ボーナス100万円の手取り額は?保険料や所得税の計算方法を解説

ボーナス100万円を出すのはどのような企業なのでしょうか。額面100万円のボーナスの手取り額はいくらになるのか気になる人もいるかもしれません。ボーナスの手取り額や査定方法、天引きされる保険料や所得税の計算方法について詳しく解説します。

ボーナス100万円は高い?

100万円の束

(出典) photo-ac.com

ボーナス100万円は相場から見て高いのでしょうか。まず一般的な企業のボーナス事情について見ていきましょう。

非管理職の平均より高い

日本経済団体連合会(経団連)発表の、2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要によると、2021年の非管理職のボーナス平均額は、夏季・冬季ともに70万円前後でした。

この結果を見ると、100万円のボーナスは一般的な非管理職の平均額より高いことが分かります。

また三菱UFJリサーチ&コンサルティングは経済レポートの中で、2022年夏のボーナス見通しを発表しました。

レポートでは民間の製造業で約50万円・非製造業で約36万円・国家公務員で約58万円と予測しており、いずれも100万円には届かない金額です。

参考:2021年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要|日本経済団体連合会
参考:2022年夏のボーナス見通し|三菱UFJリサーチ&コンサルティング

ボーナスが100万円になる企業や年齢

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2021年)」によると、産業全体の大卒標準労働者(※)のうち夏・冬に平均100万円以上のボーナスをもらっているのは、従業員1,000人以上の企業に勤務する40~44歳以上でした。

※学校卒業後すぐ企業に就職し、同一企業に継続勤続しているとみなされる労働者

ただし同じ条件・年代を業種別で見ると、宿泊業・飲食サービス業で年間80万8,600円、建設業では年間278万2,000円と大きく差があります。

大企業や高年齢になるほど高額になる傾向はあるにせよ、業種や勤続年数などによっても変わるため、一概にどの企業のボーナスが高いとはいえないでしょう。

参考:賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査 |厚生労働省

ボーナスの査定方法は3つ

ボーナスの総額は一般的に、「基本給の〇カ月」という給与連動によって決まります。しかし近年では、業績に連動して支給額を決める企業も増えています。

日本経済団体連合会(経団連)の2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」では、55.2%の企業が業績連動方式を採用していると回答しました。

個々の査定基準も企業ごとに違いますが、基本となるのは以下の3つです。

  • 業績評価:査定期間中に数値化された目標をどの程度達成したか
  • 能力評価:査定期間中の資格取得・営業成績など、個人のスキルや能力
  • 行動評価:勤務態度や社内でのコミュニケーション能力など

参考:2021 年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要|日本経済団体連合会

ボーナスの手取り額は支給金額の7~8割

お金と給与明細

(出典) photo-ac.com

ボーナスからは給与と同様に社会保険料や所得税が引かれるため、手取り額は支給総額の7~8割になるのが一般的です。手取り額がどのように決まるのか、詳しく解説します。

所得税と社会保険料が天引きされる

ボーナスから天引きされるのは、健康保険料・雇用保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳から)・所得税です。住民税は毎月の給与からは天引きされますが、ボーナスからは徴収されません。

所得税は通常、所得税法に基づいた源泉徴収税額表によって源泉徴収され、年末調整で精算されます。

一方住民税は市町村が前年度の所得をもとに税額を計算し、1年分を12カ月で割って給与から徴収するため、ボーナスからは引かれません。

額面が同じでも人によって手取り額は変わる

同じ額面のボーナスでも、個人によって所得税や社会保険料の金額に差があるため、手取り額も異なります。

ボーナスの所得税率は、前月の給与から社会保険料などを控除した額をもとに出されます。前月の給与が高くなれば税率も上がり、扶養家族が増えるにつれて低くなるように設定されているのが基本です。

社会保険料も加入している組合や場所など、さまざまな要因によって異なるため、全ての人が一律の額を引かれるわけではありません。

ボーナスの手取り額を計算する方法

バインダーと電卓とボールペン

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ボーナスの手取り額を計算する方法を具体的に紹介します。資料を参考にしながら実際に計算していきましょう。

社会保険料の計算方法

  • 健康保険料=標準賞与額×健康保険料率÷2(標準賞与額:ボーナスの総支給額を1,000円未満で切り捨て)
  • 厚生年金保険料=標準賞与額×18.3÷2
  • 介護保険料=標準賞与額×介護保険料率÷2
  • 雇用保険料=賞与総額×雇用保険料率

