性格診断における起業家タイプには、どのような強み・弱みがあるのでしょうか?自分の性格傾向を知り、仕事探しやキャリアプランニングに生かしましょう。起業家タイプが能力を発揮できる職業例や必要なスキル、目指す方法を解説します。
性格診断の「起業家(ESTP)」とは?
起業家(ESTP)とは、性格診断テスト「16Personalities」に登場する性格タイプの一種です。起業家タイプ(以下、起業家)を構成する5つの性格側面と16Personalitiesの概要を解説します。
起業家の5つの性格側面
16Personalitiesは、複数の質問に答えることで、その人の特性を16のタイプに分類する性格診断テストです。性格タイプは「ESTP-A」「ESTP-T」という、5文字のアルファベットで示されます。
最初の4文字は、性格のベースとなる要素です。起業家の「ESTP」は以下の頭文字を取ったもので、実際のテスト結果にはそれぞれの度合いが割合(%)で表示されます。
- Mind(心):外向的(E)
- Energy(エネルギー):観察的(S)
- Nature(自然):思考的(T)
- Tactics(戦術):将来を見据える(P)
起業家は、外向的でエネルギッシュです。抽象的な概念を論じるよりも、動きながら問題を解決することを好むでしょう。起業家タイプはさらに、「ESTP-A」と「ESTP-T」に区別されます。
「A」と「T」にはそれぞれ、以下のような特性があります。
- A(Assertive):自己主張が強く、ストレス耐性が高い
- T(Turbulent):敏感で完璧主義の傾向があり、ストレスに弱い
参考:Free personality test, type descriptions, relationship and career advice | 16Personalities
性格診断が「起業家(ESTP)」の性格傾向
性格タイプには、共通する性格傾向があります。傾向をしっかり理解すれば、自己成長のために自分をどう生かすべきかが分かるでしょう。仕事やビジネスにおいては、強みで弱みをカバーするという戦略も立てられます。
起業家には、どのような特徴があるのでしょうか?
起業家の強み
起業家は実用性を重視する行動派です。机上の空論ではなく、実践の中で問題を解決していく点が長所といえます。
仕事では、実用的なアイデアを見つけては活用方法を掘り下げ、今まで誰も思いも付かなかったオリジナルのソリューションを生み出します。自分に限界を設けず、大胆不敵な行動で自分の人生を切り開いていくでしょう。
社会的な交流やネットワーキクを活用する術を持っており、起業家を中心としたグループが自然と形成されていきます。観察眼と知覚力に優れ、周囲の変化や隠された動機を敏感に察知できるのも強みです。
起業家の弱み
起業家は、思い付いたことをすぐに行動に移すタイプです。知覚力と行動力の高さが評価される場面もありますが、状況によっては周囲に「せっかちな人」というイメージを与えます。
プロジェクトでは「木を見て森を見ず」の状態になりやすく、全体像を把握しないまま突っ走ってしまうかもしれません。ルールに従うのが苦手な上に、意図的にリスクを冒す傾向があるため、組織に予期せぬハプニングをもたらす可能性があるでしょう。
起業家は、感情よりも事実を優先します。歯に衣着せぬ物言いをしてしまう場合があり、周囲には「思いやりに欠けた人」と思われるかもしれません。相手の変化や隠された動機を察知しても、その場で質問やコメントをするのは避けた方がよいでしょう。
性格診断が「起業家(ESTP)」の仕事の特徴
性格傾向や強み・弱みを踏まえると、合う仕事と合わない仕事がクリアになります。「今の仕事にやりがいを感じられない」「周囲になじめない」という人は、自分の性格に合わない環境に身を置いていないか、チェックしましょう。
起業家に向いている職業
起業家の長所は「すぐに行動に移す能力」と「一瞬で何かに気付く能力」です。早急な問題解決が求められるシーンでは、起業家の能力が存分に生かされるでしょう。リスクやストレスに強く、緊迫した環境や競争環境にもうまく対応します。
部下として管理されるよりも、CEOやマネージャーといった管理職に就いた方がやりがいを見いだしやすいといえます。以下は、起業家に向いている職業の一例です。
- 管理職
- 販売
- 営業
- マーケティング
- 救急隊員
- 警察官
- アスリート
- コーチ
- ディレクター
起業家に向いていない職業
