管理職がストレスを感じる原因は?解消方法や必要な対策について解説

管理職になってからストレスが増えたという人は多いかもしれません。ストレスを抱えながら仕事を続けると、パフォーマンスやメンタルにさまざまな悪影響を及ぼすため、速やかな対処が必要です。ストレスの主な要因や、必要な対策について解説します。

管理職のストレスの主な要因

上司のイメージ

(出典) pixta.jp

管理職はどのようなことにストレスを感じるのでしょうか。主な要因を4つ挙げて解説します。

やるべき業務が多い

こなさなければならない業務が多いことにストレスを感じる管理職は多くいます。自分の業務だけでなく、部下のフォローや組織全体のマネジメントも管理職の仕事です。

上司から急に仕事を振られ、結果的に労働時間が増えてしまうこともあるでしょう。また、近年の働き方改革によって、仕事の負担が増えた管理職も少なくありません。

部下の有給休暇取得の把握や調整などの業務が増えたほか、リモートワークの導入によるマネジメントの多様化の必要性なども、ストレスが蓄積される要因となっています。

部下が思うように育たない

部下の育成が思うようにいかないことがストレスになる管理職もいます。部下が成長できないのは、自分の力不足ではないかと感じてしまうためです。

部下の性格やスキルによって指導方法が異なるため、適切に指示したつもりでも伝わっていないということもあるかもしれません。

また、今は厳しい指導はパワハラになる可能性もあり、従来の方法が通用しないケースも多いでしょう。自分が若手だった頃とは違った価値観の中で働く部下に対し、どう指導してよいか悩む管理職は少なくありません。

上層部と部下の板挟みになる

上層部と部下の板挟みで頭を抱える人もいるでしょう。会社の経営理念や戦略などを部下に分かりやすく伝えることも管理職の仕事の1つです。

経営層からの要求に対しては、結果を出すことが求められます。たとえ部下が未熟で目標を達成できなかったとしても、責任を問われるのは管理職です。

また、会社のやり方に不満を持つ組織のメンバーから反発されたり、上司や部下と性格が合わず気疲れしたりすることもあります。ギクシャクする人間関係にストレスを感じてしまうかもしれません。

仕事に対する評価が見合わない

仕事に対する評価に不満を持つ人もいます。業務量が増えて残業が多くなったとしても、管理職には手当が支給されないのが一般的です。

どれだけ長時間働いても給与には反映されないため、収入が仕事内容に見合っていないというストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。

また、いくら頑張って成果を出しても、上のポジションに空きがなく昇進や昇格ができないこともあります。仕事の成果を正しく評価されないことに悩み、会社に対して不信感を持ってしまう人もいるかもしれません。

管理職がストレスを感じたときの解消法

パソコンを前に悩むビジネスマン

(出典) pixta.jp

仕事へのモチベーションやメンタルヘルスを良好に保ちながら管理職としての役割を果たすには、うまくストレスを解消していくことが大切です。おすすめのストレス解消法を3つ紹介します。

ある程度割り切って仕事をする

「うまくいかなくても仕方ない」と、ある程度割り切って仕事をすることが大切です。管理職だからといって、何もかも完璧にこなせるわけではありません。

管理職としての自分に自信がなくなっても罪悪感を持つのではなく、完璧にできる人はいないと考えて、できる範囲で努力することが大事です。足りないスキルがあると感じたときは、徐々に身に付けていけばよいでしょう。

上司や部下への気遣いに疲れてしまったら、単に価値観が違うだけだと受け流し、必要以上にコントロールしようとしないことです。

仕事以外の人間関係をつくる

仕事以外の場にも人間関係を広げ、視野を広く持つことも効果的です。1つの環境にいると、どうしても視野が狭くなってしまいます。社外にも人間関係を広げれば、悩んだときも自分では気付けないような解決策が浮かぶこともあるでしょう。

例えば、ビジネスパーソンが集まる社会人サークルなどに参加してみるのもよい方法です。仕事のしがらみのない人たちと付き合うことで、よい気分転換になります。

自分と同じように管理職の立場の人と知り合えれば、悩みを共有できるかもしれません。マネジメントについてのノウハウを高め合える可能性もあります。

仕事を1人で抱え込まない

1人で仕事を抱え込まないようにしましょう。部下にも適切に仕事を振り分け、自分の負担を軽くすることで、業務量の多さからくるストレスを軽減できます。

未熟なことを理由に仕事を振らず、自分で全てこなしてしまうと、部下も成長できません。少しずつ仕事を任せれば、部下自身の成長にもつながるため、育成できないというストレスも解消されていきます。

個々の部下が持つスキルを最大限活用して仕事を任せることによって、組織全体の強化も期待できるでしょう。

会社が取り組むべき管理職のストレスケア

シニアビジネスマンの横顔

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会社は、管理職をはじめ従業員のストレス状態を把握したり、適切なケアをしたりする必要があります。会社が取り組むべきストレスケアを見ていきましょう。

