アンバサダーの役割とは?起用する効果やなるために必要な条件も解説

「アンバサダー」という言葉を耳にしたことはあっても、具体的にどのような存在なのかよく分からないという人もいるかもしれません。アンバサダーの意味や役割について解説します。また、アンバサダーになる方法も確認しましょう。

アンバサダーとはどういう意味?

スマホを操作する女性

(出典) pixta.jp

まずは、アンバサダーという言葉の意味や役割について把握しておきましょう。混同されがちなインフルエンサーとの違いについても解説します。

企業の「宣伝大使」

アンバサダーとは、「大使」「代理人」という意味を持つ英語「ambassador」に由来する言葉です。ビジネスシーンでは、主に「宣伝大使」というような意味合いで使われます。

観光地を宣伝する「〇〇県観光大使」などは、アンバサダーの代表的な例といってよいでしょう。また、テーマパークなどで来場客を案内する人をアンバサダーと呼ぶ例もあります。

芸能人・有名人が、企業・ブランドのアンバサダーを務めているのを見たことがある人もいるかもしれません。しかし近年では、商品・ブランドの熱狂的なファンが、アンバサダーとして選ばれるケースも増えています。

アンバサダーの役割

アンバサダーの役割は、商品・サービスのよい点を世間に周知することです。その商品・サービスを知らない消費者に認知を広げるだけでなく、既に知っている層に対しても購買意欲をかき立てるような発信を行う役割を果たします。

アンバサダーの発信によって、ブランドイメージを上げたり話題作りをしたりするのは、企業のマーケティング戦略の1つです。

近年、ネット上にはさまざまな広告があふれています。そのような状況下で、より効果的に消費者へ訴えかける宣伝活動を行うためにも、アンバサダーの存在は重要といえるでしょう。

インフルエンサーとはどう違う?

インフルエンサーとは、SNSなどのフォロワー数が多く、影響力が広範囲に及ぶ人のことを指します。アンバサダーと同様に、SNSを通じて商品を紹介するケースもありますが、両者は基本的な立場が異なります。

インフルエンサーは、そのブランドの商品だけを紹介するわけではなく、さまざまな商品の情報を短期間または単発で発信するのが一般的です。

一方アンバサダーは、商品・サービスのファンという立場で自発的に発信する存在です。インフルエンサーに比べて及ぼす範囲は限定的ですが、企業にとっては「長期にわたって情報を発信できる」「コアなファンを醸成できる」などのメリットがあります。

アンバサダーマーケティングによる効果

マーケティングのイメージ

(出典) pixta.jp

企業にとって、アンバサダーによる宣伝活動はマーケティング戦略の1つです。具体的にどのような効果があるのか見ていきましょう。

ポジティブなPRを中長期的に行える

アンバサダーマーケティングには、ポジティブな情報を発信できるというメリットがあります。

熱心なファンが発信することによって、これまで自社の商品・サービスを知らなかった層にまで情報を届けられます。フォロワー数が多いアンバサダーなら、新しく獲得できる見込み客の数にも期待できるでしょう。

新たにファンとなった人が、次々と商品・サービスに関する情報を発信していけば、認知度・好感度がさらに高まるという好循環も生まれます。企業が大々的に宣伝活動を行わなくても、質の高いPRを中長期的に行える点が大きな魅力です。

有益なフィードバックが集まる

自社にとって有益なフィードバックが集まるのも、メリットの1つです。自社商品・サービスの熱心なユーザーであるアンバサダーからは、一般的なアンケートの回答より具体的かつ深掘りされた意見を得られます。

顧客目線に立った意見なので、提供する側の立場では分からないことに気付けるのが利点です。単に「よかった」「悪かった」だけでなく、具体的な改良点なども指摘してくれるので、商品・サービスのブラッシュアップに役立ちます。

また、アンバサダーの発信に対するコメントにもポジティブ・ネガティブを含めた本音が集まるため、重要な情報源として活用できます。

リアルな口コミとしてPRできる

商品・サービスのターゲット層に近い属性のアンバサダーを起用すると、消費者にリアルな口コミとしてPRできるのも利点です。ポジティブな口コミを発信しても、企業とは関係のない第三者のフラットな意見として受け取ってもらえます。

