正社員が辛い理由は?原因と対処法、退職前にすべきことを解説

正社員が辛いという理由で会社を辞めたいと思った場合は、退職を決める前に原因を考えてみる必要があります。原因が分かれば、適切な対処法が見つかるかもしれません。すでに辞めると決めた場合でも、退職前にやるべきことを知っておきましょう。

正社員が辛い原因の多くは人間関係

落ち込むビジネスマン

(出典) pixta.jp

正社員が辛いと感じてしまう原因として、人間関係がうまく構築できていないことが挙げられるケースは多いものです。職場における人間関係の問題でよくあるケースを、3つ確認しましょう。

いじめや嫌がらせがある

同僚や先輩社員からのいじめや嫌がらせに悩んでいる人もいます。昔から、ベテラン社員が気に入らない若手社員などに対して、嫌みを言ったりきつく当たったりするいじめは存在していました。

しかし、そういった明らかないじめだけでなく、無視したり数人で陰口を言ったりするような、陰湿な嫌がらせをするケースもあります。無視や陰口は、エスカレートすると部署全体に広がり、居場所がなくなっていく場合も少なくありません。

また、「仕事を教えてもらえない」「何をしても怒られる」など、先輩社員からのモラハラと考えられるケースは、上司に相談しても個人的な問題として片付けられ、具体的な解決に進まない可能性もあります。

パワハラやセクハラがある

上司や先輩などから暴言を吐かれるといったケースは、パワハラに該当する可能性があります。パワハラは、社内でのいじめの範囲を超えて、社会的に犯罪と認知される重大な問題です。

たとえ暴言を吐かれなかったとしても、指導をしてもらえず放置されているなどのケースもパワハラに該当します。セクハラに関しては、している側に自覚がないケースも少なくありません。

しかし、受けた側がセクハラだと感じ、社内でも認められた時点でハラスメントとして成立します。

「体に触られた」「プライベートな恋愛事情について執拗に聞かれる」といったケースだけでなく、髪形や体形などをからかわれることもセクハラとして認められる場合があるのです。

仕事を押し付けられる

明らかに過剰な量の仕事を押し付けられるケースもあります。一度に大量の仕事を依頼されなくても、何かと雑用を頼まれて、自分の仕事が進まないという状況もあるかもしれません。

このようなケースは、先輩と後輩・上司と部下などの上下関係によって、断りにくい状況に陥っている場合もあります。他人に頼んだ仕事の成果を自分のものにする人や、反対に自分のミスを部下のせいにする上司もいるでしょう。

また、一見親しげに頼んでくる同僚の依頼を断れず、一度引き受けてしまったことからどんどんエスカレートしていくパターンもあります。

職場の人間関係を辛く感じる理由

悩む男性

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あからさまな嫌がらせやいじめ、ハラスメントなどがなくても、なんとなく職場の人間関係に辛さや苦手意識を抱いてしまう人もいます。人間関係が辛いと感じてしまう理由について考えてみましょう。

真面目過ぎる性格

真面目すぎる性格の人は、人間関係に何かと辛さを感じてしまいがちです。相手が冗談のつもりで発言したことを真に受けてしまい、周りが笑っている中で、なぜ笑っているのか戸惑う場面もあるでしょう。

また、真面目な性格の人には責任感が強い傾向もあり、仕事を頼まれると1人で頑張って進めようとしてしまうケースもあります。周囲から距離を置かれてしまい、人間関係が悪いわけではないのに、孤立した状況に陥ってしまう場合も少なくありません。

少し肩の力を抜くことが必要と分かっていても、真面目な性格故に、なかなかできないというところで悩んでしまうのでしょう。

周りの顔色を気にし過ぎる

人間関係を辛く感じてしまうのは、周りの顔色を気にしすぎるからかもしれません。「周りからどう思われるだろうか」と気になって、自分の意見を表明できない人や、本来の自分を出せない人もいるでしょう。

他者の顔色をうかがいすぎると、必要以上に周りの反応に敏感になり、人間関係にも疲れてしまいます。他人を気にしてばかりの自分に、自己嫌悪を感じてしまうかもしれません。

