アートメイク看護師は、美容医療の分野で注目を集める職業です。眉やアイライン、唇の施術を通じて外見の向上をサポートします。未経験者が目指すには、どのようなルートをたどればよいのでしょうか？仕事内容や必要な資格、年収の相場などを解説します。
アートメイク看護師とは？仕事内容と魅力
アートメイク看護師とは、医療と美容の両面からお客さまの満足度向上に貢献する専門職です。役割や業務内容、仕事のやりがいなどを紹介します。
アートメイク看護師の定義と役割
アートメイク看護師とは、アートメイクの施術を専門に行う看護師です。「アートメイク」とは、眉や唇などの表皮に針でインク（薬剤）を注入し、着色していく施術を指します。医療行為に該当するため、医師または看護師の資格が欠かせません。
お客さまとの綿密な相談を通じて理想的な色や形を決定し、高度な技術を用いて施術を行います。美容クリニックで働くことが多く、アートメイクのみを専門的に扱うのが一般的です。
技術を習得するには、専門のスクールに通うか、アートメイクを提供するクリニックで教育を受けるのが主流です。経験を積むにつれて指名される機会も増え、通常の病院勤務とは異なるやりがいを感じられる職業といえるでしょう。
具体的な業務内容と1日の流れ
アートメイク看護師の1日は、施術とカウンセリングが中心です。施術の準備をした後、お客さまに丁寧にカウンセリングを行い、細心の注意を払いながら施術を行います。
午後も同様の流れで進みますが、新しい技術や流行のメイクについて学ぶ時間も設けられます。座って作業することが多く、体力的な負担は少ないといえるでしょう。病院勤務の看護師と違い、夜勤はありません。
施術料金は安くはないため、お客さまの期待を裏切らないように施術をしなければなりません。失敗すると深刻な問題につながる可能性もあり、常に緊張感を持って業務に当たります。
最新の美容技術を学ぶため、休日もセミナーや勉強会に参加する人は少なくありません。
アートメイク看護師の魅力とやりがい
アートメイク看護師の魅力は、医療と美容の両面からお客さまの人生を豊かにできる点にあります。
施術後、お客さまの自信に満ちた笑顔を見られることは、アートメイク看護師の大きな喜びです。1人1人の顔立ちや希望に合わせてデザインを提案し、その人らしさを引き出せることも魅力でしょう。
技術の向上に伴い、自分自身のスキルアップを実感できるのもやりがいの源です。新しい技法や製品が次々と登場する美容業界の最前線で活躍できる点も、多くの看護師を引き付けています。
アートメイク看護師は、努力次第で高収入を得られる可能性があります。技術と経験を積むほど指名率が上がり、収入が増えていくのです。キャリアの選択肢が豊富で、中にはフリーランスで成功を収める人もいます。
アートメイク看護師になるための資格要件
アートメイク看護師になるためには、いくつかの重要な資格要件があります。資格要件を満たすことで、医療と美容の両面からお客さまをサポートできる、専門性の高いアートメイク看護師への道が開かれます。
アートメイク看護師に必須となる看護師免許の取得方法
アートメイク看護師になるための第一歩は、看護師免許の取得です。この資格を得るには、主に2つの方法があります。
1つ目は、看護大学や看護専門学校を卒業し、看護師国家試験に合格する方法です。看護大学は4年制、専門学校は3年制で、いずれも合格率は90%前後と高く、多くの人がこのルートを選びます。
2つ目は、准看護師として3年以上の実務経験を積んだ後、2年制の看護学校で学び、国家試験を受験する方法です。この方法は特に社会人に適しており、働きながら資格を取得できます。
看護師免許取得後は、アートメイクの技術を習得するためのスクールや講座を受講するのが一般的です。これにより、医療と美容の両面からお客さまをサポートできる、専門性の高い看護師への道が開かれます。
出典：看護職になるには | 看護職を目指す皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
アートメイク技術の習得にはスクールと講座
アートメイク技術を習得するには、専門のスクールや講座を受講することが不可欠です。これらのスクールでは、基礎知識から応用技術まで、幅広いカリキュラムが用意されています。
選択の際は、講師の経験や卒業後のサポート体制、授業形態などを考慮しましょう。現役アーティストから直接指導を受けられるスクールや、オンラインと対面を組み合わせた柔軟な学習スタイルを提供する講座もあります。
国際ライセンスの取得が可能なスクールで学べば、グローバルな視点でスキルアップを目指せるでしょう。
医療補助としての「パラメディカルピグメンテーション」を専門的に学べるコースもあり、看護師の経験を生かしつつ、新たな技術を習得できます。
