簡単に取れる資格は役に立つ?将来に生かせる資格を選ぶコツ

多くの資格の中でも、近年注目されているのが簡単に取れる資格です。その一方で「意味がない」という意見も見られます。実際、簡単に取れる資格にはどのようなメリットがあるのか、おすすめの資格や選び方と併せて紹介します。

資格を取る3つのメリット

3を示すスーツの男性

(出典) photo-ac.com

 

仕事探しの際の合言葉のようになっているのが「資格があると有利」「まずは資格を取らないと」といった、資格の優位性です。しかし実際のところ、資格はどのような点で評価されるのでしょうか。

就職や転職の際に自己アピールになる

資格は「自分は何ができるか」「会社にどのような形で貢献できるか」という目安になります。就職や転職の際に「資格はないよりあった方がよい」とされるのはそのためです。

資格そのものはもちろん、取得するためにした努力や、諦めずに取り組んだ粘り強さなどが評価される可能性もあります。

仕事や家事育児をこなしながら資格を取得した人は、どのように勉強したかを説明し、スケジュール管理能力やタスク管理能力、計画性などもアピールするとよいでしょう。

収入アップの可能性もある

資格は収入アップにつながることが期待できます。例えば会社が資格手当(資格給)や合格報奨金制度を導入している場合です。業務に必要な資格を所持していたり、合格したりすると支給されます。

制度がある場合には、入社してから挑戦してみるとよいでしょう。特に資格手当は毎月の給与に加算されるので、その分収入は確実にアップします。

アルバイトやパートも例外ではありません。資格の有無で時給が異なるケースがあります。応募の際や取得したときには申し出てみましょう。

自信につながる

資格取得のためには、勉強時間を捻出したり、モチベーションを保ち続けたりすることが必要です。遊びの誘いを断らなくてはならない場合もあるでしょう。それだけに、合格すれば大きな喜びが得られ「自分にもできた」という自信につながるはずです。

もし合格できなかったとしても、資格取得を目標に費やした努力は無駄になりません。今後の仕事にもきっと生かされます。「今度こそ合格できるように頑張ろう」と、より自信を持って計画的に取り組めるでしょう。

簡単に取れる資格を選ぶポイント

カフェで勉強する女性

(出典) photo-ac.com

世の中には簡単に取れる資格が多く存在します。しかし、取得しやすいからといって、やみくもに取ればよいというわけではありません。簡単に取れる資格の中から、どのようなものを選べばよいのか、ポイントを紹介します。

自分のやりたいことや目指す仕事に生かせる

入社を希望する会社の業務とまったく関係のない資格をアピールしても、効果は期待できないでしょう。履歴書の資格欄にあまり多方面にわたる資格を記入すると、単なる「資格マニア」と思われて、かえって評価に影響する可能性もあります。

簡単に取れる資格を選ぶ場合は、志望する分野に直接関係のあるものがおすすめです。就職や転職に生かしたいのであれば、ビジネス系の資格や会社の業務で必要と思われる資格に絞るとよいでしょう。また、将来的にやりたい仕事に関する資格も取っておくと役立つはずです。

短期間で取得できる

仕事や家事、育児などと平行して資格取得を目指すなら、比較的難易度が高くなく、短期間の勉強で取得できるものがよいでしょう。資格取得のための勉強の時間がなかなか取れず、結局挫折してしまったという失敗も防げます。

簡単に取れる資格には、講習を受けるだけで取得できたり、オンラインで勉強や受験ができたりするものも少なくありません。実際に資格取得に挑戦し手にすることで、資格だけでなく「合格できた」という成功体験も得られるでしょう。

資格取得の費用が安く済む

資格取得を目指すなら、費用がどのくらいかかるかもチェックしておく必要があります。
難易度が高くなく、比較的簡単に取れる資格のために、高額な対策講座や受験料などに費用をかけすぎるのはおすすめできません。その資格が就職や転職、現在の自分の仕事にどのくらい生かせるのか、本当に必要かなど、費用対効果を考えましょう。

