病棟看護師の仕事内容は?役割や基本的な働き方・やりがいなどを解説

病棟看護師は24時間体制で入院患者のケアに当たり、医療現場の最前線で活躍する職種です。これから病棟看護師を目指す人は、どういった役割を持っているか、実際の働き方はどうなのかなど、基本的なところを知っておきましょう。仕事の魅力も解説します。

病棟看護師とは?他の看護職との違い

看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師は、その名の通り病棟での看護を担う職種で、仕事内容は多岐にわたります。まずは病棟看護師の主な役割と、外来の看護師や訪問看護師との違いについて、見ていきましょう。

病棟看護師の主な役割

病棟看護師は24時間体制で患者を看護し、医療サポートをする専門職です。患者の日常生活のサポートも含め、さまざまな業務を担当します。詳しくは後述しますが、点滴・採血などに加えて、患者の体位変換や食事介助なども重要な仕事です。

さらに、患者やその家族の不安に寄り添い、心理的なサポートをする役割もあります。医師や介護職など、他の職種との連携役も担うのが特徴で、チーム医療の一員として患者の回復を支えます。

患者の急性期・慢性期・回復期など、勤務する病棟の特性によって求められる知識・スキルは異なりますが、患者に寄り添う必要がある点は共通です。

外来の看護師や訪問看護師との違い

病棟看護師は、外来看護師や訪問看護師とは異なる役割を担っています。

外来看護師は、主に通院患者への診療を補助するのが仕事です。訪問看護師は、在宅で療養する人の看護をします。いずれも日勤が基本であり、患者やその家族への指導や支援が中心となります。

一方で病棟看護師は、交代制勤務により、入院患者の療養生活を昼夜問わずサポートするのが特徴です。医療機器の管理や投薬管理・食事管理など、直接的なケアを行います。軽症から重症まで、さまざまな症状の患者と継続的に関わる仕事といえるでしょう。

病棟看護師の仕事内容を知っておこう

採血する看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師は、採血や点滴・バイタルサインの測定をはじめ、さまざまな業務をこなす必要があります。入院患者の日常生活や、医師の診察をサポートするのも重要な仕事です。病棟看護師の主な業務内容を、具体的に確認していきましょう。

採血や点滴

病棟看護師の重要な仕事の1つが、採血や点滴の実施です。医師の指示の下、患者の状態に応じて適切なタイミングで実施します。

点滴では、投与する薬剤の種類や量が正しいか、投与速度は適切かなど、細心の注意を払っての確認作業が必要です。点滴中は定期的に滴下速度を確認し、刺入部の腫れや痛みがないかを観察します。

また、採血も患者の検査のために必要不可欠な医療行為です。採血前には患者の体調を確認し、不安を和らげるための声掛けも行います。採血後も体調の変化に気を配り、必要に応じて医師に報告します。

バイタルサイン(生命徴候)の測定

バイタルサイン(生命徴候)の測定も、病棟看護師の仕事です。患者の血圧・体温・脈拍・呼吸数を、定期的に確認します。

通常、測定は1日3回程度実施しますが、術後や急性期の患者は状態が変化しやすいため、より頻繁な測定が必要です。夜勤帯では、2〜3時間ごとの巡回時に合わせて測定することも珍しくありません。

バイタルサインの測定は数値を記録するだけでなく、前回の測定値と比較したり、患者とコミュニケーションを取りながら、体調の変化を確認したりすることも重要です。

処方した薬の管理

病棟看護師は患者の処方薬を適切に管理し、正しく投与するのも重要な仕事です。医師が処方した薬を、決められた時間に正確な量で患者に提供します。服用後、薬の効果や副作用が出ていないかを注意深く観察することも必要です。

服薬管理では、患者の安全を第一に考え、投薬前には必ず患者の名前を確認し、「5R(正しい患者・薬・量・時間・用法)」を徹底します。さらに、服薬状況や体調の変化を詳細に記録し、医師や薬剤師と密に連携を取りながら、より良い治療を目指します。

入院生活の支援

病棟看護師は、入院患者の日常生活を支える重要な役割も担っています。食事や排せつなど、基本的な生活動作のサポートを通じて、患者の療養生活の質を高めるのも仕事です。

食事介助では、患者の嚥下機能や食欲に応じて、安全に食事ができるようサポートします。また、入浴や清拭・洗髪などを担当するケースもあり、患者の体調や状態に合わせて適切な方法を選択します。

日常生活の支援は単なる介助にとどまらず、患者の体調変化の観察や、異常の早期発見にもつながる大切な機会です。これらのケアを通じて患者と信頼関係を築き、不安や悩みに寄り添うのも病棟看護師の役割といえるでしょう。

診察のサポート

病棟看護師は、医師の診察時の重要なサポート役です。医師の指示に基づいて、処置に必要な医療機器や器具を準備し、スムーズな診察を促します。また、患者の状態を詳しく把握するために、医師の問診を補助し、必要な情報を聞き取るのも仕事です。

診察時には、患者の不安を和らげるような声掛けを意識し、安心して治療を受けられる環境づくりに努めなければいけません。医師と円滑なコミュニケーションを図りながら、さまざまな検査を実施する必要があります。

ナースコールの対応

ナースコールの対応も、病棟看護師の特徴的な業務の1つです。患者からの呼び出しに迅速に対応し、症状の確認や必要なケアを提供しなければいけません。ナースコールは病室だけでなく、浴室やトイレにも設置されており、患者の安全を守る重要な装置です。

特に、夜勤の時間帯は看護師の人数が少ないため、ナースコールが重なると対応に追われることも珍しくありません。患者の状態を適切に判断し、優先順位を付けながら対応する必要があります。

