周りの人が思ったよりもしっかりと貯金をしていて、不安に思った人もいるのではないでしょうか。年代別に、平均的な貯金額を解説します。毎月の貯金額の目安や無理なく続ける方法、より積極的に貯金する方法も紹介するので、ぜひ参考にしましょう。
貯金をする必要はある?
そもそも、貯金をする必要はあるのでしょうか。「せっかくお金があるなら使わないともったいない」と考える人もいるでしょう。まずは貯金をすることの意義を解説します。
将来・急な出費への備え
多くの人が貯金をする主な理由は、将来急な出費が発生したときに対応できるようにするためでしょう。まだ体が丈夫な若いうちは大きな病気もせず、結婚もしていなければ自分だけにお金が使えます。
しかし、今後病気やケガをして急にお金が必要になるかもしれません。結婚をして子どもが生まれれば、育てるのに大きなお金がかかります。それだけでなく、老後も年金だけを頼りに生活するのは心細いでしょう。
そんなときに貯金があれば、慌てることなく大きな出費にも対応できます。
精神的に余裕が持てる
貯金があるという事実が、心の余裕につながることもあります。生きていくには、必ずお金がかかります。お金がない状況は、まさに死活問題です。
また、お金があることで人生の選択肢が広がる側面もあります。例えば、今の職場で上司と馬が合わず、毎日ストレスを抱えているとします。単純に考えれば「仕事を辞める」という選択肢が自然と出てきますが、貯金がないとそれができません。
仕事を辞めると収入が途絶え、貯金もなければ生活ができなくなるためです。しかし、半年や1年程度生活できるくらいの貯金があれば、思い切って仕事を辞めることもできるでしょう。
貯金は心に余裕を生むだけでなく、選択の幅を広げるのにも役立ちます。
【年代別】貯金の平均額
世の中の人は、一体どれくらいの貯金をしているのか気になっている人もいるでしょう。年代別の貯金の平均額と中央値を紹介します。
中央値とは、データを小さい順に並べたときに、ちょうど真ん中にくる値のことです。極端に大きな値に影響されず、平均値よりも実態に近い値になるので、合わせて参考にしましょう。
以下で紹介するデータは、全て下記の資料を参考にしています。
参考:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)|金融広報中央委員会
20代は「平均179万円」「中央値20万円」
20代の金融資産の保有額の平均は179万円です。これには株式や保険商品などの金融資産も含まれているので、貯金額はもう少し少ないでしょう。
平均額を見ると多くの人が180万円近くの貯金をしているように思いますが、そうではありません。同じデータの中央値は20万円だからです。
このことから、20代の多くが十分な貯金をできていないことが分かります。中には貯金が全くないという人もいます。
20代では就職したばかりの人もいるので、貯蓄が少ないのは仕方ない面もあるでしょう。しかし、多くの人がこの後に結婚やマイホームの購入などのライフイベントを控えていることを考えると、心もとないといえます。
30代は「平均606万円」「中央値56万円」
30代の金融資産保有額の平均は606万円、中央値は56万円です。30代になると給与も上がり、20代のときからの積み重ねである程度大きな資産を形成している人が多いことが分かります。
しかし、中央値は56万円と20代よりは多いものの、半分以上の人が100万円の資産も保有していないことも明らかになっています。
一方で、約10%の人は1,000万円以上の資産を保有しており、資産を持っている人とそうでない人の差が顕著に現れ始める年代といえるでしょう。
40代は「平均818万円」「中央値92万円」
40代の金融資産保有額の平均は818万円、中央値は92万円です。40代になると約5人に1人が平均以上の資産を形成している一方で、中央値から分かる通り依然として約半分の人の資産が100万円未満です。
このことを考えると、貯蓄がある人とない人ではっきりと二分されることが分かります。若いときからの積み重ねが、後になって大きな差を生むことを表す好例といえるかもしれません。
毎月どのくらい貯金すべき?
