紹介予定派遣とは?一般派遣との違いやメリット・デメリットを解説

派遣社員として働いた後、派遣先に直接雇用される紹介予定派遣は、未経験者でも正社員として採用される可能性のある制度です。一般派遣との違いや、メリット・デメリットを押さえておきましょう。正社員雇用の確率を上げるポイントも解説します。

紹介予定派遣とは?

会社員

(出典) pixta.jp

紹介予定派遣は、2000年の職業安定法の改正で可能となり、その後の改正労働者派遣法(2004年)で認められるようになった制度です。

派遣を通じて仕事の経験を積み、最終的に正社員や契約社員として雇用される可能性があるので、未経験者でも安定した仕事に就けるのがメリットです。まずは、制度の概要から確認しておきましょう。

直接雇用を前提とした働き方

派遣社員の立場で勤務後、正社員や契約社員として、派遣先から直接雇用される制度が紹介予定派遣です。

正社員・契約社員としての直接雇用が前提の働き方であり、初めは派遣会社に登録して働きますが、一定期間後に派遣先との合意で直接雇用に切り替わります。派遣期間は一般的に3カ月、最長でも6カ月です。

紹介予定派遣では労働者と派遣先企業の双方において、派遣期間中に互いの見極めが可能で、どちらも納得した上で雇用契約を結べます。

労働者の派遣期間中は派遣会社が雇用主ですが、正式採用が決定すると、派遣先企業に正式に入社することになります。一方、正式採用に至らない場合、派遣期間終了時には派遣契約が満了となります。

出典:紹介予定派遣とは|厚生労働省

通常の派遣との違い

一般的な派遣は、あらかじめ派遣期間が定められており、その期間中のみ労働者が派遣先企業で働く形態です。一定期間が経過後、派遣先企業との契約が終了します。労働者は派遣元企業に登録しているため、その後は別の企業に派遣される場合もあります。

一方、紹介予定派遣は、派遣先企業との直接雇用を前提として、労働者が派遣される形態です。派遣元企業は、当該労働者の雇用を前提として派遣する旨を明示し、派遣先企業はその前提を了承した上で、労働者を迎える必要があります。

紹介予定派遣では、通常の派遣契約ではできない書類選考や、面接が認められているのも特徴です。労働者が紹介予定派遣を望んでも、書類選考の段階で落とされてしまう可能性もあります。

また、一般的な派遣の場合、法律により派遣期間は最大で3年以内と定められていますが、紹介予定派遣の場合は最長でも6カ月間と短くなっています。これは、派遣先企業が労働者を直接雇用するための試用期間として位置付けられているためです。

出典:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第26条・第40条の2|e-Gov法令検索 

紹介予定派遣のメリット

ビジネスマン

(出典) pixta.jp

紹介予定派遣は労働者と派遣先企業の、いずれにもメリットがある制度です。労働者側のメリットとしては、未経験の業界にも挑戦しやすい点や、採用後のミスマッチを回避できる点などがあります。それぞれのメリットを確認していきましょう。

未経験の業界に挑戦しやすい

派遣先企業がポテンシャル採用を行うケースも多いため、未経験もしくは経験不足の業界でも挑戦しやすいのが、紹介予定派遣のメリットです。

たとえ派遣された時点では経験がない仕事でも、派遣社員として働くうちにポテンシャルを認められれば、正社員や契約社員として雇用される可能性があります。

未経験の業界に挑戦したい人や、実際の仕事を通じて自分の価値やスキルを認めてもらいたい人にとっては、紹介予定派遣は魅力的な働き方といえるでしょう。

採用後のミスマッチを避けやすい

一般的な人材採用の場合、実際に働いてから本格的な入社を決めるのは不可能ですが、紹介予定派遣ならば、事前に仕事内容や職場の雰囲気を知ることができます。

仕事や職場の実態を理解した上で、正社員として働くか否かを決められるため、採用後のミスマッチを避けやすいのも特徴です。

入社してから「思っていた仕事と違う」「職場の雰囲気に合わない」といった理由などで早期に離職してしまう人も多いため、企業にとってもリスクを減らせるメリットがあります。

派遣会社からのサポートも受けられる

自分1人で行う転職活動とは違い、紹介予定派遣から正社員を目指す場合、派遣会社からさまざまなサポートを受けられるのもメリットです。

実際のサポート内容は派遣会社によって異なりますが、単に紹介だけではなく、面接対策や就業条件に関する交渉なども、代行してもらえるケースもあります。

特に、転職活動の経験のない人や1人だけで転職活動をするのが不安な人の場合、派遣会社のフォローアップの下で正社員採用を目指せるのは、大きなメリットといえるでしょう。

