ピラミッドストラクチャーで説得力ある主張を!基本知識と作成方法を紹介

ビジネスシーンやプライベートで、自分の考え・主張を相手に分かりやすく伝えたい人は、ピラミッドストラクチャーのフレームワークを活用するのがおすすめです。基本の知識をはじめ、論理の展開方法やメリットなどを紹介します。

ピラミッドストラクチャーの基本

パソコンを前に考え事をする

(出典) pixta.jp

ピラミッドストラクチャーを活用して説得力のある主張をするためには、まず定義について知っておくことが大切です。基本的な定義や、混同されがちなフレームワークのロジックツリーとの違いについて解説します。

論理展開に役立つフレームワークの1つ

ピラミッドストラクチャーとは、主張や結論を論理的に伝えるために用いられるフレームワークの1つです。

結論と根拠を合わせて伝える方法で、「メインの主張(結論)」「鍵となるメッセージ」「具体的な根拠」の順に論理を展開させます。

頂点に主張を置き、メッセージ・根拠へと裾を広げていく形がピラミッド型になることが名前の由来です。ピラミッドストラクチャーを活用することで、根拠に基づいた説得力のある論理展開が可能になります。

ロジックツリーとの違い

ロジックツリーも、ロジカルシンキングのフレームワークとして知られている手法の1つです。ただし、両者には大きな違いがあります。

ピラミッドストラクチャーは、主張や結論を証明する際に使われる手法です。

一方、ロジックツリーは、問題・課題の原因や解決策を導く際に活用されます。主張や結論に対する根拠を集めるのではなく、解決策を見極めるために必要な要素を分解し考える手法です。

説得や説明にはピラミッドストラクチャー、検討や思考にはロジックツリーと、それぞれ用いられる場面が異なります。

ピラミッドストラクチャーの作成方法

ホワイトボードを使って説明する

(出典) pixta.jp

ピラミッドストラクチャーは、ビジネスシーンで活用されることが多い手法です。フレームワークを作成する手順を知っておくと、さまざまな場面で役立ちます。具体的な作成手順を見ていきましょう。

メインの主張を明確にする

最初に、メインとなる主張を明確にします。この主張は、テーマに沿って決めることが重要です。例えば、「新商品の開発をすべきか」というテーマに沿った主張は、「開発すべきである」と「開発すべきではない」の2つになります。

この2つの主張のうち、どちらかを頂点としてピラミッドを作っていくのが基本的な手順です。このように、まず確固たる主張を決めなければ、論理を組み立てていくことはできません。

ただし、テーマから外れた主張を決めてしまうと、論点がずれてしまいます。主張を決める際は、テーマを正確に理解しておくことが大切です。

論理の枠組みを考える

次に、メインとなる主張が正しいことを証明するための論理の枠組みを考えます。つまり、主張を支える根拠や詳細な情報を集めるということです。

例えば、先ほどの「新商品を開発すべき」という主張でいえば、「市場のニーズがある」「競合他社の参入が少ない」などの情報が挙げられます。情報を集めるに当たっては、網羅性や確実性という点から「漏れなく重複なく」を意味する「MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive、ミーシー)」であることが重要です。

併せて、ピラミッドをスムーズに組み立てられるよう、集めた情報の共通点を探しグルーピングを行います。

事実と突き合わせて検証する

集まった情報をグルーピングしたら、次は縦の構造を作る作業です。集めた情報が何を示しているのかを考え、ピラミッドに当てはめていきます。

情報が事実に沿っているか確認することも重要です。例えば、「競合他社の参入が少ない」という情報を事実と証明するには、エビデンスとして具体的な数値を用意する必要があります。

より綿密に主張を支える根拠をそろえるには、情報に対して深く掘り下げていくことが大切です。また、無理なこじつけになっていないか、論理が破綻していないかなどに注意して組み立てていくことも重要なポイントになります。

相手に合わせた報告・提案をする

ピラミッドが完成したら、最後に報告・提案をします。このときに注意したいのは、相手に合わせて報告・提案をすることです。

ピラミッドストラクチャーはあくまでも論理を構成するための手法であり、報告・提案の際は分かりやすく伝えるというコミュニケーション能力が必要になります。

「相手のリテラシーレベルに合っているか」「難しい専門用語ばかりを使っていないか」「話の流れが分かりにくくないか」などを意識しながら伝えましょう。また、論理だけで終わるのではなく、今後取るべき対策や期待できる成果なども含めるのがポイントです。

ピラミッドストラクチャーのメリット

手帳に書き込む手元

(出典) pixta.jp

ピラミッドストラクチャーは、ビジネスシーンだけでなく、日常のさまざまな場面で役立つ手法です。主なメリットを2つ紹介します。

説得力が増し主張が通りやすくなる

メインの主張や結論を明確にすると、プレゼンの場などでも発表する側の意図が聞き手に伝わりやすくなります。情報や根拠が整理されており、結果として説得力が増して主張が通りやすくなるでしょう。

何かを主張しようとしても、思いつきや曖昧な情報が根拠では相手を納得させることはできません。ピラミッドストラクチャーを用いると結論と根拠をセットにして伝えられるので、自分の主張に説得力を持たせることが可能です。

本質を見抜く思考力が身に付く

物事の本質を見抜く思考力が身に付くというメリットもあります。ピラミッドを組み立てるには、さまざまな情報を集めなければなりません。

さらに、その情報はMECEであることが重要なため、物事を多角的に見る必要もあります。物事をあらゆる角度から見ることによって、1つの側面からだけでは分からない本質が見抜けるようになるでしょう。

ピラミッドストラクチャーによって論理を組み立てる習慣が身に付けば、自分自身の思考力を高める結果につながります。

ピラミッドストラクチャーの注意点

手帳を見るビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

ピラミッドストラクチャーの注意点についても確認しておきましょう。主な注意点を2つ挙げて解説します。

情報の網羅性に注意が必要

集めた情報の網羅性が保たれているか注意する必要があります。情報の漏れや抜けがあると、主張に説得力を持たせることができません。

MECEになっているか確認しながら集めることが大切です。ただし、根拠が多すぎると、逆に話が分かりにくくなることもあります。

頂点となる主張や結論に対して、2段目の階層では根拠を3つ、3段目の階層ではそれぞれの根拠に対する具体的な例やエビデンスを1~2つずつ並べるのが効果的です。「結論→なぜなら→例えば」という流れをイメージするとよいでしょう。

相手からの反論に備える

反対する意見に正しく答えられるよう備えておくことも大切です。たとえ根拠が明確な主張をしても、議論の場では反論する立場の人が出てくることはよくあります。

また、ピラミッドストラクチャーは結論ありきで作成する傾向にあるため、例外や反論となる情報を見逃しがちです。相手からの反論に備えるためには、根拠は事実なのか、例外はないのかなどを考えながら論理を展開させていく必要があります。

ピラミッドストラクチャーで思考を整理!

手帳を手にしているビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

ピラミッドストラクチャーは、主張や結論を論理的に伝えるために効果的な手法です。自分の主張に説得力が生まれるため、プレゼンなどの場で相手を納得させやすくなるというメリットがあります。

ビジネスシーンで用いられることが多いものの、物事の本質を見抜けるようになるなど、プライベートでも役立つのがポイントです。「自分の意見に自信を持ちたい」「分かりやすく相手に伝えたい」という人は、ピラミッドストラクチャーの活用で思考を整理することから始めてみましょう。