起業家は、規則やルールに従うのが苦手です。厳格に管理された環境下では、耐えられないほどの退屈さを感じます。安全・安定が約束された退屈なキャリアよりも、刺激的なキャリアを選ぶでしょう。以下は、起業家に向いていない職業の一例です。
- 会計担当者
- 調査員
- 事務員
- 司書
細部にこだわりすぎる仕事や単調なルーティーンワークには、あまり向いていません。順調にキャリアを重ねられる年功序列の会社よりも、個人の力で前進できる成果主義の職場が適しています。
性格診断が「起業家(ESTP)」の適職
起業家の多くには、リーダーの素質があります。瞬発力に優れ、人の小さな変化にも気づけるため、緊急性の高い仕事でも能力を発揮するでしょう。
起業家の適職といわれる「救急隊員」「クリエイティブディレクター」「営業職」「CEO(最高経営責任者)」について詳しく解説します。
救急救命士
救急救命士は、傷病者に救急救命処置を施す仕事です。ほとんどの救急救命士は消防機関に所属し、病院に到着するまでの救急車内で救護にあたります。
救急車に乗務する救急隊員は3人1組が基本で、3人のうち1人以上は救急救命士の資格保有者でなければなりません。
本来、医療行為は医師のみが行えますが、医師からの具体的な指示があった場合に限り、輸血や気管内チューブによる気道確保、薬剤投与などの特定行為が可能です。
救急救命士には、素早い判断と行動力が求められます。危機的状況に柔軟に対応できる起業家は、自分の能力を発揮できる可能性が高いでしょう。
参考:救急救命士 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
救急救命士に必要なスキル
救急救命士にとって最も重要なのは、「人の命を救いたい」という強い気持ちと責任感です。勤務は24時間体制で、要請があれば真夜中でも出動しなければなりません。健康で体力があり、ストレスに強いことが求められるでしょう。
救急車で運ばれる傷病者のほとんどは、一刻一秒を争う状態です。どんな状況下でも慌てることなく、冷静な判断と的確な処置ができる人でなければ、救急救命士は務まりません。
医師やほかの救急隊員と協力しながら救護活動を行うため、コミュニケーション能力が高く、かつチームワークでの作業が得意な人に適しています。
救急救命士のなり方
救急救命士になるには、「救急救命士国家試験」に合格する必要があります。試験は年1回で、基礎医学や臨床救急医学総論の知識・スキルが問われます。
救急救命士のほとんどは消防機関に所属するため、救急救命士国家試験に加えて「消防官採用試験(公務員試験)」にも合格しなければなりません。
実際のところ、採用後すぐに救急救命士として働く人は少なく、救急隊員としての実務経験を積んでから、救急救命士の国家資格に挑戦するのが一般的です。
クリエイティブディレクター
広告業界におけるクリエイティブディレクターは、広告制作現場の統括者です。企画を練ったり、クリエイターに指示を出したりして、プロジェクトが円滑に進むように現場を取り仕切ります。
プロジェクト進行・調整だけでなく、制作物の質を担保するのも重要な任務です。企画段階では、クライアントにヒアリングを行い、最も効果的な広告戦略を立案しなければなりません。
人の上に立つのが得意な起業家にとって、クリエイティブディレクターは適職です。持ち前の社交性とコミュニケーション力を発揮し、チームを引っ張っていくでしょう。
クリエイティブディレクターに必要なスキル
広告制作には、ライターやカメラマン、デザイナーなど、さまざまなクリエイターが関わります。プロジェクトには納期があるため、優れたマネジメントスキルが必要です。
クライアントとクリエイターの橋渡しを担う点において、調整力やコミュニケーション力も欠かせません。
広告は、製品やサービスを売るための戦略です。クライアントが求めるターゲット層に訴求するには、マーケティングスキルや分析力が求められるでしょう。企画を練り上げる上では、発想力や想像力も重要です。
クリエイティブディレクターのなり方
クリエイティブディレクターに必須の資格はありませんが、未経験者が就くケースはほとんどありません。クリエイターに指示を出し、よりよい広告を作り上げるためには、広告制作に関する豊富な知識と経験が必要です。
コピーライターやデザイナー、エンジニアとして自分のコアスキルを磨いた後、プロジェクトメンバーの一員として実務経験を積みます。下積み時代を経て、徐々にディレクターへとキャリアアップしていくのが一般的でしょう。