また受験料自体は安価だったり無料だったりしても、資格の登録や更新に費用が発生する場合があるので注意が必要です。

簡単に取れるビジネス分野の資格

勉強する女性

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就職や転職に生かしたり、今の仕事でスキルアップを目指したりするのが目的なら、ビジネス分野の資格がおすすめです。履歴書に記載できる、比較的取得しやすい資格を紹介します。

ビジネス文書検定3級

報告書や稟議書、議事録などの社内文書や、取引先・得意先などに宛てた社外文書などを総称してビジネス文書といいます。特有の言い回しや型があるため、不慣れな人にとっては難しく感じられるのではないでしょうか。

ビジネス文書検定は、ビジネス文書の定型文や用字・用語の知識、正しい文章を書く技能などを評価する検定です。公益財団法人実務技能検定協会の主催で年2回行われています。

3級はビジネス文書の基礎知識を問われる問題がほとんどです。合格率も79.0%(第70回・2021年11月)と高く、取得しやすい資格の1つとされています。

ビジネス実務法務検定3級

ビジネス実務法務検定は、文字通りビジネスにおいて必要とされる法律知識のレベルを評価する検定です。

1級から3級があり、会社の法務部門をはじめさまざまな部門で活用できるとされています。リスク管理の観点から取得を推奨している会社も多いので、取っておくと就職や転職の際に有利になる可能性があるでしょう。

検定は東京商工会議所主催で、2・3級は忙しい人でも挑戦しやすいように年に2回の試験期間が設定されており、都合のよい日時を選んで受験します。初級に当たる3級の合格率は比較的高く、2021年度は88.2%という結果が出ています。

日商簿記検定3級

簿記は単なる「帳簿付け」ではありません。会社の経営活動を日々記録し、計算・整理して、最終的に決算書をつくるための重要な仕事です。また会計だけでなく、基本的な経営管理能力や分析力など、ビジネスに必要な基礎知識も得られるとされています。

日商簿記検定は日本商工会議所が主催する検定です。3級では簿記の基本的な知識や技能が問われます。専門用語が多いため、初めて挑戦する人には難しく感じられるかもしれません。しかし、身に付けておけば、さらに上の級も目指しやすくなります。

また、合格率は50%前後と難易度がやや高めですが、それだけに就職や転職の際には評価されることが期待できるでしょう。

簡単に取れる専門分野の資格

手帳に記入する女性

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国家資格が必要とされることが多い専門分野でも、簡単に取れる資格はあります。「この分野で働きたい」という人や、専門的な資格を取っておきたい人におすすめの3つを見ていきましょう。

医療事務検定

医療事務とは、医療機関における医療費の計算や自治体・健康保険組合への請求、患者への自己負担額の請求などの総称です。さまざまな決まり事があるため、覚えるのは大変ですが、技能を身に付ければ全国どこでも働けるのがメリットです。

医療事務検定は日本医療事務協会が主催する検定です。主な医療事務資格7種(全て民間資格)の中でも難易度が低く、取りやすいとされます(2021年度合格率:91.6%)。

医療事務は資格がなくても働けますが、取得しておくと即戦力になるとして、就職や転職の際に有利になることが期待できるでしょう。

証券外務員二種

証券外務員とは、顧客に金融商品の勧誘・販売を行う者を指します。ただし誰でもできるわけではありません。日本証券業協会に加入している銀行や証券会社の役職員であることと、外務員資格試験に合格していることが条件です。

証券外務員には一種と二種があります。このうち入り口とされる証券外務員二種は、金融商品のうち株式や国債、投資信託などの現物を扱えます。

証券外務員二種を取得するには、金融に関する法令や諸規則、株式・債券などの商品業務といったさまざまな知識を身に付けなくてはなりませんが、合格率は比較的高め(2021年度:70.5%)です。しっかり勉強をして臨めば、未経験からでも取得は可能でしょう。

販売士3級

販売士は多様化・高度化しつつある顧客のニーズをくみ取り、商品知識や接客技術を用いて適切な商品提供・提案を行う「販売のプロ」です。

販売士検定試験は、こうした商品や接客に加えて、仕入れや在庫管理、マーケティングなど流通や小売に必要な知識や技術を備えた人材の育成を目的としています。

販売士3級では、販売員として不可欠な接客マナーや販売技術に関する知識を評価されます。売り場の販売員だけでなく、これからスーパーや百貨店などの小売店で働きたい人にもおすすめです。