紹介予定派遣のデメリット

デスクワークをする女性社員

(出典) pixta.jp

紹介予定派遣は労働者にとって多くのメリットがありますが、一方ではデメリットもあるので注意する必要があります。必ず正社員になれるとは限らず、紹介予定派遣自体が減少傾向にあるので、その点はよく理解しておきましょう。

必ず正社員になれるという保証はない

紹介予定派遣はその名の通り、あくまでも紹介「予定」の派遣形態であるため、必ず正社員になれる保証はありません。

派遣先の企業で能力やスキルを認められなければ、正社員として採用されない可能性もあります。また正社員ではなく、まずは契約社員としての雇用からスタートするケースも珍しくありません。

書類審査や面談などが実施されることもあり、その際に企業の採用ニーズに全く合致しなかった、ポテンシャルが認められなかったといった場合、選考から漏れてしまう恐れもあります。

紹介予定派遣は減少傾向にある

正社員になれる保証がない点に加え、紹介予定派遣自体も減少傾向にあります。

厚生労働省の「令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によれば、紹介予定派遣の数は徐々に減少しており、実施した事業所の数も全体の1割に満たないことが分かります。

一般的な派遣労働者を受け入れる企業の方が多く、近年はフリーランスの活躍なども増えているため、紹介予定派遣を実施してもらえるチャンスが減っている状況です。

紹介予定派遣を通じて正社員を目指している人は、数少ないチャンスを生かして、企業に認めてもらう努力が求められます。

出典:令和3年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)|厚生労働省

正社員採用の確率を上げるコツは?

出社する女性社員

(出典) pixta.jp

紹介予定派遣といっても必ず正社員になれる保証はないため、正社員を目指している人は、少しでも採用の確率を上げる工夫が必要です。以下のポイントを押さえた上で、まずは派遣社員としてしっかりと業務に取り組むことが大切です。

まずは誠実に勤務する

正社員としての採用を目指すならば、大前提として日々の業務に誠実に向き合い、派遣先企業から認められる必要があります。やむを得ない理由以外で遅刻・早退などをしないのはもちろん、実績を残すことも重要です。

実直に仕事に取り組んでいれば、正社員として採用される可能性も上がるでしょう。

しかし多くの派遣社員の中から正社員を目指す環境にいる場合、組織に貢献できることを証明し、競争に勝ち抜かなければなりません。仕事でしっかりと成果を上げるため、スキルアップにも努めましょう。

人間関係にも気を配る

人間関係にも気を配りましょう。たとえ経験やスキルが他の派遣社員より優れているとしても、コミュニケーション能力が不足している場合、正社員としての採用を見送られる可能性があります。

人間関係がうまくいかない職場ではすぐに辞めてしまう人も多いため、とりわけ社員のコミュニケーション能力を重視している企業は少なくありません。

長く働き続けられる人材かはもちろん、周囲とうまく協調できるかを評価している企業が多い点はよく理解しておきましょう。

個人で実績を残すことも大切ですが、周囲と協力しながら問題や課題の解決に取り組む姿勢も必要です。

面接時はしっかり意思を伝える

一般的な採用面接では応募者の実績やスキルを評価しますが、紹介予定派遣の場合はやる気やポテンシャルに重きを置いて採用する企業が多いため、熱意を伝えることが重要です。

紹介予定派遣は、企業側だけでなく就業者から採用を断ることも可能です。企業側も断られるリスクを背負っているので、正社員として働きたいという意志を明確に示せば採用の可能性を高められます。

正社員を目指している旨はもちろん、就業先でどのように活躍したいのかを明確に伝えるようにしましょう。自己PRがうまくできない人は、派遣会社に協力してもらうのがおすすめです。

派遣会社によっては面接対策をしてもらえる場合もあるので、模擬面接を通じて熱意や自分の強みなどをしっかりとアピールできるようにしておきましょう。

正社員を目指すルートは1本だけではない

オフィスで働く男性

(出典) pixta.jp

紹介予定派遣は、正社員や契約社員としての雇用を前提に派遣先で働く形態です。未経験の業界にもチャレンジしやすく、採用後のミスマッチが起こりにくいのがメリットです。

しかし、必ず正社員として採用されるとは限らないため、就業先では誠実に勤務するとともに、人間関係にも気を配る必要があります。派遣先企業に認められる活躍をするためにも、日々の学習やスキルアップも欠かさないようにしましょう。

紹介予定派遣を通じて正社員を目指しているならば、派遣社員の求人も数多く掲載している「スタンバイ」がおすすめです。

業界や職種・勤務地などの条件はもちろん、企業ブランドや注目キーワードなどからも求人を探せます。就職・転職に役立つ情報も得られるので、この機会に利用してみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら