3年目に転職を考えるのは甘え?「とりあえず3年働くべき」は本当か

近年は気軽に転職を選択する人が増えており、新卒で入社後、数年で転職する人も珍しくありません。一方で、入社後に「3年以上は働くべき」といった考えから、安易な転職は甘えだとする声もあります。入社後3年で転職を考えるのは、甘えなのでしょうか?

3年目の転職は甘えなのか?

考え事をする男性

(出典) pixta.jp

IT業界やアパレル業界など、さまざまな業界で転職は当たり前の選択肢になっていますが、同じ企業で3年以上は働くべきといった価値観を持つ人もいます。

必要ならば転職は問題ないと考える人でも、入社したら「とりあえず3年は働くべき」と考えていることも珍しくありません。

まずは、所属企業で3年以上働くべきと考える人が多い理由と、同じ企業で働き続けるメリット・デメリットを確認しておきましょう。

「とりあえず3年働け」といわれる理由

入社したら「とりあえず3年働け」といった考えを、多くの人が持っている理由としては、業務を問題なくこなせるようになり、企業に十分な価値を提供できるまで3年程度必要とされているためです。

当然、業界・業種や業務の内容などにより、必要な技能を身に付けるのに要する期間は異なります。しかし、一般的な感覚として、業務に精通して問題・課題を積極的に解決できるようになるまで、3年程度は必要と考える人が多い傾向にあります。

また、日本には「石の上にも三年」という有名なことわざがあるのも、3年の理由として大きいでしょう。つらくても3年間は我慢すれば、成功する可能性があるといった趣旨のことわざで、ビジネスシーンでもこの考え方を持っている人は少なくありません。

3年間働くメリット

同じ企業で3年間働くメリットとしては、必要な技能を身に付け、問題なく業務を進められるようになる点が挙げられます。3年間あれば仕事を通じて多くの経験ができ、さまざまな問題・課題を解決する力が養われるでしょう。

また、3年間で仕事の向き不向きを把握できるのもメリットです。仕事を始めて数カ月程度では、本当に目の前の仕事が自分に適しているか、強み・特性を発揮できるかを分かっていない人が多いのが実態です。

3年の間に多くの経験をすることで、本当に長く続けられる仕事か、自分なりに確認できます。加えて、十分な経験・スキルを身に付けていれば、転職の際にも役立つでしょう。

3年間働くデメリット

今の仕事よりも明確にやりたい仕事がある場合は、3年間は同じ職場で働くべきといった言葉に縛られると、時間を無駄にしてしまう可能性があります。

明らかに自分に合っていない仕事であり、いくら努力しても一向にパフォーマンスが上がらない場合なども、周囲に相談した上で早々に転職を検討した方がよいこともあるでしょう。

また、職場の人間関係が悪いなど、仕事をしているだけで過度なストレスがたまる環境では、長く働くことで体を壊してしまう恐れもあります。

3年目で転職を考えやすい理由

理由は人それぞれですが、入社後3年目で転職を考えやすい理由としては、仕事に慣れてマンネリ化を感じる人が多い点が挙げられます。

3年以上仕事を経験すれば、日常業務を問題なくこなせる上、たいていの問題も経験済みの人が多いでしょう。大きなトラブルに見舞われることもなく、安定して仕事を続けられますが、その状況に飽きてしまう人は少なくありません。

より自分に合った仕事があると考えたり、他にやりがいを感じる仕事をしたいと思ったりする人は多くいます。

「3年以上は働くべき」といった考え方を持っている人でも、実際に3年働いた結果、転職したいと感じる人もいるでしょう。3年を節目と考えて、転職に踏み切る人は珍しくありません。

転職が頭をよぎった際に考えること

会社員の足元

(出典) pixta.jp

3年目を転職の機会と考える人がいる一方で、仕事が自分に合わないと感じたら、早々に職場を変えるべきだと思っている人もいるでしょう。いずれの場合であっても、転職を思い立ったならば、以下の点をよく考えることが大切です。

転職しないと解決できない問題なのか

転職を検討する際には、今抱えている問題や感じている不満などが、転職をしなければ解決できないものか冷静に考える必要があります。

転職には、相応の時間と手間がかかるのに加えて、転職によって自分の理想的な環境を得られるとは限らないため、ある程度のリスクを許容しなければいけません。

今の職場で問題・悩みを解決できるならば、リスクを取らずに望む環境を実現できる可能性があります。部署の異動や担当業務の変更などで、状況を改善できないか考えてみましょう。

