中学生はバイトできる?許可を受けてできる仕事や注意点を解説

中学生が、バイトとして働ける仕事はあるのでしょうか?法律では原則として認められていませんが、許可を受ければ例外として働けるケースもあります。中学生ができる仕事の種類や、バイトするに当たっての注意点などについて解説します。

中学生はバイトできる?

勉強する中学生

(出典) pixta.jp

中学生になると、親からもらうお小遣いだけでは足りないという人も出てくるかもしれません。中学生がバイトすることは原則として禁止されていますが、例外として働ける場合もあります。中学生のバイトに関して、詳しく見ていきましょう。

中学生は原則としてバイトできない

中学生のバイトは、基本的に認められていません。労働基準法第56条では、労働者の最低年齢について以下の通り定められています。

使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない

出典:労働基準法 第56条 | e-Gov法令検索

つまり、中学校を卒業したからといって、すぐにバイトできるわけではありません。3月31日までは労働できる最低年齢に当たらないため、バイトできるのは4月1日以降になります。

例外的にバイトできるケースもある

一定の条件を満たしていれば、中学生でもバイトできるケースがあります。労働基準法第56条第2項では、13歳以上の児童に対し、労働基準監督署長の許可を受ければ例外的に働くことを認めています。

とはいえ、どのような仕事でもできるわけではありません。中学生が例外的に働ける仕事は、以下の通りです。

  • 児童の福祉や健康に有害な影響を及ぼさず、労働が軽易なもの(製造業・建設業・運送業・旅館・飲食店・娯楽場などは認められない)
  • 映画制作・演劇に関する仕事

なお、映画制作・演劇に関する事業に関しては、満13歳以下の児童でも働くことが許可されています。

出典:労働基準法 第56条第2項 | e-Gov法令検索

中学生がバイトできる時間

義務教育期間に当たる中学生は、学業優先です。そのため、例外的に働ける場合でも、労働基準法第60条第2項によってバイトできる時間は制限されています。

中学生が働けるのは、学校に行っている時間を含めて「1日7時間・週40時間」までです。また、バイトできるのは修学時間以外となっており、原則として「午前5時から午後8時まで」と定められています。

ただし、厚生労働大臣が必要だと認めた場合は、地域や期間を限って「午前6時から午後9時まで」の労働が可能です(労働基準法第61条第5項)。

出典:労働基準法 第60条第2項、第61条第5項 | e-Gov法令検索

中学生でもできるバイトは?

新聞受け

(出典) pixta.jp

中学生でも、労働基準監督署長の許可を受ければ、軽易な労働や映画制作・演劇に関する仕事に限り、バイトすることが許されています。どのような仕事が該当するのか、確認しておきましょう。

新聞配達・牛乳配達

新聞配達・牛乳配達は、昔から中学生にも許可されていた仕事です。ただし、中学生の労働時間は朝5時から夜8時までと決められているため、夕刊の配達なら可能ということになります。

なお、求人サイトなどに中学生のバイト募集を掲載している販売店はほとんどありません。何らかの事情があってバイトしたい場合は、個別に問い合わせてみることが必要です。

仮に年齢を詐称して働いたとしても、身分証明書などを提出する必要があるので、必ずバレてしまいます。

芸能関係の子役・モデル

映画制作・演劇の仕事には、テレビ・映画・舞台などの子役や、雑誌のキッズモデルなどが該当します。芸能関係の仕事の場合、厚生労働大臣の許可があれば、夜9時までの労働が可能です。

さらに、子役やモデルの場合は、0歳から働くことも許可されています。子役やモデルとして働くには、子役専門の事務所・芸能プロダクションなどに所属することが必要です。

ただし、事務所・芸能プロダクションに所属しても、必ずしも仕事をもらえるとは限りません。また、事務所に所属するためのオーディションを受けたり、レッスン費用が発生したりするケースもあります。

中学生がバイトするには何が必要?

