転職が決まった際に、今の会社に転職先を伝えるべきなのか迷うという人も少なくないでしょう。しかし、転職先を伝えることで、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。転職先を言わない方がいい理由と、聞かれたときの答え方について解説します。
転職先は言わない方がいい?
転職活動を進めているとき、現勤務先に転職先は言うべきなのでしょうか?まずは、転職先を伝えるか否かの判断基準について知りましょう。
転職先を伝える義務はない
転職するに当たって、現在の勤務先に転職先の情報を報告する義務はありません。伝えるか伝えないかは自分の判断次第ですが、トラブルを避けるためにも基本的には言わない方が賢明でしょう。
ただ、退職するという話が周囲に伝わると、「どこに転職するの?」「次はどうするのか?」と聞かれる機会も多くなります。
かたくなに教えない姿勢でいると、感じが悪いと受け取られ人間関係がぎこちなくなる可能性もあるため、うまくかわす術を考えておく必要があるでしょう。
転職先を言うメリットは少ない
転職先を今の会社に伝えるかどうかは個人の自由ですが、伝えることで生じるメリットは実際ほとんどありません。
確かに、伝えることで見込み顧客になってもらえたり、業界や仕事に関係のある人を紹介してもらえたりするケースもあります。とはいえ、基本的にはリスクの方が大きいと思っておいた方がよいでしょう。
お世話になった人や仲のよい人に限定して伝えるなど、関係性や状況などを考慮して慎重に判断する必要があります。
特に転職先を言わない方がいいケース
転職先の詳細は、現在の職場に伝えない方がスムーズに退職できるケースが多いでしょう。中でもトラブルに発展するリスクが高い場合は、特に伝えるかどうかを慎重に判断する必要があります。気を付けたいのは、どのようなケースなのでしょうか?
引き止めの可能性がある場合
人手不足や会社において重要な役割を果たしているなど、退職されると今の会社にとって痛手になる場合には、転職先の情報を引き止めの材料として利用されることがあります。
転職先のネガティブな情報を聞かされたり、転職先よりもよい条件を提示されたりして、スムーズに退職させてもらえない可能性も否定できません。
引き止めに遭ったらかわす自信がない、社内や部署内に退職が難航した人がいるといったケースでは、転職先については伝えない方が無難です。
職場で妬まれてしまいそうな場合
転職先の企業が現在の会社よりも大手であったり待遇がよかったりすると、同僚からの妬みの対象となる可能性があります。自ら待遇を明かさなかったとしても、知名度の高い会社は平均年収をはじめとした情報をネットで簡単に調べられます。
好待遇の会社に転職することを妬んだ同僚から、嫌味を言われて退職までの仕事に支障が出るケースも少なくありません。
競争心の高い人が多い職場や、同僚との関係があまりよくない場合には、転職先については黙っておいた方が余計なトラブルを避けられるでしょう。
転職先に迷惑をかける可能性がある場合
特に転職先の会社が競合だった場合にあり得るのが、現在の職場から転職先の企業に直接連絡が行ってしまうパターンです。
例えば、「今度そちらに転職する〇〇さんはミスが多かった」と、ネガティブな情報を吹き込まれることもあります。
また、今の会社が「引き抜いた」とクレームを入れることで、トラブルを恐れた転職先が内定を取り消すというケースもあり得ます。
常識のある会社・人なら転職先の企業に連絡するようなことはしませんが、中にはそのような行動を取る人もいると覚えておきましょう。
転職先を聞かれた場合の答え方
自分から言わなかったとしても、同僚や取引先の人など周囲から転職先を聞かれることもあるでしょう。転職先を聞かれた場合の答え方を状況別に2パターン紹介します。
内定前なら「まだ決まっていない」と伝える
転職活動中だったり退職後に転職活動を始める予定だったりする場合は、「転職活動中です」「まだ決まっていません」などの回答が無難でしょう。
ただ、未定であることを答えると、どのような会社を受けているのか、あるいは志望しているのかを聞かれることがあります。
その場合も具体的な会社名を出す必要はなく、「〇〇に関する仕事をしたいと思っています」など、業種や業務内容などで回答するとスムーズです。
また、本当は内定先が決まっているのに決まっていないとウソをつくのは、後から判明したときに面倒なので避けた方がよいでしょう。
内定後でも業界や事業内容だけ伝える
内定が出て転職先が決まっている場合は、企業名は出さずに業界や事業内容を答えるのがおすすめです。「食品業界に転職します」「医薬品の開発をしている会社です」など、ざっくりとした情報を伝えればうまくかわせます。
ただ、現職と同じ業界や事業内容だと「もしかして〇〇社?」と、さらにつっこまれる可能性もあるでしょう。その場合はあえて転職先の会社が営む事業の中で、自分が携わるのとは別の事業を回答するのも1つの方法です。
万が一、相手が会社名までしつこく聞いてくる場合には、「転職先から企業名は言わないようにと止められている」と伝えれば問題ないでしょう。
スムーズに転職するためのポイント
転職先や現在の職場とよい関係を保ったまま転職するには、本人の工夫が必要です。トラブルなくスムーズに転職するためには、何を意識すればよいのでしょうか?
退職が決まっても最終出社日までは一社員であるという意識を持ち、最後までお互いが気持ちよく働けるよう努めましょう。
今の会社への不満は言わない
退職が決まったら、現在の会社や仕事についての不満は周囲に言わないのがマナーです。同僚と会社や仕事の愚痴を言い合って、明日への活力にするというのは「社会人あるある」ともいえますが、退職する人が言うと周囲の捉え方は変わってきます。
職場を去る人が言う不満は、今後もその会社で働き続ける人に不快感を与える可能性があります。たとえ相手が仲のよい同僚であったとしても、退職が決まった後は会社や仕事への不満を口にしないように注意しましょう。
引き継ぎは余裕を持って始める
退職前の最後の大仕事といっても過言ではないのが、後任者への引き継ぎです。残された人たちに迷惑がかからないように、十分な時間を取って計画的に引き継ぎを進めましょう。
自分が担当していた業務を洗い出し、業務に合わせて引き継ぎのスケジュールを作成すると、スムーズな引き継ぎが可能です。
例えば、営業職なら「担当顧客や取引先への紹介」「見込み客の共有」「提案中・継続中の案件の説明」などが引き継ぎ業務として挙げられます。
顧客や取引先へのあいさつには先方の都合も関係してくるため、余裕を持って計画を立てることが大切です。
求人サイトでスキマ時間をうまく活用する
転職先が決まっていないと、現在の職場で仕事をしているときも転職に意識が向いてしまうことは珍しくありません。しかし、退職までは社員として責務を果たす必要があるため、転職活動は業務時間外に集中して進めるのが基本です。
とはいえ、働きながらの転職活動は想像以上に大変なものです。昼休みや通勤中など空いた時間にも、求人の検索・応募ができるサービスを利用して、効率的な転職活動を目指しましょう。
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転職先を聞かれたら状況に合ったかわし方を
円満に退職するためにも、転職先の詳しい情報は伝えない方がベターです。状況によっては引き止めの材料や妬みの原因となる可能性もあるため、転職先を聞かれたらやんわりとかわしましょう。
退職が決まってから実際に退職するまでの過ごし方も、円満退職には重要なポイントです。会社への不満を言ったりきちんと引き継ぎをしなかったりすると、後味の悪い去り方になる可能性があります。
会社に残る人への配慮も忘れずに、気持ちよく次のステップに進みましょう。