そのため新規顧客だけでなく、既存顧客の共感も得やすいのが特徴です。また、熱心なファンによる自発的な発信なので、広告臭を出さずにブランドイメージを上げられるというメリットもあります。

押し売りされているという感覚を消費者に与えず、購買行動へと自然に促せるのが魅力といえるでしょう。

アンバサダーの報酬形態

電卓とお札

(出典) pixta.jp

アンバサダーの報酬形態は、特典方式と報酬方式の2種類です。それぞれの方式について解説します。

特典方式

特典方式は、アンバサダー活動の報酬として、金銭の代わりに商品・サービスなどの特典を支給するものです。商品が定期的に届いたり、イベントなどに招待されたりと、特典の内容はケースによって異なります。

既存商品だけでなく、未発売商品の無料支給・先行購入権をもらえる場合もあります。例えば飲食関係の企業なら、新商品のレシピを企画する場・試食会に招待されるといったケースもあるでしょう。

商品・サービスを提供されたリターンとして、フィードバックを求められる場合もあります。

報酬方式

報酬方式は、決められた計算方法に基づいて報酬が支払われるものです。報酬は毎月定額で支払われるのが一般的で、金額はフォロワー数によっても異なります。

1契約あたりの相場は5~20万円といわれていますが、この金額より上回ったり下回ったりなど、企業によってさまざまです。また、企業への貢献度合いに応じ、成功報酬として支払われるケースもあります。

ブランドアンバサダーとなる場合は、3~6カ月ほどの試用期間が設けられており、実績によって継続するか判断されるのが一般的です。試用期間中は無報酬の企業もあるので、事前に確認しておくのが重要といえます。

アンバサダーに必要な条件は?

インフルエンサー

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アンバサダーになるには、どのような条件が必要なのでしょうか?具体的な条件を4つ挙げて解説します。

SNSでのエンゲージメント率が高い

SNSのフォロワー数やエンゲージメント率が高いと、企業から選ばれやすいでしょう。アンバサダーは、インフルエンサーほどフォロワー数を重視されないとはいえ、ある程度の人数は必要です。

例えば、フォロワー数が10人より1,000人いるアンバサダーの方が、影響を及ぼせる範囲は広がります。ただし、ただフォロワー数を増やせばよいわけでもありません。

10万人のフォロワーがいて「いいね」の数が100人の人より、フォロワー数が1万人でも「いいね」が1,000人付いている人の方がエンゲージメント率は高く、アンバサダーに選ばれる可能性は高いでしょう。

確立されたキャラクターがある

アンバサダーを目指すなら、独自のキャラクターを確立させておきましょう。数多くのユーザーの中からアンバサダーとして選ばれるためには、企業の目に留まるような個性の強さも必要です。

個性が強いといっても、奇抜なことばかりをするわけではありません。あくまでも、ほかのユーザーとは違う強みがあるということです。

例えば、独自の視点からのコメント・発信が多く、ファンも多数いるカリスマ性のあるキャラクターなどは理想でしょう。アンバサダーとなる企業の代表として、ふさわしい個性を打ち出すことも大切です。

企業・ブランドへの共感が深い

アンバサダーを務めたい企業・ブランドに対する、共感の深さも大事なポイントです。企業側は、自社の商品・サービスのターゲット層にマッチした人物を、アンバサダーに選びたいと考えています。

例えばスポーツブランドであれば、スポーツに興味があることがアンバサダーの条件として必須です。スポーツにまったく関心のない人が、スポーツブランドの商品をPRしても説得力がありません。

ほかにも、アパレルブランドのアンバサダーになりたいなら、日頃からファッションに関する発信に力を入れるなど、企業・ブランドと親和性を持たせておくことが大切です。

不適切な投稿をしていない

SNSで不適切な投稿をしないように注意しましょう。アンバサダーには、ネットリテラシーも求められます。フェイク・デマなどを投稿しないのはもちろん、拡散に加担しないことも重要です。

炎上しそうな内容を発信しないよう、投稿に配慮する必要もあります。自分がファンのブランドの競合に対して、ブランドイメージを損なうような書き込みも厳禁です。

また、複数ブランドの商品をPRしている投稿が多い場合も、アンバサダーとしては避けられる可能性があります。

アンバサダーにあるとよいスキルとは?

打ち合わせをする女性たち

(出典) pixta.jp

アンバサダーになるには、コミュニケーション能力・マーケティングに関する知識も身に付けておくのがおすすめです。それぞれのスキルについて、具体的に説明します。

コミュニケーション能力

不特定多数の人に向けて情報を発信するアンバサダーにとって、コミュニケーション能力は不可欠です。アンバサダーには、ブランド・商品の価値を多くの人に伝えることが期待されています。いわば、企業と消費者との間の橋渡し役ともいえるでしょう。

アンバサダーの伝え方・コミュニケーションの取り方によっては、ブランド・商品の特徴が正しく伝わらない可能性もあります。ブランドの価値・商品の魅力をしっかり伝えるには、丁寧かつ積極的にコミュニケーションできるスキルが必要です。

マーケティングに関する知識

アンバサダーになるにあたり、マーケティング知識が必須とされることはありません。しかし、アンバサダーは企業のマーケティングの一環として起用される立場なので、基本的な知識を身に付けている方がベターです。

マーケティングに関する知識があれば、企業がどのような戦略を立てているのか理解する上で役立ちます。

また、消費者への発信方法や、ほかのファンとのコミュニケーションにおいても、マーケティングを意識することでより効果的な手段を選べるでしょう。

アンバサダーになる方法は?

スマホを見る女性

(出典) pixta.jp

アンバサダーになるには、主に3つの方法があります。詳しく見ていきましょう。

アンバサダーになりたい企業を探す

SNSなどで、アンバサダーになりたい企業を探しましょう。企業を探すときは、自分の価値観・関心と一致しているかどうかを基準にすることが重要です。

例えば、お気に入りの商品・サービスを提供している企業や、自分が関心のあるジャンルに関するブランドから選ぶとよいでしょう。

Instagramなどで、自社の商品を認知しているユーザーに向けて、アンバサダー募集の広告を出している企業が見つかるケースもあります。興味のある企業を3~4社ほど絞ったら、それぞれの企業が求めるアンバサダーのイメージを研究しましょう。

アンバサダーの求人に応募する

アンバサダーを募集している企業を見つけたら、求人に応募してみましょう。SNSで「アンバサダー募集」と検索すると、募集している企業の投稿が出てきます。

採用されやすくするためには、企業が求めるアンバサダーのイメージに合うようなアカウントを、作っておくことがポイントです。

ブランドアンバサダーを狙うなら、企業が開催しているプロモーションイベントなどに参加して、担当者に直接アピールする方法も効果があります。

自分が好きなことを発信する

アンバサダーに選出されやすくするためには、日頃から自分の好きなもの・興味のあるジャンルについて、発信し続けることも大切です。

SNSのアカウントのプロフィールに書いておいたり、Instagramのストーリーズにアップしてハイライトに残しておいたりと、さまざまな方法を試してみましょう。

フォロワー数を増やしたり、エンゲージメント率を高めたりなどの下準備をしておくことも必要です。発信を続けていると、親和性のある企業からアンバサダーを打診される可能性もあるでしょう。

アンバサダーは企業にとってのプロモーター

SNSのイメージ

(出典) pixta.jp

アンバサダーは、企業のマーケティング戦略にとって重要な存在です。企業・ブランドそのものの熱心なファンであるアンバサダーは、ただ単に商品の魅力を宣伝するだけでなく、企業・ブランドの社会的な価値を上げる役割としても期待されています。

自分の好きなブランドのアンバサダーになるのは、ファンにとっても大きなやりがいといえます。求人検索エンジン「スタンバイ」には、アンバサダーの募集も掲載されているので活用してみましょう。

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