退職の意思を上司にメールで伝えるのはOK?伝える際の注意点も紹介

退職を考えたとき、メールでの連絡は可能なのでしょうか?一般的なマナーや伝え方について紹介します。さらに、退職相談のアポイント取りや退職決定後のあいさつなどパターン別の例文や、メールを送るときの注意点についても解説します。

退職の意思をメールで伝えるのはOK?

メールを打つ男性

(出典) photo-ac.com

退職の意思はメールで伝えてもよいのでしょうか?法律面やマナーの観点から問題ないのかについて解説します。メールで伝えるときの主な方法も見ていきましょう。

法律上は問題なし

退職を申し出る方法について、法律上の制限はありません。メールで伝えても法律的に問題はないでしょう。

ただし、メールで伝えるのはマナー違反と考えられる可能性があります。退職を含め、重要な決定を伝えるときは対面での申し出がベターです。退職日の相談や今後のスケジュールをスムーズに決定するためにも、可能であれば直接意思を伝えましょう。

病気・けがで出社できない状況のときや、何らかの事情で顔を合わせたくないなど理由がある場合は、メールで連絡しても問題はありません。

退職意思の表示方法は2種類

メールを用いて退職の意思表示を行う場合、2種類のやり方があります。「まずはメールにて上司にアポイントを取る」、もしくは「メールで退職の意思を伝える」の2種類です。

上司にアポイントを取るためにメールを使うときは、退職意思は伝えずに「相談したいことがある」という名目で作成しましょう。

アポイントを取るだけであればマナー違反とは考えにくく、上司の都合がよいときに相談できます。

メールの文面に退職の意思を記載するときは、上司の性格や職場の雰囲気など、メールでの連絡に問題がないかを検討してから行うようにしましょう。

メール内容と例文

パソコンに向かって作業をする男性

(出典) photo-ac.com

退職相談時にメールを書く場合、どのようなことを書けばよいのでしょうか?アポイントを取るメールや、退職の意思を記載するメールの例文を紹介します。

退職相談のアポイントを取るメール

退職相談のアポイントを取るときは、退職については伏せましょう。あくまでも相談という形で上司に伝えます。

退職の意思は、相談の時間を取ってもらった後に直接伝えましょう。アポイントを取る場合の一般的なメール例文について紹介します。

 

【例文】

件名:ご相談について

お疲れ様です。○○です。

折り入ってご相談したいことがあり、連絡いたしました。恐れ入りますが、ご都合のよいときに10分ほどお時間をいただけますでしょうか?

○○室など、個別相談ができる場所だと助かります。何卒よろしくお願いいたします。

 

退職の意思を伝えるメール

退職の意思をメールで伝えるときは、配慮が必要です。マナー違反と捉えられないよう、直接伝えられない理由も添えましょう。

また、退職を一方的に伝えるのではなく、検討・相談という形で申し出ることも大切です。退職によって上司や同僚に負担がかかることも想定し、気を遣う必要があります。

 

【例文】

件名:退職のご相談

お疲れ様です。〇〇です。

この度は休暇をいただき、ご迷惑をおかけしており申し訳ございません。

突然の申し出にて恐縮ではございますが、勝手ながら今月中で退職したいと考え、ご連絡いたしました。医者と相談したところ当面静養が必要とのことで復帰の見通しが立たず、退職を決意しました。

急なことで申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。また、勝手ではありますが退職までの有給休暇利用についても相談させていただけますでしょうか。

お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

メールを送るときの注意点は?

パソコンに向かって考え事をする

(出典) photo-ac.com

メールで退職の意思を伝えるとき、注意が必要なことがあります。気持ちよく対応してもらうためにも、メールを送る時期や内容には気をつけましょう。

退職予定日ギリギリに送らない

退職相談メールは、なるべく早めに送りましょう。遅くとも2週間前、基本は1カ月程度前が目安です。

退職の意思は、原則退職日の2週間前までに連絡する必要があります。しかし、就業規則の規定や引き継ぎの時間を考えると、1〜2カ月程度の余裕をもって伝える方がよいでしょう。

就業規則の規定が目安よりも長いときは、原則就業規則に従いましょう。早めに伝えることで、会社側も引き継ぎスケジュールの設定や人員確保ができるはずです。

期間が過ぎたからといって退職できないわけではありませんが、円滑に退職手続きを済ませるには周囲の都合を考える必要があります。

参考:e-Gov法令検索(民法 第627条)

丁寧な文章を意識する

職場の雰囲気によっては、「退職相談のような重要な内容は対面で伝えるべき」と考える人もいます。メールを送るときはできるだけ丁寧な文章で、失礼のないよう心掛けましょう。

