派遣社員を辞めたい!退職を伝えるタイミングや注意点を解説

派遣社員から正社員への転職を考えている人もいるでしょう。派遣社員を辞めたいと思ったら、いつでも退職できるのでしょうか。しかし、派遣社員を辞めるときは、タイミングが重要です。退職を伝えるのに適切な時期や、理由についての注意点などを解説します。

派遣社員はすぐ辞められる?

退職届

(出典) pixta.jp

派遣社員は、契約の途中でも辞められるものなのでしょうか。派遣社員を辞めるタイミングは2つあります。具体的に見ていきましょう。

原則は契約満了時に辞めるもの

派遣社員を円満退職できるのは、原則として契約満了のタイミングです。多くの派遣会社の場合、契約更新の1カ月前になると、担当者から継続の意思を確認する連絡があります。

もしも辞めたいと思ったら、この確認の際に契約を更新しない旨を伝えましょう。継続の意思確認がない派遣会社の場合も、契約が満了する1カ月前に担当者へ連絡するのが基本です。

派遣会社に連絡する際は、定時のギリギリや、週末・月末などの忙しい時期を避けるのが一般的です。辞める理由を聞かれたり、継続するよう交渉されたりすることを想定し、話す時間を十分に取れそうなタイミングを選びましょう。

やむを得ないときは契約途中でも辞められる

派遣社員は契約期間の途中で辞められないのが原則ですが、やむを得ない事情があるときに限り、退職が認められます。契約途中で退職すると、ペナルティが科せられるのではないかと心配する人もいるでしょう。

しかし、労働基準法第16条の賠償予定の禁止で定められているように、契約途中で辞めても違約金や賠償金などを請求されることはありません。

とはいえ、契約途中で辞める際も「今日で辞めます」のように突然退職の意思を伝えるのはNGです。後任が見つかるまでの余裕を持って、早めに伝える必要があります。

参考:労働基準法 第十六条 | e-Gov法令検索 第十六条

やむを得ない事情として認められる理由

契約途中での退職理由として「やむを得ない事情」と一般的に認められるものは、以下の通りです。

  • 家庭の事情:「結婚・出産・介護などのために仕事を続けられなくなった」「配偶者の転勤に伴い、引っ越しをすることになった」など。
  • 体調不良:「けがの治療のために仕事の継続が困難になった」「持病の悪化により治療が必要になった」「精神的な病気になった」など。
  • ハラスメント:「現在勤務している職場で、パワハラ(暴言・大勢の前での叱責・威圧的な態度・十分な指導がないままに未経験の業務をやらされるなど)やセクハラを受けた」など。

「やむを得ない」と認められる理由の捉え方は、会社や人によって異なります。辞めたい理由がやむを得ない事情として認められるものなのか、派遣会社の担当者に相談してみましょう。

派遣社員を辞めたいときにすべきことは?

面談

(出典) pixta.jp

派遣社員を辞めたいと思ったら、まず何をすべきなのでしょうか。慌てて退職して失敗しないために、3つのポイントを知っておきましょう。

派遣会社の担当者に相談する

派遣社員を辞めたいと思ったら、まず派遣会社の担当者に相談しましょう。勤務条件や待遇などが理由の場合、相談することで不満を解決できる可能性があります。

結婚や介護などの家庭の事情が理由の場合も、時短勤務に変えてもらえないか相談してみることで、退職せずに済むかもしれません。

相談する際は、電話やメールではなく、直接会って話すのがおすすめです。どうしても時間が取れないなどの場合も、メールより電話の方が、連絡ミスや伝え方による誤解なども防げるでしょう。

失業保険を受給可能か確認する

派遣社員を退職後、無職になってしまう可能性があるときは、失業保険の受給資格があるのかを確認しておきましょう。派遣社員でも、条件を満たせば雇用保険への加入が可能です。

<雇用保険への加入条件>

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の継続した雇用が見込まれること

雇用保険に加入している場合も、自己都合で退職した人が失業保険を受給するには、離職日以前の2年間に通算12カ月以上の被保険者期間があることが条件になっています。

なお、失業保険は「就業できる能力があるにもかかわらず仕事に就けない人」が受給の対象となります。家庭の事情や病気などの理由で、仕事を続けるのが困難となって辞める場合、失業保険の受給対象とはならないので注意しましょう。

参考:ハローワークインターネットサービス 基本手当について

次の仕事を探し始める

転職目的で派遣社員を辞めるときは、退職後の仕事の目星を付けておくことがおすすめです。派遣社員を辞めた後、無職の期間ができるのを避けたいときは、派遣の仕事を続けながら転職活動する必要があります。

ただし、正社員への転職活動を始めるときは、トラブルを防ぐためにも派遣会社の担当者にその旨を伝えておくのは必須です。仮に転職先が決まったとしても、すぐに辞められない可能性もあるので注意しましょう。

派遣社員を辞めたい理由の伝え方は?

