テストエンジニアになるには?具体的な方法と主な仕事内容を紹介

「テストエンジニア」は、ソフトウェア開発で品質保証を担う職種です。需要が急速に拡大する中で、未経験からでも挑戦できる職業としても注目されています。仕事内容や求められるスキル、将来性などを詳しく解説します。

テストエンジニアの仕事内容と役割

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(出典) pixta.jp

テストエンジニアの仕事内容と役割は多岐にわたります。まずはテストエンジニアの主な業務や役割、開発チームとの協力体制について理解を深めましょう。

テストエンジニアの主な業務と責任

テストエンジニアの主な業務は、ソフトウェアが問題なく作動するかどうかをテストで検証することです。テスト計画の立案を行った後、プロダクトの仕様や要求を理解しながら、テストの範囲や優先順位を決定していきます。

その後、テストで確認すべき内容をまとめたテストケースの設計と製品の動作確認を行うシナリオを作成し、実際にテストを実行する流れです。

テスト中に発見されたバグは、再現手順や発生環境を詳細に記録し、開発チームへ迅速に報告する必要があります。

テストの結果を分析し、改善提案を行うことも業務の一部です。最近では、自動化ツールの活用が進んでおり、テストの効率化が図られています。

テスト計画の立案からバグ報告まで

業務の最初のステップは、テスト計画の立案です。具体的には、製品の品質基準・テスト範囲・評価基準・スケジュールを設定し、チーム全体で共有します。

次に、単体テスト・結合テスト・総合テストの各段階で製品の機能や性能を確認し、バグを発見します。バグが見つかった場合は、その再現手順や発生環境を詳細に記録し、開発者へ迅速に報告しなければなりません。

これにより、開発者が効率良く問題を解決でき、最終的にはプロジェクト全体の品質向上につながります。テスト結果を分析し、改善提案を行うこともテストエンジニアの重要な仕事です。

開発チームとの連携とコミュニケーション

テストエンジニアは、開発チームと密接に連携しながら業務を遂行します。日々の業務では、バグ報告やフィードバックを迅速かつ正確に行い、開発チームがスムーズに問題解決を進められるようサポートします。

適切なコミュニケーションが行われない場合、バグ修正の遅延やプロジェクト全体の進捗に影響を与える可能性があるでしょう。テストチームの連携が不足すれば、プロジェクトの遅延や対立が生じるリスクもあります。

特に、アジャイル開発などの手法では、定期的な進捗報告やフィードバックを通じて、開発者と協力し合うことが求められます。

テストエンジニアに必要なスキルと知識

タイピング

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テストエンジニアには、ソフトウェア品質を保証するための幅広いスキルと知識が不可欠です。業界未経験者は、プログラミング言語とツールの使い方も学ぶ必要があるでしょう。

テスト設計とテスト技法の基礎

テストエンジニアには、テスト設計とテスト技法に対する理解が不可欠です。テスト設計では、ソフトウェアの動作や仕様を基に検証すべき範囲を決定します。効率的にバグを発見するための第一歩といえるでしょう。

代表的なテスト技法には、同値分割法や境界値分析があります。これらを使用してテストケースを設計することで、システムの異常や不具合を早期に発見できるようになります。

誰でも同じ手順でテストを実施できるように、テストケースには、テスト対象・観点・条件・手順・期待結果を明確に含めることが重要です。

プログラミング言語とツールの知識

テストエンジニアには、プログラミング言語とツールの知識が欠かせません。例えば、PythonやJavaなどのプログラミング言語は、テストの自動化やテストコードの作成に使用されます。

これらのスキルにより、手動テストでは対応できない複雑な動作やシステム全体の検証が可能となるのです。また、SeleniumやJenkinsなどの自動化ツールを使用すれば、テストプロセスの効率化が実現します。

開発プロセス全体をサポートする上では、CI/CDツール(継続的インテグレーション・デリバリー)やDocker、GitLabを理解する必要があります。

品質管理と問題解決能力

ソフトウェアの品質を維持するためには、品質計画を立て、テストやレビューの基準を明確にする必要があります。

バグや不具合を早期に発見したり、対策を講じたりする上では、問題発生の根本原因を特定し、再発防止策を考えなければなりません。テストエンジニアには、品質管理と問題解決能力が求められるといえるでしょう。

これらのスキルにより、長期的な品質向上の実現とプロジェクト全体の成功がもたらされます。テストエンジニアは継続的な改善や開発チームとの協力を通じて、問題解決に貢献しているのです。

テストエンジニアのキャリアパスと将来性

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テストエンジニアは、IT業界で重要な役割を担う職種として注目されています。キャリアパスや市場での需要を理解することで、長期的な成長戦略を立てられます。テストエンジニアが目指せる上位職や、業界での需要と市場動向について解説します。

