リスキリングとは?注目されている理由と取り組み方を紹介

さまざまな業界・企業において、リスキリングが注目を集めています。リスキリングとは、どのような取り組みを指すのでしょうか?概要と注目されている主な理由、具体的な取り組み方を詳しく紹介します。混同しやすい取り組みについても確認しましょう。

リスキリングとはどのような取り組み?

パソコンでの作業

(出典) pixta.jp

まずはリスキリングの具体的な活動内容を紹介します。多くの企業がどのような目的で取り組んでいるのかも、併せて見ていきましょう。

ビジネスに役立つスキルを習得する取り組み

市場環境の変化・技術の変化など、さまざまな原因で今までとは異なったスキルが必要になる場合があります。リスキリングは、新たに求められるようになった知識・スキルを、習得するための学習活動の総称です。

技術革新に伴い導入した新しいシステムを運用するのに必要なスキルなど、習得すべき具体的なスキルは状況によって異なります。現職で新たな仕事へ取り組むために習得したスキルは、転職をする場合にも役立つでしょう。

企業側が主体となって取り組む学習活動

従業員が自発的に新しいスキルを学習するのではなく、企業側が主体になって学習の機会を提供するのがリスキリングの特徴です。各企業が学習の場を設け、全従業員を対象にして取り組むのが基本とされています。

市場環境の変化・技術革新に伴い、ビジネスの進め方が大きく変化した場合、新たな環境に対応するためにはどのようなスキルが求められるのかを、考えなければなりません。

その上でリスキリングの機会を提供し、従業員に必要なスキルを習得してもらって、新たな仕事をスムーズに進められるようにする必要があります。

ビジネスや企業をより成長させることが目的

リスキリングを実施する主な目的は、自社のビジネスを推し進めるためです。IT関連のスキル・マーケティングスキルなど、これまでとは異なるスキルが求められる場合、必要なスキルを効率的に習得し、発揮できるようにすることを目的としています。

ビジネスを継続的に成長させるには、従業員をスキルアップさせ、新しい状況に対してスピーディーに対応することが必要です。企業が積極的にリスキリングを実施することで、対応遅れによるチャンスロスを防ぎやすくなります。

リスキリングが重要な理由

セミナーを受ける

(出典) pixta.jp

多くの業界・企業がリスキリングに注目している理由には、どのようなものがあるのでしょうか?以下で、リスキリングが重要な理由を紹介します。

技術革新によって必要なスキルが変化した

どのようなビジネスを営んでいるかにかかわらず、技術革新によって必要なスキルが変化したために、新しいスキルを習得する必要が生じています。

例えば、ITの進歩に伴うDXやAI技術の活用、SNSの普及に伴うマーケティング手法の変化などが該当します。

DXを推進したり、AI技術をビジネスに応用したりするには、従業員がそれらの技術を学んで使えるようにならなければなりません。マーケティングのトレンドが変化した場合も同様に、新しいマーケティング手法の習得が必要です。

従業員が自ら学習するとは限らないため、企業側が主体となって取り組むリスキリングが求められます。

人材不足が深刻化している分野がある

業界や職種によっては人材不足が深刻化していて、十分なレベルのスキルを有している人材を、必要な人数分集めるのが難しいケースがあります。

代表的な例がIT分野で、エンジニアをはじめ、多くの職種で人材の絶対数が不足しています。IT人材は、DXを推進したり、AI・IoT技術をビジネスに活用したりするために欠かせません。

全体的に人材不足に陥っている状況下で、外部から十分な数の必要スキル保有者を調達するのは現実的とはいえないでしょう。そのため、自社内でリスキリングして、必要なスキルを有する人材を確保する必要があるのです。

リスキリングが注目を集める背景

デスクワーク

(出典) pixta.jp

特定の業界・企業に限らず、世界的にリスキリングが注目を集めています。なぜ世界的に注目されているのか、その理由を3つ紹介します。

世界的にリスキリングが必要とされている

世界中で、「第4次産業革命(インダストリー4.0)」と呼ばれる産業構造の変化が進んでいます。

第4次産業革命は、AI・IoT・ブロックチェーンといったITの活用により、既存の産業を取り巻く環境が大きく変化したり、新たな製品開発につながったりしている状況のことです。

