車掌になるにはどうすればよい?基本のルートと仕事内容も紹介

鉄道会社で働く車掌は、列車の運行管理や旅客案内を総合的に担当する仕事です。車掌になりたい場合、どのようなルートをたどればよいのでしょうか?車掌が担う主な仕事内容と鉄道会社に入社するまでの流れ、必要なスキルを紹介します。

車掌になるまでの主なルート

車掌

(出典) pixta.jp

鉄道会社に入社し、車掌になるまでには、どのようなキャリアを積むことになるのか紹介します。入社してすぐに車掌として働けるわけではないため、認識の誤りを防ぐために詳しくチェックしておきましょう。

鉄道会社に現業職として入社する

車掌として活躍するには、まず鉄道会社に入社する必要があります。鉄道会社の求人に応募する際には、現業職や列車乗務員候補という区分でエントリーしましょう。鉄道会社の求人は現業職以外にも、技術職・事務職などさまざまな区分があります。

技術職は、車両や電気設備、運行システムなどの設計・開発・保守を担当する職種です。事務職は、本社・各支社の事務所で事務作業を担当する職種で、車掌とはまったく異なる仕事に従事します。

鉄道会社の採用区分は細分化されているのが一般的であるため、エントリーする区分を間違えないように注意しましょう。

駅係員としてキャリアをスタートする

鉄道現業職として入社した場合、駅係員からキャリアをスタートするのがほとんどです。通常、駅係員は以下のような仕事を担当します。

  • 乗車券類の販売
  • 旅客案内
  • ホームの整理
  • 改札業務
  • 緊急事態への対応

多くの鉄道会社において、車掌になるまでには駅係員として上記の業務を2年程度担当するのが一般的です。

ホームの整理や信号の取り扱いなどで、車掌をはじめとした運行乗務員と連携する機会もあります。各鉄道会社が定めた期間、駅係員として働きながら必要な知識を培うことで、車掌になる道が開かれます。

車掌登用試験に合格する

運転士とは異なり、車掌になるために必須とされる資格はありません。とはいえ、鉄道運行に関する広範な知識やイレギュラーな事態への対応力など、さまざまなスキルが求められる職種です。

そのため、各鉄道会社は駅係員から車掌になる際に車掌登用試験を実施し、乗務員として求められるスキルを備えているか確認しています。

車掌登用試験に合格した後は、一定期間の研修を受けてから車掌として乗務を開始するのが一般的です。通常、座学研修と実際に乗務しながらの研修が行われます。

鉄道会社に現業職として入社するまでの流れ

ベルを押す車掌

(出典) pixta.jp

車掌になるための最初のステップは、鉄道会社に現業職として入社することです。ここでは、求人を探して応募し、選考を突破するまでの流れを紹介します。選考を突破する上で意識したいポイントも、併せてチェックしておきましょう。

入社したい鉄道会社に応募する

鉄道会社に入社しなければ、車掌としてのキャリアはスタートできません。まずは、鉄道会社の求人を探すところから始めましょう。

通える範囲にどのような鉄道会社があるのかをチェックし、それぞれの鉄道会社が現業職の求人を出しているかチェックします。

また、一口に鉄道会社といっても、特徴・営業スタイルはそれぞれ異なります。地下鉄のように通勤・通学輸送が主体の路線もあれば、都市間輸送が主体の路線、観光輸送が主体の路線などさまざまです。

鉄道会社の特徴を細かくリサーチし、自分が魅力を感じるところに応募しましょう。事前にしっかり調べておくことで、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。

書類選考・適性検査を受ける

求人に応募すると、最初に書類選考が行われるのが基本です。鉄道会社が求める応募書類を、指定された方法で提出します。書類選考に合格すると、次の段階の選考として適性検査が実施されるのが通常です。

現業職として鉄道会社に入社する場合、一般的に以下の適性検査が行われます。

  • 運転適性検査:内田クレペリン検査
  • 医学適性検査:視力・聴力・色覚検査

上記の適性検査に合格するために、効果的な対策は特にありません。特別な対策をしようとは思わず、前日は十分な睡眠を取って、万全のコンディションでチャレンジするよう意識しましょう。