お辞儀をする女性

(出典) pixta.jp

派遣社員を辞めたいと伝える際は、必ず理由を説明する必要があります。辞めたい理由別の伝え方や、引き留められたときの対応方法を紹介します。

給料などの条件に納得できない場合

給料が安い、残業時間が思った以上に多いなど、勤務条件に納得できない場合はその旨を担当者に伝えましょう。その際、派遣先や派遣会社の企業を否定するような、ネガティブな伝え方をしないのがポイントです。

「生活のために収入アップを図りたい」「ワークライフバランスを重視して働きたい」などのように言い換えましょう。

ただし、給料や待遇など、労働条件に納得できないという内容は、やむを得ない事情と認められないため、契約途中で辞める理由にはなりません。

また、契約満了時でも、時給アップや時短勤務などを提案される可能性があります。退職の意思が固まっているときは、引き留め交渉されたとしても、はっきり断るようにしましょう。

人間関係で困っている場合

派遣先の雰囲気になじめない、社員とうまくコミュニケーションを取れないなど、人間関係の構築に悩んでいるときも、派遣先を否定するような伝え方は避けましょう。

率直に「人間関係に悩んでいる」と伝えると、派遣会社の担当者によっては、派遣先と話し合って解決しようとしてくれる場合もあります。

どうしても辞めたいときは「人間関係に疲れたので休みたい」など、引き留めにくい理由にすると、納得してくれやすくなるでしょう。

派遣先の企業でハラスメントがあった場合は、その旨をしっかり伝える必要があります。その場合、契約途中でも即退職が可能です。

正社員として働きたい場合

派遣社員から正社員へ転職したいときは、正直に「正社員として働きたい」と伝えましょう。基本的に、転職を希望している人に対して引き留める派遣会社はありません。

本人のキャリアのためなので、納得してもらえる理由です。正社員として働きたくなった理由なども添えると、より理解してもらいやすくなるでしょう。

しかし、一般的に契約途中での退職の理由としては認められないため、期間満了のタイミングで辞めるときに伝えるのがおすすめです。

派遣社員を辞めるときの注意点

スーツの男性の足元

(出典) pixta.jp

派遣社員とはいえ、辞める際は円満に退職したいものです。去り際にトラブルを起こさないための注意点について解説します。

派遣先の企業にいきなり伝えない

辞めたいと思ったときに、いきなり派遣先の企業へ退職する意思を伝えるのはNGです。派遣会社・派遣先とのトラブルにつながりかねません。勤務しているのは派遣先の企業でも、実際に雇用契約を結んでいるのは派遣会社です。

派遣元の担当者に辞めることを伝えれば、その後、派遣先の企業へ連絡して退職の手続きを進めてくれます。また、派遣会社へ伝えた後も、正式に退職が決まるまで職場の人に辞めることを伝えるのは控えるようにしましょう。

黙って辞めるのはNG

退職することをいいにくいからといって、無断欠勤し、そのまま辞めてしまうのは厳禁です。派遣会社・派遣先との大きなトラブルにつながります。

自分が今後、同じ派遣会社から仕事の紹介を受けられなくなるほか、派遣先の企業から派遣会社への信頼も失われてしまうでしょう。

社会人としてのマナーにも欠けるので、必ず辞める意思を伝えてから退職する必要があります。また「今日で辞めたい」など、一方的に伝えて退職してしまうのも避けましょう。

次の仕事探しで失敗しないためのポイント

派遣社員の女性

(出典) pixta.jp

派遣社員を辞めた後のキャリアパスを、よい形で描いていくためにはどうすればよいのでしょうか。次の仕事探しの際に押さえておくべきポイントを紹介します。

自分のスキルを把握しておく

自分の強みが分かれば、自分に向いている仕事も見つかりやすくなるため、別の派遣会社で働く場合でも、スキルを整理しておくことでミスマッチを防げます。

正社員への転職なら、応募する仕事への志望動機が明確になり、面接時に自信を持ってアピールできるでしょう。自分の強みを知るためには、スキルの棚卸しをしたり、派遣会社のキャリアカウンセリングなどを利用したりするのがおすすめです。

転職先の条件で譲れないことを決めておく

働く上で、どうしても譲れない条件を決めておくことが大切です。いくつか条件があるときは、優先順位を付けておくと、応募先の企業が絞られます。

まずは、派遣社員を辞めた理由を考えてみましょう。給料が低いという理由であれば、収入面が一番大切なのかもしれません。残業時間が多かったなどの場合は、ワークライフバランスを重視できる企業を選ぶと、自分の理想に近い働き方ができるでしょう。

あれもこれもと条件を付けていると、納得のいく企業が見つからず、転職活動が長引いてしまいます。転職先探しには求人サイトを活用するのがおすすめです。求人数が豊富なスタンバイは、こだわりの条件で応募先を探せるので、自分に合った仕事探しができるでしょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

まとめ:派遣社員を辞めたいときは円満退職を心掛けよう!

若いビジネスマン

(出典) pixta.jp

雇用契約を結んでいるのは、派遣先ではなく派遣会社なので、派遣社員を辞めたいと思ったら、必ず派遣会社の担当者に相談しましょう。特別な事情がない限り、派遣社員を辞められるのは、原則として契約終了のタイミングになります。

突然辞めてしまったり、先に派遣先の企業へ退職の意思を伝えたりすると、トラブルを招きかねないのでNGです。気持ちよく次のキャリアへステップアップするためにも、円満退職を心掛けましょう。