カイロプラクターという言葉を聞いたことはあっても、具体的な仕事内容やなり方は、あまり知られていないかもしれません。資格が必要なのか、整体師や柔道整復師と何が違うのか、疑問に思う人も多いでしょう。人々の健康を支える専門家、カイロプラクターの仕事について詳しく解説します。
カイロプラクターとは
カイロプラクターとは、どのような職業なのでしょうか?カイロプラクティックの定義や歴史も併せて見ていきましょう。
カイロプラクティック専門の施術者
カイロプラクターは、カイロプラクティックと呼ばれる手技療法を専門とする施術者です。主に脊椎や関節を調整し、体の不調を改善することを目的としています。
背骨や関節のゆがみを整えることで、腰痛や肩こり、頭痛などの症状改善を図るのが施術の特徴です。
筋骨格系の問題とその健康への影響を診断・治療・予防する専門家として、特に神経系の働きを妨げる要因に注目し、手技により調整します。また、体の自然治癒力を高めることも、重要な役割の1つです。
単に症状を和らげるだけでなく、患者の生活習慣改善や予防的なアドバイスも行います。これにより、長期的な健康維持をサポートする役割も担っています。
カイロプラクティックの歴史と発展
カイロプラクティックは、1895年にアメリカのD.D.パーマーによって創始されました。その後この療法は徐々に普及し、1916年には日本にも伝わっています。
当初は広く受け入れられませんでしたが、1960年に法的規制が緩和され、翌年に日本カイロプラクティック総連盟が設立されました。
世界的には、1974年にアメリカのカイロプラクティックカレッジが政府に認可を受け、国際的な普及が加速します。1988年には世界カイロプラクティック連合が設立され、現在では80カ国以上が加盟しています。
日本でも、1995年に初の国際基準教育機関が開校し、専門的な教育が始まりました。2005年にはWHOによるガイドラインが完成し、カイロプラクティックの国際的な基準が確立されています。
カイロプラクターの仕事内容
カイロプラクターの仕事は、手技を施すこと以外にも多岐にわたります。基本的な施術の流れと、患者との関わり方を見ていきましょう。
主な施術内容
カイロプラクティックの施術は通常、4つのステップで進められます。まずは患者の症状や病歴を詳しく聞き取るカウンセリングです。
次に、患者の体の状態をチェックし、必要に応じて画像診断も参考にします。カウンセリングや状態チェックの結果に基づいて施術方針を決めたら、患者への説明を経て施術開始です。
手技を用いた背骨や骨盤のゆがみ矯正、筋肉のバランス調整などが基本で、痛みを伴うような施術ではありません。最後に、アフターケアとして生活習慣の改善や自宅でできるストレッチなどをアドバイスします。
患者との関わり方
患者の満足度を高め、治療効果を最大限に引き出すには、適切なコミュニケーションが欠かせません。カイロプラクターは、患者が健康で元気な生活を送れるよう、長期的なサポートを目指します。
そのため、1回の施術だけでなく、継続的な関わりを通じて信頼関係を構築していきます。患者の信頼を得るためには、症状や不安を丁寧に聞き取り、共感する姿勢が大切です。施術内容や目的を分かりやすく説明し、患者の理解を深めることも、重要な役割といえるでしょう。
生活習慣や姿勢の改善点を指導する際には、押し付けにならないよう配慮しながら、前向きな態度で取り組めるよう励まします。
カイロプラクターになるには
カイロプラクターになるための公的資格制度は日本にはありませんが、スキルを証明できる資格は存在します。資格を取る過程で、専門的な知識と技術が習得できるため、カイロプラクターを目指すなら取得を目標とするとよいでしょう。主な資格と学習方法を紹介します。
代表的な資格と取得方法
カイロプラクターの代表的な資格として、一般財団法人日本カイロプラクティック登録機構(JCR)が認定する「認定登録カイロプラクター」があります。取得するには、カイロプラクター登録試験に合格する必要があります。
対象は、世界保健機関(WHO)のガイドラインに準拠した教育プログラムおよび、一定水準以上の国内カイロプラクティック養成学校教育修了者です。
資格取得後も3年ごとの更新が必要で、継続的な学習が求められます。これらのプロセスを経ることで、信頼性の高いカイロプラクターとしての基盤を築くことができます。
出典:日本カイロプラクティック登録機構
教育機関での学習内容
カイロプラクターを目指す人が学ぶ内容は、医学的知識・カイロプラクティック技術・臨床実習など多岐にわたります。具体的には、解剖学や生理学などの基礎医学に加え、カイロプラクティック特有の理論や手技、画像診断の技術などが挙げられるでしょう。
さらに、スポーツトレーナーや統合医療など、専門分野の知識を深める機会も提供されています。これらの教育を通じて、将来のカイロプラクターは高度な専門性と実践力を身に付けていきます。
学習にかかる費用と期間
学習にかかる費用と期間は、選択する教育機関によって大きく異なります。認定登録カイロプラクターを取得する場合、所定の養成学校に通う必要があり、学費だけでも100万円を超えると考えてよいでしょう。
資格取得をせず、学ぶだけなら、通信講座などを利用すれば数十万円で済むケースもあります。学習期間も、数カ月から2年以上までと多様です。短期集中型の講座もありますが、より専門的な知識と技術を習得するためには、1年以上の期間を要する場合が多いでしょう。
学校や講座を選ぶ際は、経済状況やライフスタイルに合わせて、費用と期間のバランスを考慮することが重要です。
カイロプラクターに似ている職業と主な違い
カイロプラクターによく似た、体の健康をサポートする職業はいくつかあります。代表的な職業を挙げ、それぞれの特徴とカイロプラクターとの違いを解説します。