営業職
営業職は、自社の製品やサービスを顧客に売り込み、会社の利益につなげる職業です。顧客が抱える悩みや課題をヒアリングし、課題解決の提示とともに自社製品を提案します。
多くの会社では営業職の報酬にインセンティブを設けており、ノルマを達成すると基本給に一定の報酬が上乗せされます。頑張りや会社への貢献がしっかりと評価されるため、人によっては大きなやりがいを感じるでしょう。
起業家には、活力的で社交的な一面があります。競争環境にも強く、実用的なアイデアを考えてはすぐに行動に移すため、営業職に就けば優秀な成績を収めるかもしれません。
営業職に必要なスキル
営業職に就くには、高いコミュニケーション力と課題発見力が必要です。
コミュニケーション力は、顧客のニーズを理解する「傾聴力」や、自社の製品やサービスを分かりやすく伝える「プレゼン力」、聴覚や視覚に訴える「非言語コミュニケーションスキル」などによって成り立っています。
課題発見力とは、現状分析を通じて課題を明らかにするスキルです。顧客の潜在的な課題を発見できれば、商品やサービスの提案にうまくつなげられます。
そのほかに、顧客と良好な関係性を構築する能力や、合意を得るための交渉力も必要でしょう。言われたことだけをこなすのではなく、自分の考えで主体的に動く人材が求められます。
営業職のなり方
営業職に学歴や資格は必要ありません。営業職の求人に応募して、採用試験や面接を受けるのが一般的な流れです。
転職を少しでも有利に進めたいなら、業界知識を証明できる資格を取得しましょう。保険業界や金融業界なら、「ファイナンシャルプランナー(FP)」の資格があると重宝されます。
人材サービス業界・SaaS業界・不動産業界・保険業界などは、未経験者のポテンシャル採用が多い傾向があります。業界知識や営業の基礎、ビジネスマナーは、実務経験を積む中で自然と身に付くでしょう。
CEO(最高経営責任者)
CEOとは「Chief Executive Officer」の頭文字を取ったもので、日本語では最高経営責任者と訳されます。日本では、「CEO=代表取締役」とされる場合がありますが、同一のポジションではありません。
CEOは、米国型コーポレートガバナンスにおける執行役のトップです。米国では、企業の所有と経営(執行)が分離されており、取締役会(所有者)が執行役を任命します。
代表取締役は、日本の会社法に定められた役職の1つで、取締役会の代表者という位置付けです。
CEOは、企業の経営方針や事業戦略を策定し、組織全体を統率します。ヒト・モノ・カネ・情報をどこからどう集め、どのように活用するかを決定するのが役割です。
CEOに必要なスキル
CEOは経営のかじを取るポジションです。社会情勢や市場の変化を見据えながら、自社の価値を最大化する事業戦略を立てなければなりません。経営者の視点と優れたビジネスセンスがなければ、経営の屋台骨はあっという間に揺らいでしまいます。
かじ取り役には大きな責任が伴うため、メンタルの強さは欠かせません。自分の感情やストレスをうまくコントロールする術を身に付ける必要があるでしょう。
理想を追い続けるマインドや組織を強化するマネジメント力、変化への対応力も必要です。
CEOのなり方
CEOになる方法として、大きく「社内で昇進する」「自分で起業する」「転職する」の3つが挙げられます。
社内で昇進するルートは時間がかかりますが、CEOとしてのスキルを着実に積んでいけるのがメリットです。自社の事業への知見が深まる上、一緒に働くメンバーとの絆も深まります。
日本では、代表取締役がCEOを担うケースが珍しくありません。1人で会社を起業すれば、代表取締役兼CEOとなります。
米国では、CEOの転職が当たり前のように行われています。経営手腕が優れていれば、他の企業からのヘッドハンティングもあり得るでしょう。
自分の特性を知って転職を成功させよう
16Personalitiesの起業家タイプには、リーダー的な素質があります。鋭い観察眼や分析力があり、アイデアや考えをすぐに行動に移します。リスクや危機的状況にも強く、迅速な決断を必要とする場面でも、慌てふためく可能性が低いでしょう。
自分の性格傾向を知ると、仕事探しがしやすくなります。合う職場・合わない職場が明確になるため、仕事のストレスもたまりにくくなるはずです。性格診断の結果を基に、キャリアを見直してみるのもよいでしょう。
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