タクシー運転手はやめとけといわれる理由は?メリットや稼ぐ方法も

「タクシー運転手はやめとけ」という話を、耳にしたことがある人もいるでしょう。しかし実際には、未経験でも始めやすく働き方の自由度も高いなど、メリットも多い仕事です。やめとけといわれる理由のほか、タクシー運転手で稼ぐ方法などを解説します。

タクシー運転手はやめとけといわれる主な理由

タクシー乗り場

(出典) pixta.jp

「タクシー運転手はやめとけ」といわれる理由を、職種に対するイメージや収入面などから見ていきましょう。主な理由を3つ挙げて紹介します。

職種に対して良くないイメージがある

タクシー運転手という職種自体に、良いイメージを持たない人もいます。例えば、たまたま乗客として利用したときの印象が悪く、タクシー運転手全体に対して良くないイメージを持つ人もいるでしょう。

さまざまな業界を渡り歩き、どこでも長続きしなかった人がやっている仕事というイメージを持たれることもあります。また、比較的年齢の高い運転手が多いことから、若い人がする仕事ではないと思う人もいるようです。

キャリアアップしにくい

タクシー運転手の仕事では、基本的な接客力・営業地域内の地理的な情報・運転技術などの、スキルやノウハウが身に付きます。しかし、これらのスキルが生かせる業界は限られるため、転職先が限定されがちです。

個人タクシーとして独立するという道もありますが、開業するにはクリアしなければならない条件が多く、簡単なことではありません。

基本的に昇格などの制度がなく、他職種への転職も難しいという理由から、キャリアアップを目指している人には向かない仕事だといわれることがあります。

給与が歩合制で収入が不安定

タクシー運転手の給与は歩合制であることが多く、収入が安定しないという点も理由の1つです。歩合制には、頑張れば給与に反映されるというメリットがある半面、体調不良などで乗務できない状況が続けば、当然その間の収入は得られません。

景気や社会情勢などの悪化によって、突然売り上げがダウンする可能性もあります。収入が安定しなければ、生活設計も立てにくくなるでしょう。

頑張りが収入に直結するという点ではやりがいの大きな仕事ですが、安定感を重視する人からは「やめとけ」といわれることがあります。

タクシー運転手の勤務体系

タクシー

(出典) pixta.jp

タクシー運転手の主な勤務体系は、「昼日勤」「夜日勤」「隔日勤務」の3種類です。それぞれの働き方について、具体的に解説します。

朝から夕方まで勤務する「昼日勤」

昼日勤とは、一般的なビジネスパーソンと同様、朝から夕方まで働く勤務体系のことをいいます。出退勤の時間はタクシー会社によって異なりますが、朝6~8時の間に出勤し、1時間の休憩+8時間の勤務となるケースが主流です。

出勤時間は早いものの、その分退勤時間も早くなるため、仕事と家庭を両立させたい人などにとって働きやすい勤務体系といえるでしょう。

また、基本的に週休2日制となっています。昼日勤の場合、乗客には通勤や通院のために利用する人が多いのが特徴です。

夕方から深夜まで勤務する「夜日勤」

夜日勤とは、夜間のみに勤務する働き方です。昼日勤と同じく、1時間の休憩を挟んだ実働8時間で、基本的に週休2日制となります。出勤時間は18~20時になることが多く、翌朝の4~6時に退勤となるのが一般的です。

夜日勤には、深夜の割増料金で効率良く稼げるというメリットがあります。しかし、夜日勤は生活のリズムが狂いやすく、体力的な負担も大きくなりがちです。また、乗客にはお酒を飲んでから利用する人が多くなります。

1日おきに勤務する「隔日勤務」

隔日勤務とは、1日おきに勤務する働き方のことで、現在多くのタクシー会社が採用している勤務体系です。1回の勤務は20時間程度と長時間になるため、間に3時間の休憩が入ります。

タクシー会社は基本的に24時間営業なので、昼と夜の2パターンの勤務時間を組み、どちらかを選んで働くのが一般的です。勤務した翌日は「明け番」となり、出勤と明け番を2回繰り返すと、丸1日休める「公休」になります。

タクシー運転手の主な種類

タクシー運転手

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タクシー運転手は、乗務するタクシーの種類によって仕事内容が異なります。どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。