テストエンジニアから目指せる上位職

テストエンジニアとしてのキャリアパスには、スペシャリストやテストリーダー、テストマネージャーへの昇進があります。

スペシャリストは、特定のテスト分野で深い知識と技術力を発揮する役割です。テストリーダーやマネージャーは、プロジェクト全体を管理し、チームの進捗を監督します。

また、品質管理コンサルタントやテストアナリストといった別の分野に転身する人もいます。これらの職種は、製品全体の品質保証を専門的に扱います。

自動化技術の進展により、高度なスキルを持つテストエンジニアの需要は高い状態が続くでしょう。

テストエンジニアの需要と市場動向

IT業界の急速な成長に伴い、テストエンジニアの需要は増加傾向にあります。デジタル化の進展により、ソフトウェアの品質保証も重要性を増しています。

特に、新規アプリケーションの開発やレガシーシステムの刷新などの場面において、テストエンジニアは大きな役割を果たしています。

高度なスキルを持つテストエンジニアは、フリーランスとしても高い需要があり、経験によっては高単価の案件を獲得できるでしょう。

AIや自動化技術が進展すれば、基本的なテスト業務は自動化されるかもしれません。一方で、高度な判断力を要するテストエンジニアの価値は高まっていくと考えられます。

テストエンジニアへのキャリアチェンジ方法

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IT業界未経験者でも、テストエンジニアへのキャリアチェンジは可能です。未経験からテストエンジニアを目指すための具体的なステップやキャリアアップに役立つ資格をチェックしましょう。

未経験からテストエンジニアを目指すステップ

業界未経験者が目指せる資格の1つに、「JSTQB認定テスト技術者資格」が挙げられます。テスト技法や品質管理に関する国際的な標準を学び、専門知識を証明できるもので、「Foundation Level」と「Advanced Level」があります。

ITエンジニアとしての基礎的な知識を証明したい場合は、「基本情報技術者試験」を取得するのもよいでしょう。

品質管理や検証に特化したスキルを証明する上では、「ソフトウェア品質技術者資格認定」や「IT検証技術者認定試験(IVEC)」もおすすめです。

出典:JSTQB認定テスト技術者資格

出典:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

出典:JCSQE ソフトウェア品質技術者資格認定

出典:IT検証技術者認定試験 - 一般社団法人IT検証産業協会

テストエンジニアの実際の働き方と年収

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エンジニアというと、高収入・高待遇を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?1日のスケジュールや年収、昇給の仕組みなど、テストエンジニアのリアルな働き方を紹介します。

テストエンジニアの1日のスケジュール

テストエンジニアは1日のうちにさまざまな業務をこなします。勤め先によりますが、朝は9~10時頃に出社するケースが多いでしょう。メールチェックをした後、関係者と仕様書の確認やテスト内容の打ち合わせをし、テスト項目の設計に取りかかります。

午後からは、テスト業務の本格的な実施と管理を行います。テスト結果の報告や修正依頼、関係者とのミーティングも重要な業務です。

テスト専門会社では、顧客対応や報告書作成も業務に含まれます。基本的に、業務時間は一般的なビジネスパーソンと同様ですが、IT業界では短納期開発が多く、残業が発生することも珍しくありません。

テストエンジニアの年収と昇給の仕組み

厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、テストエンジニアに近い「デバッグ作業」の平均年収は、2023年現在で557万6,000円です。

未経験者の初任給は300万円程度から始まり、キャリアを積むにつれて上昇していきます。管理職や高度な専門性を持つエンジニアになれば、600万円以上の年収も目指せます。

昇給には、経験年数や実績、保有資格などが考慮されるのが一般的です。テスト自動化スキルやプロジェクト管理能力の向上を目指しましょう。JSTQB認定テスト技術者資格をはじめとする関連資格の取得も高評価につながります。

出典:デバッグ作業 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

テストエンジニアのワークライフバランス

テストエンジニアのワークライフバランスは、比較的良好とされています。一般的な勤務時間は9時から18時ですが、プロジェクトの進行状況によっては残業が発生することもあります。

多くの企業では、平均残業時間が月10~20時間程度で、特にリリース直前や緊急対応が求められる場合には残業が増えるようです。

リモートワークが普及してからは、テストエンジニアの働き方が大きく変化しました。自宅やカフェなど自由な環境で作業できるケースが多く、「通勤ストレスが減少した」「仕事とプライベートの両立がしやすい」という声も聞かれます。

自己啓発に充てる時間や家族と一緒に過ごす時間を増えるなど、ワークライフバランスの向上も期待できます。

未経験からテストエンジニアへの一歩を踏み出そう

パソコン作業

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テストエンジニアは、ソフトウェア開発において品質保証を担います。バグがあれば、開発担当者に問題を報告したり、改善策を提案したりして、品質の向上を目指します。

テスト技法やプログラミング知識が求められますが、未経験からでもキャリアチェンジは可能です。転職市場での需要も高まっており、将来性は高いといえるでしょう。

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