リファレンスチェックとは?聞かれる内容や応募者側のメリット

転職活動の際、応募先企業からリファレンスチェックについて連絡がくるケースがあります。流れや聞かれる内容などを知り、適切に対応できるように準備しましょう。企業がリファレンスチェックを実施する目的や、応募者側のメリットを解説します。

リファレンスチェックとは

書類をチェックする女性

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックはどのように実施されるのでしょうか。実施のタイミングや調査内容など、リファレンスチェックの概要を見ていきましょう。

採用企業が応募者に対して行う調査

リファレンスチェックとは、中途採用(経験者採用)において企業が応募者に対して行う調査のことです。上司や同僚など前職の関係者に問い合わせ、応募者の人柄や仕事に対する姿勢、能力などを確認します。

応募者の人物像を判断する手段として、外資系企業ではすでに一般的に実施されているほか、日本の企業でも導入するケースが増えています。

リファレンスチェックには応募者の同意が必要なため、企業が勝手に上司や同僚に連絡する心配はありません。なお調査には、主に電話やZoomなどのオンラインツールが使われます。

リファレンスチェックで聞かれること

リファレンスチェックでは、勤務の基本情報・性格・実績・スキルなど、応募者の職場での様子を聞かれます。基本情報としては、応募者の担当業務とその業務に携わった期間、欠勤・遅刻・残業の状況などが挙げられます。

性格については、長所・短所はもちろん、周囲とのコミュニケーションの取り方や影響力などを聞かれると考えてよいでしょう。

実績やスキルについては、主に以下の質問が想定されます。

  • 問題解決能力
  • リーダーシップの有無
  • 営業成績
  • トラブルへの対処法
  • 仕事への責任感
  • ビジネス英語など採用後の業務で必要なスキル

また、「一緒に働きたいと思うか」「個人的な仕事とチームワークのどちらが向いているか」といった、関係者でなければ分からない質問をされることも珍しくありません。

バックグラウンドチェックとの違い

企業が応募者に対して実施する調査と聞いて、バックグラウンドチェックをイメージする人も多いでしょう。バックグラウンドチェックは、応募者が提出した経歴に対する裏付け調査です。

経歴を偽る人物を採用してしまうと後で企業が不利益を被る可能性が高く、そのような事態を防ぐ目的からバックグラウンドチェックは行われます。主な調査内容は、学歴・職歴の真偽のほか、破産・民事訴訟の有無、反社会的勢力とのつながりなどです。

企業の採用担当者が実施するリファレンスチェックと異なり、専門の調査会社に依頼するのも大きく異なる点です。ただしどちらも、実施する際は応募者本人の同意が必要なことに変わりはありません。

リファレンスチェックの方法

ノートパソコンと書類とペン

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックには、「応募者自身がリファレンス先を紹介する」「採用企業側がリファレンス先を探す」の2つの方法があります。それぞれのやり方やポイントを見ていきましょう。

応募者がリファレンス先を紹介するケース

リファレンスチェックでは、応募者が自分でリファレンス先を2~3人選び、採用企業に紹介するパターンが一般的です。このため、応募する時点でリファレンス先の候補を絞っておくと、いざというときに慌てずに済むでしょう。

リファレンス先として適している人は、直属の上司や同じ部署の同僚・部下などです。自分をよく知っており、信頼できる人を選ぶとよいでしょう。ただし同僚や部下による情報は、応募者に有利な内容となる可能性が高いとして、リファレンス先を上司に限定する企業もあります。

なお応募者には、企業がリファレンス先に連絡する時期などは知らされません。応募先企業に紹介する前は必ず相手に事情を説明し、承諾を得ておくことを心掛けましょう。

採用企業がリファレンス先を探すケース

一方、採用企業がリファレンス先を探すケースも少なくありません。この場合、応募者はリファレンスチェックの実施について説明を受け、承諾するだけです。

探し方は調査会社や転職エージェントが代行するパターンと、企業が直接探すパターンに分けられます。同業他社からの転職の場合、業界ネットワークを活用することもあるでしょう。

企業によっては上司や同僚に限らず、取引先の担当者や同業他社の社員など、社外にまで対象を広げる可能性があります。

企業がリファレンスチェックを実施する理由

書類チェック

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックは採用企業にとってどのような意味があるのでしょうか。企業がリファレンスチェックを実施する理由を解説します。

選考過程における不明点を確認したいから

選考の過程で、採用企業が把握できる応募者の情報は限定的です。履歴書や職務経歴書を読めば、業務経験や実績は分かるものの、実際の働きぶりまでは把握できません。

例えば、職務経歴書に示されている営業成績の真偽や、達成までにどのような工夫・努力がなされたのかは、一緒に働いていた人でなければ分からないでしょう。

面接でも、限られた時間内で応募者の人柄を見極めることは困難といえます。リファレンスチェックを実施すれば、応募書類や面接で把握しきれなかった点を確認でき、うそや過大な申告の有無もはっきりします。