これに伴い多くの産業において、従業員が習得しておかなければならないスキルが変化しています。2018年のダボス会議(世界経済フォーラム年次会議)で提唱されたことも影響し、世界的に多くの企業が従業員のリスキリングに取り組んでいる状況です。

政府機関が積極的に支援している

日本国内においては、経済産業省・厚生労働省といった政府機関が、リスキリングを支援しています。

リスキリングに取り組みやすくするために補助金や助成金を支給したり、スキルを認定する制度を設けたりと、具体的な取り組みはさまざまです。企業にとっては、従業員のリスキリングに取り組みやすい環境といえるでしょう。

なお、政府機関が実施する支援事業には、転職を目的としたものも含まれます。キャリア相談や転職先の紹介も実施しているため、新たなスキルを習得して転職したいと考えている人にとっても魅力的でしょう。

DX推進に欠かせないと考えられている

リスキリングの重要性が高まっている理由の1つが、DXです。DXは「Digital Transformation」の略称で、ITを活用して業務生産性を高めたり、新たなビジネスを創出したりする取り組みを総称しています。

自社でDXを推進するには、従業員がコンピューターやAI、通信などのITに関連するスキルを十分に有していなければなりません。

これまでITを積極的に活用していなかった企業であれば、従業員に必要なスキルを習得してもらうために、全社的に取り組む必要があります。自社でDXを推進してビジネスを変革するには、積極的なリスキリングが必要です。

市場価値を高めるために学べることの例

メモをとる

(出典) pixta.jp

ビジネスにおける最新のトレンドについていくには、どのようなスキルを学べばよいのでしょうか?リスキリングで学べるスキルは多種多様ですが、以下では特にニーズが高いと考えられている2つのスキルを、詳しく見ていきましょう。

最新技術に関する複合的なスキル

新技術の開発や既存技術のアップデートが急速に進んでいるため、それらの技術を活用するスキルが必要です。ビジネスの現場で活用されている最新技術の例には、以下のようなものがあります。

  • ITに関する知識・スキル
  • デジタルマーケティング関連のスキル
  • ビッグデータの分析に関するスキル
  • サイバーセキュリティー関連のスキル

企業側は、ビジネスを変革するのにどのようなスキルが求められるかを可視化し、習得するための教育プログラムを設ける必要があります。

グローバルビジネスに必要な語学スキル

リスキリングの一環として、新たな言語を学ぶのもおすすめです。国境を越えて、グローバルにビジネスを展開するケースが多いためです。

英語・中国語・スペイン語など、自社のビジネスで必要とされる言語を習得すると、より活躍の幅を広げられます。

新たな言語と併せて、コミュニケーションスキル・マネジメントスキルを高めることも意識しましょう。さまざまな国籍・背景の人と、スムーズにコミュニケーションを取れるスキルを有していれば、自分の市場価値を高められます。

リスキリングに注力することで得られる効果

セミナーを受ける新人社員たち

(出典) pixta.jp

リスキリングにより、従業員が新たなスキルを習得することで、企業はさまざまなメリットを享受できます。リスキリングで期待できる主な2つの効果を、以下で詳しくチェックしましょう。

事業拡大やイノベーションにつながる

多くの従業員が新たなスキルを習得することで、事業拡大やイノベーションなどをもたらす、新しいビジネスの創出につながるケースがあります。

知識・スキルのレベルが上昇すると、従業員はこれまで考えもしなかったアイデアが、思い浮かぶようになるかもしれません。リスキリングに取り組むことで、既存の知識と新たな知識を組み合わせた斬新な発想が、生まれる可能性があります。

これまでにないアイデアが生まれるようになれば、既存のビジネスを改良したり、新たなビジネスを創出したりすることにつながるでしょう。

従業員のモチベーションを高められる

企業が積極的にリスキリングに取り組めば、従業員のモチベーションが高まり、エンゲージメントを向上させることにもつながります。

エンゲージメントとは、「在籍している企業に貢献したい」という思い・意欲の強さを指す言葉です。エンゲージメントが高いほど、従業員が意欲的に貢献するようになります。

リスキリングは、従業員にとっても成長できるメリットがあるため、成長の機会を用意してくれた企業に対するエンゲージメントも高まるといえるでしょう。

従業員のモチベーション・エンゲージメントを高められれば、企業全体としてさらなる成長が期待できます。

効果的なリスキリングの進め方

メモをとる会社員

(出典) pixta.jp

リスキリングに取り組む企業は、十分な効果が見込めるように進める必要があります。従業員側も、効果的な取り組み方を知っておけば、実際に学習する上で役立つはずです。以下で、効果的なリスキリングに欠かせないポイントを押さえておきましょう。

