歯科医師は医療従事者の1つとして人気がある職です。歯科医師を目指している人にとって、将来性は気になるものです。将来有望な歯科医師になるためにも、事前に周囲を取り巻く環境と将来有望な人材になるためのコツをチェックしておきましょう。
歯科医師の将来性が高いといえる理由
歯科医師の将来性が高い3つの理由を紹介します。歯科医師の需要が急激に減少する可能性は低く、将来有望な職の1つです。これから歯科医師として働き始める人でも、安心して働けます。
参考：歯の健康｜厚生労働省
健康管理に欠かせない職である
口腔内の健康管理や疾病の治療に欠かせない職が歯科医師です。虫歯や歯周病の治療だけではなく、予防歯科の分野でも重要な役割を果たします。
予防歯科に注力することで高齢者になったときも自分の歯を残して食事を楽しめるため、多くの人が注目している分野です。厚生労働省も口腔内の健康維持がQOLに大きく影響するため、歯を失うことを可能な限り予防することを啓発しています。
そのため、歯科医師は疾病の治療・健康管理の両面で欠かせない存在です。この需要が消失することは考えにくいといえます。
高齢化の進展で需要が高まると予想されている
多くの先進国で進行している少子高齢化も、歯科医師の需要を増大させる材料の1つです。その理由には、高齢者が発症しがちな疾病の一部を予防するために歯科が果たす役割が大きいと考えられていることがあります。
一例として、高齢者にありがちは誤嚥性肺炎を予防するには、虫歯や歯周病を予防して嚥下機能を高いレベルに維持することが必要です。虫歯や歯周病の予防は一人一人のケアも大切ですが、歯科医院でしか提供できない高度な口腔ケアも欠かせません。
高齢化に伴ってこの分野の需要も高まると考えられ、歯科医師の需要を増大させる要素の1つになるでしょう。
キャリアプランが豊富である
歯科医師としての経験を積むことで、さまざまなキャリアプランを実現できます。歯科診療所や大学病院に勤務して基本的なスキルや最新の治療技術を学び、自分のクリニックを構えることも可能です。
技術レベルを高めて自費診療のレベルを高める・予防歯科に特化するなど、方向性には多種多様なものがあります。
歯科医師の将来性に懸念をもたらす材料
需要が高い歯科医師ですが、将来性に懸念をもたらす材料もいくつか存在します。ここでは、主な懸念材料を2つ紹介します。これから歯科医師を目指す人は、以下の懸念点に適切に対処する必要があるでしょう。
歯科医師数が過剰であると指摘されている
歯科医師の数は年々増加しており、過剰であるという意見があります。歯科医師や歯科診療所の数が増えれば、互いに患者を奪い合うことにもつながりかねません。
上記の状況に陥ると、収益力が低下してクリニックの経営に大きな問題が発生することもあります。ただし、歯科医師の過不足は地域によって差があります。また、今後は需要に比べて歯科医師の数が不足すると考えられているため、過度に心配する必要はないでしょう。
人口減少に伴う需要の低下が考えられる
多くの先進国では高齢化が進行しており、それに伴う人口減少・歯科需要の低下が予想されています。人口が減少することで歯科診療所を受診する人が減れば、歯科医師の需要もその分低下すると考えられるでしょう。
しかし、人口減少に伴って引退する歯科医師の数も増え、歯科診療所の数が減少する可能性も考えられます。人口減少と歯科診療所の減少が同時に起これば、極端に需要が低下するリスクは低いといえるでしょう。
歯科医師が担当する主な分野
一言で歯科医師といっても、担当する分野はさまざまです。ここでは、多くの歯科医師が担当している4分野について詳しく紹介します。それぞれの分野でどのようなことを担当するのかをチェックしておきましょう。
一般歯科
多くの人が発症する一般的な疾病を治療したり、予防に取り組んだりするのが一般歯科です。一般歯科には以下の分野が含まれます。
- 虫歯の治療
- 歯周病の治療
- 定期検診の実施
- 根管治療の実施
- 歯痛の対応
- 入れ歯やインレーの作成
一般的な治療のほとんどが一般歯科に含まれることが分かるでしょう。定期検診や補修物用部材の製造も担当するため、幅広い業務に携わります。一般的なクリニックで歯科医師として働く場合、一般歯科が占める割合が大きくなるでしょう。
審美歯科
単純に治療するだけでなく、機能面と審美性の両面にフォーカスした治療を提供するのが審美歯科です。審美歯科には以下のようなメニューが含まれます。
- インプラント
- ホワイトニング・クリーニング
- ジルコニアインレー・クラインの作成
歯として求められる機能を回復するだけでなく、どのようにしたらより美しく、自然に仕上げられるかを考えるのが特徴です。審美歯科が担当する分野には高度な技術が必要なものもあり、担当する歯科医師にも高いレベルのスキルが求められます。
矯正歯科
矯正歯科では、歯列矯正やかみ合わせの治療を担当します。叢生（そうせい）をはじめとした不正咬合を治療したり、歯並びに異常がある部分を矯正したりするのが主な担当分野です。