タクシー乗務員

タクシー乗務員とは、一般的なタクシーの運転手のことです。主な営業方法には、以下の3パターンがあります。

  • 流し営業:街中を走って乗客を見つける
  • 待機営業:タクシー乗り場で待機する
  • 無線配車営業:会社から無線指示を受けて送迎する

未経験からでも始めやすく、近年では女性の運転手も増えています。頑張り次第で高収入を得ることも可能ですが、乗車率を上げるためにはドライバー同士のつながりをつくったり、知識・経験を積んだりする努力が必要です。

ハイヤー乗務員

ハイヤー乗務員とは、完全予約制で送迎する、貸し切り乗用車の運転手のことをいいます。一般的なタクシーのように、流し営業や待機営業をすることはありません。

普段は営業所で待機し、予約が入ったら指定された場所まで迎えに行き、目的地に送り届けるのが仕事です。ハイヤーの利用者には富裕層・VIPといわれる人も多く、移動中や乗り降りの際に失礼のないよう、高度な接客マナーが求められます。

入社していきなりハイヤー乗務員となるケースはあまりなく、タクシー乗務員として経験を積んだ人や、ホテルスタッフなどから転職する人が多いようです。

専門タクシーの乗務員

利用者からのニーズに応じ、専門的なサービスに特化したタクシーの運転手もいます。

  • 介護タクシー:高齢者や障害者など、介護が必要な人を送迎するタクシー。介護保険が適用される「介護保険タクシー」の乗務をするには、介護職員初任者研修の資格が必要。利用者の乗降を介助したり、車椅子や寝台のまま乗せたりする
  • 観光タクシー:観光客の要望に合わせて、名所などへ案内する。1日かけて観光地を巡ることもある
  • 福祉タクシー:病気やけが、高齢などで移動が難しい人を送迎する。介護保険の適用外なので、介護職員初任者研修の資格は不要

これらの専門タクシーは、基本的に予約制となるため、流し営業や待機営業などをすることはありません。

タクシー運転手のメリット

タクシーのドアを開ける

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タクシー運転手には、どのようなメリットがあるのでしょうか。転職や働き方に関するメリットを、3つ挙げて紹介します。

業界が未経験でも始めやすい

タクシー運転手の求人には、未経験でもOKとしているものが多く、異業界からでも転職しやすいというメリットがあります。基本的な接客力が必要とされるものの、一般的なビジネスマナーがあれば問題はありません。

営業地域内の地理に詳しくないという人でも、カーナビなどを上手に利用しながら、ノウハウを蓄積していけるでしょう。また、必要な資格の取得支援を行い、未経験の運転手を積極的に採用しているタクシー会社も多くあります。

人間関係のしがらみが少ない

基本的に乗務中は1人なので、他の従業員との関わりが少ないという特徴もあります。運転手同士で多少の情報交換をすることはあっても、上司や部下といった関係性ではないため、必要以上に気を使う場面もありません。

従業員同士のパワハラ・セクハラといった問題も、起こりにくいでしょう。また、一般的なタクシーの場合、同じ利用者の送迎を担当することはほとんどなく、乗客との人間関係に関してもしがらみを感じずに働けます。

働き方の自由度が比較的高い

オフィス勤務などに比べて、働き方の自由度が高いのもメリットの1つです。勤務する時間帯は決まっているものの、ある程度自由に選べます。

残業を頼まれることもなく、その日の売り上げ目標を達成できれば、早めに退勤しても構いません。休憩時間なども、自分のタイミングで決めることが可能です。

また、乗客がいないときはラジオや音楽を聴くなど、自分の好きなことをして過ごせます。中には、待機中の時間を、語学の勉強など自分のために活用している運転手もいるようです。

タクシー運転手のデメリット

タクシーを運転する手元

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タクシー運転手のデメリットについても、確認しておきましょう。デメリットとして考えられるポイントを、3つ挙げて紹介します。

交通事故のリスクがある

勤務時間のほとんどが車の運転になるため、交通事故の危険性が高まります。自分自身は安全運転を心掛けていても、他の車が引き起こした事故に巻き込まれる可能性もゼロではありません。

長時間の運転による集中力の低下や、走り慣れた道だからという油断から、事故を起こしてしまうこともあります。事故の度合いによっては、自分や相手の命に関わることもあるでしょう。

車を運転する以上、事故のリスクは避けられませんが、常に細心の注意を払って勤務することが重要です。

地方では稼ぎにくい

タクシー運転手の収入は、乗客数と顧客単価で決まります。高収入を得るには、1日になるべく多くの乗客を見つけたり、長距離の送迎をしたりしなければなりません。

都市部ではある程度の乗客数・顧客単価が見込めるものの、地方になると利用者が少なく稼ぎにくい傾向にあります。

繁華街やオフィス街が少ない地域では、乗客を見つけられる場所・時間も限られます。地方で稼ぐには、固定客を見つけるなど、都市部とは違った営業方法が必要になるでしょう。