また、人に同調してばかりいると、自分の意見がない人だと周りから思われてしまう可能性もあります。

このような人の場合、他人を気にしない方がよいとアドバイスされても、実践するのは難しいかもしれません。まずは、なぜ気にしてしまうのかを考えてみるとよいでしょう。

周りと価値観が合わない

自分とは価値観が異なる人に対して、苦手意識を持ってしまう人もいるでしょう。価値観は人それぞれ違って当然です。

お互いの価値観を尊重できれば問題ありませんが、自分の価値観を押し通してしまったり、反対に相手から押し付けられてしまったりすると、良好な人間関係を構築できません。

また、周りがあまりにも価値観の違う人ばかりだと、一緒に仕事をするのが辛くなってしまうでしょう。価値観の違いで一度こじれてしまった人間関係を修復するには、時間がかかります。時には、人の考えは変えられないものだと割り切りも必要です。

職場の人間関係が辛いときの対処法

疲れている女性

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人間関係をうまく構築するには、お互いに歩み寄ることも必要ですが、相手との関係性や状況によっては難しい場合もあるでしょう。しかし、対処しないまま放置するのは、精神的にもおすすめできません。人間関係が辛い場合の対処法を紹介します。

信頼できる人に相談する

人間関係の悪化が原因で、正社員として働くのが辛くなった場合は、第三者に相談してみるのが大切です。1人で悩み続けていると、視野が狭くなり、適切な判断ができなくなります。

たとえ明確な解決方法が見つからなくても、家族や友人に話を聞いてもらうだけで気持ちを整理できたり、ストレスを解消できたりする可能性もあります。同僚に相談したら、同じような悩みを抱えていたケースもあるかもしれません。

冷静に話しているうちに、解決の糸口が見つかる場合もあるでしょう。大切なのは、信頼できる相手に相談することです。同僚に相談する場合は、話が誇張して広まってしまうリスクもあるので、相手を見極めることが大事です。

公平な立場の人に相談する

どうしても人間関係が辛くて我慢できない場合や、仕事に支障が出るような場合は、公平な立場で対処してくれる上司などに相談するのもおすすめです。

先輩・後輩などの上下関係にある相手でも、上司が対応してくれることで行動や態度を改めてくれる可能性があります。

マネジメント職としての経歴が長い上司であれば、過去の経験から波風を立てずに対応してもらえる可能性もあるでしょう。

もし上司からハラスメントを受けている場合は、社内のコンプライアンス担当など、専用窓口に相談することが必要です。組織として動いてもらえば、異動などによって解決できるケースもあります。

仕事上の付き合いと割り切る

仕事上の付き合いと、割り切って考えることも大切です。職場の人間の性格や仕事のやり方などにストレスを感じてしまうケースは少なからずあるものですが、相手を変えることはできません。

かといって、自分の考えを相手に合わせてばかりいることも不可能です。「職場の人間関係は、しょせんは会社にいる間だけのもの」と気持ちを切り替えてみると、それまでの悩みが意外と小さなものに思えてくるかもしれません。

割り切るといっても、相手に対して雑な対応をするのではなく、人にはそれぞれ価値観があると認め、気にしないのが重要です。

解決しない場合は転職も検討する

さまざまな対策をとっても辛さがなくならなかったり、人間関係が悪化してしまったりした場合は、最後の手段として職場を変える決断をするのも1つの方法です。会社で辛いことがあったからといって、簡単に退職を決めるのはおすすめできません。

しかし、人間関係がうまくいかない職場で無理に働き続けると、心身への影響が出てしまうケースもあります。そのような事態を避けるためにも、環境を変える必要があると判断した場合は、思い切って転職を検討してみましょう。

ただし、ただ人間関係が辛いから辞めたい一心で転職すると、その先も同じことを繰り返してしまう可能性があります。なぜ辞めるのかの理由を、しっかり考えてから決めることが肝心です。

正社員を辞める前に考えるべき項目

悩む女性

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職場の人間関係に疲れてしまった人の中には、正社員を辞めて、気楽に働けるアルバイトやパートに転職したいと考える人もいるかもしれません。アルバイトやパートへの転職を決める前に、正社員を辞めるとどのようなデメリットがあるか、把握しましょう。