自社が必要とするスキルを細かく可視化する

まずは、自社のビジネスを推し進めるにはどのようなスキルが必要なのか、可能な限り具体的に可視化します。

「ITスキル」「マーケティングスキル」など、大まかに考えるだけでは不十分です。以下のように、理由とセットで考慮するとよいでしょう。

  • システムの内製化を進めるためにPythonプログラミングのスキルが必要だ
  • インターネット経由で集客するためにWebマーケティング・SNSマーケティングに注力する必要がある
  • インターネットから取得したビッグデータを分析し、改善策を考える必要があるため、データ分析スキルが必要だ
  • 人材不足を解消するためにロボット化を進める必要があり、ロボット開発のスキルが必要だ

必要なスキルを詳細な部分まで可視化することで、どのようにリスキリングを進めればよいかが、ある程度見えてきます。

方向性ややり方を具体的に考える

次に、事前に可視化したスキルや、自社のビジョンを総合的に考慮し、リスキリング施策に落とし込みます。どのようなプログラムを用意すれば効果的か、具体的に考えることが重要です。

  • 外部のプログラミングスクールと提携して、体系的なプログラミング講座を用意する
  • 専門家を招致してセミナーを開講する
  • 強化したい分野に強い別の企業と業務提携して、不足している部分を補いつつ、人材交流を通じて双方のスキルアップを図る

どのようなスキルを必要とするかによって、効果的な取り組みは異なります。場合によっては、外部の専門家や他社と協力する必要があるため、早い段階で方向性・進め方を明確にすることが大切です。

長期的に取り組む

リスキリングは、取り組んだからといって、すぐに効果が出るものではありません。場合によっては数カ月~数年程度と、長期間にわたって取り組み続ける必要があります。

そのため、無理なく長期的に継続できる仕組みにすることが大切です。定期的に従業員からヒアリングし、改善点を探ったり効果を検証したりなどの取り組みも欠かせません。

長期的かつ意欲的に取り組める環境を用意できれば、従業員も学習意欲を維持でき、より高い効果が期待できるようになります。

リスキリングと混同しやすい取り組み

手帳を見ている会社員

(出典) pixta.jp

ビジネスの一環として行われる教育活動の中には、リスキリングと混同しやすいものがあります。以下では代表的な例として、「リカレント教育」と「生涯学習」の2つを紹介します。

自ら進んで行う学習「リカレント教育」

スキルアップ・キャリアアップを目的として、従業員が自ら進んで行う学習活動を「リカレント教育」と呼びます。リスキリングとの違いは、以下の通りです。

  • リカレント教育:従業員が自らの意志で取り組む学習活動
  • リスキリング:企業が主体となって、従業員のスキルを高めるために用意する教育活動

誰が主体となって取り組むかが異なる点が、大きな違いといえるでしょう。また、リカレント教育における学習内容は、他分野の技術・教養なども含まれ、必ずしも現職に直結するもののみとは限りません。

多分野の知識を継続的に習得する「生涯学習」

人生をより豊かなものにするために、継続的に取り組むのが「生涯学習」です。生涯学習は、1人1人が主体となって、自分の興味・関心がある内容を学習します。

学習内容は、ビジネスに関連するものとは限らず、以下のようなものも含みます。

  • 趣味に関係する学習
  • スポーツ活動
  • 創作活動

生涯学習はリスキリングとは異なり、企業が主体となるものではありません。学習内容を個人が自由に選ぶ点も、大きく異なるといえるでしょう。

リスキリングの取り組みは転職にも有用

履歴書を手にしているスーツの人物

(出典) pixta.jp

ビジネスを取り巻く環境の変化に対応するため、企業が主体となって従業員を教育する活動が「リスキリング」です。

基本的には、企業のビジネスを発展させる目的で行われますが、習得したスキルは転職活動にも生かせます。「新たに習得したスキルを活用して転職したい」と考えているなら、自分のスキルを発揮できる職種・企業を探しましょう。

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