不正咬合は虫歯や歯周病・食事の際の不自由につながるケースもあり、適切な治療が求められます。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正、セラミック矯正などのさまざまな矯正技術があり、状況に応じて適切な技術を用いることが大切です。矯正歯科も審美歯科と同様に自費診療の割合が高い分野といえます。
口腔外科
口腔内の疾病に対して、外科的処置で治療を試みるのが口腔外科の役割です。口腔外科が担当する主な疾病には以下のようなものがあります。
- 埋伏歯の抜歯
- 顎関節症の治療
- 腫瘍や嚢胞の摘出
特に下顎水平埋伏智歯など、親知らずに関連する疾患は頻繁に見られます。状況によっては骨を削ったり歯を割ったりするなど、さまざまな手法を用いて手術するのが特徴です。
さまざまな疾病に対応できるようになるためにも、歯科医師としてのキャリアを積みつつ口腔外科面でのスキルアップも意識するとよいでしょう。
将来性が高い歯科医師になるためのコツ
長期的に歯科医師として働くには、いくつかのポイントを意識することが大切です。ここでは、歯科医師としてキャリアアップするために覚えておきたい2つのポイントを解説します。自分が目指す道を明確に掲げ、常に意識することが大切です。
専門分野を確立する
ほかの歯科医師と差別化する方法の1つが、専門分野を確立することです。歯科医師には専門医制度が設けられており、その中には以下の分野が存在します。
- 歯周病専門医
- 小児歯科専門医
- 口腔外科専門医
- 歯科放射線専門医
- 歯科麻酔専門医
専門医を目指す過程では多くの経験を積んだり論文が認められたりすることが必要です。この過程で高度なスキルや知識を習得し、より高いレベルの歯科医療を提供できるようになります。歯科医師として差別化する以上の価値があるといえるでしょう。
スキルアップして開業を目指す
大学病院や総合病院・歯科診療所などで診療経験を積んだ後、開業するのも歯科医師としておすすめのキャリアです。開業することで年収アップを実現したり、特定の分野に特化したクリニックを開業できたりとさまざまなメリットがあります。
ただし、開業医として成功するには常に学習し続け、必要とされる医療を提供することが大切です。ほかにも、自分のクリニックに患者を集めるための活動に取り組む必要があるでしょう。
開業は魅力的な道の1つですが、歯科医師としてのスキルに加えて経営やマネタイズに関するスキルが求められます。
歯科医師の主なキャリアを紹介
歯科医師の主なキャリアを3つ紹介します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合ったキャリアを選択することが大切です。まずはどのキャリアに魅力を感じるかチェックしてみましょう。
総合病院や歯科診療所で勤務医を続ける
総合病院・大学病院・歯科診療所で勤務医として働き続けるのも1つのキャリアです。勤務医は開業医とは異なり、臨床に注力できるのがメリットといえます。臨床以外の活動に携わる必要がないため、経験を積んでスキルアップに励めるでしょう。
また、勤務時間も決まっているため、働き過ぎを防止してワークライフバランスを維持しやすくなります。一方、開業医のように大幅な年収アップを実現するのは難しいといえるでしょう。
自分のクリニックを開業する
一定期間勤務医として働いてスキルアップし、その後に自分のクリニックを開業するのも1つの選択肢です。自分のクリニックを構えることで、特定の分野に特化した医療を提供したり自費診療に特化したりするなど、独自性を出せるのは大きなメリットといえます。
ただし、開業するためのコストを負担する必要があり、集患するための活動にも注力しなければなりません。勤務医とは違って臨床にのみ注力していればよいというわけではないため、経営スキルが求められます。
働く時間も自分で管理することになるため、きちんと管理できないと過剰労働に陥りやすいのもデメリットです。
大学や研究機関で研究医として働く
歯科医療に関する技術を研究して最新の治療法を開発するなど、研究分野で活躍する歯科医師も存在します。研究医として働く場合は、大学や研究機関に所属することになるでしょう。
研究医として働く場合、臨床医とは異なり患者の治療に当たることより自分の研究を進めることがメインの業務です。論文の執筆も日常業務の一部に含まれます。
新技術や新症例の研究を通じて歯科医療の発展に貢献できる一方、臨床経験を積みにくいのがデメリットです。開業医のように大幅な年収アップを実現するのも難しくなるでしょう。
専門性を高めて将来有望な歯科医師を目指そう
歯科医師は将来性に懸念を抱く要素もあるものの、全体的に考えると将来有望な職の1つといえます。ただし、歯科医療の現場で長く活躍するには、継続的なスキルアップに励んで専門性を高めることが大切です。
日々の学習を欠かさなければ、将来性を過度に心配する必要はないでしょう。活躍できる分野も幅広く開業する道もあるため、自分に合ったキャリアを選択できます。
すでに歯科医師として活躍している人なら、転職によってキャリアアップを目指すのもおすすめの方法です。スタンバイでも歯科医師の求人を扱っているため、転職を検討している人はぜひ確認してみてください。