一方、現在の職場ではどうしても望む環境を実現できなかったり、他にやりたい仕事が明確にあったりするならば、転職を考えた方がよい可能性もあります。

自分のやりたいことが明確に説明できるか

自分のやりたいことや望んでいる状況などを、明確に説明できるか自問してみましょう。漠然と転職したいと考えているだけでは、転職後も同じような状況に悩んでしまう可能性があります。

事実、自分が転職したい理由をよく考えず、一時的な感情で決断してしまい、何度も職場を変えている人は珍しくありません。

転職することで自分がどうなりたいのか、どのようなキャリアを歩みたいかなど、明確に言葉で説明できるか確認することが大切です。転職したい理由が明らかで、それが妥当性のあるものならば、本格的に転職を考えるとよいでしょう。

転職を成功させるポイント

パソコンを操作する

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転職を成功させるには、以下のポイントも押さえておく必要があります。自己分析を徹底し、自分の強み・特性を理解した上で、転職を希望する業界・企業を研究しましょう。

自己分析を行う

まずは、しっかりと自己分析をして、自分の強み・弱み・特性・得意分野などを明らかにしましょう。これまでの経験・実績を振り返り、どのような仕事で力を発揮できるか把握することが重要です。

多くの人は、好きな仕事が得意とは限らないため、冷静に自分の仕事の実績や価値観などを照らし合わせながら、どの業界・業種に転職すればパフォーマンスを発揮できるか考えましょう。

また、自己分析を通じて「やりたくない仕事」も明確にできるので、消去法で進むべき道を明らかにするアプローチも可能です。

企業研究を行う

自己分析を通じて、転職したい業界・業種などを明らかにしたら、その業界・企業の研究を始めます。企業研究を徹底することで、入社後のミスマッチを防げます。

応募先の企業をよく調べずに転職に踏み切ってしまう人もいますが、たとえ転職できたとしても、転職前と同じような悩みを再び抱えるケースは少なくありません。

「転職したけれど、思ったような企業ではなかった」という事態を防ぐためにも、しっかりと企業研究を行いましょう。短期間で転職を繰り返すリスクを下げるためにも、重要なことです。

転職スケジュールを考えることもポイント

業界・企業の研究により、応募する企業が明確になったら、早めに転職の計画を立てておきましょう。

いつまでに転職をするのか、明確なスケジュールに落とし込むことが大事です。転職を決断しても、計画を立てないまま時間が過ぎてしまい、結局は転職を諦めてしまう人は少なくありません。

転職のスケジュールを明確にすれば、だらだらと長く転職活動を続ける事態を防げます。在職中に転職活動を終わらせるためにも、目標から逆算して具体的なスケジュールを立てるようにしましょう。

転職理由の伝え方もチェック

上司と部下

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転職を成功させるには、応募先でしっかりと転職の理由を伝えて、入社後に活躍できる点をアピールしなければいけません。応募書類を作成する場合や面接を受ける際には、以下のポイントを意識しましょう。

前向きな言葉・理由がおすすめ

多くの人が転職を決断する理由として、給与の高い職場を目指したり、キャリアアップを望んでいたりする点が挙げられます。

一方で、仕事内容に不満があったり、人間関係などネガティブな理由から仕事を辞めたいと感じたりして、転職を決断する人もいます。

たとえ転職の理由がネガティブなものでも、応募先に転職の理由を伝える際には、ポジティブな印象を与える言葉に言い換えることが大切です。

ネガティブな理由をダイレクトに伝えて、人事担当者に「すぐに辞めてしまうのでは?」と思われないように、表現には気を使いましょう。

前職の不満やネガティブな理由はNG

転職理由は、基本的にポジティブな理由にすることが重要ですが、ある程度は前職のネガティブな要素も伝えなければ、理由をうまく説明できないケースもあるでしょう。その場合でも、前職に対する不満・ネガティブな情報を並べ立てるのはNGです。

人事担当者は、「転職後も同じような不満・愚痴を言われるのではないか」と考え、その時点で採用を見送る恐れがあります。「すぐに周りのせいにする人」と思われる可能性もあるでしょう。

たとえ前職に不満があるとしても、どのように転職意欲につながり、応募先でどのような活躍ができるのかなど、ポジティブな要素を盛り込んで伝えることが大事です。

転職活動はいつ行うのがよいのか

会社員の足元

(出典) pixta.jp

転職活動を始める時期は、大きく在職中にスタートする場合と、現職を辞めてから始める場合があります。

それぞれのメリット・デメリットを押さえておきましょう。基本的には、経済的な安定を担保しつつ、余裕を持った活動をするために、在職中に活動を始めるのがおすすめです。

在職中に行うメリット・デメリット

在職中に転職活動を始めるメリットとしては、まず職歴にブランクができず、スムーズに転職できる点が挙げられます。職歴に一定期間のブランクがあると、応募先の人事担当者は理由が気になり、良い印象を抱かない可能性があります。

