特定派遣は廃止?一般派遣との違いや派遣として働く際のポイントとは

2015年の労働者派遣法の改正で、「特定派遣」が廃止されました。現在の労働者派遣事業は許可制に一本化されており、事業者は許可申請が必要です。廃止された特定派遣と一般派遣との違いや、派遣として働く際のポイントを押さえておきましょう。

特定派遣・一般派遣の違い

デスクワークをする女性社員

(出典) pixta.jp

過去、派遣事業の形態として「特定派遣」と「一般派遣」の2種類がありました。2015年、法改正により特定派遣は廃止され、現在は一般派遣のみとなっています。まずは、特定派遣と一般派遣の違いについて知っておきましょう。

特定派遣の特徴

特定派遣とは、派遣元の企業と労働者が「期間の定めのない雇用契約」を結ぶ形態であり、派遣先での特定の業務を行うのが特徴です。この形態では、労働者は派遣元と無期限の常用型雇用契約を締結し、派遣先の企業で仕事をします。

特定労働者派遣事業では、労働者は派遣元企業に直接雇用され、一般の派遣とは異なり、雇用期間が無期限である点が特徴です。派遣先での仕事が終了しても、派遣元企業の社員としての立場は継続します。

特定派遣事業を営むためには、事業者は事業所の届け出が必要であり、労働者との無期限雇用契約を締結することが要求されます。

しかし、2015年に施行された労働者派遣法の改正により、特定派遣は廃止され、労働者派遣事業は許可制に一本化されました。この改正は派遣事業の運営におけるルールを厳格化することを目的としています。

参考:平成30年9月30日以降は、「(旧)特定労働者派遣事業」は行えなくなります!|厚生労働省

一般派遣の特徴

一般派遣は従来、特定派遣以外の形態の派遣事業が該当していました。派遣元企業と期間の定めのない雇用契約を結ぶ特定派遣に対して、一般派遣は登録型雇用が前提です。

労働者は派遣会社に登録し、能力やスキルに応じて仕事の紹介を受ける形になります。派遣先企業での仕事が決まった際に雇用契約を締結する形態で、さまざまな業種に対応しているのが特徴です。

事業者が一般派遣事業を営むためには、所定の条件をクリアした上で、国からの許可を得なければなりません。2015年に特定派遣が廃止されたことにより、現在は全ての派遣事業が一般派遣の形態で営まれています。

特定派遣が廃止された理由と影響

事務作業をする女性

(出典) pixta.jp

2015年に特定派遣の廃止された背景として、主に以下の点が挙げられます。特定派遣により経済的に不安定な労働者が増えた点や、事業の実態に問題がある企業が多かった点などが理由です。

労働者を解雇などから守るため

特定派遣では期間の定めのない雇用契約を締結するため、安定した立場に置かれると考えていた労働者もいました。しかし、契約社員やアルバイトのように、不安定な立場で雇用されるケースも多かったのが実態です。

また、特定派遣は届出制であったため、一般派遣の許可制に比べて参入が容易であり、資金力に乏しい企業でも事業の展開が可能でした。しかし資金力に乏しい企業は、業績の悪化から人員整理をしやすい傾向にあります。

そのため突然解雇される労働者も多く、雇用の安定という観点から問題視されるようになり、2015年に廃止が決定される運びとなりました。

特定派遣廃止の影響

特定派遣が廃止された結果、全ての労働者派遣事業が許可制となり、一般派遣との差はなくなりました。労働者が派遣の立場で働く場合は、派遣される期間のみ派遣元企業と雇用契約を結びます。

また、同じ事業所における3年以上の派遣労働者の受け入れなどが禁止され、それまで派遣労働者に頼ってきた企業でも、積極的に労働者を正社員雇用する動きが目立つようになりました。

しかし、一方で労働者派遣の実態を隠して、請負契約に見せかける手法(偽装請負)が横行する可能性を、新たに指摘する声もあります。

参考:労働者派遣事業とは|厚生労働省 石川労働局

派遣によく似たSESという働き方も

近年は派遣事業の形態から派生して、SESと呼ばれる働き方も注目されています。「System Engineering Service」の頭文字を取った言葉で、SES企業がエンジニアと雇用契約を結び、クライアント企業に駐在・派遣して働いてもらう方法です。

クライアント企業に対してエンジニアの有する技術やノウハウを提供するもので、SES企業とクライアントは準委任契約(SES契約)を結びます。

エンジニアはSES企業に所属しつつ、クライアント企業のオフィスで働くこととなり、エンジニアに対する指揮命令系統は、あくまでもSES企業にあるのが特徴です。

派遣社員と正社員ではどちらになるべき?

男性社員

(出典) pixta.jp

ここまで派遣労働の形態について解説してきましたが、派遣社員と正社員とでは、どちらを目指すべきなのでしょうか?人によって理想的な労働形態は異なるので、派遣社員と正社員のメリット・デメリットをよく理解することが重要です。

派遣社員のメリット・デメリット

すでに説明したように、現在は特定派遣が廃止され、一般派遣の形態のみ残っている状況です。派遣社員として働くならば、派遣会社に登録して仕事の紹介を受ける形になります。

自分の強みや経験を生かした仕事を紹介してもらえるほか、ライフスタイルに合わせた働き方ができるのがメリットです。

また、基本的に一定期間のみの雇用となるため、さまざまな職場で働ける点に魅力を感じる人もいるでしょう。ただし雇用状態は不安定であり、派遣社員の立場である限り、最長でも3年間しか同じ職場で働けない点も注意が必要です。

定期的に職場を変えたい人や、派遣を通じて特定の知識やスキルを身に付け、自分なりにキャリアアップを目指したい人などにとっては、働きやすいといえるでしょう。

正社員のメリット・デメリット

正社員は、企業と期間の定めのない雇用契約を結ぶため、収入・雇用の安定が見込めるのがメリットです。昇進すれば自らの裁量で大きな仕事ができる機会もあり、福利厚生も充実しています。

ただし、転勤や異動の可能性があり、入社前には想定していなかった立場になったり、苦手な仕事を任せられたりする可能性もあります。必ずしも、希望する仕事ができるとは限らない点は注意しましょう。

働きたい業種・職種が決まっている人や、同じ組織で長く働きたい人などにとっては、正社員がおすすめです。

派遣社員の特徴を把握して働き方を決めよう

女性社員

(出典) pixta.jp

特定派遣は労働者が不安定な立場に置かれる傾向があり、派遣会社の業績悪化により突然解雇されるケースもあったことから、2015年に廃止されました。現在は一般派遣のみであり、派遣によく似たSESといった働き方も注目されています。

どのような労働形態を選択するにせよ、目指すべきキャリアや理想とするライフスタイルを明確にした上で、自分に合った働き方を模索することが大切です。

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