行動力を備えている人材は、どの業界でも引く手数多です。うまくアピールできれば、転職での採用がぐっと近付くでしょう。行動力をアピールするときの伝え方や注意点を解説します。正しいアプローチ方法を知って、自身の強みを最大限にアピールしましょう。
「行動力」を強みとしてアピールしよう
「行動力がある人」は実に曖昧な言葉です。耳にする人によって、イメージする人物像が異なります。
行動力が何を表すのか、言葉の意味をはっきりさせておかないと、思ったように自分をアピールできないでしょう。行動力を軸に自己PRを作成する前に、知っておきたいポイントを説明します。
行動力とは物事を実行する力
行動力とは、目的を達成するために物事を実行していく力です。仕事の場面においては、「新しいプロジェクトの責任者を決める際に進んで手を挙げる」といった行いをする人が、行動力のある人といえるでしょう。
また、経験したことのない業務に積極的にチャレンジしたり、困っている人に手を差し伸べることができたりするのも、高い行動力がなせる技です。
行動力がある人は、どのような企業であっても重宝されます。転職活動で行動力があることを上手にPRできれば、大きな武器となるでしょう。
自分にとっての行動力を具体的にしておく
「行動力がある人」と一口にいっても、受け取る人によってどのような人をイメージするかは異なります。失敗を顧みない人をイメージする人もいれば、アイデアを積極的に形にする人をイメージする人もいます。
転職活動で行動力をキーワードに自己PRを作るときは、自分にとっての行動力が何を表しているのかを具体化してまとめるようにしましょう。
例えば、「計画性を持って物事に挑める」という特性を行動力としてアピールしたいときは、「しっかりと計画を立てて、目標に一歩一歩近付いていける行動力があります」と説明すると、採用担当者にも真意が伝わりやすくなります。
行動力を効果的にアピールするコツ
行動力を持っているという事実は、転職活動において強力な武器になります。しかし、アピールの仕方を間違えると、せっかくの長所が上手に伝わりません。
行動力があることをアピールする際の、伝え方のポイントを解説します。
企業や職種に求められている行動力を理解する
まずは、応募先の企業がどういったタイプの行動力がある人を求めているのかを、チェックすることが重要です。
自分が持つ行動力を具体的に伝えられたとしても、応募先の企業が求めていない人物像になっていれば、アピールポイントとして機能しません。
営業職なら、見ず知らずの人と気後れせずに会話できたり、顧客のニーズに合わせて的確なレスポンスを返せたりする行動力が求められます。
それにもかかわらず、目標に向かってこつこつ努力できる行動力をアピールしても、自己PRとしての効果は低くなります。企業や職種に合致したアピールで、採用を引き寄せましょう。
説得力のあるエピソードを添える
採用担当者を納得させられるエピソードを添えることも大切です。エピソードを交えると話に説得力や信ぴょう性が生まれ、自己PRが採用担当者の心を動かす武器として機能するようになります。
エピソードを交えて自己PRをまとめるときは、「行動を起こしたことで、どのような結果が生まれたのか」を盛り込みましょう。あなたの採用によって得られるベネフィットをイメージしやすくなり、採用がぐっと近付きます。
行動の結果を盛り込むときは、具体的な数字を使うと効果的です。「〇〇%受注数が伸びた」というように数字を提示すると、自己PRの説得力がより向上します。
行動した動機も伝える
行動力をアピールポイントとするなら、なぜその場面で行動力を発揮するに至ったのか、理由を説明しましょう。確かな動機があってこそ、実行した行動が意味を持ってくるためです。
行動を起こす際には、目的・ビジョンが大切です。これらが欠けている行動は、ただの思い付きによるものと判断され、大した評価にはつながりません。
行動力の高さを物語るエピソードを用意するときは、「どのような考えがあってその行動に至ったのか」「どのような結果を期待してその行動を取ったのか」を自己PRに組み込みましょう。
「このような考えのもとで行動に移した」と説明できれば、採用担当者を納得させられる説得力が生まれます。
行動力をアピールする注意点
転職活動で行動力をしっかりアピールできれば、大きなアドバンテージを得られるでしょう。
しかし場合によっては、マイナスの結果を引き寄せてしまう可能性があるので、注意が必要です。行動力をアピールするときに、注意したいポイントを解説します。
計画性がないと判断される場合がある