中学生

(出典) pixta.jp

中学生がバイトするには、どのような手続きが必要なのでしょうか?必要なことを3つ挙げて解説します。

親権者や後見人の同意を得る

親権者(親や祖父母など)、または後見人の同意を得ることが必要です。中学生をバイトとして雇う雇用主には、親権者もしくは後見人の同意書を事業所に保管しておくことが、義務付けられています(労働基準法第57条第2項)。

ただし、親権者や後見人が、本人に代わって労働契約を締結することは認められていません(労働基準法第58条)。また、バイトによって得た賃金は、本人のみが受け取れます(労働基準法第59条)。

出典:労働基準法 第57条第2項、第58条、第59条 | e-Gov法令検索

学校の許可を得る

必ず、学校の許可を得ておくことも必要です。そもそも、学校に内緒でバイトすることはできません。

中学生を雇う雇用主には、学業に差し支えないという学校長の証明書を保管しておくことも、義務付けられているためです(労働基準法第57条第2項)。

学業を優先しつつバイトを続けるためには、書類上の許可だけでなく、担任教諭なども含めて学校の理解を得る必要があるでしょう。

出典:労働基準法 第57条第2項 | e-Gov法令検索

所轄の労働基準監督署の許可を得る

中学生が例外的にバイトするには、労働基準監督署長の許可を受けることが条件となっています。

許可を受けるには、「本人の年齢を証明する戸籍証明書」「修学に差し支えないと証明する学校長の証明書」「親権者または後見人の同意書」を添えて、所轄の労働基準監督署に使用許可申請書を提出することが必要です。

使用許可申請書は、所轄の労働局のホームページなどから入手できます。

中学生がバイト以外で稼ぐには?

スマホを操作する男性

(出典) pixta.jp

必要な手続きや制限を考慮すると、中学生がバイトするのは現実的にハードルが高いといえます。それでは、中学生がお金を稼ぐにはどうすればよいのでしょうか?バイト以外で稼ぐ方法を3つ紹介します。

家の手伝いでお小遣いをもらう

中学生がお金を稼ぐなら、家の手伝いをするのが安全な方法といえます。親からバイトするのを許可してもらえない人も、家の手伝いをしてお小遣いをもらう方法なら、許してもらえる可能性があるでしょう。

中学生ができる手伝いには、料理の配膳や後片付け、洗濯・掃除などさまざまにあります。家の手伝いをして身に付けた家事のスキルは、将来一人暮らしをしたときに役立てることも可能です。

親が自営業の場合は、簡単な手伝いであればバイトと見なされないこともあります。ただし、自営業の手伝いは実子に限られ、他人の子どもはNGなので、友達を誘って一緒に手伝いをすることはできない点には注意しましょう。

フリマアプリで不用品を売る

フリマアプリを活用して、使わなくなった物品を販売するという方法もあります。親に聞いて、家の中の不用品を代わりに売るのもよいでしょう。

商品が売れたときは、発送するために梱包する手間がかかるほか、わずかな収入しか得られないケースも少なくありません。売れるまで時間がかかったり、結局売れなかったりするケースもあります。

しかし、ものを売る仕組みや難しさが分かるので、社会勉強の1つとして試してみるのもおすすめです。

ただし、アプリを活用した中古品の販売では、トラブルが起こる可能性もあります。自分が使わなくなったものだとしても、売る前には必ず親に確認するようにしましょう。

ポイントサイトやアンケートサイト

ポイントサイトやアンケートモニターを、活用するのもよい方法です。ポイントサイトでは、アプリをダウンロードしたり、サイトにアクセスしたりすることで独自のポイントを獲得でき、たまったポイントを換金してもらえます。

怪しいサイトに注意したり、ポイントがたまるまで地道に続けたりする必要がありますが、無料で利用できるサイトもあるので、中学生でも気軽に始められるでしょう。

また、企業が実施しているアンケートに回答することで、謝礼金をもらえるアンケートモニターもおすすめです。ただし、高額の謝礼がもらえる案件は倍率が高いなど、安定して収入を得にくいというデメリットもあります。

法律を守って稼ぐ方法を選択肢に入れよう

中学生男女の横顔

(出典) pixta.jp

「自分の進学費用を稼ぎたい」「お小遣いだけでは足りない」など、中学生がバイトをしたい理由はさまざまでしょう。しかし、原則として中学生がバイトすることは法律で禁止されています。

どうしても収入を得たいときは、所轄の労働基準監督署長の許可を受け、例外として労働できる基準を守りながら働く必要があります。または、家の手伝いやアプリの活用など、バイト以外で稼ぐ方法も選択肢に入れて考えてみましょう。