整体師
整体師もカイロプラクター同様、手技を用いて体の不調を改善する施術者です。整体師になるための、公的な資格制度もありません。日本では両者の明確な違いはなく、整体院でカイロプラクターが働くケースもあります。
ただし考え方や施術方法は、大きく異なります。カイロプラクティックが西洋の医学を基礎としているのに対して、整体は中国から伝来したものや、日本古来のものなど、東洋の医学に基づいたさまざまな施術法の総称です。
カイロプラクティックでは脊椎や骨格のゆがみを改善して、体全体のバランスを整えますが、整体は筋肉がこっている部位や血流が滞っている部位などに、直接アプローチします。
柔道整復師
柔道整復師は、骨折・脱臼・捻挫などの治療やリハビリ指導をする職業です。接骨師や「ほねつぎ」、整体師とも呼ばれます。柔道整復師が働く場所は、主に接骨院や整骨院です。
病院のスタッフとして、骨折した患者のリハビリを担当したり、スポーツトレーナーになったりする人も少なくありません。
なるためには3年以上の専門学校や大学での学習を経て、国家試験に合格する必要があります。全て自費のカイロプラクティックと違い、柔道整復師の治療を受ける際は、条件により健康保険が適用されます。
はり・きゅう師
はり・きゅう師は、はり師ときゅう師の総称で、鍼(はり)または灸(きゅう)を使って、治療や健康回復を行う職業を指します。はり師もきゅう師も、なるためには国家資格が必要です。
どちらか一方だけではなく、両方の資格を同時に取得し、施術する人が多いため、広くはり・きゅう師と呼ばれています。
鍼療法では、つぼに細い鍼を刺して刺激を与え、痛みやこりを抑えたり、血行の促進を図ったりします。灸療法はもぐさを用いて、つぼに熱刺激を与えるのが特徴です。医療分野以外に、スポーツ・美容・介護などの分野で活躍する人もいます。
あん摩マッサージ指圧師
あん摩・マッサージ・指圧を用いて体の不調を改善する職業です。器具は使わず、主に手や指で体をなでたり揉んだりして刺激を与え、血行促進や脊椎のゆがみ矯正を図ります。
柔道整復師やはり・きゅう師と同じく、なるためには国家資格が必要です。マッサージ治療院や整骨院が代表的な職場ですが、介護施設やスポーツ施設で働く人も増えています。中にはヘルスキーパーとして企業に雇用され、従業員の健康管理にあたるケースもあります。
カイロプラクターの働き方
カイロプラクターの就職先はさまざまです。経験を積み、独立開業する選択肢もあります。主な働き方や見込まれる収入について、詳しく見ていきましょう。
就職先と働き方の選択肢
カイロプラクターの主な就職先といえば、整体院やカイロプラクティック院、施術院などです。スポーツに関する専門知識を学べば、トレーナーとしてアスリートのパフォーマンス向上や、けがの予防に携わることもできます。
スポーツジムやフィットネス施設でも、幅広く活躍できるでしょう。リラクゼーションサロンやスパ施設など、美容や癒やしを目的とした場所で働けるケースもあります。
働き方も多様で、正社員のほかにフリーランスとして複数の施設で働いたり、資金を貯めて開業したりすることも可能です。興味や能力、将来のビジョンに合わせて、さまざまな選択肢がある職業といえるでしょう。
年収の目安
カイロプラクターの年収についての公的なデータはありません。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の年収は459.3万円となっています。
また国家資格が不要で、カイロプラクターと似た職業「リフレクソロジスト」の年収は394.3万円です。このことから、カイロプラクターとして得られる年収は、300万〜400万円程度と予想できます。
ただし年収は、経験や勤務先によって大きく変わるものです。あくまでも目安と考えておきましょう。
出典:柔道整復師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:はり師・きゅう師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:あんまマッサージ指圧師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
出典:リフレクソロジスト - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
キャリアアップの可能性
カイロプラクターが収入を増やす、またはキャリアアップを狙うには、以下のような選択肢があります。
- 継続的な学習や資格取得による専門性の向上
- 独立開業
- スポーツ選手のケアや介護施設での高齢者ケアなど、専門分野の確立
- 後進の育成や講師としての活動による新たな収入源の確保
- あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などの国家資格の取得
これらの選択肢を組み合わせることで、より高い収入とやりがいのあるキャリアを築くことが可能です。
カイロプラクターは多様な働き方ができる仕事
カイロプラクターは、手技療法を用いて体の不調を改善する専門家です。主に脊椎や関節を調整し、患者の健康維持をサポートします。
日本には公的資格制度がなく、知識やスキルを身に付ければ誰でもなれます。信頼性を獲得するために、一般財団法人日本カイロプラクティック登録機構(JCR)の認定資格を取得するのもよいでしょう。
就職先には整体院やカイロプラクティック院、スポーツ関連施設などがあり、独立開業の道も開かれています。
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