丁寧に書くことで、メールのそっけない印象をフォローできます。声や表情が伝わらないからこそ、注意が必要です。

また、丁寧な言葉遣いだけでなく、伝えるべき内容も押さえましょう。退職理由と予定している日程など、相手が判断するための情報をきちんと記載します。その上で、お礼やお詫びなど相手への配慮も必要です。

メールでしか連絡できない理由を記載する

退職相談は対面で行うのが基本と考える人がいる以上、「なぜメールで連絡したのか」を伝える方が安心です。メール本文では、メールでの連絡となった事情を添えましょう。

退職の意思をメールで伝える場合、出社できない状況や上司が出張で長期間不在など特殊な理由があると考えられます。理由を伝えて、メールでの連絡となって申し訳ないという気持ちをアピールしましょう。

対面で相談するべきだと考える人であっても、理由があれば分かってもらえます。無用なトラブルを避けるためにも、簡単に理由を記載することが大切です。

退職決定後のあいさつメールの書き方は?

パソコンを打ちながらメモを取る

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退職相談だけでなく、退職決定後のあいさつもメールで送信できます。多くの人にあいさつが必要なときは、メールを活用し失礼のないよう振る舞うことも大切です。あいさつメールの例文を紹介しましょう。

上司に宛てるメール

上司に退職メールを送る場合は、退職予定日とお世話になった感謝の気持ちを伝えましょう。お世話になった上司には、それぞれのエピソードを加えると印象が柔らかくなります。

対面でのあいさつができていないときはお詫びの言葉を添え、今後の連絡先を伝えておくのもよいでしょう。

 

【例文】

件名:退職のごあいさつ

お疲れ様です。○○です。○日付けで退職が決まり、本日が最終出勤日となりました。

本来であれば直接お伺いするべきところを、メールでのごあいさつとなり申し訳ございません。

○○部長には○○のプロジェクトで大変お世話になり、ご指導いただいたことを感謝しております。

退職後も教えていただいたことを生かし、成長できるよう心掛けていきます。もし退職後に何かございましたら、以下の連絡先までご連絡ください。

○○部長の今後のさらなるご健勝と、ご活躍をお祈り申し上げます。

連絡先:○○○○

 

社内への一斉送信メール

社内向けに一斉送信をするときは、宛先の設定に注意が必要です。宛先は「BCC」を選びましょう。BCCは、他人のメールアドレスが表示されない仕組みです。送信先にて他人のアドレスを見ることができないよう配慮しましょう。

内容は、複数人に送信できるよう当たり障りのない理由とお礼にとどめます。

 

【例文】

件名:退職のごあいさつ

お疲れ様です。○○部の○○です。

この度一身上の都合により○月○日付けで退職の運びとなり、本日で最終出勤日を迎えることとなりました。

直接でのごあいさつではなく、メールでの連絡となり申し訳ございません。

至らぬところもあったと思いますが、大変お世話になりました。環境が変わっても、仕事を通し学んできたことを忘れず頑張っていきたいと思います。

退職後の連絡先を以下に記載しますので、もし何かございましたらご連絡ください。これまでお世話になり、本当にありがとうございました。

連絡先:○○○○

 

社外へのメール

社外の取引先へメールを送るときは、自社での引き継ぎ調整や上司への報告を終わらせてからにしましょう。

社内とは異なり、会社名・部署・名前・社用連絡先を添え、引き継ぎの状況などを伝えます。後日あいさつに伺う場合は、その旨も付け加えましょう。

 

【例文】

件名:退職のごあいさつ (○○株式会社 名前)

株式会社○○ ○○部 ○○様

いつもお世話になっております。○○株式会社の○○です。

私事ではございますが、この度一身上の都合により○月○日で退職することとなりました。取り急ぎ、メールでのご連絡にて失礼いたします。

○○様には日頃から大変お世話になり、心より感謝しております。今まで本当にありがとうございました。

業務の引き継ぎに関しまして、一度後任者の○○とごあいさつに伺う予定です。日程の調整につきましては、追ってご連絡いたします。

退職まで残りわずかではありますが、引き続きよろしくお願い申し上げます。

(署名・連絡先)

 

退職メールの文面は送る前にしっかりチェック!

タイピングする

(出典) photo-ac.com

退職の意思表示は対面が望ましいですが、メール連絡でも問題はありません。ただしマナー違反にならないよう、相談のアポイントを取るときにメールを活用するか、もしくは事情があるときにとどめましょう。

メールは、退職決定後のあいさつにも利用できます。丁寧な言葉遣いと配慮を心掛け、メールでの連絡となった理由を添えると好印象です。