また、患者の急な症状の変化や、緊急入院の際には、迅速な初期対応と適切な判断が求められます。日頃から迅速に行動できるようシミュレーションや訓練を重ね、他のスタッフとの連携を密にしておくことも、病棟看護師に求められる役割です。

病棟看護師の働き方

デスクワークする看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師の勤務体制は、主に2交代制と3交代制に分けられます。それぞれの特徴や、一般的な勤務時間について解説します。

2交代制の場合

病棟看護師の勤務形態は、日勤と夜勤に分かれる2交代制が主流です。日勤は通常8〜17時、夜勤は17〜9時までといった勤務時間が一般的です。夜勤は16時間程度の長時間勤務となりますが、その分、出勤日数を抑えられるメリットがあります。

夜勤中は、患者のバイタルサインの測定・投薬管理・ラウンドなどの業務を担い、23〜6時の間に交代で仮眠を取ります。

2交代制は、長時間勤務による体力面での負担があります。しかし、勤務と勤務の間の休息時間が十分に取れるため、ワークライフバランスを重視する看護師から支持されています。

3交代制の場合

3交代制は、1日を日勤(8〜16.5時)・準夜勤(16〜24.5時)・深夜勤(24~8.5時)のように、3つの勤務帯に分ける形態です。1回の勤務時間が8時間程度と2交代制より短いため、身体的な負担は軽減されます。

しかし、月平均7~8回程度の夜勤があり、日勤から深夜勤・準夜勤といったサイクルで勤務するケースもあるため、生活リズムが不規則になりやすいのが特徴です。勤務時間は短いものの、病院への出勤回数は2交代制より多くなります。

病棟看護師の魅力ややりがいは?

病室でケアする看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師の仕事には、多くの魅力があります。看護師としての確かな技術を身に付けられるのに加え、患者の回復過程に直接関われる点を、特にやりがいに感じている看護師は少なくありません。

確かな看護技術を身に付けられる

病棟看護師は、医療現場の最前線で、確かな看護技術を身に付けられます。点滴・採血などの基本的な医療行為から、身体介護や体位変換まで、幅広い看護スキルを習得できる環境が整っています。

特に高度急性期病棟では、重症度の高い患者への対応を通じて、迅速な判断力と高度な看護技術を磨けるでしょう。また、医師・理学療法士・作業療法士など、多くの職種と連携しながら業務を進めるので、チーム医療における専門性の向上も可能です。

患者の回復過程に直接関われる

患者の回復過程に直接関われる点も、病棟看護師のやりがいといえます。入院から退院まで、患者の健康状態の変化を間近で見守り回復を支援できるのは、看護師の仕事の大きな特徴です。

例えば、手術後の患者が少しずつ歩行できるようになったり、食事を自力で取れるようになったりする過程に寄り添えるでしょう。患者の日々の小さな進歩に立ち会えることは、看護師としての喜びにつながります。

また、長期の入院生活を送る患者とは、深い信頼関係を築けるようになり、1人1人の気持ちに寄り添いながらケアできるのも魅力です。

病棟看護師の大変なところは?

疲れている看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師の仕事は、やりがいがある一方で、大変なところも多くあります。これから病棟看護師を目指すならば、仕事で直面しがちな困難や問題なども、よく知っておくことが大事です。

生活が不規則になりがち

病棟看護師の勤務体制は、主に2交代制と3交代制があり、どちらも不規則な生活リズムになりがちです。3交代制の場合、日勤・準夜勤・深夜勤と勤務時間は比較的短いものの、月に8回程度の夜勤があり、体内リズムが乱れやすい傾向にあります。

一方、2交代制は夜勤の回数は少なくなりますが、1回の勤務時間が長くなるため、体力的な負担は大きくなります。

また、看護業界は人手不足の職場も多く、残業が発生しやすい環境です。休日であっても勉強会や病棟会議への参加が必要になることがあり、十分な休息を取れないケースが少なくないのが実情です。

こういった不規則な生活は、睡眠不足や疲労の蓄積を招き、自律神経の乱れや消化不良などの体調不良につながるリスクがあります。

精神的に負担のかかる仕事もある

病棟看護師は、患者の命を預かる重要な役割を担うことから、精神的にプレッシャーを感じる人が多くいます。特に急性期病棟では、容態が急変する可能性のある患者を担当するので、常に緊張感を持って業務に当たらなければいけません。

ナースコールへの迅速な対応や、複数の患者の状態管理に加えて、医師や他のスタッフとの密な連携など、多くの業務を同時にこなす必要があります。優先順位の判断を誤ると患者の命に関わる可能性もあり、大きな責任とストレスを感じることもあるでしょう。

また、終末期医療の現場では、患者や家族の心理的なケアも重要な役割です。患者の死に直面する場面も多いため、強い精神的負担を感じることもあります。

病棟看護師の仕事の魅力を知ろう

ベッドを整える看護師

(出典) pixta.jp

病棟看護師は、医療現場の最前線で活躍する専門職です。バイタルサインの測定や投薬管理などに加えて、患者の日常生活のサポートも担当します。

身体的・精神的な負担も大きく、ワークライフバランスの実現が課題といわれていますが、患者の回復過程に寄り添えるなど、多くの喜びを感じられる職種です。専門的なスキルを磨ける環境も、看護師としての成長につながります。

これから病棟看護師を目指して就職・転職するならば、医療業界の求人も多く掲載している国内最大級の求人情報検一括索サイト「スタンバイ」がおすすめです。豊富にある求人情報から、希望の勤務形態や給与条件に合った職場を見つけることができます。まずは気軽に利用してみましょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人情報一括検索サイトなら