健康保険料率・介護保険料率は、加入している健康保険組合や事業所の所在地によって異なります。協会けんぽの場合は、加入している支部の保険料をチェックしましょう。

また、組合健保に加入している企業の場合は、独自の保険料が定められているため別途確認が必要です。

厚生年金保険料の料率は、どの健康保険組合に加入していても一律18.3%で固定されています(2022年7月現在)。雇用保険料の料率は、厚生労働省によって下記の事業区分別に設定されています。

  • 一般の事業:0.3%
  • 農林水産・清酒製造の事業:0.4%
  • 建設の事業:0.4%

(2022年4月1日~2022年9月30日まで)

<参考>

令和4年度保険料額表(令和4年3月分から) | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

協会けんぽの介護保険料率について | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

令和4年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省

所得税の計算方法

ボーナスの所得税は以下の計算式で求められます。

賞与総額-社会保険料=課税対象額 

課税対象額×所得税率=所得税額(税率:源泉徴収税の算出率)

下記の30代男性を例として具体的に計算してみましょう。

  • 扶養家族:1人
  • 勤務地:一般企業(東京都)
  • 前月給与:30万円
  • 前月社会保険料額:4万3,065円
  • 賞与支給額:60万円

まずボーナスの所得税率を出しておきます。所得税率はボーナスの金額から算出するのではなく、前月の給与から算出する点に注意が必要です。

前月の給与から前月の社会保険料額を差し引いた額と扶養家族の人数に応じて、税率が決まる仕組みです。

 

30万円-4万3,065円(社会保険料合計)=25万6,935円

所得税率:4.084%(源泉徴収税額の算出率)

60万円-8万6,130円(社会保険料合計)=51万3,870円(課税対象額)

51万3,870円×4.084%=2万986円

 

ボーナスが60万円の所得税は2万986円という計算になります。

<参考>

協会けんぽの介護保険料率について | 協会けんぽ | 全国健康保険協会

令和4年度雇用保険料率のご案内|厚生労働省

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(令和4年分)|国税庁

ケース別・ボーナス100万円の手取り額

給与明細とお札と電卓

(出典) photo-ac.com

ボーナス100万円の場合、手取り額はいくらくらいになるでしょうか。年代別にシミュレーションしてみましょう。それぞれ、勤務地東京・協会けんぽ加入として計算します(2022年7月現在の料率で計算)。

20代独身の場合の目安

まずは20代で独身の人の場合のボーナス手取り額を試算してみましょう。

 

【賞与額面100万円・前月給与25万円】

ボーナス所得税率=4.084%

100万円-14万3,550円(社会保険料合計)=85万6,450円(課税対象)

85万6,450円×4.084%=3万4,977円(所得税)

100万円-14万3,550円-3万4,977円=82万1,473円(手取り額)

 

20代独身の場合、レジャーなどの娯楽費や結婚・引っ越しといったライフスタイルの変化に伴う出費などが、主な支出目的となることが多いようです。

30代扶養家族2人の場合の目安

30代になると結婚を、子どもが生まれている人もいるでしょう。30代で扶養家族が2人いる場合についてシミュレーションします。扶養家族が増えた分、所得税の税率が低くなっているのがポイントです。

 

【賞与額面100万円・前月給与30万円】

ボーナス所得税率=2.042%

100万円-14万3,550円(社会保険料合計)=85万6,450円(課税対象)

85万6,450円×2.042%=1万7,488円(所得税)

100万円-14万3,550円-1万7,488円=83万8,962円(手取り額)

 

30代になるとマイホーム購入を考える人も出てくるため、ボーナスを頭金などに充てるケースもあるでしょう。

40代扶養家族3人の場合

40代に入ると介護保険料の加算が始まります。40代の場合の手取りはいくらくらいになるのでしょうか。

 

【賞与額面100万円・前月給与50万円】

ボーナス所得税率=10.210%

100万円-15万1,750円(社会保険料合計)=84万8,250円(課税対象)

84万8,250円×10,210%=86万,606円(所得税)

100万円-15万1,750円-8万6,606円=76万1,644円(手取り額)

 

40代で子どもがいる場合、教育資金の負担がピークになる家庭も多くなるため、教育費の補填分としてボーナスを見込んでいる家庭も多いかもしれません。

ボーナス100万円の手取り額について理解しよう

複数枚の万札

(出典) photo-ac.com

ボーナス100万円といっても、そのまま全額が支給されるわけではありません。社会保険料や所得税などを引かれた結果、手取り額は支給額の7~8割になるのが一般的です。

住民税徴収の有無や所得税率など、毎月の給与とは控除内容も異なります。控除額が高いと感じることもあるかもしれませんが、自分のボーナスの手取り額がどのような計算で決まっているのか知っておくとよいでしょう。