事務ってどんな仕事?種類や内容、必要な資格、向いている人を紹介

事務の仕事は、企業活動に必要なバックオフィス業務全般を担当する仕事です。特別な資格は不要ですが、業種・職務内容によっては持っていた方がよい資格もあります。事務の仕事の種類や内容、必要な資格に加え、向いている人の特徴を見ていきましょう。

事務の仕事は企業活動のバックアップ全般

パソコンを見ながら記入する男性

(出典) photo-ac.com

事務の仕事は、企業活動にともない発生するさまざまな業務を処理する仕事です。業務の詳細は種類によって異なりますが、まずは基本的な流れについて理解しておきましょう。一般的に「事務の仕事」と呼ばれる業務を紹介します。

文書作成・ファイリング・整理

事務の仕事に多いのが、文書作成やファイリング、文書整理などです。例えば社内イベントの告知文書を作成・配布したり、会議の議事録を作成したりなどは、事務担当に任されるケースが多いでしょう。

また職種によっては、見積書や請求書・領収書など、各種の会計書類の作成を任される場合も少なくありません。書類が手元に戻ってくれば帳簿作成や決算書作成などを行い、適切に保管するのも事務担当者の仕事です。

昨今はペーパーレスが進んでいるので、必ずしも紙の文書管理だけではないケースもあります。

電話・メール・来客応対

事務担当者が企業の窓口となる場合は、電話・メールへの応対も重要な仕事です。

かかってくる電話の内容を判断して担当部署に回したり、指定された担当者に回したりしなければなりません。メールの振り分けも適切に行い、外部と企業内の担当者とを適切に結び付けることが必要です。

また受付がいない企業なら、事務担当者が来客対応も行います。アポイントを取っている人が来社した場合は、担当部署や会議室・応接室などへの案内・お茶出しなども行う可能性があるでしょう。

その他バックオフィス業務全般

その他の業務については、企業の規模や業種・職種によって内容が大きく異なります。

規模の小さい企業なら、事務担当者の仕事は備品の発注・管理から、郵便物の受け取り、発送までさまざまです。あらゆる雑務を任されるケースが多く、バックオフィス業務全般が事務担当者の仕事となります。

一方で規模の大きい企業なら、「営業事務」「経理事務」などと担当が細分化されています。例えば営業事務担当者はデータ入力・文書作成などがメインで、その他の雑務は行いません。備品の発注や管理などは、総務事務の担当者が行うこととなるでしょう。

事務の種類はさまざま

経理事務

(出典) photo-ac.com

一口に事務の仕事といっても、種類はさまざまです。事務の仕事に応募する際は、業務内容をきちんと理解しておく必要があります。事務の種類について、詳しく見ていきましょう。

営業事務の仕事

営業事務は、営業のサポートを行うのが仕事です。営業が自社のサービスや商品をスムーズに販売できるよう、書類・資料を作成したり会計処理を行ったりします。

例えば取引で必要な「見積書」「請求書」「発注書」「納品書」「受領書」などを作成・管理するのは、全て営業事務の仕事です。

また営業事務は、顧客管理や在庫管理・出荷管理まで行わなければなりません。営業が獲得した顧客を適切に管理し、スムーズに対応することが求められます。

経理事務の仕事

企業の資金の流れを把握し、管理するのが経理事務の仕事です。定型業務としては、日々の帳簿付けや伝票の起票、経理システムへの入力などがあります。

このほか、月に1回は月次決算書類を作成して決算処理を行わなければならない上、各期の決算時には各種財務諸表の作成も必要です。万が一税務審査が入った場合には、経理事務担当者が立ち会うことになるでしょう。

また社員の給与計算や経費計算・現金の出納管理なども、経理事務担当者が行います。伝票の仕訳や細かな経理処理が必要となるため、商業簿記・工業簿記の基本スキルがあると安心です。

総務事務の仕事

総務事務は、社員の労働環境を整えるのが主な仕事です。業務内容は企業によって異なりますが、庶務全般を担当するケースが少なくありません。

文書の作成・分類・整理・保管はもちろん、備品の発注から来客や電話への応対・出張する社員のホテルの手配などは、全て総務事務の仕事となるでしょう。

また社内で会議が行われるときや株主総会が開かれるときなどは、総務事務がメインとなって準備を進めます。社員旅行・社内イベントの企画・運営を任されるケースもあり、業務内容は多彩です。

医療事務の仕事

医療事務は、医療現場での事務全般です。具体的には、窓口での患者の受付・応対業務、診療費用の請求に必要な「レセプト(診療報酬明細書)」の作成業務、診療が終わった患者の情報をシステムに入力する業務などに従事します。

また病棟の医療事務は、担当する病棟における事務作業全般をこなすのが仕事です。患者の入退院手続きから診療のスケジュール管理・患者の家族への応対まで、一手にこなさなければなりません。

事務の仕事に役立つ資格

資料を眺める男性

(出典) photo-ac.com

事務の仕事は資格不問で誰でも取り組みやすいため、求人には多くの応募が集まります。事務の仕事に就きたいのであれば、アピールできる資格があると有利です。事務の仕事を得たい人におすすめの、役立つ資格を紹介します。

