「汎用性」の意味は?言葉の使い方やビジネスシーンでの必要性を解説

汎用性とは、さまざまな用途や目的などに利用できる様子を示す表現で、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。言葉の意味や使い方を、正しく理解しておきましょう。ビジネスにおける汎用性の重要さや、代表的な汎用スキルなども解説します。

「汎用性」が持つ意味は?

パソコンとスマホとメモ帳

(出典) pixta.jp

「汎用性(はんようせい)」は、個人のスキルや専門性などを表現する際に使われるほか、製品の特質や強みを表す言葉でもあります。まずは言葉の定義や、よく使われる場面などを確認しておきましょう。

幅広く適用できる様子を指す

さまざまなものに適用できる特性や、いろいろな方面に利用できるさまなどを指す言葉が「汎用性」であり、広い範囲で多くの用途に適応できる能力を指します。

個人のスキルを評価する場面をはじめ、製品やソフトウエアの性質を表す場面でも、使われるケースが少なくありません。

汎用性の高さは、さまざまな状況に柔軟に対応できることを意味し、多くの場合においてポジティブな特質として評価されます。多様なニーズや変化する状況に対応しやすい特性であり、人事評価の分野でも注目されています。

システム開発の場で使われるケース

汎用性は、システム開発の場でもよく使われており、多くの場合「汎用系システム」を指す言葉として知られています。いわゆる「汎用機(メインフレーム)」と呼ばれる、企業の基幹システムに用いる大型のコンピューターに組み込むものです。

大規模かつ多様なデータを取り扱う企業が、業務の主軸に据えるシステムであり、膨大なデータを高速で処理できます。

このような汎用機への組み込みを前提として、ゼロから開発するのが汎用系システムです。金融業・保険業の勘定システムや、製造業における生産管理システムなどが、その代表例です。

つまり、企業が業務に利用する大型コンピューター用のシステムであり、さまざまな用途に使えるという意味の「汎用」とは、基本的に意味が異なるので注意しましょう。

「汎用性」という言葉の使い方

汎用性は、さまざまな事柄に利用できる・対応できるといった意味で、「汎用性がある」「汎用性が高い」といった使い方をします。逆に、多くの用途には使えない製品・システムなどは、「汎用性がない」「汎用性が低い」などと表現するのが一般的です。

例えば、製造現場では「この素材は汎用性が高く、さまざまな部品に応用できる」といった使い方をします。また、ジョイントパーツや充電器など、多くの機器に対応できる付属品を「汎用品」と呼ぶケースも少なくありません。

汎用性と関係のある言葉

笑顔のビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

「汎用性」と同じような文脈で使われる言葉も、押さえておきましょう。ここでは、「万能性」「専門性」「凡庸性」の3つの言葉の意味や使い方を紹介します。

あらゆるものに対応「万能性」

「万能性」とは、あらゆる物事に対応できる性質を指す言葉です。汎用性は主に特定の分野において、活用の幅が広いことを指す言葉ですが、万能性はより広い範囲で、さまざまな事柄に使える性質を指します。

実際は「万能」といっても、あらゆる分野において、幅広く使えるものはほとんどありません。しかし、他の製品・サービスなどと比べて広範囲の用途に応用でき、条件や制限をほぼ受けずに利用できるものは、「万能性がある」「万能型の◯◯」などと表現されます。

また、業界・職種を問わず応用できるスキルを有する人は「万能性のある人材」であり、あらゆる状況に対応できるので高く評価されるでしょう。

特定の物事・知識に特化「専門性」

「専門性」とは、特定の物事や特定の分野において深い知識を有していたり、高い能力を発揮できたりする様子を指す言葉です。

特定のテーマ・課題に対して、他者や他の製品がまねできないレベルで優れた成果を上げられるならば、「専門性が高い」と評価されます。

多くの分野に広く活用できる意味の汎用性とは、ほぼ逆の概念です。能力を発揮できる分野は限られているものの、その分野では高いパフォーマンスを発揮できるのが特徴です。

人事分野では専門性が高い人材を求めるケースが多く、他の人材よりも高い報酬を得られる傾向にあります。

ありふれたものを指す「凡庸性」

「凡庸性」とは、取り立てて優れた特徴を持たない、ありふれた様子を指します。平凡であるさまを指す言葉であり、汎用性と言葉は似ているものの、意味はまったく異なるので、きちんと使い分けられるようにしましょう。

さまざまな用途に広く応用できることを意味する汎用性に対して、凡庸性は特に適応力が高いわけではなく、能力や特性が一般的なレベルである様子を指す言葉です。

例えば「彼の作品は凡庸なレベルにとどまっている」といった表現や、「これは凡庸性が強く、他の製品と比べて目立つところがない」といった使い方をします。

汎用性はビジネスの場で必要?