一方、在職中に転職活動をしていれば、不要な疑念を持たれることなく、転職の理由やこれまでの実績などから、正当に評価してもらえるでしょう。収入源が確保できていれば、経済的に安定したまま転職活動を続けられるのもメリットです。

しかし、働きながら転職活動をすることになるため、時間の捻出が難しい点がデメリットです。現職の仕事の状況によっては、なかなか転職活動に時間を割けない場合もあるでしょう。両者をうまく調整するため、事前に入念な計画を立てることが大事です。

現職を辞めてから行うメリット・デメリット

現職を辞めてから転職活動を始める場合、ほとんどの時間を転職活動に注力できるのがメリットです。これまでの仕事が忙しく、時間に余裕がなかった人は、良いリフレッシュ期間としても活用できるでしょう。

一方で、すでに仕事を辞めているため収入がなく、経済的な不安を抱えながら活動することになります。転職活動は必ず成功するとは限らず、すぐに仕事が見つからない可能性もあります。

活動が長期化した場合、経済的な不安から、不本意な転職先に決めてしまうケースもあるでしょう。仕事を辞めてから転職活動を始めたい人は、事前に十分な貯蓄をしたり、副業を始めたりして、経済的な不安をなくしておくことが重要です。

転職で失敗しやすい考え方や行動

悩む女性社員

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転職活動を成功させるためには、以下の点にも注意しなければいけません。転職に失敗しやすい考え方や行動をしていないか、この機会に自分を見つめ直してみましょう。

自分は悪くないと思っている

他責思考が強く、自分は悪くないと思いがちな人は、仕事で問題・トラブルが発生した際に、うまく解決ができない傾向にあります。

ささいな原因で不満を感じやすく、自己解決ができないため、たとえ転職で環境を変えても、同じような不満・憤りを感じる可能性が高いでしょう。

結果として安易な転職を繰り返すことになり、理想的な職場で働くのはもちろん、ビジネスパーソンとして十分な経験・スキルを積むこともできなくなります。経験・スキルをうまく積めなければ、転職自体も難しくなってしまうでしょう。

転職が目的になっている

転職をして何がしたいかなど、自分の中で明確な目的がない人も、転職で失敗しがちです。現状に不満はあるものの、具体的にどのようなもので、何をすれば解決できるか分からない状態の人は、転職をしても再度同じ状況に置かれる可能性があります。

現状から逃れるため、漠然と「転職すればうまくいく」と考えてしまう人もいますが、本来転職は手段であって目的ではありません。

人間は手段が目的化すると、同じ行動を繰り返してしまう傾向にあります。不毛な転職を繰り返さないために、まずは目的を明確にしましょう。転職しなければ解決できない問題かどうか、まずは慎重に検討してみることが重要です。

転職先をしっかり調べない

企業をよく調べず、イメージだけで応募してしまう人もいます。情報収集を怠ると、業界・企業の良い面だけに注目して、応募先を選ぶ可能性が高くなります。

その結果、転職後にミスマッチが発生して後悔する可能性があるので、十分に注意しなければいけません。

事前に転職したい業界を入念に調査し、本当に自分に合った仕事ができるか考えてみましょう。その上で、応募するべき企業を慎重に決めるようにします。

業界紙や代表的な企業などを調査すれば、その業界の特徴・労働環境などをある程度は把握できるでしょう。具体的な企業研究には、当該企業の公式サイトやオウンドメディアはもちろん、SNSなどで発信している情報も役立ちます。

その企業で働いている人に、話を聞くのもおすすめです。転職してから後悔しないためにも、しっかりと調査をしておきましょう。

転職は年数より目的を明確にすることが重要

屋外の会社員

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多くの人は「とりあえず3年働く」といった価値観を持っており、それが正しい場合もあれば、状況によっては早々に転職を決断した方がよい場合もあります。

安易な転職は失敗する可能性が高いので、周囲に相談しつつ、転職以外で状況を改善できないかも考えてみましょう。勤続年数を意識するよりも、自分の置かれた状況を冷静に分析して、転職が妥当か慎重に判断する必要があります。

転職を決断したら早めに計画を立てて、具体的なスケジュールに落とし込みましょう。転職活動は、現職を辞めてから始める方法もありますが、経済的な安定を考慮すれば在職中の活動がおすすめです。

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