トラブルに巻き込まれることがある

タクシー運転手の仕事は、人間関係のしがらみが少ないというメリットがある一方で、乗客とのトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

基本的に、出発前に目的地や希望する経路を確認するなど、丁寧な接客を心掛けていれば大きなトラブルにつながることはほとんどありません。しかし、中には理不尽なことを要求する人や、話が通じないほど泥酔している乗客がいるのも事実です。

そのため、高性能なドライブレコーダーを搭載するなど、トラブルが起きたときの対策を講じているタクシー会社が増えています。

タクシー運転手で稼ぐには?

タクシー運転手

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タクシー運転手は、本人の頑張り次第で高収入が期待できる仕事です。効率良く稼ぐためのコツを、3つ紹介します。

「立ち回り」を意識して営業する

タクシー運転手で稼ぐには、効率良く乗客を見つけることが重要です。そのためには、タクシーの需要が高そうな場所を考えて走るなど、「立ち回り」を意識して営業する必要があります。

例えば、乗客を降ろした場所で次の利用者を見つけられれば、無駄に走る時間がなくなり、効率的に売り上げを伸ばせるでしょう。

空車になる時間を、できるだけ少なくすることがポイントです。流し営業と待機営業をうまく使い分けながら、効率的な立ち回り方を考えてみましょう。

小まめに情報を収集する

小まめに情報を集めることも重要です。天気・渋滞・鉄道の遅延など、その日の情報をリアルタイムで入手しておくとよいでしょう。

例えば、ゲリラ豪雨などの予報を把握しておけば、駅のタクシー乗り場で待機して、傘を持たずに困っている人を見つけられる可能性もあります。

また、イベントがあるときは、開演・終演の時間をチェックしておくのもおすすめです。開演・終演のタイミングに合わせて会場の周辺を走れば、効率良く乗客を見つけられるでしょう。

感じの良い接客を心掛ける

乗客から「快適に利用できた」と思ってもらえるような対応を、心掛けることも大事です。普段から頻繁にタクシーを利用する人に好感を持ってもらえれば、直接連絡先を聞かれて定期的に依頼される可能性もあるでしょう。

とはいえ、過剰に丁寧な言葉遣いなどをする必要はありません。最初のあいさつをしっかりしたり、適度な大きさの声でハキハキと話したり、無愛想な態度は取らないようにしたりなど、気持ち良くコミュニケーションを取れるよう意識することが大切です。

タクシー運転手に適している人

ハンドルを握る手

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タクシー運転手には、どのような人が適しているのでしょうか。向いている人の主な特徴を、3つ挙げて解説します。

車の運転が好きな人

車を運転する仕事なので、車が好きで長時間運転しても苦痛に感じない人に適しています。タクシー運転手に限らず、自分の好きなことで稼げると、仕事へのモチベーションを保ちやすくなります。

実際、タクシー運転手として活躍している人の中には、車の整備・点検や、あちこちにドライブするのが好きという人が多いようです。逆に、車に興味がない人や、運転が苦手という人には、タクシー運転手の仕事は務まらないでしょう。

接客や人と話すのが好きな人

基本的に接客業なので、人と話すのが好きな人に向いています。車内という密室空間で乗客と2人きりになるケースも多く、話し好きな人が乗車してくることも珍しくありません。

接客や人と話すのが好きな人なら、そのような場合にもうまく対応できるでしょう。自分からベラベラ話す必要はありませんが、乗客から話しかけられたときに自然な会話ができる程度の、接客力・コミュニケーションスキルが求められます。

道を覚えるのが得意な人

道を覚えるのが得意な人や、方向感覚に優れている人にも向いています。タクシー運転手の仕事は、目的地までできるだけスムーズに乗客を送り届けることです。

ときには「〇〇を経由してほしい」など、目的地までの行き方を指定されたり、最短ルートで行くように頼まれたりすることもあります。

乗客の要望に応えるだけでなく、工事や事故などによる急なルート変更にも対応できるよう、主要な道路のほかに渋滞を避けて通れる道も知っておくとよいでしょう。

タクシー運転手に不向きな人

タクシー運転手

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タクシー運転手に不向きな人についても、見ていきましょう。主な特徴を3つ紹介します。