日本人の貯蓄の実態を知り、貯金をしなければと思った人も多いでしょう。では、実際に毎月どの程度貯金するのが良いのでしょうか。望ましい貯金方法を解説します。
理想は手取りの20~30%
一般的に、理想的な貯金額は手取りの20~30%といわれています。しかし、手取りの額や毎月の支出は人それぞれなので、1つの目安程度に考えておくと良いでしょう。
現実的には、まずは手取りの10%を貯金に回したいところです。手取りが20万円なら毎月2万円を貯蓄するイメージなので、決して不可能ではないでしょう。
逆に全く貯金ができない人は、お金の使い方を見直した方が良いかもしれません。すでに生活を切り詰めてもなお貯金が難しい場合は、副業や転職など、収入を増やすアプローチが必要でしょう。
若いうちからの貯金がおすすめ
20代は、貯金をするのに一番適している年代といえます。20代は自分のためにお金を使える年代だからです。
給与が上がる30代や40代が一番お金が貯まると考える人もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。その年代になると出産や子育て、住宅ローンの返済などの出費が発生し、独身のときほど思うように支出をコントロールできなくなるからです。
そのため、収入のほとんど全てを自分のために使える20代や独身のときが、一番の貯めどきなのです。
無理なく貯金を続けられる方法
今まで貯金をしていなかった人が継続して貯金をするには、少なからず工夫が必要です。無理なく貯金を続けられる方法を3つ紹介します。
まずは収入と支出を明確にする
貯金を始めるなら、お金の流れを把握しましょう。毎月いくら入っていくら出ていくのかが分からないと、毎月お金が増えているのか減っているのかが分かりません。
毎月の収支を把握すると、いくら貯金に回せるのかが分かるだけでなく、無駄な出費も浮き彫りになります。
支出を確認するときは、大きく「固定費」と「変動費」の2種類に分類すると良いでしょう。
固定費とは家賃や通信料など、毎月一定額で発生する支出のことです。変動費は反対に、食費やレジャー費など、月によって異なる支出を指します。
いわゆる節約は変動費を抑えることを指す場合が多いですが、実は固定費のほうが変動費よりも無駄や支出を減らしやすいので、その視点で家計を見直してみると良いでしょう。
目的・目標を設定する
長期的に貯金を続けるには、目標が必要です。ゴールの見えないマラソンほど、辛いものはありません。何のために貯金をするのかを決め、具体的にいくら貯めれば良いかを明確にしましょう。
ポイントは、無理のない目標額を設定することです。極端な例ですが、一般的な20代の会社員が、1年で1,000万円貯金することは現実的ではありません。目標に現実味がないと、かえってモチベーションの低下につながります。
毎月の収支の流れをもとに、実現可能と思える貯金額を設定しましょう。
先取り貯金なら自動的に貯金可能
貯金に挑戦しては挫折を繰り返している人には、先取り貯金がおすすめです。先取り貯金とは、月々の収入から一定の金額を自動で貯金に回す仕組みです。銀行の自動積立預金や会社の財形貯蓄が該当します。
自分の意思とは関係なく勝手に貯金ができるので、意思が弱い人でも続けやすいでしょう。貯金に回す金額は、自分の収入に合った水準にすることがポイントです。
家計簿代わりにクレカや電子マネーを利用する
家計簿の代わりに、クレカや電子マネーアプリを利用するという手もあります。クレカや電子マネーは利用するとポイントが貯まるだけでなく、明細が家計簿代わりになります。
クレカや電子マネーを家計簿代わりにするなら、支払いをできるだけ同じ方法でまとめることがポイントです。買い物の都度支払い方法を変えていると、かえって管理が面倒になります。
とはいえ、支出を管理することが目的なので、自分がやりやすいと思う方法で行えば問題ありません。
貯金額を増やす方法はある?
より積極的に貯金を増やしたい人に向けて、貯金額を増やす方法を解説します。現在の貯金方法では物足りないと思っている人は、ぜひ参考にしましょう。
副業・投資に挑戦する
副業や投資を行うことで、収入アップや効率的な資産形成が目指せます。副業はスキマ時間をお金に変えたり、好きなことでお金をもらえたりするため、おすすめです。副業をするときは、本業に支障をきたさない範囲で、体力的な負担が大きくならないように注意しましょう。
投資については、初心者ならつみたてNISAや投資信託などリスクの低い金融商品を購入することをおすすめします。投資は貯金よりも高い利回りで運用できる可能性があります。
ただし、元本割れのリスクもあるため、貯金も残しておきながら余剰資金で投資を行うのが堅実でしょう。
年収がUPする職への転職
現状のベストを尽くしているものの、まだ満足のいく貯金ができていない場合は、収入アップを目指した転職を検討してみてはいかがでしょうか。
転職は気軽にできるものではありませんが、転職先によっては収入アップが期待できます。転職活動をする際は、ただやみくもに進めるのではなく、きちんとした準備をすることが成功のポイントです。
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毎月コツコツと貯めていくことが重要!
20代のうちは、貯金の重要性をあまり感じられないかもしれません。しかし、将来何が起こるかは誰にも分からず、急に大きな出費が必要になる可能性も十分にあります。
そんなときのために、できるところからコツコツと貯金をしておけば、将来の心配も和らぐでしょう。
年齢を重ねれば重ねるほど、貯金をしてきた人とそうでない人の差が顕著に現れます。自分のためだけにお金を使える若いうちから、少しずつでも貯金を始めてみましょう。
FPとして随時相談業務をお受けしています。年金や失業給付など公的手当や共済、少額短期保険も活用した家計管理についての情報提供やアドバイスを行います。より良い人生の選択をサポートをして参ります。
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