自由度が高いシフト制の働き方。転職時に押さえておきたいポイント

転職活動をしていると、シフト制の求人を目にすることが多い人もいるでしょう。社会人のシフト制とは一体どのような働き方なのでしょうか。シフト制の概要やメリット・デメリットを解説します。転職時に押さえておきたいポイントも紹介します。

シフト制とは

(出典) photo-ac.com

アルバイトをしたことのある人なら、シフト制の働き方になじみのある人も多いでしょう。しかし、社会人におけるシフト制はどのような働き方なのでしょうか。まずはシフト制の概要を解説します。

労働日や労働時間を定めない勤務形態

シフト制とは、一定期間ごとに作成される勤務シフトで労働日や労働時間が確定する勤務形態のことです。広義では交代勤務に含まれます。そのため、週や月によって勤務日や勤務時間が変わることが特徴です。

シフト制以外の代表的な勤務形態は固定制です。固定制は勤務日や時間が就業規則で決まっている勤務形態で、会社員の多くがこの働き方をしています。『平日8時間勤務の土日祝休み』は、固定制の典型例です。

シフト制が多い職種

シフト制はさまざまな業種で採用されていますが、一般的には営業時間・稼働時間が長い店舗や工場、施設で取り入れられています。

たとえばコンビニやスーパー、飲食店などは営業時間が長い傾向にあり、24時間営業のところもあります。この場合、すべての営業時間を通して同じ人で店舗を回すことは不可能です。そのため、時間で区切って人を入れ替えて営業しています。

また病院や工場、空港なども常に従業員がいなくてはならない施設です。このような施設で働いている人も、シフト制で動いています。

シフト制の種類

(出典) photo-ac.com

シフト制には、シフトの決め方によって完全と固定、自由シフト制の3つに分かれています。それぞれの特徴やシフトの決め方を解説します。

完全シフト制

複数のパターンの中から、自分が働く時間帯が決まるタイプのシフト制です。

工場や介護施設などでは、昼と夜の2交代制や、昼・夕方・夜の3交代制が採用されることが多く、曜日や週によって自分がどの時間帯で働くかが決まります。

自分がどのシフトパターンに入るかによって、業務内容が変わる場合があることも特徴の1つです。必ずしも土日に休日を取れるわけではないため、週休2日制と呼ばれることもあります。

固定シフト制

勤務を開始するときに、『何曜日の何時から何時まで働くか』を前もって決めておき、その通りに勤務する形態です。アルバイトでよくある勤務形態といえるでしょう。シフトは半年や1年ごとに見直しが行われることがあります。

コールセンターなどの、勤務時間が比較的長くなりやすい業種に多く見られます。他のシフト制と異なり、予定を立てやすいことが特徴です。

自由シフト制

希望シフト制とも呼ばれ、勤務先に自分の希望するシフトを提出し、勤務先の調整の上、シフトが決定します。これもアルバイトで主流の働き方です。

シフトを組む範囲は、週ごとや月ごとなど、勤務先によって異なります。飲食店や小売店では、社員には固定シフト制、アルバイトは自由シフト制といったように、複数のシフト制を採用する場合もあります。

シフト制のメリット

(出典) photo-ac.com

シフト制には、メリットもあればデメリットもあります。まずはシフト制のメリットを見ていきましょう。

自分の都合に合わせて働ける

シフト制の大きなメリットは、自分の予定に合わせて働けるところでしょう。シフトの組み方によっては平日を休みにできたり、1日の勤務時間を短くできたりします。空いた時間で副業をするなど、スケジュールをコントロールしやすいことがシフト制の魅力です。

また体力のある人なら、夜勤を入れることで効率的に稼ぐことが可能です。22時から翌5時までの間に働くと、深夜割増として賃金が1.25倍されます。これは法律で決まっているので、割増賃金が適用されるための特別な条件はありません。

平日休みや遅めの出勤がかなう

シフト制なら、平日を休みにしたり、午後からの出勤にしたりできます。またプライベートの予定に合わせて、その日は勤務を入れないなど自由が利きやすいこともメリットです。

平日を休みにすれば、役所や病院、銀行にも行きやすくなります。人混みが少ないタイミングで旅行にも行けるでしょう。始業時間をずらせば、通勤ラッシュも避けられる点は、固定制にはないシフト制ならではのメリットです。

シフト制のデメリット

(出典) photo-ac.com

シフト制はメリットばかりではありません。シフト制で働くなら、デメリットもよく納得した上で働いた方が、理想とのギャップは少ないでしょう。

体調を崩すリスクがある

シフト制は勤務時間が変則的になることが多いため、それに伴い生活リズムも不規則になるリスクがあります。食事の時間がバラバラになったり、睡眠時間が十分に取れなかったりと、心身に影響を及ぼしてしまう可能性があるでしょう。

特に夜勤をしている人は、多くの人と生活リズムが逆になるので要注意です。シフト制で働くときは、生活リズムをできるだけ乱さないよう、自己管理が大切です。

数カ月先の予定を立てにくい

自分の都合に合わせて予定を立てられるのがシフト制の魅力ですが、数カ月先の予定は立てにくい傾向にあります。特に完全シフト制の場合は、土日勤務や夜勤が入る可能性もあり、数カ月先の旅行の計画などは立てにくいでしょう。

また自分の希望するシフトが必ずしも通るとは限らないため、収入の計画を立てにくいことも考えられます。思ったよりシフトが少ない月は、節約を余儀無くされる場合もあるでしょう。

転職時に押さえておきたいシフト制のポイント

(出典) photo-ac.com

シフト制の職場に転職するときには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。転職時に押さえておくべきポイントを解説します。

生活スタイルに合うか考える

シフト制の職場に転職するときは、働き方が自分のライフスタイルに合っているかどうかを確認しましょう。土日に休みを取れるとは限らないため、家族がいる人は調整が必要な場合もあるかもしれません。

また夜勤がある仕事の場合、今はよくてもだんだんと体力的に厳しくなる可能性もあります。体力面や生活リズムが乱れることが心配な人は、変則的なシフトの職場はできるだけ避けるなどの工夫が必要でしょう。

労働条件を確認する

シフト制で勤務する場合は、労働条件も確認する必要があります。具体的には、労働時間や残業代、有給休暇の有無などをチェックしましょう。

シフトをいつ提出するか、またシフトがいつ決定するかも重要なポイントです。これは予定の立てやすさに影響します。病気や不幸などの急用が入ってしまった場合に、どの程度シフトの融通が効くかも確認しておきましょう。

面接時には、業務内容だけでなく、労働条件も併せて聞いておくことが大切です。

シフト制は働き方の自由度を高められる

(出典) photo-ac.com

シフト制はアルバイトだけでなく、正社員でも見られる働き方です。シフト制の種類は固定と完全、自由制の3つに分かれており、それぞれ働き方が異なります。シフト制を採用している業界や業種は、主に飲食業やサービス業、工場などの製造業などが多いです。

シフト制の魅力としては、自分で予定を立てやすいところが挙げられます。平日を休みにして役所などの手続きを済ませたり、午後出社にして通勤ラッシュを避けたりなどは、シフト制ならではの働き方でしょう。

しかし、生活が不規則になることで体調を崩してしまうリスクがあります。また数カ月先の予定を立てづらいことは、シフト制で働く際の注意点です。メリットとデメリットを比較し、自分にとってベストな選択をしましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
All Aboutプロフィールページ
公式サイト

著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備