安全運転への意識が低い人

タクシー運転手は、目的地に着くまで乗客の命を預かっているといっても過言ではありません。そのため、安全運転は何にも増して心掛けなければならないことです。

乗客の送迎中はもちろん、空車時にも安全運転に務めるのは、ドライバーの仕事の基本といってよいでしょう。

「交通ルールを守れない」「ついスピードを出しすぎてしまう」など、安全運転への意識が低い人は事故を起こす可能性が高くなるため、タクシー運転手には不向きです。

短気な人

タクシー運転手には、冷静な対応を求められる場面が多々あります。例えば、渋滞に巻き込まれてイライラするからといって、運転が荒くなったり、前の車をあおったりするような人には向きません。

また、無理な要求をする乗客に対し、感情的に対応してしまうと大きなトラブルに発展する可能性もあります。自分だけの問題にとどまらず、会社全体のイメージを悪化させてしまう恐れもあるでしょう。

1日に多くの乗客と接するからこそ、どんな相手に対しても落ち着いて対処できる冷静さが求められます。

相手への気遣いができない人

接客業という観点から見ると、相手に対する気遣いができない人にも向いていないといえるでしょう。ただ目的地に運ぶだけでなく、車内で快適に過ごしてもらおうという気持ちで接することが大切です。

気遣いが感じられない対応をすると、不満を持った乗客からのクレームにつながる可能性もあるでしょう。高齢者や子ども連れなど、タクシーの利用者にはさまざまな人がいます。

乗り降りしにくい場所に停車しないようにしたり、車内の温度を快適に保ったりなど、乗客に寄り添った接客をすることが必要です。

タクシー運転手に必要な資格

客待ちのタクシー

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タクシー運転手として仕事をするには、必ず取得しなければならない資格があります。どのような資格が必要なのか、詳しく見ていきましょう。

普通自動車第二種運転免許が必須

普通自動車第二種運転免許(二種免許)を取得していなければ、タクシー運転手として働けません。二種免許を取得するには、以下の条件をクリアしていることが必要です。

  • 21歳以上で、大型・中型・準中型・普通・大型特殊のいずれかの運転免許を取得してから、免許の効力が停止されていた期間を除いて通算3年以上経過している
    (2022年5月13日から、一定の教習を修了すれば、19歳以上で大型・中型・準中型・普通・大型特殊のいずれかの運転免許を受けていた期間が1年以上ある人も受験可能)
  • 他の二種免許を取得している
  • 視力が両目で0.8以上、片目で0.5以上ある
  • 奥行知覚検査器で3回検査した結果の平均誤差が2cm以下である
  • 両耳の聴力が10mの距離で90dBの警音器が聞こえる(補聴器の使用も含む)

出典:大型二種・中型二種・普通二種免許試験(指定教習所を卒業された方) 警視庁

都市部で働く場合に必要な試験

「特定指定地域」「指定地域」などの都市部で働く場合は、各都府県のタクシーセンターが実施する「輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験」に合格する必要があります。試験が必要な都市部は、以下の通りです。

【特定指定地域】

  • 東京都:23区(特別区)・武蔵野市・三鷹市
  • 神奈川県:横浜市・川崎市・横須賀市・三浦市
  • 大阪府:大阪市、池田市、ほか地域

【指定地域】

  • 札幌エリア
  • 仙台エリア
  • さいたまエリア
  • 千葉エリア
  • 名古屋エリア
  • 京都エリア
  • 神戸エリア
  • 広島エリア
  • 北九州エリア
  • 福岡エリア

試験は、「法令・安全・接遇」「地理」の2科目、各項目で45問ずつ出題され、80.0%の正答率で合格となります。

なお、東京都・神奈川県・大阪府などの大都市部では、2024年2月29日付で試験内容から「地理」が廃止されました。今後、全国的に廃止されていく可能性も考えられるでしょう。

出典:審議会・委員会等:中間とりまとめ - 国土交通省

出典:輸送の安全及び利用者の利便の確保に関する試験 | 公益財団法人東京タクシーセンター

車が好きならタクシー運転手にチャレンジしてみよう

タクシーの看板

(出典) pixta.jp

一部では「タクシー運転手はやめとけ」との声がありますが、人間関係のしがらみが少なく、働き方の自由度も高い仕事です。頑張り次第で高収入も狙えるため、やりがいのある仕事ともいえるでしょう。

タクシー運転手になるには、普通自動車第二種運転免許が必須ですが、取得をサポートしているタクシー会社もあります。車の運転が好きな人は楽しくできる仕事なので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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