CTOとはどんな仕事?必要な能力や仕事内容を詳しく解説

企業のIT化やDX推進の動きを受け、近年はCTOを置く企業が増えています。CTOについて詳しく知ることで、目指す際にどのようなことを意識すればいいのか分かるでしょう。CTOの意味や仕事内容、キャリアアップの方法について解説します。

CTOとは?

タブレットを操作する男性

(出典) pixta.jp

CTOはCEOやCOOなどと並び、企業を経営を統括する立場にある役職です。まずは、CTOの意味と責任領域を理解しておきましょう。

最高技術責任者を意味する言葉

CTOとは、「Chief Technical Officer」または「Chief Technology Officer」の頭文字を取った略称です。日本語では一般的に「最高技術責任者」と呼ばれます。

企業のテクノロジーに関する領域を統括する役職であり、専門的な知識やスキルを要する部門のトップに位置付けられるポジションです。アメリカで誕生し、近年は外資系企業やスタートアップを中心に、CTOを導入するケースが増えています。

日本の会社法で定められている役職ではなく、定義もあいまいなのが実情です。企業への配置が義務付けられている役職でもありません。責任領域や仕事内容も、企業により大きく異なります。

企業規模の違いによるCTOの責任領域

大規模・中規模企業のCTOは、責任領域が大きい取締役クラスのポジションに位置付けられます。技術部門のトップとして現場をまとめたり、技術面における重要な意思決定を行ったりするのが主な役割です。

一方、小規模企業やスタートアップでは、CTOと現場の距離が近くなります。大規模・中規模企業に比べて責任領域は狭く、プレイングマネージャーとして業務を担ったり、採用担当として面接や選考を行ったりするケースもあります。

このように、CTOの責任領域や役割は一般的に企業規模で異なります。小規模企業やスタートアップの場合、CTOの責任領域は企業の成長度合いや事業内容の変化により変化する場合があるため、柔軟に立ち回れる能力が必要です。

CTOの仕事内容

打ち合わせの様子

(出典) pixta.jp

企業のテクノロジー領域を統括するCTOには、さまざまな役割が求められます。具体的な仕事内容を見ていきましょう。

テクノロジーに関する意思決定

企業におけるCTOの大きな役割の1つとして、テクノロジーに関する意思決定を行うことが挙げられます。自社の目標を達成するためのテクノロジーを選択し、事業の推進や業務改善を図る役割があるのです。

IT化やDX推進の動きが加速する近年において、テクノロジーを活用しないビジネスはないといっても過言ではありません。どのようなテクノロジーを用いれば自社を成長させられるのか、CTOが責任を持って選択しなければならないのです。

テクノロジーの選択だけでなく、CTOはテクノロジーを自社に浸透させる役割も担っています。常に市場の動向をチェックし、最新のテクノロジーについて理解しておくことも重要です。

技術戦略、技術経営の方針決定

経営陣としての立場から技術戦略や技術経営の方針を決定することも、CTOの重要な仕事です。企業の目標を達成するために、技術面から経営をサポートする役割があります。

技術戦略や技術経営の方針を決定することで、技術的な知識を活用した研究開発の成果を製品に結び付け、その製品が経済的な価値を生み出すことが期待されます。

企業がイノベーションを起こすためには、新たな考え方や技術を取り入れなければなりません。CTOが決定した方針次第では、新たな価値を持つ製品が誕生する可能性もあるのです。

開発チームのマネジメント

小規模企業やスタートアップでは、CTOが開発チームのマネジメントを行うケースもあります。クライアントとの折衝業務やプロジェクトの進捗管理などが主な業務です。

開発チームのマネジメントにおいては、チームをまとめるリーダーシップが求められます。各メンバーとの信頼関係を構築するためのコミュニケーション能力も不可欠です。

小規模企業やスタートアップで開発チームのマネジメントを行うCTOは、企業が成長して規模が大きくなるにつれて、企業全体の統括へと役割がシフトしていきます。

エンジニアの採用や教育

小規模企業やスタートアップのCTOは、エンジニアの採用に関わる場合もあります。採用方針を策定して人事部に伝えたり、CTO自らが面接官になったりするのです。

CTOがエンジニアの採用に関わる場合は、開発チームの状況を詳細に把握しておく必要があります。自社に不足している技術やチームバランスが分かっていれば、適切な人材を採用できるためです。

CTOが採用後のエンジニア教育に携わるケースもあります。小規模企業やスタートアップのCTOには、開発チームのスキルを向上させる役割も求められるでしょう。

CTOに必要なスキル

ノートパソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

テクノロジー部門を統括する立場にあるCTOには、さまざまなスキルを求められます。CTOに必要なスキルを理解し、自分に適した役職かどうか判断する際の参考にしましょう。