応募者とのミスマッチを防げるから

リファレンスチェックには、応募者の能力や人柄などが、自社の求める人物像にマッチしているかどうかを確認する意味もあります。

人間関係や業務内容のミスマッチは、退職理由の上位に挙がっているほどです。入社後にこうしたミスマッチが明らかになるのは、企業側だけでなく応募者にとっても避けたい事態といえるでしょう。

応募者が前の職場でどのように過ごしてきたのかが分かれば、向いている業務が明らかになり、配属先を決める際の参考にもなります。

早期離職のリスクを抑えられるから

早期離職のリスクを抑える目的で、リファレンスチェックを実施する企業もあります。前職の上司や同僚にヒアリングすれば、応募者の勤務態度に問題があるかどうかは、すぐに分かるでしょう。

真面目に勤務していたにもかかわらず、退職を決意した場合は、その理由が離職を防ぐヒントになります。応募者が仕事に対して重視しているものを知ることで、本人の希望に近い働き方を用意するなど、事前に対策を講じることも可能です。

リファレンスチェックを受ける応募者側のメリット

封筒を手にしているスーツの女性

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックは応募者側にもメリットがあります。主なメリットを2つ挙げ、具体的に紹介します。

自分のことをより詳しく知ってもらえる

リファレンスチェックは、企業に自分のことをより詳しく知ってもらえるチャンスです。応募書類や面接だけでは、採用担当者が応募者について深く理解できないのと同じく、応募者も自分がアピールしたいことを全て伝えられるわけではありません。

実績や勤務態度なども、自己アピールだけでは信ぴょう性が高いとはいえないでしょう。しかしリファレンスチェックを受ければ、元の上司や同僚など第三者が応募者のアピールを裏付けてくれます。

自分では大したことがないと思っていたスキルが上司・同僚から伝わり、高評価を受けるケースもあります。

応募先企業に対する理解が深まる

リファレンスチェックは、企業が応募者についてより深い情報を得るためのものです。裏を返せば、応募者にとっても企業に対する理解を深めることにつながるでしょう。

前述の通り、リファレンスチェックには採用後のミスマッチを防ぐ目的もあります。調査実施後に採用が確定したなら、企業が求める人物像にマッチした証拠と考えてよいでしょう。

残念ながら不採用となった場合も、入社後にミスマッチが分かって苦労するよりは良いと、前向きに捉えられます。

リファレンスチェックのよくある疑問

考える男性社員

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックを初めて受ける場合、合否への影響が気になる人も多いのではないでしょうか。応募者側が抱えやすいよくある疑問をチェックしていきましょう。

リファレンスチェックを断ることは可能?

企業がリファレンスチェックを実施する際は、応募者の同意が必要です。従って、応募者は企業の要請を断ることも可能です。

ただし断ると、「何か隠し事があるのでは」「紹介できるリファレンス先がないのか」などとネガティブな印象を持たれ、採用に不利に働く恐れもあります。

リファレンスチェックには応募者にとってもメリットがあるため、やましい部分がないのであれば、受けておく方がよいでしょう。

リファレンスチェックで内定取り消しになり得る?

リファレンスチェックの結果次第で、内定が取り消されることは基本的にありません。内定をもらった時点で、労働契約が成立したと見なされるためです。ただし調査の過程で、経歴詐称や虚偽報告が明らかになった場合は例外です。

もちろん、内定をもらう前にリファレンスチェックが実施されれば、不採用となることもあり得ます。とはいえ、個人情報を提出させておきながら不採用が多いと、企業イメージに影響します。

このため企業側も、ほぼ採用が確定した人に対して、評価の補強や配属先決定の参考とするためにリファレンスチェックを実施するパターンが多いようです。

出典:「採用内定の取消」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性|厚生労働省

転職活動を今の会社に知られたくない場合は?

過去に勤務していた職場だけでなく、現在の職場がリファレンス先として選ばれる場合もあります。そのため、現在の職場がリファレンスチェックの対象となった場合、転職活動を知られる可能性があります。

リファレンス先を自分で決めてよい場合は、秘密を守ってくれそうな信頼できる相手を選ぶことで回避できるでしょう。

しかし調査会社や転職エージェント経由でリファレンス先が決まる場合は、安心できません。どうしても転職活動を知られたくないなら、まずは応募先企業に正直に伝えてみましょう。他の方法を検討する、実施時期をずらすなどの配慮が期待できます。

リファレンスチェックの意味や流れを理解しよう

タブレットを手にしている男性

(出典) pixta.jp

リファレンスチェックは採用側の企業が、応募書類や面接だけでは分からない応募者の客観的な情報を得るために実施します。得られた情報は、主に採用後のミスマッチを防ぎ、より長く働いてもらうために活用されます。

調査結果によっては不採用になることもありますが、自分をしっかりと理解した上で判断してもらえるので、応募者にとってもメリットは大きいといえるでしょう。

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リファレンスチェックの意味や流れを理解し、スタンバイを有効に活用して、転職を成功に導きましょう。

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