は不可欠です。

顧客との折衝が多いポジションでは、クライアントの要望をくみ取る「傾聴力」や、IT知識のない人に仕組みを分かりやすく伝える「プレゼン力」が求められます。

1日中パソコンの前に座り、黙々と作業をするだけでの仕事ではない点を覚えておきましょう。

マネジメント能力も大切

エンジニアとして2年、3年と実務経験を積むと、新人を指導したり、チームをまとめたりする役割が回ってきます。

特にシステムエンジニアやチームマネージャーなどの上位職になると、技術力・コミュニケーション力に加え、以下のように、経営資源やリスクを適切に管理するためのマネジメント能力が求められます。

  • プロジェクトの目的・予算・納期を設定する
  • 納期に合わせてスケジュールを管理する
  • 個々の能力を考慮して、適切な人材を配置する
  • 進行状況を把握し、チームメンバーに適切な指示を出す

マネジメント能力は一朝一夕で身に付くものではないため、日常業務で経験を積み重ねていく中で習得するしかありません。

エンジニアの気になる年収

月収のイメージ

(出典) pixta.jp

エンジニアは個人の努力次第で高収入が目指せる職業の1つです。企業で働くエンジニアの場合、1年間でどのくらいの収入を得られるのでしょうか?

男女別の平均年収

厚生労働省が実施する「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、エンジニア職を含む「その他の情報処理・通信技術者」の平均年収は以下の通りです(※)。

  • 男性の平均:569万5,500円
  • 女性の平均:419万8,100円
  • 男女の平均:534万6,100円

巷では「エンジニアの収入は高い」との声もありますが、女性と男性の収入差は約150万円にも上ります。職種・企業規模・勤続年数などによっても収入は変わるため、あくまで目安と考えましょう。

同じエンジニアでも、下流工程を担うプログラマーよりも、上流工程を担うシステムエンジニアの方が収入は高いのが一般的です。

※企業規模計10人以上における「きまって支給する現金給与額×12カ月+年間賞与その他特別給与額」で算出

参考:賃金構造基本統計調査 令和4年賃金構造基本統計調査(順次掲載予定) 一般労働者 職種 1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口

エンジニアが年収をアップさせるには?

エンジニアはキャリアパスが豊富です。マネジメントスキルが必要な上位職は責任が重くなりますが、それ相応の収入が得られるでしょう。

開発エンジニアの場合、プログラマーからスタートし、システムエンジニアとして経験を積むのが通例です。その後は、プロジェクトマネージャーやITコンサルタントなどの上位職を目指す人もいれば、フリーランスとして独立する人もいます。

将来的な需要を見据え、AIエンジニアやIoTエンジニア、データサイエンティストなどにキャリアチェンジをするのもよいでしょう。

短期間で収入をアップさせたいのであれば、以下のような方法もあります。

  • 資格を取得して、資格手当をもらう
  • 今よりも待遇のよい企業に転職する

エンジニアの将来性は?

エンジニアの後姿

(出典) pixta.jp

数ある職種の中でも、エンジニアは将来が有望です。デジタル化社会の進展に伴い、ニーズは右肩上がりに増えると考えられるでしょう。ただし、同じエンジニアでも「先端IT人材」と「従来型IT人材」では、将来性が大きく異なります。

ニーズが高まり続けるエンジニア

政府は「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を発表し、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を推進する目標を掲げました。

産業界のDXが加速しており、今後はIT業界だけでなく、さまざまな分野・領域でエンジニアが必要とされるでしょう。

多くの企業は、デジタル化に向けたIT業務の内製化を進めています。「IT人材白書2020」によると、DXに取り組んでいる企業の41.9%が「企画・設計など上流の内製化を進めている」と答えました。

IT人材を確保する手段は、中途採用が49.8%、新卒採用が38.1%、他部署からの異動が29.0%です。IT知識の基礎をしっかりと身に付ければ、未経験者にも活躍のチャンスは十分にあります。

参考:IT人材白書2020|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

エンジニアは人材不足の傾向

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によると、IT需要の伸びが約3~9%で推移した場合、2030年のIT人材の不足数(IT人材の需要と供給のギャップ)は約79万人になると予想しています(※)。

同調査では、AIやビッグデータ、IoTなどの第4次産業革命に対応するIT人材を「先端IT人材」、それ以外を「従来型IT人材」と定義しています。今後はITの需要構造が大きく変化し、先端IT人材の需要が高まるでしょう。

従来型IT人材にも一定の需要はありますが、いずれは供給が需要を上回る可能性があるため、先端IT人材へのスキル転換が必要といえます。

※生産性上昇率0.7%と想定

参考:- IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書|経済産業省

未経験からエンジニアを目指すには

資料を見ながらパソコンを操作する男性

(出典) pixta.jp

前述の通り、IT業界では人手不足が深刻化しています。ITの基礎が身に付いていれば、経験豊富なエンジニアでなくても企業に採用される可能性があります。未経験者の場合、どのようなルートでエンジニアを目指せばよいのでしょうか?

エンジニアになるための学習方法

エンジニアになるためには、プログラミングやITの基礎知識を学ぶ必要があります。主な学習方法は以下の4パターンです。

  • テキストやYouTubeなどを使って独学する
  • 専門スクールに通う
  • 通信講座で学ぶ
  • 会社の研修を利用する

最適な方法は人によって異なりますが、ゼロからスタートする際は、独学よりもスクールで学んだ方が効率的です。

未経験OKの企業に応募する

未経験OKの企業に応募し、働きながらITの基礎知識を身に付ける手もあります。注意したいのが、未経験の定義が企業によって異なる点です。

「ITスキルのない未経験者でもOK」というケースもあれば、「実務経験はなくてもよいが、ITの基礎スキルは必須」とするケースもあります。

また近年は、DX戦略の一環で「リスキリング(Re-skilling)」を導入する企業が増えています。企業が従業員に行う職業能力の再開発を指し、会社で働きながら、新たな技術スキルを身に付けられるのがメリットです。

IT人材の募集ポジションでなくても、リスキリングやIT人材の育成に力を入れている企業に転職するのもよいでしょう。

まとめ:エンジニアは需要が高まり続けている仕事

パソコンを手に立っている男性

(出典) pixta.jp

「将来性のある職種に挑戦したい」「収入アップを目指したい」という人は、エンジニアへのキャリアチェンジを検討しましょう。将来的にIT人材の不足が予想されており、あらゆる業界でエンジニアは重宝されます。

エンジニアには多くの種類があり、必要なスキルやキャリアパスが異なります。まずは自分に合う職種を探し、必要な基礎スキルを身に付けるところからスタートしましょう。

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