技術や知識と運用スキル

技術部門のトップであるCTOには、技術に関する豊富な知識や経験が不可欠です。自らプレイヤーとして現場で働く場合もあるため、技術者としてのスキルも求められます。

統括者としてのCTOには、技術を適切に運用するためのスキルも欠かせません。技術をどのように活用すれば利益を最大化できるのか、多角的に判断できる能力が必要です。

優れた知識や運用スキルが備わったCTOが技術部門を統括すれば、現場も納得感を持って業務を進められます。CTOに求められる知識やスキルの幅は、エンジニアに求められるものよりも幅広いと考えましょう。

柔軟な対応力

CTOに求められる能力としては、柔軟な対応力も挙げられます。テクノロジーの領域は日々進化しており、意思決定権を持つCTOには変化に対応できる柔軟性が不可欠なのです。

経営陣が固定観念にとらわれていると、過度なこだわりが自らの選択肢を狭める結果にもなりかねません。柔軟に対応できない姿勢により、売り上げ向上のチャンスを逃してしまう恐れがあります。

常に最新の情報を収集し、時代に合った技術を選定することは、CTOに求められる重要な役割の1つです。自らの考え方や価値観も、時代の変化に対して柔軟に変えていく必要があります。

マネジメント能力

小規模企業やスタートアップのCTOには、開発チームのマネジメントも任されます。チームの業務を円滑に進めるためには、優れたマネジメント能力や豊富な経営スキルが不可欠です。

チームのマネジメント業務では、クライアントとの折衝やプロジェクトの進捗管理、人員配置などを行います。業務効率の改善を図るための仕組みを考えることも重要です。

プロセス管理やチームビルディングに関する知識を持っていれば、これらの業務をスムーズに行えるでしょう。マネジメント能力は物事を経営者視点で判断する際にも役立ちます。

チームをまとめるリーダーシップ

技術力や思考力だけでなく、CTOには人間力も求められます。中でも最も重要なスキルが、メンバーをまとめて正しい方向に導くためのリーダーシップです。

チームのパフォーマンスを最大化するためには、各メンバーの協力が欠かせません。トップダウンによる一方的な指示ではなく、双方向のコミュニケーションによりメンバーとの信頼関係を構築できるリーダーシップを発揮することが重要です。

メンバーとの良好な信頼関係を構築できれば、チーム全体が同じ方向を向いて業務に取り組めます。メンバーが困ったときにも相談してもらいやすくなるため、問題が少ないチーム環境をつくれるでしょう。

CTOへのキャリアパスの例

エンジニアの男性

(出典) pixta.jp

CTOになるためのキャリアパスの例を紹介します。自分に合ったやり方でCTOを目指しましょう。

エンジニアからCTOへ昇進

CTOになる方法の1つに、エンジニアからの昇進が挙げられます。自社でCTOになるには高い技術力や知識が必要になるほか、エンジニアをしながらさまざまなスキルを身に付けることも重要です。

エンジニアとして専門領域のみをスキルアップするだけでなく、マネジメント力やリーダーシップも磨く必要があります。経営に携わる能力を認められなければ、CTOへの昇進は難しいでしょう。

自社での昇進でCTOを目指す場合は、現職がCTOになった経緯を調べてみるのもおすすめです。一般論ではなく、社内昇進に必要なスキルや経験をピンポイントで把握できます。

転職でCTOに

社内での昇進によりCTOになるためには、ポストに空きがなければなりません。そもそもCTOのポストが用意されていないケースもあるでしょう。

自社でCTOになるのが困難な場合は、転職でCTOを目指すのも1つの方法です。入社後すぐにCTOになれる求人や、CTO候補として人材を募集している求人があります。

スタートアップが出しているCTOの求人は、採用のハードルが比較的低い傾向です。創業メンバーに比べCTOとしての適性が高い場合は、すぐにCTOに就任できるケースもあるでしょう。

会社を立ち上げてCTOに就任

社内昇進や転職でもCTOになるのが難しい場合は、起業を検討するのもおすすめです。志を同じくした仲間と会社を立ち上げれば、創業時からCTOのポストに就任できます。

自分で技術部門を好きなように育てていけることが、会社を立ち上げてCTOに就任するメリットです。チームが成長していき、会社の売上向上に貢献できれば、大きなやりがいを感じられます。

ただし、社内昇進や転職でCTOになるのに比べ、収入は不安定になる可能性もあるでしょう。自らも経営陣の1人であることを強く自覚し、目標に向かって努力し続けることが大切です。

企業を技術面から指揮するCTO

パソコン類を操作する男性

(出典) pixta.jp

CTOとは、企業を技術面から指揮する役職です。テクノロジーに関する意思決定や技術経営の方針決定を行うほか、チームのマネジメントや採用・教育に携わる場合もあります。

CTOに必要なスキルは、技術に関する高い知識・スキルや柔軟な対応力、マネジメント能力です。足りない能力を鍛え、自分に合った方法でCTOを目指してみましょう。

転職でCTOを目指すなら、スタンバイで求人を探すのがおすすめです。全国の求人が数多く掲載されているため、CTOとして働ける職場も見つけやすいでしょう。

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