行動力もアピールの仕方を間違えると、ただの計画性がない人と捉えられる可能性があります。
エピソードの内容やまとめ方によっては、考えなしにその場のテンションで行動し、たまたまよい結果を得られただけの人と判断されてしまうでしょう。行動力をネガティブに捉えられれば、採用が遠のいてしまいます。
行動力の裏付けとなるエピソードを伝えるときは、どのような考えを持ってその行動を取ったのか説明することが肝心です。
「考えた先に起こした行動で、よい結果を引き寄せた」と説明できれば、後先を考えずにその場の雰囲気で行動を起こす人と判断されにくくなります。
面接では態度に注意する
行動力があることを自身の長所として面接に臨むときは、アピールポイントに即した対応を心掛けましょう。
アピールポイントとちぐはぐな態度や受け答えがあると、「本当に行動力がある人なのか」と採用担当者に疑念を抱かれてしまいます。
行動力があるというPRと真逆のエピソードを語ったり、採用担当者の目を見て話さない・声が小さいなど、自信がなさそうに見える受け答えをしたりすれば、せっかくのアピールポイントがかすんでしまいます。
自身の行動力の高さを自己PRとして語るなら、行動力があるという軸が一本通った対応を貫きましょう。
行動力を自己PRで伝える例文
最後に、行動力で自己PRするための例文を紹介します。自身の行動力をアピールポイントにして転職活動に挑みたい人は、例文からエッセンスを抽出して、自己PR文を作ってみましょう。
営業職に応募する場合の例文
営業職への転職の際に行動力をアピールしたいときには、以下のような自己PRがおすすめです。
【例文】
前職では部品メーカーの営業職をしており、持ち前の行動力を生かして、取引先の業界に対する理解を深めていました。展示会やイベントに参加してその道のプロから話を聞いたり、業界誌を購読して業界のトレンドをつかんだりしたのです。
その結果、顧客と一歩踏み込んだ会話ができるようになり「君のところから買いたい」と言ってくれる顧客が増え、受注数が20%アップしました。
結果を話す場面で、具体的な数字を使っているのがポイントです。受注が増えたことだけを伝えても、どれほど大きな変化があったのかイメージしにくいでしょう。数字を用いれば話に説得力が生まれ、強力な自己PR文になります。
企画職に応募する場合の例文
企画職へチャレンジするときは、以下のような自己PRで行動力があることを説明するとよいでしょう。
【例文】
前職ではパソコン教室の講師をしていました。当時勤務していた教室では、受講者数が伸びないという問題を抱えていました。
スクールの存在を上手にアピールできれば受講者数が伸びると考えた私は、根っからの行動力を生かし、無料の出張講座を開催する企画を提案したのです。その結果、毎月の新規受講者数が15%上昇し、スクールに活気が戻ってきました。
ポイントは、行動を起こす動機となった考えを、エピソードに盛り込んでいることです。「具体的な考えがあって行動した」ことを説明できれば、行動力の高さが立派なアピールポイントになります。
マネジメント職に応募する場合の例文
マネジメント職への転職を考えているなら、以下のような自己PRで行動力があることを示しましょう。
【例文】
前職では、20店舗のスーパーを統括するマネージャーをしていました。自身の強みである行動力を生かして積極的に店舗に出向き、視察やスタッフとのヒアリングを重ねていました。自身の足を使って、売上アップのヒントを探していたのです。
その結果、現場を知り尽くすスタッフの意見を取り入れた企画や、地域住民のニーズに応えた商品ラインナップなどを実現し、エリア全体の売上を30%上昇させました。
ポイントは、実際に取り組んだ対策を具体的に盛り込んでいることです。エピソードに厚みが生まれ、採用担当者に納得感を与えやすくなります。
行動力を上手にアピールし好印象を与えよう
行動力を持っていることは、転職活動において強力な武器になり得る要素です。上手にアピールできれば、採用担当者の心を動かせるでしょう。
しかし行動力があることは、伝え方を間違えると真意が伝わらなかったり、ネガティブな要素として解釈されたりする可能性もあります。
自己PRに行動力があることを盛り込む際は、ポイントを押さえて文章を組み立てるのが肝心です。正しいやり方で、行動力の高さを強力な武器に変えましょう。
採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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