PC系の資格

どのような種類であれ、パソコンを使わない事務仕事はありません。パソコンのスキルを持っている人は、採用面接でも良い印象を与えやすいでしょう。

パソコンに関するおすすめの資格としては、「MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」「日商PC資格」などがあります。

MOSは、Microsoft Officeに含まれるソフト全般のスキルを証明できる資格です。事務作業中は、Word・Excel・PowerPointなどの出番が多くなります。これらのソフトを自由に使いこなせる人は、企業でも重宝されるでしょう。

日商PC資格は、日本商工会議所や各地の商工会議所が運営する検定試験です。Word・Excel・PowerPointのスキルが評価され、1~3級が設定されています。事務スキルをアピールするなら、2級以上の取得を目指すのがおすすめです。

業種にマッチした資格

経理事務を目指す場合は、簿記の資格が有利です。専門性をアピールするなら、工業簿記も含まれる「日商簿記 2級」を取得しておきましょう。

また医療事務は「資格不要」といわれますが、多くの場合、求められるのは即戦力です。「診療報酬請求事務能力認定試験」「医療事務技能審査試験」などに合格しておくと有利でしょう。

このほか外部とのやり取りや受電業務が多い職場では、ビジネスマナーのレベルを証明できる「秘書検定準1級」以上を取っておくと、注目されやすくなります。

事務の仕事に向いているのはこんな人

経理の打ち合わせをする女性

(出典) photo-ac.com

「事務の仕事は誰にでもできる」などと思っている人もいますが、実際には向き不向きが顕著です。事務の仕事に就きたいと考える人は、まず自分の適性をチェックしてみましょう。

コミュニケーション能力が高い人

事務担当者に求められるのは、誰とでも円滑な関係を築けるコミュニケーション能力です。人と関わるのが苦手だったり、1人で黙々と働きたかったりする人には向かないかもしれません。

どのような種類であれ、事務職は基本的にバックオフィス業務です。コア業務を行う社員の支援を行うケースが多く、必然的に人との関わりが必要になります。

相手の意図を的確に汲み取るスキルはもちろん、分からないことをその場で解決できるスキルも必要です。

仕事が迅速かつ正確な人

仕事が早く正確なことも、事務担当者には必要です。事務の仕事は多岐にわたり、中には迅速な対応が求められるものもあります。状況を見ながら素早く仕事をこなし、適切な支援を行うことが求められるでしょう。

ただしどれほど仕事が早くても、ミスや抜け漏れだらけでは意味がありません。コア業務の担当者に余計な負担をかけないよう、迅速さとともに正確さも重要です。

柔軟に動ける人

イレギュラーな事態にも柔軟に対応できる人は、事務の仕事に向いています。例えばマルチタスクを難なくこなせる人や、作業効率を考えながら動ける人なら、増え続ける事務仕事にも適切に対応できます。

企業規模にもよりますが、事務担当者には想定外の仕事・突発的な仕事が舞い込むケースが珍しくありません。仕事が重なってパニックになったり、スケジュール管理ができなくなったりする人は、事務の仕事がストレスになるでしょう。

「事務に向いていないかも」と感じる人は、規模が大きく業務が細分化している企業がおすすめです。よく探せば、「決められたルーティンワークさえきっちりとこなせればOK」という案件も見つかるでしょう。

事務の仕事のやりがい

データを見ながらの打ち合わせ

(出典) photo-ac.com

事務の仕事はバックオフィス業務専門と聞くと、「やりがいはあるのだろうか」と疑問に思う人もいるかもしれません。事務の仕事に従事した場合、どのようなときにやりがいを感じるのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

頼りにしてもらえる

雑務を一手に担当してくれる事務担当者は、コア業務に取り組む社員にとって頼りになる存在です。精度の高い資料を作ったり見映えのよい文書を作成したりすれば、「デキる事務担当者」として高い評価を得られるでしょう。

事務の仕事は一見すると地味ですが、企業活動を円滑に進める上でなくてはならない存在です。自分の働きで組織がうまく回っていると実感できれば、それが仕事のモチベーションにつながります。

スキルアップを実感できる

日々パソコンやシステムに触っていれば、自然にスキルがアップします。タイピング速度が目に見えて向上したり、複雑な計算式を組み合わせた表を作成できるようになったりなど、大きな進歩があるでしょう。

また業務に慣れれば、業務効率を意識して働けるようになります。作業の仕方や工程の組み方に工夫を加えられ、業務スピードもアップしていくでしょう。

事務仕事のエキスパートという自覚ができれば、自信を持って業務に臨めるようになります。

事務の仕事は縁の下の力持ち

デスクでの事務作業

(出典) photo-ac.com

事務の仕事は、バックオフィス業務全般です。PCを使った文書作成業務のほか、種類によっては経理処理や顧客管理なども必要となります。

事務の仕事の種類は、事務から経理・営業・医療などさまざまです。特別な資格は必要ないため、「今すぐ働きたい」という人もチャレンジしやすいでしょう。

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小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備