収入が下がり生活が安定しにくい

正社員からパートやアルバイトなどの非正規雇用になると、収入が下がるケースも少なくありません。非正規雇用でも時給換算すると正社員より高額になる場合はあるものの、ボーナスや昇給などを考慮すると、年収は下がってしまう可能性が高いでしょう。

また、正社員は月給制など固定給の場合が多いため、時給制で働くアルバイトなどに転職すると、毎月の収入が安定しないデメリットも生じます。

年齢とともに正社員への復職が難しくなる

いったん非正規雇用として働いた後、再び正社員に復職しようと考えている人もいるかもしれません。確かに、そのようなキャリアパスも可能です。

ただし、再び正社員になりたいと思ったときの年齢によっては、転職が難しい場合もある点は知っておきましょう。20代などの若いうちであれば、やる気があれば採用されるポテンシャル採用も可能です。

しかし年齢が上がるにつれて、スキルや実績が重視されるようになります。アルバイトやパートでもスキルが身に付く可能性はありますが、責任のある仕事は任されないのが一般的です。

休職という方法もある

解決方法が見つからなかったからといって、すぐさま退職するのではなく、休職を考えてみる余地もあります。人間関係に辛さを感じて精神的に疲れている場合、休職という手段によって職場から距離を置くことで、回復する可能性もあるからです。

退職してしまうと次の職場が見つかるまでの間は収入が途絶えてしまいますが、休職であれば、会社によって給与が支払われるケースもあります。病気やけがの場合、会社から給与の支給がなくても、社会保険に加入していれば傷病手当金の申請が可能です。

退職する場合の注意点

退職届に記入する

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人間関係の辛さから正社員として働いている会社を辞める場合、退職前に終わらせておくべき項目があります。退職を伝えるタイミングも含め、注意点を確認しましょう。

退職の意思は1カ月前までに伝える

退職する意思は、1カ月前までに上司に伝えましょう。民法では、雇用契約の解約を申し入れてから2週間で終了できるとされています。とはいえ、現実には引き継ぎなどの手続きを2週間で終わらせるのは困難です。

たとえ人間関係が原因で辞めるにしても、退職によって後任に迷惑がかからないよう、遅くとも1カ月前には伝えるのがよいでしょう。ただし、パワハラを受けている場合は、退職の意思を表示してから2週間を待たずに辞めても、法的な問題はありません。

参考:民法 | e-Gov法令検索 第六百二十七条

転職先を決めてから辞める

退職すると決めたら、同時に転職活動を始めましょう。転職活動には2~3カ月かかるのが一般的です。転職先が決まる前に退職の意思を伝えてしまうと、退職日までに次の職場が決まらない場合もあります。

転職先が決まらないまま退職すると、収入がなくなるだけでなく、キャリアにブランクが空いてしまいます。転職する際はなるべく無職の期間がないのが望ましいため、退職を伝えるまでに次の職場を決めておく方がよいでしょう。

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引き継ぎも忘れずに

退職日が決まったら、引き継ぎのスケジュールを立てましょう。円満に退職するためにも、後任者にしっかり引き継ぎをするのが社会人としてのマナーです。引き継ぎには1カ月ほどかかるのが一般的と考えましょう。

もし有休を消化する場合は、その日程も考慮して引き継ぎのスケジュールを決める必要があります。予定通りに引き継ぎが進まない可能性も考えて、余裕を持って準備しておくことが大切です。

あらかじめマニュアルを作成しておくなど、効率的に引き継げるよう工夫しておくとよいでしょう。

まとめ:正社員が辛いと思ったらベストな対策を

疲れている男性

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正社員が辛いと感じる理由は、人間関係のほかにも仕事の負担や責任など、人によってさまざまです。むしろ何の悩みや不満もなく働いている人は少ないでしょう。

どのような理由にしても、職場が辛いからといって、安易に退職を選ぶのはおすすめできません。しかし、どうしても解決できない場合や心身に影響が及ぶような場合は、転職も含め、さまざまな選択肢の中からベストな対策を講じましょう。