美容関連の追加資格とその重要性
アートメイク看護師として活躍するには、看護師資格に加えて美容関連の追加資格が重要です。
美容師免許やエステティシャンの資格を取得することで、より幅広い知識と技術を身に付けられます。これらの資格は、お客さまの肌質や顔の形状を的確に判断し、最適なアートメイクを提案する上で大きな強みとなります。
アートメイクは顔の印象を大きく左右するため、お客さまの肌色や髪色に合わせた適切な色選びが求められます。カラーコーディネーターなどの色に関する資格も役立つでしょう。
アートメイク専門の認定資格も存在します。これらの資格は、技術の高さや安全性を証明するものとして、お客さまからの信頼獲得につながります。
アートメイク看護師に必要なスキルと能力
アートメイク看護師には、美容技術やアート感覚、コミュニケーション能力などのさまざまなスキルが求められます。アートメイク看護師として成功するために必要なスキルと、それらを向上させるための具体的な方法を解説します。
美容技術とアート感覚の磨き方
美容技術とアート感覚を磨くには、日々の研さんが欠かせません。美容技術の向上には、最新のトレンドや技法を学ぶ継続的な教育が重要です。
例えば、各種研修に参加し、世界の最先端の美容技術に触れることで、知識や感性を豊かにできます。実践的な環境で自らの手を動かすことで、プロの技を間近で学べるでしょう。
アート感覚を磨くには、美術館巡りや芸術イベントへの参加が効果的です。さまざまな芸術作品を通じて、色彩感覚や構図への理解が深まります。アート感覚や美的感覚は一朝一夕で身に付くものではないため、意識的に磨き続ける必要があります。
コミュニケーション能力の重要性と向上法
コミュニケーション能力は施術の成功を左右する重要なスキルです。お客さまの希望を正確に理解し、施術内容やリスクを分かりやすく説明することで、信頼関係を築けます。
近年は、SNSを活用した集客や顧客とのやりとりが増えています。オンラインコミュニケーションにも慣れておく必要があるでしょう。
チーム内での連携を円滑にするため、他のスタッフとの情報共有や報告・連絡・相談のスキルも磨くことが重要です。
アートメイク看護師のキャリアパスと年収
アートメイク看護師の働き方には、安定した環境で経験を積む「クリニック就職」と、自由度の高い「フリーランス」という2つの選択肢があります。それぞれの特徴とメリットを見ていきましょう。
クリニックでの就職と独立開業の選択肢
クリニックに就職するメリットは、安定した環境で経験が積める点です。医師の指導の下、技術を磨きながら、顧客対応やクリニック運営のノウハウが学べます。未経験からのスタートも可能なので、キャリアの第一歩にふさわしい選択肢といえるでしょう。
フリーランス（独立開業）のメリットは、柔軟な働き方が実現できる点です。複数のクリニックと契約を結べば、高収入が期待できます。ただし、集客や経営面での責任も伴うため、十分な経験と準備が必要です。
どちらの道を選ぶかは、個人の目標や価値観によって異なります。キャリアの初期段階ではクリニックで経験を積み、その後フリーランスを目指すという段階的なアプローチも1つの選択肢となるでしょう。
年収の相場と給与形態の詳細
アートメイク看護師は比較的新しい専門職のため、収入や給与に関して政府機関による統計データはありません。
厚生労働省の職業情報提供サービス「job tag」によれば、2023年時点における「看護師」の年収は約508万円です。
アートメイク看護師は、より高い収入が得られる可能性があります。給与形態は固定給とインセンティブの組み合わせが一般的です。複数の大手美容クリニックチェーンの求人であれば、月給は25～35万円程度が見込まれます。
SNSでの集客力がある看護師は、顧客獲得に有利となり、収入増加につながる可能性もあります。人気のあるアートメイク看護師は、ヘッドハンティングされることもあり、年収1,000万円以上が保証されるケースもあるようです。
出典：看護師 - 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
アートメイク看護師への一歩を踏みだそう
アートメイク看護師は、美容技術と看護スキルを生かし、お客さまに美と自信を提供する専門職です。看護師免許がないと施術が行えないため、未経験者は、看護師国家試験を受験するところからスタートしなければなりません。
看護師免許を取得した後、クリニックやスクールで技術を習得するのが一般的です。給与にはインセンティブも含まれるため、やりがいと収入の両立が実現できます。
アートメイク看護師の仕事に興味がある人は、仕事・求人情報一括検索サイト「スタンバイ」を活用し、働き方や待遇などをチェックしてみましょう。