面接試験を受ける

書類選考・適性検査の2つに合格すると、面接試験を受けることになります。面接試験で聞かれる主な質問は、以下の通りです。

  • 志望動機は何ですか
  • 簡潔に自己PRしてください
  • どのようなキャリアプランを想定していますか
  • 長所・短所は何ですか
  • シフト制の勤務に対応できますか

どこの企業でも聞かれる定番の質問から、鉄道会社ならではの質問までさまざまです。面接対策を進めるにあたり、数多く存在する鉄道会社の中から「応募先を選んだ理由」を、明確に伝えられるような回答を準備しておきましょう。

応募先以外の鉄道会社でも通用するような当たり障りのない内容では、入社したいという熱意を感じ取ってもらえません。

車掌の仕事内容は?

電車

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車掌は運行乗務員の1人で、主な仕事は運行管理と乗客対応の2種類に分けられます。それぞれ、どのような仕事内容なのでしょうか?

列車の運行管理

鉄道会社や担当する路線によってシステムに違いがあり、細かい仕事内容は異なるものの、車掌はおおむね以下の仕事を担当します。

  • 列車発着時のドア操作
  • 信号の確認
  • 遅延発生時の時間調整
  • 運転指令室とのコミュニケーション

乗務中は運転士と協力しながら、安全に列車を運行する上で必要な業務を遂行しなければなりません。運行中には、事故・トラブルといったイレギュラーな事態が発生する可能性もあるため、臨機応変な対応が求められます。

乗客への対応

乗務中に乗客対応を担当する機会もあります。通常、運行中の列車内において、乗客が問い合わせ・相談ができるのは車掌のみです。そのため、以下のような仕事を担当することになるでしょう。

  • 各種問い合わせへの対応
  • アナウンスの実施
  • 車内改札の実施
  • 乗車券類の販売や料金の精算
  • 緊急事態発生時の乗客誘導

通常時は基本的な乗客サービスを提供し、非常時は安全確保を担当する重要な職種です。安全・快適な輸送サービスを提供する上で、欠かせない存在といえるでしょう。

車掌に必要な能力もチェック

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最後に、車掌として活躍するのに必要なスキルを紹介します。これから車掌を目指して、鉄道会社に入社しようと考えている人は、普段から以下のスキルを培うように努力するとよいでしょう。

コミュニケーション能力

乗務中は運転士と連携して、列車を運行したり乗客対応を担当したりする都合上、十分なコミュニケーション能力が欠かせません。

特に、事故・非常事態などのトラブルが発生した際には、通常時より綿密なコミュニケーションが必要です。コミュニケーションエラーが重大なトラブルを招く可能性もあるため、常に正確なやりとりを意識しなければなりません。

ただし、コミュニケーション能力は一朝一夕で習得できるものではないため、転職前から意識してトレーニングするとよいでしょう。

冷静な判断力・集中力

列車を安全に運行するには、状況を判断して適切に対応する必要があります。トラブルが発生したときのように、非常時には特に重要です。そのためには、十分な判断力と集中力が欠かせません。

運行中は安全確認を担当するケースも多く、集中力が欠けていると大きな事故に発展するリスクが高まります。安全確保における車掌の責任は大きく、仕事に対する責任感も求められます。

これらのスキルも転職前から意識し、判断力・集中力を高めることを意識しておくとよいでしょう。

車掌になるなら鉄道会社への入社を目指そう

車掌

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車掌になるには、まず鉄道会社に入社することが必須です。必要なスキルを習得しながら求人を探し、エントリーするところから車掌への一歩が始まります。

一言で鉄道会社といっても、特徴は会社ごとに大きく異なるため、きちんと調査して自分に合ったところを選ぶことが大切です。併せて、普段から転職後に必要なスキルを習得するよう励むとよいでしょう。

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