管理栄養士の面接の流れと受け答えのポイントを解説。逆質問の例も

管理栄養士の採用面接は、一連の流れに沿って進みます。事前対策をしっかりと行い、面接官の質問にスムーズに答えられるように準備しておきましょう。面接官にチェックされやすい点や好印象を与える受け答えのコツ、逆質問の例を紹介します。

管理栄養士の面接の流れは?

管理栄養士のイメージ

(出典) pixta.jp

管理栄養士は、栄養学の知識に基づいて、栄養管理や栄養指導を行う職業です。活躍の場は幅広く、病院・学校・福祉施設・一般企業・スポーツ施設などでの就業が期待できます。管理栄養士の採用面接は、どのような流れで進むのでしょうか?

自己紹介

採用面接では、最初に自己紹介を求められるケースが多いでしょう。面接官は自己紹介を通じ、応募者のコミュニケーション力や人柄などを把握します。

伝えるべき情報は以下の通りです。時間の指定がなければ、30秒~1分程度で簡潔にまとめましょう。

  • 氏名
  • 簡単なプロフィール
  • 応募企業への意欲

注意したいのが、自己紹介と自己PRを混同しないようにするという点です。自己PRは強みや長所のアピールであり、自己紹介とは主旨が異なります。序盤で長々と自己PRをすると、質問の意図を理解していないと判断される可能性があります。

履歴書に基づいた質問

自己紹介の後は、履歴書に基づいた質問がなされます。履歴書に記載があっても、「退職理由(転職理由)」「志望動機」「自己PR」の3点は、高確率でされる質問です。以下の質問にきちんと答えられるように準備しましょう。

管理栄養士を目指したきっかけは何ですか?

転職を決めた経緯を教えてください。

数ある就職先の中でも、弊社を選んだのはなぜですか?

業務に関連して、あなたの強みを教えてください。

高齢化や健康志向の高まりから、管理栄養士の転職先は幅広い業界に広がっています。面接官の多くは、「数ある職場の中から、なぜ自社を選んだのか」を重視するため、明確な根拠を持って答えられるようにしておきましょう。

応募者からの逆質問

応募者から面接官への質問は「逆質問」と呼ばれます。やる気をアピールする絶好の機会なので、入社を想定した前向きな質問を考えましょう。

御社の食育ビジョンを拝見しました。管理栄養士としてビジョン実現に貢献したいと思っておりますが、どのようなスキルや知識が必要でしょうか?

一緒に働くメンバーは、どのようなキャリアの方が多いですか?

質問内容は自由ですが、Webサイトなどに記載がある内容や面接官が回答に困る内容、業務にまったく関連のない内容を質問すると、あまり良い印象を与えません。待遇や労働条件についても、面接官から聞かれるまでは質問しない方がよいでしょう。

好印象を与える受け答えをするには?

管理栄養士の仕事場のイメージ

(出典) pixta.jp

面接官は応募者の一挙手一投足に注目しているため、質問に対する回答だけでなく、声のトーンや姿勢、話し方にも注意を払う必要があります。好印象を与えるには、どのような受け答えを意識すればよいのでしょうか?

聞かれそうな質問の答えは準備しておく

聞かれそうな質問の答えは、事前に準備しておくのが鉄則です。緊張して言葉がしどろもどろになるのは仕方がありませんが、黙り込んでしまったり、的外れな回答をしてしまったりすると、「準備なしで臨んだのだろうか」とマイナス評価につながります。

管理栄養士の面接でよくある質問を以下にまとめました。質問内容を完全に予測することは不可能ですが、万全の準備ができていれば心に余裕が生まれ、自信を持って答えられるでしょう。

管理栄養士になったきっかけは何ですか?

調理経験はありますか?

学びが大きかった栄養指導はありますか?

どのような管理栄養士を目指していますか?

指導内容について、患者や利用者と意見が対立した際はどう対処しますか?

〇〇の症状がある患者の食事管理はどう行いますか?

初回の栄養指導で気を付けていることは何ですか?

結論から先に話す

面接での受け答えは、常に結論から先に話す癖をつけましょう。理由やエピソードが先になると、聞き手は話の着地点が予想できず、「結局何が言いたいのだろう?」と、もどかしい気持ちになります。

以下のような流れで回答するとよいでしょう。

  • 結論:質問に対する答え
  • 理由:答えに至った理由
  • 具体例:具体的なエピソード
  • 結論:最も伝えたいことを強調

質問をされた際は、背後に隠された意図をくみ取る必要があります。例えば、「調理経験はありますか?」という質問は、幅広く業務を任せられるかどうかをチェックしていると考えられます。

明るい声のトーンでにこやかに

面接では、話し方や表情もチェックされます。普段よりも明るい声のトーンを意識し、にこやかな表情で話しましょう。

管理栄養士は、患者や施設の利用者、他のスタッフとコミュニケーションを取る機会が多いため、小さな声でボソボソと話す人や無愛想な人、早口でまくし立てるように話す人は、マイナス評価につながりやすいといえます。

練習では、自分の声を録音したり、家族や友人に面接官役になってもらったりして、自分の声のトーンやボリューム、スピードを確認しましょう。

面接官は応募者のどこをチェックする?