オンラインで受験でき、合格率も62.1%(2021年度)と、比較的取得しやすいといえるでしょう。

簡単に取れるスキルアップ資格

資料を手に考える男性

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今働いている人はもちろん、これから働きたいと思っている人も身に付けておきたいのが、社会人としてのマナーやスキルです。資格取得を目指しながら、自分磨きもできる2つを紹介します。

秘書検定3級

公益財団法人実務技能検定協会が主催する秘書検定には、1級から3級までがあります。筆記試験に加えて面接試験もある1級・準1級の最終合格率は30~40%台と、難易度がやや高めですが、筆記試験のみの3級は69.7%(2021年度)と、比較的取りやすいのでおすすめです。

秘書検定3級では、上司が効率よく仕事をするためにどのようにサポートすべきかよりも、まず接遇や言葉遣い、話し方など、社会人として身に付けておきたい技能や職場常識を評価されます。

これから就職・転職する人や、ブランク後の再就職を検討している人向けの資格です。

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)

MOSはExcelやWord、PowerPointなど、マイクロソフト社のOffice製品の操作スキルを証明する資格です。世界中で通用する国際資格なので、取得しておくと海外でも活用できます。

国内でも、応募条件としてExcelやWordを必須としている会社は少なくありません。MOSによって「どのくらい使えるか」を客観的に把握できるので、就職や転職の際には役立つでしょう。

特徴は、オンラインでアプリケーションを操作する実技試験であることです。試験時だけでなく、勉強の際にも用いるので自然にスキルを磨けます。

簡単に取れる国家資格

パソコンを見て考える男性

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国家資格の取得には、大学の専門課程を修了したり、一定の経験が必要だったりと条件があるのが一般的です。しかし国家資格の中にも特別な受験資格がなく、比較的簡単に取得できるものがあることをご存じでしょうか。

3級ファイナンシャル・プランニング技能士

ファイナンシャル・プランニング技能検定は、日本FP協会が厚生労働大臣より指定試験機関の指定を受けて行う国家検定です。

1級から3級があり、等級ごとにファイナンシャル・プランニング技能士を名乗るには、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。

3級では「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」などの、基本的な知識を問われます。実技試験は「資産設計提案業務」となっていますが、学科試験同様マークシート形式なので、難易度が極端に高いということはないでしょう。

合格率は学科試験で83.37%、実技試験で90.33%(2022年5月)となっています。

危険物取扱者乙種第4類

危険物取扱者乙種第4類は、ガソリンやアルコール類、灯油、軽油などの引火性液体の取り扱いと定期点検、保安の監督ができる資格です。

ガソリンスタンドや危険物を取り扱う化学工場、石油貯蔵タンクなどには、資格保持者を置くことが義務付けられています。取得しておくと、就職や転職の際に評価されるでしょう。

受験資格は特になく、誰でも受験が可能です。試験問題は3分野に分かれており、それぞれで60%以上正解すると合格となります。また乙種の取得後、2年の実務経験があれば、上級にあたる危険物取扱者甲種の受験資格が得られます。

ITパスポート

ITパスポートは、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施するIT系の国家資格です。ITに関する基礎的な知識を証明するもので、経営戦略やマーケティングなどの経営全般、セキュリティーやネットワークの知識なども身に付けられます。

IT系国家資格の中では、内容が初歩的で難易度は低いとされていますが、初めての人には難しく感じられるかもしれません。しかし、特別な受験資格が必要ない上、取得すればITの基礎を身に付けていることをアピールできます。

就職や転職の際に履歴書に書く資格を取りたいという人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

簡単に取れる資格で自分を磨こう

手帳を手にしている男性

(出典) photo-ac.com

「簡単に取れる資格には意味がない」という意見もよく聞かれます。しかし、自分の進みたい道や、やりたい仕事に関連する資格なら、取得しておくのがおすすめです。次のステップへ進む足掛かりになるだけでなく、新たな選択肢が開けてくる可能性もあります。

何より、資格取得のために行動を起こしたことや、勉強をしたことは自分の財産になるはずです。気になる資格を見つけたら、ぜひチェックしてみましょう。