ファイルとペンを持った会社員

(出典) pixta.jp

汎用性は、幅広い分野に広く利用できる知識やスキル、特性などを指す言葉です。さまざまな場面に応用が利くため、ビジネスシーンでも評価される傾向にあります。

ビジネスシーンでも重要なスキルの1つ

ビジネスシーンでは、汎用性の高いスキルを有する人材は評価されやすく、転職の際にも有利になる可能性があります。業界・職種にかかわらず通用するスキルは「ポータブルスキル」と呼ばれており、近年とりわけ注目されています。

特定の職種・仕事で必要な専門スキル(テクニカルスキル)も重要ですが、ポータブルスキルは転職によって仕事が変わっても、持ち運びが可能なスキルです。

コミュニケーションスキル・分析能力・情報収集力などが代表例で、働く環境が変化しても、これらのスキルを有していれば、高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

汎用性を高めるメリット

ビジネス分野において、自らの汎用性を高めるメリットとしては、転職やキャリアチェンジの際に有利になりやすいという点があります。

多くのポータブルスキルを有している人や、さまざまなITツールを使いこなせる人などは、環境が変わっても活躍できる可能性が高いでしょう。

ただし、本格的に転職やキャリアチェンジを目指すのであれば、その分野の専門性を磨いておく意識も大切です。汎用性を高めるだけでは、他の人材との差別化が図りづらく、応募先によっては評価されにくい可能性があります。

転職を目指す企業がどのような人材を求めているか確認し、評価されやすいスキルがあれば、積極的に磨いておくとよいでしょう。

ビジネスにおける代表的な汎用スキル

打ち合わせの様子

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ビジネスシーンで評価されやすい、代表的な汎用スキルを紹介します。以下のように、他者と円滑なコミュニケーションを取れる能力をはじめ、セルフコントロール力や思考・分析能力などが代表例です。

円滑なコミュニケーション能力

他者と円滑なコミュニケーションを取れる能力は、どの業界・職種であっても評価される、代表的なポータブルスキルです。

他者の話に耳を傾ける力(傾聴力)や、相手の意見を聞き入れられる力(受容力)、相手の意見を尊重しつつも自らの意見を主張できる力など、さまざまな要素が絡み合ったものです。

仕事をする以上、他者との関係は避けられないため、どのような立場でも必須といえるでしょう。

自分を制御するセルフコントロール力

自らを律して、必要な行動を取れるセルフコントロール力も、重要な汎用スキルの1つです。いわゆる自己管理能力の一種であり、ビジネスシーンにおいては自分に任された役割を正しく理解し、目標の達成に向かって行動を続ける力といえるでしょう。

決断力や行動を維持する力に加えて、新しいことに果敢に挑戦できる力も、高く評価する企業は少なくありません。やるべきことは分かっているにもかかわわず、なかなか動けない人が多い中で、積極的に行動できる人は転職市場でも有利になるでしょう。

必要・最適な結果を導く思考能力

状況を冷静に分析し、論理的に妥当な判断を下せる力も、ビジネスシーンで評価される汎用スキルです。複雑な問題を観察した上で解決に必要な情報を集め、的確に分析できる人は、多くの分野で重宝されるでしょう。

アナリストのようなデータ分析を仕事とする職種以外でも、思考能力が高い人はさまざまな問題を素早く解決できるので、高く評価される傾向にあります。

自ら必要な情報を収集し、仮説を立てて自分なりに解決策を導き出す力を磨いていれば、他者に先駆けて有効な行動を選択できるようになるでしょう。

自分の汎用性を高める方法は?

セミナーを受ける

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自らの汎用性を高め、多くの企業から評価される人材になるには、以下のポイントを意識しましょう。まずは、自分の強みをできる限り客観的に把握し、地道に高めていく努力が必要です。

まずは自分の強みを確認

まずは自己分析を徹底し、現在の自分の強み・特性を把握することが大切です。スタート地点を正しく理解した上で、目指すべき目標を明らかにしなければいけません。

強みを理解した上で伸ばしやすいスキルや、足りないスキルを重点的に伸ばしていくとよいでしょう。どの業界でも通用する汎用スキルに加えて、転職を目指しているならば、その業界で重要視されるテクニカルスキルも伸ばしておくと有利になります。

地道な努力でコツコツと高める

伸ばすべき汎用スキルやテクニカルスキルを見つけたら、地道に高めることが大事です。一朝一夕で身に付けられるスキルは多くないため、自分なりに計画を立てて、コツコツと磨いていく必要があります。

読書やセミナーへの参加など、さまざまな方法が考えられるので、工夫しながら伸ばしていきましょう。また、同僚・上司など身近な存在を観察し、行動や考え方を参考にするのもおすすめです。

自分のスキル向上に役立つ情報を意識的に取り入れつつ、インプットだけではなく、積極的にアウトプットもするようにしましょう。学んだ知識を職場で実践し、ブラッシュアップを重ねることも大切です。

汎用性を高めてなりたい自分に近づこう

青空の下のビジネスパーソン

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「汎用性」は、多くの分野に対応できる様子を指す言葉で、ビジネスシーンでも広く使われています。

業界・職種にかかわらず、広く応用できる汎用スキルはポータブルスキルと呼ばれ、近年多くの企業が注目しています。積極的に伸ばすことで、転職活動を有利に進められるでしょう。

まずは自己分析を通じて、自分の強み・特性を理解し、伸ばすべきスキルを明らかにする必要があります。ビジネスパーソンとして汎用性を高めつつ、専門分野のスキルも伸ばすことで、自分の理想とするキャリアに近づけるでしょう。