面接をする女性

(出典) pixta.jp

面接では、「身だしなみ」「常識・マナー」「コミュニケーション力」は必ずといってよいほどチェックされます。プラス評価となるポイントを理解し、管理栄養士としてふさわしい人材であることをアピールしましょう。

身だしなみが整っているか

管理栄養士は、食事をする人の健康と安全を守るポジションです。徹底した衛生管理が求められるため、不潔さを感じさせる要素があると、それだけで評価が下がります。場合によっては、管理栄養士にふさわしくないとして採用を見送られるでしょう。

面接では、清潔感のある身だしなみを心掛ける必要があります。減点につながる要素は以下の通りです。

  • スーツやシャツの汚れやしわが目立つ
  • 靴が古くて汚い
  • 香水や柔軟剤、体臭などがきつい
  • 髪の毛がセットされていない
  • 爪が伸びている・あかがたまっている
  • 化粧やネイル、アクセサリーが派手

社会人としての常識・マナーを備えているか

栄養学の知識が豊富なことも大事ですが、それ以前に社会人としての常識やマナーを備えていることが求められます。

管理栄養士は日々さまざまな立場の人と接するため、相手の気持ちに寄り添える人、ルールやマナーをきちんと守れる人でなければ務まりません。常識がない人や自分本位な行動を取る人は、チームワークを乱します。

面接で以下のような行為があれば、社会人としての素質を疑われるでしょう。

  • あいさつができない
  • 敬語が使えない
  • 相手に敬意を払わない態度がある
  • 面接時間を守れない(遅刻時に連絡や謝罪がない)

コミュニケーション力の有無

管理栄養士は、医師や看護師と打ち合わせをしたり、スタッフに指示を出したりと、多くの人と関わり合いながら業務を遂行します。

コミュニケーション力や協調性を必要とされるポジションのため、面接でも円滑に意思疎通ができるかどうかがチェックされます。

とりわけ、会話のキャッチボールがテンポよくできる人や、質問の意図をくみ取って的確に答えられる人は、面接官に好印象を与えるでしょう。逆に以下のような人は、コミュニケーション力が低い、または苦手と見なされる可能性があります。

  • 質問に対する適切な答えができない
  • 聞かれていないことを延々と話す
  • 何を聞いても、「はい」「いいえ」しか答えない
  • 目を見て話さない

面接に臨む前にやっておくこと

履歴書と筆記用具

(出典) pixta.jp

事前準備なしで面接を突破できる人もいますが、大半の人は緊張で普段の力を存分に発揮できないのが現実です。少しでも平常心を保てるように、事前準備は万全に行いましょう。面接前に必ずやっておきたい内容を紹介します。

履歴書のコピーに目を通す

面接の質疑応答は、履歴書の内容に基づいて行われます。志望動機や退職理由が履歴書の内容と一致していないと、矛盾を指摘される可能性があるでしょう。

準備不足だけが原因で不合格になるケースは少ないですが、他の応募者に差をつけられてしまうのは明らかです。履歴書を提出する前に必ずコピーを取り、面接直前に目を通すようにしましょう。

面接時は履歴書の内容と矛盾がないことが前提ですが、内容を丸暗記する必要はありません。志望動機や自己PRを伝える際は、履歴書に書ききれなかったエピソードにも言及しましょう。

応募先の情報をチェックする

面接前に必ずやっておきたいのが、応募先の企業研究です。履歴書を作成する段階で、十分なリサーチをしている人が大半ですが、面接では一歩踏み込んだ会話が展開されます。

企業研究を十分にしていれば、「貴社は〇〇というビジョンを掲げていますが」などと切り込んで、面接官に志望度の高さをアピールできます。特に、事業内容・職務内容・組織風土は重点的にリサーチしましょう。

直近の業績だけを見るのではなく、その企業の沿革や創業者の思い、ビジョンにも目を通しておくことが大切です。分からない専門用語についても、事前に調べておきましょう。

管理栄養士の面接は事前準備で結果が決まる

管理栄養士のイメージ

(出典) pixta.jp

管理栄養士の面接がうまくいくかどうかは、事前準備にかかっているといってもよいでしょう。面接の質疑応答は履歴書の内容がベースです。あらかじめ話す内容を考えておけば、緊張しても言葉に詰まらずに済みます。

職業上、身だしなみの清潔感やマナーは厳しく評価されるため、鏡の前での最終チェックも忘れてはいけません。万全の準備で内定を勝ち取りましょう。

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池上淳子
【監修者】管理栄養士・美容食インストラクター®・美容栄養学専門士池上淳子

日本ビューティーヘルス協会 会長。栄養コンサルタント社 代表 。美容栄養学専門士資格認定講座を開設し美容栄養学のプロ育成に励んでいる。 また美容栄養学に留まらず、スポーツ栄養、高齢者向け、子ども向け、生活習慣病予防などその活動は多岐にわたり一般、行政関連の講演会などもこなし、数多くのテレビや雑誌などメディアにも多々出演。

HP:
https://eiyo-c.com

Instagram:
https://www.instagram.com/beautyfood.official/?hl=ja

著書:
「最高の美をつくる朝食メソッド」「美女をつくる足し算レシピ30」