定期的にストレスチェックを実施する

2014年6月の労働安全衛生法の改正に伴い、2015年から企業に対して従業員のストレスチェックを実施することが義務化されました(労働安全衛生法第66条の10)。

従業員が常時50人以上いる事業所では、従業員のストレスチェックを年に1回以上実施しなければなりません。チェックの結果、何らかの対応が必要と判断された労働者には、医師による面接指導のほか、相談機関や専門医を紹介することもあります。

チェックを実施することによって、管理職が自分のストレス状態を把握できるだけでなく、職場環境を改善するきっかけにもなるでしょう。

出典:ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等|厚生労働省

労働安全衛生法 | e-Gov法令検索

メンタルヘルスに関する体制を整える

ストレスチェック制度以外にも、従業員のストレスをケアする体制を整えておくことが必要です。整備しておきたい主な体制には、「ラインケア」「産業医の選任」「外部の窓口への案内」の3つがあります。

  • ラインケア:管理職である上長によるケア。自分の部下である中間管理職が抱えている課題や悩みを把握し、アドバイスやサポートを行う。
  • 産業医の選任:50人以上の従業員がいる事業所では、専門的な立場からの指導や助言を行う産業医を選任し、従業員の健康管理を行わなければならない。
  • 外部の窓口への案内:社内での対応が難しい場合は、専門知識を持つ外部機関の相談窓口などを案内する。

管理職向けの研修を実施する

スキル不足に悩んでいる人に、管理職向けの研修を実施する方法もあります。プレイヤー時代に目覚ましい活躍を遂げた人が、管理職になっても優秀とは限りません。プレイヤーとは別のスキルが求められるためです。

必要なスキルを十分に身に付けないまま管理職としての仕事を遂行しようとすると、自分に対するプレッシャーやコンプレックスがストレスにつながる可能性があります。

管理職向けの研修では、部下を育成するスキル・コミュニケーションスキル・マネジメントスキルなどの習得が可能です。特に新任の管理職には必要といえるでしょう。

管理職がストレスに限界を感じたときの対策

悩むビジネスマン

(出典) pixta.jp

ストレス解消を試みてもうまくいかず限界を感じたときは、早急に対策することが必要です。管理職自身のメンタルヘルスに影響を及ぼす前に取りたい対策を3つ紹介します。

上司に相談する

まず、正直に上司に相談することが大切です。上司も組織内のリーダーとして、部下を管理する立場にあります。悩みを相談することによって、状況に理解を示してくれるでしょう。状況を理解してもらえる人に相談するだけで、気持ちが軽くなることもあります。

また、上司に正直に相談することで、組織内の課題などが浮き彫りになるケースも少なくありません。人員配置や業務負担などの組織的な問題があれば、権限のある立場から環境を改善してもらえる可能性もあります。

カウンセリングやコーチングを受けてみる

社内の人間に相談しにくいときは、カウンセリングやコーチングなど、社外の専門家に話を聞いてもらうのがおすすめです。管理職を対象としたカウセリングやコーチングなら、第三者の目線から適切なアドバイスをもらえる可能性もあります。

「自分には必要ない」「大げさにしたくない」という理由から、カウンセリングを選択肢に入れない人もいるかもしれません。しかし、誰かに話すことで気持ちが軽くなるだけでなく、自分自身の思考を整理するのにも役立ちます。

また、コーチングではコーチとの対話を通じて自分の内面に向き合えるため、本当にやりたいことなどに気付ける場合もあるでしょう。

限界を感じたら転職も視野に入れる

どのような対処方法を試してもストレスが解消されないときは、転職を視野に入れてみるのもよいでしょう。ストレスを抱えながら働くと、仕事のパフォーマンスが落ちるだけでなく、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼす恐れがあります。

責任感の強い人ほど、転職で職場を去ることに罪悪感を抱くかもしれません。しかし大切なのは、心身ともに良好な状態を保って働ける職場で、本来持っているパフォーマンスを発揮することです。

管理職の役割は職場によっても異なるので、転職で同じ役職に就いてもストレスから解放される可能性もあるでしょう。転職する際は、同じような状況に陥らないために、社風も含めた企業研究を入念に行うのがポイントです。

管理職のストレスが限界になる前に対策を

シニアビジネスマン

(出典) pixta.jp

管理職になると、やるべき業務も多くなります。仕事量の増加に伴って心理的な負担も大きくなり、ストレスを抱えてしまう人は少なくありません。管理職としての役割を完璧に果たそうと考えるほど、自分を追い込んでしまいます。

なるべくストレスを抱えないためには、ある程度割り切って部下に仕事を振ることも大切です。社内外の人に相談したり、カウンセリングなどを受けたりしてもストレスが解消されないときは、思い切って転職を検討してみるのもよいでしょう。

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